CMSとHTMLの違いとは?使い分けるポイントや用途・サイト構築の秘訣について
Webサイトの制作シーンで耳にする「CMS」「HTML」。自社サイトの制作を検討しているけれど、両者の違いがよく分からないという人もいるのではないでしょうか。本記事では、CMSとHTMLの違いについて、使い分けのポイントや用途・サイト構築の秘訣について解説します。
目次
CMSとHTMLの違いとは?
CMSとHTMLの違いを簡単に説明すると、CMSは「システム」でありHTMLは「言語」です。
CMSは自動的にHTMLを組んでくれるシステムなので、プログラミングに関する知識がなくてもWebサイトの制作や更新ができます。一方、HTMLはプログラミング言語であり、コンピューターにWebサイトのレイアウトや文字のサイズなどの指令を出す際に使われます。
CMSはWebサイトを制作・管理するシステム
CMSは、「Content Management System(コンテンツマネジメントシステム)」の略称で、Webサイトの文書や画像などのコンテンツを管理するシステムを指します。
システムを操作するだけで、簡単にコンテンツの作成やコンテンツの追加・更新ができるため、Webサイトを制作する際に多く用いられています。
▷【初心者向け】CMSとは?メリット・デメリットや種類、機能をわかりやすく解説
HTMLはマークアップ言語のひとつ
HTMLは、「HyperText Markup Language(ハイパーテキストマークアップランゲージ)」の略称で、プログラミング言語の中では「マークアップ言語」に分類されます。
「<>」で囲まれたタグと呼ばれる文字列を用いて、Webサイト上での表示方法を指示するために使われる言語です。一般的に、デザインを設定するスタイルシート言語「CSS」と組み合わせて使われる傾向があります。
CMSを利用してWebサイトを構築するメリット
企業や個人に広く利用されているCMSですが、CMSを使ってWebサイトを制作・更新するメリットについてお伝えします。
Webサイトの構築・更新が簡単にできる
CMSを利用するメリットとして、Webサイトの構築や更新が手軽にできる点が挙げられます。HTMLでWebサイトを作成する場合、まずプログラミングについて学ばなければなりません。それに対し、CMSはプログラミングの専門知識がなくても、パソコン操作さえできればWebサイトを作成可能です。
また、Webサイトの作成・編集や追加・更新などの作業も簡単なので、担当を決めて分業でき、複数人でも運用しやすい特徴があります。Webサイトの運用を分業化したい組織に向いています。
Webサイト全体に統一感を持たせられる
CMSはシステムが用意しているテンプレートを利用してWebサイトを構築するため、Webサイト全体に統一感を出しやすいと言えるでしょう。
また、途中で制作担当者が変わったとしても、既存のWebサイトと同様のデザインを使い続けられるのも利点です。HTMLの場合、イチからWebサイトを制作するため、制作担当者が変わると、デザインなどに違いが生じる可能性があります。
SEOに強いサイトが構築できる
CMSを利用すれば、SEO対策に有効なWebサイトを構築しやすくなります。大半のCMSは、W3C(World Wide Web Consortium)のWeb標準規格に準拠しています。そのため、正しいHTMLで書かれたWebサイトを簡単に制作でき、検索エンジンから発見してもらいやすくなるでしょう。
検索エンジンから高評価を得るためには、XMLサイトマップの作成やリストの整備などが必要ですが、CMSを使えば簡単に行えます。コンテンツの更新も手軽に行えるので、新しい情報を追加している良質なコンテンツと見なされ、上位に表示してもらえる可能性も上がります。
プラグインによる機能の拡張ができる
CMSにはWebサイトを構築するうえで欠かせない基本機能が備わっていますが、プラグインによって機能を追加できます。代表的なものは、セキュリティ対策や多言語対応、決済機能の追加などです。
無償提供されているものもあり、プラグインによってWebサイトをカスタマイズすれば、コストをかけずにユーザーの利便性の向上を図れるでしょう。
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HTMLを利用してWebサイトを構築するメリット
独自色を打ち出せるなど、HTMLを使ったWebサイトの構築にはさまざまなメリットがあります。主なメリットを紹介します。
カスタマイズ性が高いためオリジナリティのあるサイトを作れる
HTMLを使うと、オリジナリティのあるWebを構築できます。CMSの場合、すでに用意されているテンプレートの中からデザインを選択するため、デザインの自由度は低いと言えるでしょう。一方、HTMLの場合は、イチから構築するためカスタマイズ性が高く、目的に合ったWebサイトを構築できます。
表示スピードが速い
HTMLの特徴として、HTMLで作成したWebサイトは表示スピードが速く、ユーザーにとって見やすい点が挙げられるでしょう。
Webサイトは大きく「静的」と「動的」に分かれます。「静的」なWebサイトは、誰がアクセスしても同じページが表示されるのに対し、「動的」なWebサイトはアクセスしたユーザーや時間帯などによって異なるページが表示されます。HTMLで制作したWebページは「静的」なので、即座にページが表示され、ユーザーにストレスを与えません。
Webサイト制作の基礎的なナレッジが蓄積できる
HTMLでWebサイトを構築すると、Webサイト制作に必要な知識を蓄積できる利点があります。
HTMLで制作するには、HTMLやCSSに関する知識を身に付けなければなりません。知識の習得にはある程度時間を要するものの、一旦知識を身に付ければ、いつでも独自性のあるWebサイトを構築できます。回数を重ねれば社内にノウハウが蓄積され、より高度なWebサイトも作成できるようになるでしょう。
CMSとHTMLは「目的・用途」での使い分けがおすすめ
CMSとHTMLにはそれぞれ異なる利点や特徴があります。Webサイトの目的や用途に合わせてCMSとHTMLを使い分けると、Webサイトの円滑な制作が実現するでしょう。使い分けのポイントをご紹介します。
HTMLが向いているケース
HTMLを使った制作が向いているのは、オリジナリティのあるWebサイトを構築するケースなどです。具体例をお伝えします。
Webページ数が少ない・広告用LPを作成する
HTMLが向いているのはページ数が少ないWebサイトの制作です。ページ数が多いWebサイトでHTMLを使うと、コーディングに膨大な時間がかかってしまうためです。
商品やサービスの特徴を1ページにまとめる広告用LP(ランディングページ)などであれば、HTMLでも時間をかけずに作成できるでしょう。
更新頻度が低い
コーポレートサイトのように頻繁に更新する必要がないWebサイトを制作する場合は、HTMLが向いているでしょう。
CMSは頻繁にWebサイトを更新できるように工夫されているシステムです。更新頻度が低いWebサイトの場合、CMSを利用してもメリットを得られない可能性があります。
更新頻度に合わせてHTMLとCMSを使い分けることをおすすめします。
オリジナリティのあるページが作りたい
企業の採用サイトなど、他社との差別化を図る必要があるWebサイトは、HTMLを使って制作するとよいでしょう。HTMLを使えば、デザインをイチから作成できるため、オリジナリティを発揮できます。CMSは既存のテンプレートの中からデザインを選択するため、自由度が低く、細部までこだわったWebサイトの制作には不向きです。
CMSが向いているケース
HTMLよりもCMSでWebサイトを制作した方がよいケースについてお伝えします。Webサイトを作成する際に参考にしてください。
専門知識を持つ人材が社内にいない
プログラミングに精通した人材が社内にいない場合は、CMSを利用した方が無難でしょう。
HTMLを用いるには、あらかじめプログラミング言語を学ばなければならず、時間がかかります。社員に研修を受けさせたり専門知識を持つ人材を雇用したりすれば、当然コストもかかってしまうでしょう。
CMSは、特別な知識がなくても、誰でもWebサイトが制作できるようにつくられています。プログラミングに精通した人材がいないのであれば、コストを抑えるためにも、CMSの利用を検討してください。
Webページ数が多くデザインを統一したい
ページ数が多いWebサイトの作成には、CMSが適しています。CMSはコンテンツを作成するのに必要なテキストや画像、デザインなどの情報を一元管理するシステムで、ページごとに必要なデータをシステムが自動抽出してWebサイトを制作します。そのため、ページ数が多くても、同じテンプレートを使っていれば、デザインの統一感を保てるのです。
また、デザインを変更する場合でも、元のテンプレートのデザインを変更すれば、同じテンプレートを使った他のページのデザインも変更されるので、リニューアルしやすいというメリットもあります。
コンテンツの更新頻度が高い
CMSは、リアルタイムで情報を発信しているWebサイトや頻繁にコンテンツを更新する必要があるWebサイトにも向いていると言えるでしょう。
HTMLは更新するたびにコードを書き直さなければならないため、手間がかかります。CMSならテキストや画像さえあれば、簡単にコンテンツを更新できるのでおすすめです。
Webサイトの運用を分業化したい
CMSは、Webサイトを複数人でも運用しやすいので、Webサイトの更新の分業化を検討している企業に適しています。専門知識がなくても、CMSであれば誰でもWebサイトの更新が可能です。
さらに、CMSは編集できるユーザーを複数登録できるうえ、コンテンツごとに権限を付与できるので、担当者を決めて運用しやすいでしょう。
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CMSの選び方
さまざまな種類のCMSがリリースされており、どれを選べばよいのか迷う人も多いのではないでしょうか。ここでは、自社の目的に合ったCMSの選び方について解説します。
CMSの種類で選ぶ
CMSはオープンソース型、パッケージ型、クラウド型の3種類に分けられます。各タイプの特徴をお伝えするので、参考にしてください。
オープンソース型CMS
オープンソース型CMSは、インターネット上でソースコードを公開しているCMSです。パッケージ型やクラウド型と比較すると、無料や低価格のものが多く、導入コストを抑えたい企業に向いているでしょう。WordPressが代表的です。
カスタマイズが容易なうえ、利用者が多いので使用方法に関する情報を手に入れやすい傾向があります。ただし、無料の場合はサポート体制が不十分なものもあるので、セキュリティ面に注意が必要です。
パッケージ型CMS
パッケージ型CMSは、システムベンダーが独自に開発しパッケージ商品として販売しているCMSで、購入後、自社のサーバーにインストールして利用します。商用向けに開発されているため、大規模なWebサイトにも対応可能です。
システムベンダーによるサポート体制も整っているため、社内に専門知識を持つ人材が不在でも安心して利用できるでしょう。セキュリティ面にも優れている一方、オープンソース型と比較すると、初期費用や高額な月額利用料がかかる点に留意してください。
クラウド型CMS
クラウド型CMSもシステムベンダーが独自開発したCMSですが、インターネットを介してクラウド上で提供される点がパッケージ型CMSと異なります。システムベンダーが提供するサーバーにアクセスすれば利用できるため、自社でサーバーを用意する必要がありません。
月額制や従量課金制で利用できるタイプが大半です。迅速に利用できて便利な一方、カスタマイズがしにくいという課題もあります。
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CMSの導入目的に合った機能を搭載しているかで選ぶ
CMSを導入するにあたっては、導入目的に照らして必要な機能を確認してから選ぶようにしてください。例えば、Webサイトのターゲット層が外国人であれば、多言語対応機能が求められます。マーケティングを目的としたWebサイトの場合、アクセス解析ができる機能が必要でしょう。
また、CMSによって連携できる外部サービスは異なります。プラグインによって機能を拡張できるCMSもありますが、追加で費用がかかるケースもあるので、導入前にきちんと確認しましょう。
誰でも簡単に操作できるかで選ぶ
操作性もCMSを選ぶうえでは重要なポイントです。社内に専門知識を持つ人材がいないために、CMSを利用する企業も多いでしょう。したがって、システムが複雑になっているCMSを選んでしまうと、社員が使いこなせず宝の持ち腐れとなってしまいます。
操作に手間がかかると更新頻度が下がる恐れもあり、誰でも簡単に操作できるかどうかは大切です。事前に無料トライアルで操作性を確認することをおすすめします。
トラブル時のサポートの有無で選ぶ
CMSによってサポート体制は大きく異なるため、トラブルが発生した際のサポート体制の有無も考慮してください。サポートを受ける際に費用が発生するかをチェックするとともに、トラブル時の対応、操作のレクチャーなど、サポートの範囲も事前に確認しておきましょう。
費用は予算内に収まるかで選ぶ
CMSの導入や運用にかかる費用は、無料から数百万円と幅広いため、予算に合ったCMSを選びましょう。初期費用と月額使用料のほか、サポート費用やプラグインで機能を拡張する際にかかる費用も確認してください。
低価格のCMSの場合、セキュリティ面が脆弱なケースもあるので、注意が必要です。あらかじめシステムベンダーに問い合わせて見積もりを取ることを推奨します。
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Webサイト構築で気を付けたい重要なポイント
CMSやHTMLでWebサイトを構築する際に、気を付けるべきポイントをご紹介していきます。構築前に本記事を読んで、チェックしてください。
Webサイト構築の目的・ターゲットを決める
まずWebサイトを構築する目的や、ターゲット層を明確にしましょう。Webサイトは構築が目的ではなく、Webサイトを使って何を実現するかが重要です。目的やターゲットがあいまいなままで制作を進めてしまうと、Webサイトの各ページに一貫性がなくなり、訴求力も低下します。
▷はじめてのCMS構築完全ガイド|構築方法や進め方・費用相場などを簡単に解説
目標は具体的に数字で設定する
Webサイトを構築する目的が決まったら、PV数やCV数など目標を具体的な数字を使って設定してください。システムベンダーからCMSを購入したり、HTMLを使ったWebサイト制作を外注したりする場合、目標値を伝えることで、目的に叶ったWebサイト構築のアドバイスをもらえる可能性があります。
また、目標値を具体的な数字で表せば、現状との差を基に改善点を見つけやすくなります。
企業イメージに合うデザインにする
コーポレートサイトや採用サイト、広告用LPなどを作成する際は、企業イメージに合ったデザインを採用しましょう。
他社と差別化を図るために奇抜なデザインを取り入れると、企業イメージとかけ離れてしまい、ユーザーに違和感を与え混乱を生じさせる恐れがあります。色や文字のフォントなどに、統一感を出すことを心がけてください。
レスポンシブデザインにする
デバイスに応じてレイアウトが最適化されるレスポンシブデザインを取り入れましょう。
最近では、パソコンからだけではなくスマホからWebサイトにアクセスするユーザーも多くいます。パソコンからのアクセスを前提としたレイアウトでは、スマホからは閲覧しづらく、ユーザーが離脱してしまうかもしれません。
ユーザビリティを高めるように意識してデザインすることが重要です。
WebサイトをSSL化する
Webサイトを構築するにあたっては、セキュリティ対策も忘れずに行ってください。データを暗号化して送受信するプロトコル「SSL」を採用すれば、個人情報などを扱うWebサイトでもユーザーは安心して利用できます。
セキュリティ対策をおろそかにした結果、個人情報の流出などが生じてしまうと、企業のコンプライアンス体制が問われる可能性があるので、注意しましょう。
定期的な改善を繰り返す
Webサイトは作成して終わりではなく、定期的に改善することが大切です。目標と現状を比較してコンテンツを追加したり、最新のセキュリティ対策を施したりして、より良質なWebサイトを目指しましょう。
更新を怠ると信頼性を失いユーザー離れが起きるだけではなく、セキュリティリスクも高まります。
CMSとHTMLの違いを理解し、目的に応じて使い分けよう
CMSとHTMLには大きな違いがあり、向いているWebサイトは異なります。それぞれの特徴をふまえ、Webサイト制作の目的に応じて使い分けることで、よりよいWebサイトを作成できるはずです。ぜひ、Webサイトの構築に本記事をお役立てください。
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