健康は手元で見える化!5分でわかる「PHR」
PHRを企業も活用?PHRを管理するうえでのメリット・デメリット
血圧や心拍数を管理できるスマートウォッチや、食事管理や運動管理、睡眠管理ができるヘルスケアアプリなど、日々、新しいヘルスケアサービスが登場するなか、あなたは自分の健康データをどのように管理していますか? 実は、個人の健康情報を一元管理する「PHR(Personal Health Record)」が近年、注目を集めています。 そこで今回は、私たちの生涯のヘルスケアをより良く便利に、そして、楽しみながらの健康維持をサポートしてくれる注目のPHRについて、詳しく解説します。
PHRとはデジタル版の健康手帳
PHRとは、個人の健康に関するあらゆるデータを意味します。また、それらをスマホなどで1つにまとめて、個人レベルで管理できる仕組みやシステムを表す言葉として使われることもあり、言うなれば「デジタル版の健康手帳」をイメージするとわかりやすいでしょう。
さらにPHRは、医療機関での診察記録だけでなく、個人のあらゆる健康に関するデータが集約されることから「生涯型の電子カルテ」と呼ばれることもあります。
PHRに含まれる情報
PHRには、病院での検査結果や診断内容、処方箋といった医療情報からアレルギー情報、そのほか、運動量や食事内容といった生活習慣にかかわる情報など、さまざまなデータが含まれます。
PHRに含まれる情報の例
- 医療機関での受診記録(例:医師の診断内容)
- 定期健康診断の結果(例:特定健康診査の結果)
- 薬剤情報(例:処方薬の履歴)
- 日常の健康指標(例:体重、体脂肪率、血圧、心拍数)
- 身体活動記録(例:1日の歩数)
- 食生活の記録(例:摂取カロリー)
- 睡眠データ(例:就寝・起床時刻)
PHRを活用するメリット・デメリット
さて、そんなPHRですが、使ってみるとどんないいことがあるのでしょうか?逆に気をつけるべき点はあるのでしょうか?メリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
- 自分の健康状態をより詳しく把握できる
- 散在する健康に関する情報を集約できる
- PHRを医師に共有することで、より質の高い医療を受けられる可能性が高まる
- 健康増進や病気の予防に役立つ
- 緊急時に重要な医療情報をすぐに提供できる
デメリット
- 「健康データ」という重要な個人情報が流出するリスクがある
- 情報更新など自分自身で管理しなければならない
- デジタル機器が苦手な人には使いづらい
- 健康管理に過度に気を使いすぎてしまう可能性も
PHRには、複数の医療機関で受けた診断、既往歴、個人の健診結果、薬局などでの医薬品の購入履歴といった、個人の健康に関するあらゆる情報が集約されます。そのため、適切な診断や治療を受けられる可能性が高まる点は、大きなメリットと言えるでしょう。
その一方で、PHRで管理する情報は、非常にデリケートな情報が含まれること、また、インターネット上で取り扱われる特性などから、厳重なセキュリティー環境と、適切な利用・管理が求められます。
PHRを構成するPGDとは?
PHRの中でも特に注目されているのが、PGD(Personal Generated Data)と呼ばれるデータです。これは、スマートウォッチなどで計測する歩数や心拍数、睡眠時間といった、私たちの日常生活の中で記録される健康データのこと。
PGDは、個人の健康管理に重要な役割を果たすだけでなく、さまざまな分野での活用が期待されています。その中でも特に注目を集めているのが、医療現場など、過重労働などが懸念されている労働環境における勤怠管理との連携です。
PGDを活かした勤怠管理による労働環境の改善も
例えば、ウェアラブルデバイスによって自動計測されるバイタルデータと勤務パターンを分析することにより、従業員の過労リスクを早期に発見し、労働環境の改善を迅速に行うことができるようになります。
PGDと勤怠管理の連携は、従業員の健康リスクの早期発見にも役立てられると考えられているのです。
企業での活用も広まる?PGDによる「健康管理」の新たな動き
実際に、PHRによる従業員の健康管理は、運送ドライバーやバスの運転手など、職業ドライバーの方々の健康管理と、未来予測を含めた安全管理を実現する仕組みとしても、大きな期待が寄せられています。
ただし、PHRは、必ず本人の同意を得て活用する仕組みであり、企業やサービスなどで、PHRを活用する際も、事前に「本人の同意」が必ず必要であることを理解しておきましょう。
新たなサービスへと進化中!今後もPHRに注目
各医療機関のカルテ、学校や会社の健康診断、予防接種履歴、市販薬の購入履歴など、個人の健康情報は、これまで「散在」した状態で管理されてきました。
これらの健康データを集約したPHRは、その情報量を活用した以下のようなサービスへと、まさに「進化」している最中です。
- AI×PHR による個別化された健康アドバイス
- オンライン診療とPHRの連携による遠隔医療サービス
- PHR にもとづいた食事宅配サービス
- PHRデータを活用した地域の健康課題解決サービス
これらのサービスには、個人の健康増進だけでなく、社会全体での健康づくりを後押しするサービスとしての期待も寄せられています。
自分の健康を手元で「見える化」する時代。PHRを活用したスマートな健康づくりに、今後も注目です。