地震・台風への備えはOK?企業の運命を左右する防災対策とは
防災対策をしないリスクや災害別の対策まで解説
世界中で発生したマグニチュード6.0以上の地震の内、18.5%が日本で発生していることをご存じですか?(JICE:自然災害の多い国 日本)日本は自然災害大国であり、企業活動を継続するうえで自然災害との対峙は避けて通れません。この記事では、自然災害が経済にもたらす被害や防災対策を怠った場合のリスクを踏まえ、企業が取るべき防災対策についてご紹介します。
自然災害が経済にもたらす被害
台風や地震などの自然災害は一般生活に多大な影響を及ぼしますが、経済活動にも甚大な被害をもたらします。
たとえば2011年3月に発生した東日本大震災は、人的被害もさることながら経済的な被害も大きく、約16.9兆円もの被害(内閣府の推計値)が生じました。
また2019年10月に発生した東日本台風による水害では、約1兆8,800憶円という被害をもたらし、統計開始以来最大の被害額として記録されているのです。
[参考:内閣府「平成23年度 年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告)第1章第1節」]
[参考:国土交通省「令和元年東日本台風の発生した令和元年の水害被害額が統計開始以来最大に ~令和元年の水害被害額(確報値)を公表~」]適切な防災対策をしない企業リスク
自然災害の多い日本では、企業も防災対策を講じる必要があります。
もし防災対策を怠ると以下のようなリスクが生じるでしょう。
1.事業再開の遅れ
防災対策をしていなければ、災害が発生した際に適切な初動や対応を取れず、事業再開が大幅に遅れる可能性があります。
事業再開まで時間がかかるほど、その期間で得られたはずの売上や利益もなくなり、経営的な被害が大きくなるでしょう。最悪の場合、事業撤退や倒産につながる恐れもあるのです。
2.被害の拡大
防災対策をしていない企業は、災害時に従業員が正しい行動を取れなかったり、二次被害が生じたりするため、被害が拡大する傾向にあります。
従業員が命に関わるような負傷をしてしまうことはもちろん、重要な設備や機材が破損したり、資料やデータが消失したりといった被害が生じる可能性もあるでしょう。
3.ステークホルダーからの信頼低下
防災対策を怠っている企業はステークホルダーからの信頼が低下します。
たとえば事業再開が大幅に遅れると、取引先企業や顧客にネガティブな影響を及ぼします。
また従業員の負傷や二次被害などが発生すれば、社会からの信頼が大きく低下し、たとえ災害自体への対応が落ち着いても、顧客離れなどの事態に繋がる可能性があるのです。
台風や地震に備えて企業が取るべき防災対策
ここからは台風や地震などの自然災害に備えて、企業が取るべき防災対策をご紹介します。
防災計画・BCPの策定
防災計画は災害発生時に人命を守るために策定され、防災行動における基本事項を定めます。
具体的には防災運用体制や各メンバーの役割、安否確認・非常時の連絡手段、避難経路や避難場所、非常時の飲食料や防災グッズ(ヘルメットや発電機など)のリストなどが含まれるでしょう。
BCP(事業継続計画)は、災害発生時に事業への被害を最小化し、速やかに事業を再開するために策定します。
優先して復旧すべき中核事業を選定し、事業再開におけるリスクを洗い出したうえで、「誰が・いつ・何をすべきか」を明確化するのです。
防災計画とBCP双方を策定し、これら計画に基づいた訓練を日頃から行うことで、従業員の命を守りつつ、事業再開に向けて適切に対応できます。
大型台風に対する防災
台風は強風だけでなく、高潮や大雨・洪水などによる水害についても警戒しなければなりません。大型台風への防災対策としては、以下のような取り組みが挙げられるでしょう。
- 台風時の出社判断基準の整備と周知
- 事業所や工場などの窓に、シャッターなどの耐風補強措置を行う
- 事務機器や設備などを水害の影響を受けにくい場所(二階など)に移す
- 水害が考えられるエリアの場合、土のうや砂のうなどを準備する
- 事業に関する重要なデータのバックアップを取っておく
大地震に対する防災
地震はオフィス什器の転倒や落下以外にも、火災による被害も想定した対策が求められます。台風以上に人命に影響する可能性も高いため、日頃から以下のような対策に取り組んでおきましょう。
- 地震に関する防災教育や避難訓練の継続的な実施と振り返り
- オフィス什器の耐震対策(突っ張り棒の設置など)
- 高い位置に危険な機材などを置かないようにする
- 事業所や工場の耐震補強や防火措置を実施する
- 事業に関する重要なデータのバックアップを取っておく
日頃の防災対策が事業への影響を最小限に!
毎年のように大型台風が訪れ、地震も大小問わず頻繁に起きるなど、日本は諸外国と比べて自然災害が多い傾向にあります。
一方で、アンドレジリエンス株式会社が実施した調査によると、日本のビジネスパーソンの災害時行動力は平均的に低く、人命確保も不十分なレベルであるというデータが出ているのです。
そのため企業は適切な防災対策を継続的に取り組みながら、日頃から訓練を繰り返し行うことで、従業員の防災に関する実践的な知識の醸成に努める必要があるでしょう。
[参考:アンドレジリエンス株式会社「2万人のビジネスパーソンの災害行動を点数化 ⇒ 災害時に動けるチカラ 「人命確保も不十分」なレベル」]