アクセス解析におけるCookie(クッキー)とは?仕組みやGoogleAnalyticsとの関連性について
アクセス解析における「Cookie(クッキー)」は、ユーザー動向の把握に欠かせません。サイトの改善やマーケティング施策に用いられますが、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。当記事では、仕組みやGoogleAnalyticsとの関連性について解説します。
目次
アクセス解析におけるCookie(クッキー)の仕組みとは?
アクセス解析において、クッキーは非常に重要な役割を果たします。
クッキーとは、Webサイト運営者がユーザーのブラウザに保存する小さなファイルで、ユーザーの行動や設定情報を一時的に保持するためのものです。
これにより、再訪時にユーザーの好みに合わせたコンテンツが表示されたり、サイト内での動きを分析したりして、より良いサービスを提供することが可能になります。
クッキーには、その発行元によって以下の2種類のタイプに分けることができます。
ファーストパーティクッキー
ファーストパーティクッキーとは、ユーザーが訪問したWebサイト自身のドメインサーバから発行されるクッキーです。
このクッキーは、例えばサイト内でのログイン状態やカートの中身などを記憶する際に使用されます。ユーザーにとって利便性の高いサービスを提供するとともに、サイト運営者にとっても役立つ情報を集めているのです。
サイト運営者がユーザーとの関係を深めるための重要なツールといえるでしょう。
サードパーティクッキー
サードパーティクッキーとは、ユーザーが訪れたサイトのドメインサーバ以外の、第三者のサーバから発行されるクッキーです。
これらは、広告ネットワークや分析サービスなど、外部のサービスがユーザーの行動を追跡するために利用します。例えば、複数のサイトで表示される広告が、ユーザーの興味や行動に基づいてカスタマイズされる場合に、サードパーティクッキーが活用されます。
サードパーティクッキーは、個人情報保護の観点から、現在では規制が強化されつつあります。
アクセス解析に用いられるツールの種類
アクセス解析に利用されるツールには様々な種類があり、目的に応じて選ばれることが多いです。次に、代表的なツールの特徴について見ていきましょう。
サーバログ取得型ツール
サーバログ取得型ツールは、Webサーバに記録されるアクセスログファイルを基にデータを解析する方法です。ユーザーがサイトにアクセスした際の情報がサーバに自動的に保存され、その記録をもとに解析を行います。
この方法のメリットは、ユーザーだけでなくクローラーなど全てのアクセス情報を詳細に把握できるため、正確なデータ分析に役立つ点です。ユーザー個人でなくサーバからデータを取得するため、個別にはクッキーを拒否しているユーザーのデータも含まれます。
デメリットとしては、リアルタイム解析が難しい点と、サイトが大きくなってくるとデータ量も増えて時間がかかる点が挙げられます。
パケットキャプチャリング型ツール
パケットキャプチャリング型ツールは、Webサーバに接続されたネットワークを監視し、ユーザーのページリクエストに対するWebサーバのレスポンス時に発生するパケットデータを捕捉する方法です。
このデータは、パケットキャプチャマシンを通じてアクセス解析サーバに蓄積され、そこから詳細な解析が行われます。ネットワーク全体の通信を監視するため、JavaScriptが動作しない環境でもデータを取得できる点がメリットです。リアルタイム解析にも対応しています。
ただし、専用の解析サーバを導入する必要があり、初期費用が比較的高くなる点には注意が必要です。
Webビーコン型ツール
Webビーコン型ツールは、Webページに埋め込まれたJavaScriptが動作し、ページが読み込まれる際にその情報を解析サーバに送信することでデータを収集する方法です。Webビーコンは小さなコードであり、ページ表示の負担が少ないため、広く利用されています。
サードパーティツールも豊富に存在するため、それらを流用すれば自社開発の必要がなく、初期費用を抑えることが可能です。またページの読み込みと同時にデータを取得するため、リアルタイム解析も可能です。
デメリットとしては、JavaScriptが動作しない環境や、読み込みエラーなどが起こった際にはデータログを取得できない点があります。
Cookie(クッキー)とGoogle Analyticsの関連性
Google Analytics(GA4)は、Googleが提供する無料のアクセス解析ツールです。このツールを使用すると、Webサイトやアプリの利用状況を詳細に分析し、ユーザーの行動を可視化することができます。
実はこのGoogle Analyticsでも、クッキーを使用してデータの取得・解析を行っているのです。Google Analyticsでは主に4種類のクッキーが用いられており、それぞれが適切なタイミングで動作することで正確なデータ解析を行っています。
ここでは、それぞれのクッキーについて詳しく解説していきます。
ビジターIDクッキー(_utma)
ビジターIDクッキー(_utma)は、訪問者を特定するために使用されるクッキーです。このクッキーは、ユーザーが初めてWebサイトを訪問した際に発行され、同一の訪問者かどうかを判断するために利用されます。
これにより、同じユーザーが再訪した場合でも、別のユーザーとしてカウントされることなく、継続的な分析が可能となります。Google Analyticsのクッキーにはそれぞれ保存期限が設けられており、ビジターIDクッキーは2年間の間保存されます。
セッションIDクッキー(_utmb・_utmc)
セッションIDクッキーは、ドメイン名やページ閲覧数、更新日などのページセッションを記録するクッキーです。
もともとは、セッション全体を把握するための「_utmb」と、セッションの終了を認識するための「_utmc」の2種類がありましたが、現在では「_utmb」のみですべてのセッションを記録できます。
キャンペーンクッキー(_utmz)
キャンペーンクッキー(_utmz)は、ユーザーがどの参照元からサイトに訪れたかを把握するために使われます。このクッキーは、検索エンジンや広告、メールキャンペーンといったアクセス経路と訪問日時などをセットで記録します。
これにより、どのマーケティング施策が効果的であるかを分析し、次回の施策に活かすことができるのです。半年間の保尊期限があるため、期間内に再訪したユーザーなどは履歴に基づいて記録することができます。
ビジターセグメンテーションクッキー(_utmv)
ビジターセグメンテーションクッキー(_utmv)は、ユーザーを特定のグループに分類し、より詳細な解析を行うためのクッキーです。このクッキーは、ユーザー定義のカスタム変数を基に、異なる属性や行動パターンを持つ訪問者を区別するために役立ちます。
例えば、特定の地域やデバイスを使うユーザーをセグメント化して分析することで、ターゲットを絞ったマーケティングやサービス改善に利用できます。
アクセス解析ツールはAdobe Analyticsも有用
Google Analyticsに次ぐ定番のアクセス解析ツールとして、Adobeが提供するAdobe Analyticsが挙げられます。ここでは、Adobe Analyticsで特に注目しておきたい3つのポイントを解説します。
直感的な操作感
Adobe Analyticsは、直感的な操作感が魅力のツールです。ドラッグ&ドロップの簡単な操作で、必要なデータを素早くビジュアル化し、分析結果を確認できます。
専門的な技術知識がなくても、グラフやチャートを使った視覚的なデータ分析が可能なため、誰でも効率的にデータの傾向やパターンを把握できるのがメリットです。これにより、データ分析コストの削減や、意思決定の迅速化を図ることができます。
対象を絞り込むフィルタリング機能
Adobe Analyticsには、対象を絞り込むための高度なフィルタリング機能が備わっています。この機能を使うことで、ターゲットとなるユーザーのアクセス状況をセグメントごとに詳細に把握することができます。
これはビジターセグメンテーションクッキーに近いもので、特定の地域やデバイス、キャンペーンごとにユーザーの行動を分析することが可能です。さらにAdobeのフィルタリング機能には個数の上限が無く、かなり詳細な条件付けを行うことができます。
把握しやすい目標達成度
Adobe Analyticsでは、フォールアウト分析を通じて、ユーザーの最終的な目標達成率や離脱ポイントを把握することができます。
フォールアウトとは、ユーザーがWebサイト内でどのステップで離脱したかを視覚的に示す機能です。これにより、ユーザーが特定の目標を達成するまでの過程を追跡し、どのページや要素に改善の余地があるかを簡単に見つけることができます。
アクセス解析ではCookieレスが進んでいる
近年、プライバシー保護の重要性が高まっており、法律の規制や各ブラウザの自主的な対応により、Cookieレスの動きが進んでいます。
これにより、Webサイト運営者は新たなアクセス解析手法を模索する必要があり、クッキーに依存しないデータ収集やプライバシーに配慮した解析方法が求められています。
全てのデータが収集に活用できないわけではない
すべてのクッキーが規制されているわけではなく、主にサードパーティクッキーがCookieレスの動きの対象となっています。ファーストパーティクッキーは引き続き利用されており、サイト運営者がユーザー体験を向上させるためのデータ収集に活用されています。
特に広告やトラッキング目的で使用されるサードパーティクッキーは、プライバシー保護の観点から制限が強まっており、Cookieレス時代に向けて新たな解析方法の採用が求められています。
Cookie(クッキー)はアクセス解析において必要なファイル
クッキーは、アクセス解析において欠かせない役割を果たすファイルです。ユーザーの訪問履歴や行動を把握することで、Webサイト運営者はサイトの改善や効果的なマーケティング施策を行うことができます。
特にファーストパーティクッキーは、ユーザー体験を向上させるために引き続き利用されており、サードパーティクッキーの規制が進む中でも、解析における重要性は変わりません。
今後は、プライバシー保護を重視した新たな技術の導入が期待されています。
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