新3Kとは?建設業界の新たな働き方を示すキーワードを簡単解説

人手不足解消のために企業が取り組むべき3つのコト

公開日:2024/08/13
新3Kとは?建設業界の新たな働き方を示すキーワードを簡単解説

新3Kとは、建設業界における新たな働き方を定義する重要なキーワードです。本記事では新3Kの概要や実現に向けた取り組み例について簡単に解説。建設業界の実状や3Kと併せて実施すべき活動もご紹介しますので、ぜひ最後までご確認ください。

新3Kとは?そもそもの3Kって何?

新3Kとは「給料が良い」「休暇が取れる」「希望が持てる」の3つを表す言葉です。建設業の担い手を確保するために、2015年に国土交通省が提唱しました。

建設業界は当時、長時間労働や低賃金などの問題に起因し、次世代の担い手の確保が難しくなっており、労働者の高齢化が深刻化していたのです。

こういった状況もあり、建設業界は3K、つまり「きつい」「汚い」「危険」というネガティブなイメージが根付いていました。

そこで3Kを払しょくし、若手人材にとって魅力ある業界へ変わることを目的として、新3Kが掲げられたと考えられています。

建設業界での新3Kを実現するための取り組み例

ここで新3Kを実現するために建設業界で行われている取り組みについてご紹介します。

「給料が良い」を実現するための取り組み

「労務費見積もり尊重宣言」促進モデル工事

日本建設業連合会の「労務費見積もり尊重宣言」を踏まえ、下請け企業からの労務費見積もりを尊重する企業に対して、総合評価や成績評定において優位に評価される仕組みが開始されました。

この仕組みによって下請け企業が安い労務費で契約させられる事態を防ぎ、建設労働者の待遇改善を目指しています。

CCUS(建設キャリアアップシステム)義務化モデル工事

建設労働者の能力を適切に評価するCCUSの導入を義務化し、導入における目標達成度合いに応じて成績評定を加減点するモデル工事の発注が進んでいます。

CCUS導入を推進することで、建設労働者が正しく評価され、適正な給与を得られる環境を目指しているのです。

「休暇が取れる」を実現するための取り組み

週休2日対象工事

労働者の休暇確保を実現するために、週休2日の確保状況に応じて成績評定が加減点される仕組みを取り入れたモデル工事が開始されています。

適正な工期設定指針

施行実日数だけでなく準備期間を考慮し、契約ごとに、工期の30%を超えず、かつ、4ヶ月を超えない範囲内で契約締結日から工事着手日の前日までの「余裕期間」を設ける余裕期間制度があります。本制度の原則活用を推進することによって、十分な労働者の確保や資材の準備などを行い、計画的な施工のもと労働者の休暇を十分に確保できる工期設定を推進しています。

「希望が持てる」を実現するための取り組み

i-Constructionの推進

建設現場の生産性向上を目的として、i-Constructionの推進が行われています。

i-Constructionとは建設プロセスにICTを導入し、生産性を高める取り組みです。

3次元データモデルなどの新技術を取り入れることで、業務効率化による施工期間短縮などの効果が期待されています。

その他の取り組み

中長期的な発注見通しの公表を発注者側に課すことにより、下請け企業側のリソース配分やスケジュール調整を適正化する取り組みなども実施されています。

建設業界の実状

ここでそもそもの建設業界の実状について、おさらいしておきましょう。

日本では、1995年以降生産年齢人口が減少しており、建設業界に携わる労働者の数も年々減少傾向にあります。

[引用:国土交通省 不動産・建設経済局「最近の建設業を巡る状況について【報告】」]

上記のグラフを見ると建設労働者数のピーク時(1997年/平成9年)から、2020年(令和2年)にかけて28%も減少しているのです。

また建設就業者の内、55歳以上の占める割合が35.3%であるのに対して、29歳以下は12.0%というデータもあり、深刻な担い手不足にあると言えるでしょう。

[参考:一般社団法人 日本建設業連合会「国の統計からみる建設業の現状」]

新3Kと併せて取り組むべき人手不足対策

こういった建設業界の現状を打開し人手不足を解決するには、新3Kの実現と併せて以下のような活動も求められます。

1.DXの推進

今後の人口減少は避けられないため、DX推進をはじめとした、人材採用とは異なる角度での対策も不可欠です。

先に挙げた3次元データの利用やドローンによる点検作業、無人化施工といったDXを実現することで、無駄な工数を省き、少ない人手でも業務を遂行できる環境の実現が求められます。

2.多様な人材の活用

多様な人材の活用を視野に入れることも必要な対策の一つです。

外国人労働者や障がい者、シニア人材といった、これまで採用候補として考えていなかった人材層も、業務内容を調整することで労働力として十分活用できます。

3.情報発信によるイメージ改善

新3Kを軸に建設業界の働き方改革が進んでも、その事実を社会が認識していなければ、新たな人材確保の実現は難しいでしょう。

新3Kのイメージを浸透させるためには、建設業界全体が協力し、Webサイトやイベントなどを通じて情報発信を行わなければなりません。

新3Kは建設業界の人手不足解消のカギ

新3Kは建設業界における人手不足を解消するための重要なカギとなります。

新3Kを高いレベルで実現できれば、若手人材にとって魅力的な業界となり、人手不足の解消につなげられるでしょう。

とはいえ一度根付いた3Kのイメージを払しょくするには、相応の時間や努力が求められることは言うまでもありません。

これからの建設業界は新3Kの実現を目指し、各現場の働き方改革を推進しながら、業界全体のイメージ改善を図っていくことが求められるでしょう。

ビズクロ編集部
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