間近に迫る!2025年問題が社会や企業にもたらす影響とは?
国の対応や企業が取るべき対策について解説
2025年には国民の約3人に1人が65歳以上の高齢者となり、人材不足や社会保障の負担増加などの問題が顕在化します。本記事ではこの2025年問題の影響や国の対応、企業が取るべき対策についてご紹介します。
そもそも2025年問題とは?
2025年問題とは、超高齢化社会の到来によって生じる負の影響や問題の総称です。
2025年には65歳の高齢者が3,657万人に達する見込みであり、そのうち75歳以上の後期高齢者は2,179万人です。2025年の総人口予測が11,927万人であるため、国民の約3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となります。
後期高齢者の数は2025年以降も増加するとみられ、同じく高齢化による人材不足などを含めた「2030年問題」に続いていくことになるでしょう。
[参考:総務省「今後の介護保険をとりまく状況」]
2025年問題によってもたらされる影響
社会に与える影響として顕著になるのが社会保障費の負担増加です。2000年時点では生産年齢人口(15~64歳)の3.9人で高齢者1人を支える構図でしたが、2025年には1.9人で支える形になるのです。
また働き手が減少することによって、医療や介護体制の維持が難しくなるうえ、経済成長も鈍化することが懸念されています。
企業では人材不足や後継者問題が深刻化するでしょう。パーソル総合研究所が2019年に公開した「労働市場の未来推計2030」によると、2025年時点で505万人もの人材が不足するというデータが出ています。
そのためあらゆる業界、企業において新規人材の確保が難しくなり、事業の後継者も見つからないといった事態に陥ることが予測されているのです。
[参考:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計 2030 」]
2025年問題に対する国の対応
この2025年問題を受けて、国は全世代型社会保障改革に取り組んでいます。全世代型社会保障改革では、少子化対策と医療の2つの側面から課題解決を目指しています。
全世代型社会保障改革 | |
少子化対策 | 医療 |
|
|
[参考:厚生労働省「全世代型社会保障改革」]
2025年問題に対して企業が取るべき6つの対策
ここからは2025年問題に対して、企業が取るべき6つの対策についてご紹介します。
1.多様な人材の活用
2025年問題に向けて、企業は多様な人材を活用できる土壌を整えなければなりません。
これまで採用対象としていなかった高齢者や障がい者、外国人労働者など、多様な人材を活用できれば、人材不足の解消に繋げられます。
2.ビジネスケアラーのための環境整備
高齢者となった両親を介護しながら働く従業員、いわゆるビジネスケアラーが働きやすい環境を整えることも求められるでしょう。
短時間勤務やリモートワークの導入はもちろん、役職や業務なども調整することで、ビジネスケアラーの休職や離職を防止できます。
3.DXの実現
各業務のDXを実現することも急務です。ITリテラシーの高い人材を養成しつつ、最先端テクノロジーを業務プロセスに組み込むことで生産性や効率を高められ、より少ない人手でも業務を遂行できるようになります。
4.健康経営の推進
従業員の健康増進のため、企業側が積極的に投資する健康経営の推進も重要です。
「健康セミナーの開催」や「食堂で健康メニューを出す」といった取り組みを行うことで、従業員が健康になり、長く安定して働いてもらえるようになるでしょう。
5.外部リソースの活用
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)やフリーランス、人材派遣などの外部リソース活用も有効です。人材不足が著しい業務を外部委託したり、フリーランスや派遣社員を受け入れたりすることで、業務の停滞を防ぐことができます。
▷BPOをもっと詳しく知る「BPOとは?」
6.早期の事業承継
事業承継を確実に行うためにも、後継者選びや育成は早めに実施しなければなりません。
早いタイミングから後継者候補を選び、経営に参画させつつ、必要に応じてM&Aなども検討しながら、事業承継を図りましょう。
2025年問題は2040年問題への序章
2025年は後期高齢者が国民の5人に1人の割合となるなど、超高齢化社会が到来しますが、この傾向は以後も続き、2040年にピークを迎えると予測されています。
2040年には、2025年以上に高齢者と現役世代のバランスが悪化し、人材不足をはじめとする社会問題がより一層過酷化すると言われているのです。
そのため企業は2025年以降も、多様な人材の活用やDXの推進などを持続的に実施しながら、事業を運営していくことが求められるでしょう。