100億円企業を目指す中小企業を後押し!税制優遇の最新動向
経産省がさらなる優遇措置を政府に要望

中小企業の成長を加速させる新たな税制優遇策として、経済産業省は「100億円企業」の育成を目指し、既存の中小企業経営強化税制をさらに拡充する案を政府に要望しています。今回は、特に、設備投資を考える中小企業の経営者必見の最新動向を解説します。
中小企業経営強化税制とは?
中小企業経営強化税制は、中小企業が設備投資を行う際に税制優遇が受けられる制度です。
制度の利用要件をクリアする必要があるものの、事業拡大や生産性向上を目指す中小企業にとって設備投資のコストを抑えつつ、企業の成長と競争力強化を図ることが可能となる制度として活用されてきました。
2025年3月31日に期限を迎える現行制度では、対象となる設備投資について、次の2つの優遇措置のいずれかを選択できます。
- 即時償却:取得した設備の取得価額全額を経費として計上
- 税額控除:取得価額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)を税額控除
[出典:中小企業庁「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き(令和6年度税制改正対応版)」]
対象となるのは中小企業者等
中小企業経営強化税制の対象となるのは中小企業者等で、以下の通りです。
- 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
- 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
- 常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
- 協同組合等
[出典:中小企業庁「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き(令和6年度税制改正対応版)」]
対象となる設備投資
中小企業経営強化税制の対象となる設備投資は、以下の4つの類型に分類されます。
加えて、対象となる設備の種類は、機械装置や工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウェアなどで、それぞれに最低取得価額が定められています。
類型 | 内容 |
A類型(生産性向上設備) | 生産効率や精度が旧モデルと比べて年平均1%以上向上する設備 |
B類型(収益力強化設備) | 年平均の投資利益率が5%以上の投資計画に係る設備 |
C類型(デジタル化設備) | 遠隔操作や可視化、自動制御化のいずれかに該当する設備 |
D類型(経営資源集約化設備) | 修正ROA又は有形固定資産回転率が一定割合以上の投資計画に係る設備 |
[出典:中小企業庁「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き(令和6年度税制改正対応版)」]
「100億円を目指す企業」が対象!経産省が要望した優遇措置とは
2025年3月31日に期限を迎える中小企業経営強化税制に対して、経済産業省は、制度の延長を求めたうえで、新たな優遇措置を要望したと伝えられました。なかでも特に注目されているのが、売上高100億円以上を目指す中小企業への支援策です。
具体的には、企業より提出される「達成のための計画」をもとに、国が「100億円企業」として認定する仕組みを構築したうえで、認定された企業に対して、設備投資における税額控除率のさらなる引き上げや、優遇対象となる設備投資の範囲の拡大などが検討されることになります。
認定基準や優遇内容の詳細は、今後の議論を通じて決定される見込みですが、中小企業の大幅な規模拡大を促す制度の拡充は、中小企業の成長は日本経済全体の活性化につながると考えられていることがわかります。
今後も中小企業の成長を促す「国策」に注目
経済産業省が検討している新たな優遇措置が実現すれば、事業拡大を目指す中小企業にとってさらなる追い風となるでしょう。ただし、これらの制度を利用するには、事前の計画策定や認定申請など、いくつかのステップが必要です。
詳細な手続きや最新の情報については、地域の商工会議所や専門家に相談するのも良いでしょう。税理士や公認会計士などの専門家のアドバイスを受けることで、自社に最適な活用方法を見つけることができるかもしれません。
日々変化する経済環境の中で、競争力を維持・向上させるためには、積極的な投資と効果的な税制活用が重要です。ぜひ、自社の未来を見据えた戦略的な意思決定に、これらの制度を役立ててください。