社員旅行はもういらない!?従業員の4割が「不要」と回答
意識調査で浮き彫りになった"時代遅れ"の福利厚生
企業の福利厚生制度は、従業員の満足度や人材確保にも影響を与えると考えられています。その一方で、労務SEARCH編集部が2024年に実施した調査では、既存の福利厚生と従業員ニーズの間にギャップが生じていることが判明。福利厚生を何らかのメリットへとつなげるには、時代に即した制度への見直しが求められているのかもしれません。
最も不人気な福利厚生は「社員旅行・レクリエーション」
20代以上の働く男女300名を対象とした調査で、「最も魅力を感じない福利厚生」として最多の約40%が選んだのは「社員旅行・レクリエーション」でした。
[参照:エフアンドエムネット株式会社 「福利厚生に関するアンケート調査」]
その理由として、以下のような声が挙げられています。
- 休日まで会社の人と関わりたくない
- リフレッシュにならない
- 気を使うだけで精神的に疲れる
- 仕事の延長に感じる
かつては従業員同士の親睦を深める場として重宝されていた社員旅行やレクリエーション。現代の働き手にとっては、プライベートな時間の確保や、仕事とプライベートを区別した心身のリフレッシュがより重要視されているようです。特に、休日に職場の人間関係を意識しなければならない状況は、むしろストレス要因となっていることが、調査結果からも読み取れます。
特定の従業員しか利用できない制度も不人気に
次いで、不人気だった福利厚生は以下の通りです。
- レジャー施設等の優待(8.3%)
- オフィスコンビニ(8.0%)
- 託児所・保育施設(6.3%)
- 出産お祝い金・育休手当(6.0%)
特に託児所・保育施設や出産お祝い金などについては、「子育て中の従業員のみが恩恵を受けられる」という不公平感を指摘する声が目立ちました。また、レジャー施設の優待については、「実際に利用する機会がない」「魅力的な施設が限られている」など、実用面での課題を指摘する声が挙がっています。
従業員が本当に求める福利厚生とは
では、従業員は具体的にどのような福利厚生を求めているのでしょうか。同調査では、カテゴリー別に「最も嬉しい福利厚生」についても聞いています。
カテゴリー別の「最も嬉しい福利厚生」のトップは以下の通りです。
カテゴリー | 最も嬉しい福利厚生 | 割合 |
キャリアアップ | 資格取得支援・スキルアップ | 62.3% |
健康面 | 人間ドック・健康診断の補助 | 51.3% |
生活支援 | 住宅手当・家賃補助 | 48.7% |
職場環境 | 社員食堂 | 37.0% |
休暇制度 | リフレッシュ休暇 | 34.3% |
働き方 | リモートワーク | 28.0% |
[参照:エフアンドエムネット株式会社 「福利厚生に関するアンケート調査」]
この結果から見えてくるのは、従業員のニーズは「将来への投資」と「生活の安定」を重視する傾向にあることです。特に上位3項目は、いずれも長期的な生活設計やキャリア形成に直結する福利厚生となっています。
一方で、社員食堂での食事補助や、働き方の柔軟性(リモートワーク)については、相対的に支持率が低くなっています。
福利厚生は就職・転職時の重要な判断材料に
また、同調査では、転職時に8割以上の求職者が福利厚生の内容を重視すると回答しており、人材獲得における福利厚生の重要性が明らかになっています。ただし、制度の数を増やすだけでなく、従業員のニーズに即した内容であることが重要です。
[参照:エフアンドエムネット株式会社 「福利厚生に関するアンケート調査」]
従業員ニーズを反映した福利厚生制度の構築を
今回の調査結果は、既存の福利厚生と現代の従業員ニーズとの間にミスマッチが生じていることを明確に示しています。特に、旧態依然の社員旅行のような制度や、特定の従業員しか利用できない制度への不満が顕著です。
これからの福利厚生には、キャリア形成支援や生活基盤の安定など、従業員の長期的な成長や安定を支援する制度の充実が求められています。制度の見直しを通じて、企業は人材の確保・定着という課題に取り組んでいく必要があるでしょう。