勤怠管理の実態調査レポート〜中小企業の約3割が「手集計」という実態が明らかに〜
ビズクロでは、労務における勤怠管理の方法や「勤怠管理システム」の使用状況について、アンケート調査を行いました。勤怠管理システムの導入にかかる費用の実態や勤怠管理のデジタル化とコンプライアンスの関係などをレポートします。
勤怠管理におけるDX状況調査を実施
Chatwork株式会社が運営するビジネスメディアの「ビズクロ」では、この度、勤怠管理に関する業務を行っている方360名を対象に、勤怠管理に関するアンケート調査を実施しました。
調査概要
- 実施日:2024/05/09
- 調査対象:国内在住の20歳から65歳までの男女
- 有効回答数:360名
- 調査機関:『ビズクロ』(運営元:Chatwork株式会社)
- 調査方法:セルフ型アンケートツール(サーべロイドを利用)
※引用、転載の際は出典元として『ビズクロ』と記事URLの明記をお願いいたします。
9割を超える企業がシステムを利用して打刻
「勤務先の打刻方法を教えてください」という質問に対し、勤怠管理システム(自社開発システムを含む)と回答した人が71.6%、タイムカードでの打刻の割合を合わせると90.2%となりました。
この結果から、9割を超える企業が、何らかのシステムを利用し、労働安全衛生規則にも定められた「客観的な方法」にて労働時間を記録していることが分かります。
中小企業では「勤怠管理システム未導入」が4割以上に
また、勤怠管理業務に特化した「勤怠管理システムの利用」で見てみると、企業規模(従業員数)に比例して、システム利用の割合も下がっています。
従業員数300人以下の企業規模の利用割合を平均すると54.4%となることから、中小企業に区切って見ると約半数近くの企業が、労働時間の集計や休暇管理など、勤怠管理に特化した機能を持つシステムは使用せずに、そのほかの方法で勤怠管理を行っている実態が分かりました。
<従業員数別>勤怠管理システムの利用割合
- 1001人〜:93.7%
- 501〜1000人:82.7%
- 301〜500人:80%
- 101〜300人:63.9%
- 20〜100人:59.7%
- 20人未満:39.6%
導入きっかけは「多様な働き方対応」が最多。コロナ禍が影響か?
続いて、「勤怠管理システムで打刻」と答えた方に対し、システム導入のきっかけや目的を聞いたところ、「多様な働き方への対応」が35.3%、「生産性・業務効率化」が33.7%という結果に。
また、「勤怠管理システム導入の時期」の質問に対しては、2年以上前〜4年以内の期間に導入した割合が合わせて38.5%と、4年以上前〜5年以内の8.8%と比べ、2020年頃を境に勤怠管理システムの導入が加速したことが分かります。
国内で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されたのが2020年1月、最初の緊急事態宣言の発令が2020年4月だったため、コロナ禍での働き方の変化が、勤怠管理システムの導入に少なからず影響したと考えられるでしょう。
勤怠管理システムの導入時期
- 1年以内:14.3%
- 2年以上前~3年以内:23.1%
- 3年以上前~4年以内:15.4%
- 4年以上前~5年以内:8.8%
- 5年以上前:38.5%
中小企業の勤怠管理システムの導入費用は101〜300万円程度
次に、勤怠管理システムの導入費用についても尋ねたところ、「101万以上〜300万以内」が15.9%、次いで「301万以上〜500万以内」が14.3%という結果になりました。
企業規模別で見てみると、従業員数に応じて導入費用が比例して高くなってる傾向があります。
補助金・助成金の利用は約3割止まり。3割は「知らない」という結果に
業務のデジタル化やITツールを活用した業務効率化を進めるにあたっては、「IT導入補助金」など、国や自治体の補助金・助成金制度が適用され、給付金を受けられることがあります。
そこで、勤怠管理のデジタル化を行う際に、「国・自治体の補助金・助成金制度を利用したか」を尋ねたところ、「利用した」割合は32.9%にとどまり、さらに31%は「支援があることを知らない」ということが判明。
アンケート調査の対象とした勤怠管理の経験がある、まさに「現場」のビジネスパーソンでさえ支援制度の存在が浸透しきっていない背景が伺えます。
20人未満の企業で見ると「情報格差」がより顕著となる
「支援があることを知らない」と答えた人を、従業員規模で区切って見てみると、従業員数20人未満の企業では、57.9%を占めています。「IT導入補助金」は、中小企業庁による中小企業に向けた支援ですが、必要な情報が事業者に届く仕組みやサポートが求められると言えます。
最も時間がかかる勤怠管理業務は「残業時間の管理」
「最も時間を要する業務に毎月どの程度の時間をかかっていますか?」という設問では、「8時間以上〜16時間未満」「16時間以上」と回答した人が合わせて29.7%、「4時間〜8時間(37.8%)」と合わせると、7割近くとなっています。1日8時間労働とした場合、最も時間がかかる勤怠管理業務に、1日程度〜2日以上もの時間を費やしているという結果が見えてきました。
また、併せて聞いた、最も時間がかかる勤怠管理に関する業務の質問に対しては、「残業時間の管理(35%)」と答えた人が最も多く、次いで「勤務時間の集計(26.7%)」という結果になりました。
残業時間は、労働基準法により定められた労働時間の上限を守る義務があり、厳格な管理が求められることから、労務担当者にとっては、勤怠管理の中でも多くの時間を費やす、負担の大きい業務となっているのが分かります。
勤務(労働)時間の集計は、約半数が「非自動化」
最も時間のかかる勤怠管理業務で、次点の結果となった、「勤務時間の集計」について、その方法を質問したところ、46%の人が、「手作業」もしくは「エクセル」を使用して、労働時間を集計しており、「自動化」されていないことが分かります。
また、「手作業による集計」と答えた割合を、従業員数別で見てみると、従業員数300人以下の企業で30.8%、301人以上の16.6%に比べ、「手集計」での労働時間の管理が多いことが分かります。
<従業員数別>手作業による集計を行う企業の割合
- 301人以上:16.6%
- 300人以下:30.8%
勤務時間の集計は、多くの企業において、毎月発生する業務でありながら、アナログな手法で行っていることも、勤怠管理業務に時間を要している一つの要因と言えるかもしれません。
集計方法の違いは「法令遵守」にも影響
「現在の勤怠管理において、働き方改革関連法などの法令遵守は徹底できていますか?」の質問では、「システムによる自動集計」での勤務時間の集計の方が、「手作業もしくはエクセル」のアナログ的な集計に比べて、より法令遵守を徹底できると考える人の割合が多くなっています。
このことから、勤怠管理担当者においても、勤務時間の自動集計は、企業が守るべきコンプライアンスの強化にもつながることが伺えます。
多くの時間を費やす勤怠管理ながら約3割が「手作業」の実態
今回の調査では、勤怠管理システムの導入は、コロナ禍の働き方の変化を契機に、一気に加速したことが分かりました。
しかし、勤怠管理業務の実態に目を向けると、時間のかかる業務である「勤務時間の集計」について、中小企業規模で見てみると約3割の企業が「手作業」で行っており、IT化やDXによる業務負担の軽減や生産性の向上が実現できていないことが見て取れます。
また、システムによる自動集計により、「法令遵守が徹底できている」とする結果の割合が高かったことから、システム化は企業として厳守すべきコンプライアンスの強化にもつながることが分かります。
人手不足の深刻化が叫ばれる中小企業において、業務の効率化は、企業存続の生命線とも言える取り組みです。
勤怠管理システムの機能は「打刻の記録」だけではありません。勤怠管理において最も時間のかかる「残業時間の管理」や「勤務時間の集計」を効率化・自動化する機能が多数搭載されています。
勤怠管理業務は、これらの機能をいかに活用するかが、業務効率化・社内リソースの省力化のカギになるのではないでしょうか。
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