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連結決算とは?対象となる企業や手順・連結財務表の種類について解説

2024/10/25 2024/10/25

連結会計システム

連結決済とは

企業グループ全体の財務状況・経営成績などを把握するために行われる「連結決算」。企業グループとしての正確な経営状況を把握することで銀行などからの融資を受けやすくなるメリットがあるため、対象企業は正確に作業を行いましょう。本記事では、連結決算とは何か、対象となる子会社や手順などについて解説します。

連結決算とは?

連結決算とは、企業グループ全体の財政状態や経営成績、キャッシュフローの状況を把握するために行われる決算のことです。具体的には、親会社とその子会社を一つの組織として捉え、連結財務諸表を作成します。

連結決算を行うことで、個々の会社の決算だけでは見えない、グループ全体の経営状況を正確に把握することができます。経営の全体像を把握するために欠かせない重要なプロセスだといえるでしょう。

連結決算と単体決算の違い

連結決算は、企業グループ全体の財政状態や経営成績を把握するための決算です。親会社と子会社を一つの組織として考えることで、グループ全体の経営状況を明らかにすることができます。

一方の単体決算は、個々の企業単位で行う決算のことで、単独の企業としての財務状況や業績を示すものです。連結決算が全体像を示すのに対し、単体決算は個々の企業のパフォーマンスを把握するために利用されるという違いがあります。

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連結決算の対象となる企業とは?

連結決算の対象となるのは、規模が大きい企業です。具体的には、以下の条件に該当する企業が対象となります。

  • 最終事業年度における賃借対照表に資本金として5億円以上計上している
  • 最終事業年度における負債の部に計上した額の合計が200億円以上である

さらに、連結決算の対象となる子会社は、以下のいずれかの条件に当てはまる企業を指します。

  • 議決権の50%以上を所有している
  • 議決権の40%以上50%以下かつ親会社と同じ意思で議決権を行使する者が一定数以上を占める、または定められた要件を満たす
  • 議決権のある株式の保有率が40%以下で、親会社と同じ意思で議決権を行使する者が一定数以上を占め、さらに定められた要件を満たす

連結決算の手順

連結決算は、親会社と子会社の財務情報を集約し、全体像を正確に把握するのに役立ちます。ここでは、連結決算の具体的な手順について見ていきましょう。

各企業が個別財務諸表を作成する

まずは、各子会社が連結決算の基礎となる個別財務諸表を作成します。この書類は、子会社単体の財務状況や業績を示すものであり、親会社が連結財務諸表を作成するために必要です。

作成時には、数値の正確な記載はもちろん、親会社との内部取引についての適切な処理が求められます。間違いのない個別財務諸表を作成することで、連結決算に正確に反映され、グループ全体の経営状況がよりクリアに見えるようになるのです。

各企業の個別財務諸表を集計する

親会社は各子会社が作成した個別財務諸表を集計し、グループ全体の財務状況や経営成績をまとめます。この集計作業によって子会社の財務データを統合し、一つの連結財務諸表として報告することができるのです。

正確な集計を行うことで、内部取引や重複を調整し、グループ全体の経営状況の正確な把握につながります。

子会社の連結パッケージを収集する

連結パッケージとは、子会社が親会社に提出する財務情報について、グループ共通のフォーマットでまとめたものです。これには、個別財務諸表を作成する際に用いる情報などが含まれます。

親会社は、各子会社のパッケージを収集し、すべての子会社の財務状況を把握したうえで、連結財務諸表を作成します。

親会社が連結修正をする

親会社は、連結決算を行う際に「連結修正」という重要な作業を行います。具体的な作業としては、資本連結を行い、親会社と子会社の資本関係を調整することです。また、連結開始時に必要な仕訳を行い、内部取引高の消去や、親会社と子会社間の投資・資本を相殺消去します。

さらに、グループ内で発生した未実現利益を修正することで、より正確な財務状況を反映させることができます。

連結財務諸表を作成する

親会社は、各子会社の個別財務諸表を集計し、連結修正データを反映したうえで、連結財務諸表を作成します。この連結財務諸表は、グループ全体の財政状態や経営成績、キャッシュフローを一つの報告書にまとめたもので、投資家や取引先に対してグループ全体の経営状況を示す重要な書類です。

個別財務諸表の正確な集計と連結修正の適切な処理が連結財務諸表の精度を左右するため、慎重な作業が求められます。

連結財務諸表とは

連結財務諸表とは、連結決算の対象となる親会社や子会社など、グループ全体を一つの企業として扱った場合の財務諸表です。これは、グループ全体の財政状態や経営成績、キャッシュフローを明らかにするために必要なもので、企業グループ全体の経営状況を総合的に把握するために作成されます。

公表する連結財務諸表によって、外部の投資家や取引先が、グループ全体の経営状況を正確に評価できるようになるのです。

連結財務諸表の種類

連結財務諸表にはさまざまな書類が含まれます。具体的にどのような書類があるのかを確認しましょう。

連結貸借対照表

連結貸借対照表は、企業グループ全体の資産や負債、純資産の状況を一目で把握できる書類です。親会社と子会社を含むグループ全体を一つの企業として捉え、総資産がどれだけあるか、負債がどの程度か、また純資産がどれほどかを明確に示します。

この連結貸借対照表は、外部の投資家や取引先がグループ全体の財政健全性を評価する際に役立ちます。連結決算において最も重要な書類の一つといえるでしょう。

連結損益計算書

連結損益計算書は、企業グループ全体の経営成績を示す書類です。親会社と子会社を含めたグループ全体の売上高や費用、利益を一つにまとめ、一定期間の経営活動の結果を明確に示します。

この損益計算書も、グループ全体の収益性や経費の効率性を把握するために役立つため、外部の投資家や取引先にとって重要です。連結決算において、損益の全体像を表す書類だといえるでしょう。

連結株主資本等変動計算書

連結株主資本等変動計算書は、企業グループ全体の株主資本や純資産の変動状況を示す書類です。具体的には、親会社と子会社の資本や剰余金、その他純資産項目がどのように変動したかを明確に記録します。

企業グループ全体の資本構造の変化や、株主に帰属する利益の増減が把握できる書類であり、投資家にとっては、企業の財政の安定性や将来の成長性を評価する際の重要な情報源となります。

連結キャッシュフロー計算書

連結キャッシュフロー計算書は、企業グループ全体の現金の流れを把握するための書類です。具体的には、企業がどのように現金を得て、それをどのように使ったかという流れを示すものであり、経営の健全性を測るものでもあります。

連結キャッシュフロー計算書の作成方法には「原則法」と「簡便法」の2種類があります。

  • 原則法:グループ全体の個別キャッシュフロー計算書を合算し、そのあとで企業内取引を相殺する
  • 簡便法:連結貸借対照表と連結損益計算書を基にする

連結附属明細表

連結附属明細表は、連結財務諸表の補足情報をまとめた書類です。この明細表には、連結財務諸表では詳しく記載されていない項目や、特定の取引に関する詳細な情報を記載します。

例えば、連結範囲や子会社の財務状況に関する追加情報などが含まれ、投資家や外部関係者が企業グループの財務状況をより深く理解するために役立ちます。連結決算における透明性を高めるための重要な書類だといえるでしょう。

連結決算のメリット

連結決算にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは2つ紹介します。

企業全体の正確な経営状況を把握できる

連結決算を行うメリットは、企業グループ全体の営業成績や財政状態を正確に把握することができる点にあります。親会社だけでなく、子会社の業績や財務状況も含めて全体像を見渡せるため、経営の健全性や成長性をより深く理解できるのです。

これにより、投資判断や経営戦略の策定がしやすくなり、外部からの信頼性も高まります。連結決算を行うことで、グループ全体を一つの組織として捉え、適切な経営判断が下せるようになるのです。

銀行融資を受ける際の審査がスムーズになる

連結決算を行うことで、企業グループ全体の経営状況や取引内容が明確になるため、銀行からの信頼が高まります。

銀行は融資を行う際、企業の財政健全性や将来の成長性を重視します。企業グループが連結決算を行っていれば親会社と子会社から成る全体の財務状況を把握できるため、審査がスムーズに進むようになるでしょう。

特に大規模な資金調達を行う際には、連結財務諸表が融資審査の重要な資料となります。

連結決算のデメリット

連結決算にはメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。

連結財務諸表の作成などに手間がかかる

連結決算では、子会社の財務諸表を作成・集計し、さらに連結修正を行うため、大きな手間がかかります。特に複数の子会社を抱える企業グループでは、データの集約や修正作業が複雑化するため、効率的に管理しなければなりません。

場合によっては連結決算を行うためのシステム導入や専任スタッフの補充が必要となり、コストが増大することもデメリットの一つでしょう。連結決算を正確かつ迅速に行うためには、技術的・人的なサポートが不可欠なのです。

監査を受けなければならない

連結決算を行う際には、公認会計士や監査法人による監査を受けることが義務付けられています。これは、連結財務諸表が正確で信頼できるものであることを確認するためです。

監査を受けることで、企業の財務情報の透明性や信頼性が向上しますが、その一方で、監査費用や監査準備のための時間と労力が必要となります。特に大企業にとっては、この監査が連結決算プロセスの一部として負担となることも考えられるでしょう。

企業全体で取り組み正確な連結決算を実現させよう

連結決算は、企業グループ全体の経営状況を正確に把握し、透明性を高めるために重要なプロセスです。各子会社が正確な財務データを作成し、親会社が適切に連結修正を行うことで、信頼性の高い連結財務諸表が完成します。グループ全体で協力し、経営の健全性を高めるよう努めましょう。

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