エクセルを利用したデータベースの作り方!手順や注意点を初心者にもわかりやすく解説
代表的な表計算ソフトである「エクセル」。操作に慣れている人も多く、「エクセルをデータベースとして利用できれば」と考えている企業も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、エクセルを利用したデータベースのメリットや作り方・手順、注意点などを初心者にもわかりやすく解説します。
目次
エクセルを利用したデータベースを作成するメリット
エクセルを利用したデータベース構築には多くのメリットがあります。ここではそれぞれのメリットについて詳しく解説します。
データベースソフトなどの追加導入費用がかからない
エクセルがインストールされていれば、新たなデータベースソフトを購入する必要はありません。エクセルはMicrosoft Officeのアプリケーションの一つとして多くのパソコンに標準的に搭載されているため、特別なソフトを学ぶ手間も省けます。
特に中小企業にとっては、追加の導入費用がかからないことは大きなメリットです。初期投資を抑えつつ、効率的にデータ管理を始められる点が、エクセルを利用したデータベースの魅力だといえるでしょう。
教育の手間が省ける
エクセルの基本操作ができる人は多く、専用のデータベースソフトについて一から学ぶよりも教育の手間を大幅に省けます。エクセルは学校教育や日常業務で広く使われているため、多くの人がすでに基本となる操作方法を理解しているためです。
こうした理由から、エクセルを活用すれば社内の教育コストや時間を節約でき、新しいシステムの導入に伴う混乱も避けられます。
業務内容に合わせて自由に設計できる
エクセルでは、関数を組み合わせることで、業務内容に合わせたデータベースを自由に設計できます。例えば、売上データを集計したり、顧客情報を管理したりする際に必要な項目や計算式を簡単に追加できるのです。
特定のニーズに対応したカスタマイズを行えば、業務効率の改善も見込めるでしょう。また、エクセルのこの柔軟性を活かせば、変化するビジネス環境にも迅速に対応でき、常に最適なデータ管理が実現するのです。
エクセルを利用したデータベースの作り方・手順
ここでは、エクセルを利用したデータベースの作り方・手順について紹介します。一つずつ順を追って見ていきましょう。
データの項目名を決める
まずは、データの項目名を定めましょう。例えば、販売管理におけるデータベース作成であれば、以下のような項目例が挙げられます。
- 商品コード
- 商品名
- 仕入れ価格
- 仕入れ先
- 販売価格
- 粗利率
- 商品ジャンル
- 販売開始日
- 販売終了日
データベースの表を作成する
データベースを作成するためには、まずエクセルシート上に表を作成し、1行目に各項目名を入力します。
例えば、A1のセルが「商品コード」の項目名である場合、A2以降のセルには、「商品コード」のデータが入力されます。こうすることで、各列が何の情報を示しているのかが一目でわかるようになります。
このように表を作成する際は、データの整理がしやすいよう、列(もしくは行)と項目でデータを「整理」するのが基本です。項目名と表でデータが整理されていることで、あとからデータを追加したり修正したりする際にも効率的に作業が進められるでしょう。
文字列や数値・日付形式など書式形式を決める
データベースを正確に管理するためには、各列に適した書式形式を設定することが重要です。例えば、「商品コード」や「商品名」の列には文字列形式、「仕入れ価格」や「販売価格」の列には数値形式を設定します。「販売開始日」や「販売終了日」の列には日付形式が最適です。
各データのタイプに適した形式を設定しておくことで、入力ミスを防ぎ、検索や集計を正確に行うことができます。エクセルの書式形式の設定は簡単なため、各列に適した形式をあらかじめ設定するようにしましょう。
データを入力しテーブル機能で表をデータベース化する
各列の書式形式を設定したら、個々のセルに対応するデータを入力します。すべてのデータを入力し終えたら、エクセルのテーブル機能を使って表をデータベース化しましょう。
テーブル機能を利用すると、行や列が自動的に整理され、データのフィルタリングやソートを簡単に行えるようになります。また、テーブル形式にすることで、視覚的にも見やすくなり、データ管理がさらに効率的になるでしょう。
エクセルを利用したデータベースの注意点
エクセルを利用したデータベースは便利ですが、注意すべき点もあります。
複雑・大容量のデータ処理には向いていない
エクセルは非常に便利なツールですが、複雑なデータや大容量のデータの管理には向いていません。複雑あるいは大容量のデータを扱うと、動作が遅くなり、ファイルを開く際やデータの入力・更新に時間がかかるようになる可能性があります。
特に、行数が膨大なデータベースや、複雑な計算式を含むデータベースを作成すると、エクセルの処理能力を超えてしまうことがあるでしょう。こうした場合には、専用のデータベースソフトを検討することが推奨されます。
複数人での同時利用ができない
オンプレミス型のエクセルは同時更新ができないため、複数人での同時利用には不向きとされています。つまり、リアルタイムでの情報共有や更新を行うような管理はできないのです。
複数の担当者が同時にデータを入力・編集し、保存してしまうと、コピーファイルが作成されてしまい、どのデータが正確なデータなのかわからなくなってしまいます。こうした状況を避けるため、同じデータベースを利用するメンバー間でデータの管理・更新の順序を工夫するか、オンライン編集が可能なMicrosoft 365の導入を検討する必要があるでしょう。
関連性のあるデータの自動更新ができない
専用のデータベースソフトは、連携したシステムから自動でデータを同期し、自動更新する機能なども搭載していますが、エクセルにはそのような機能がありません。そのため、データの同期や更新は、すべて手動で行う必要があります。
例えば、顧客情報と注文情報が異なるシートにある場合、一方のデータを更新しても、もう一方には自動的に反映されません。このため、データの管理が煩雑になり、誤入力のリスクも増加します。
初心者がエクセルでデータベースを作る際のコツ
ここでは、初心者がエクセルでデータベースを作成する際のポイントやコツについて紹介します。
セルを結合しない
エクセルでデータベースを作成する際、セルを結合することは避けましょう。セルを結合すると、データベース機能がうまく働かなくなる可能性があります。具体的には、フィルター機能や並べ替え機能が正常に動作しなくなり、データの整合性が保てなくなることがあるのです。
また、結合されたセルはあとから編集する際に手間がかかるため、データ管理の効率性が低下します。エクセルの基本機能を最大限に活用するためにも、セルの結合は避け、各データを単一のセルに入力するようにしましょう。
ウィンドウ枠を固定し見出しが常に表示されるようにする
データ量が増えてスクロールが必要になる場合は、ウィンドウ枠を固定して項目名などの見出しが常に表示されるようにすることをおすすめします。
ウィンドウ枠を固定すると、どれだけスクロールしても見出しが常に上部に表示されるため、何についてのデータであるかを確認しやすくなります。いちいち最上部まで戻って項目を確認する必要がないため、効率的に作業を進めることができるのです。
ウィンドウ枠の固定は、エクセルの「表示」タブから簡単に設定できる便利な機能であるため、ぜひ活用してみてください。
入力値や入力の種類など入力制限をする
エクセルでデータベースを作成する際は、各項目で入力方法が統一されるように制限をかけることが重要です。入力制限を設定することで、データの整合性を保ちやすくなり、入力ミスを防ぐことができます。
例えば、数値項目には数字のみ、名前にはカナのみを入力できるように制限することで、一貫性のあるデータベースを作成できます。エクセルの「データの入力規則」機能で入力制限を設定し、正確で使いやすいデータベースを構築しましょう。
表記・単位を統一する
エクセルでデータベースを作成する際には、表記や単位を統一することが非常に重要です。例えば、東京都の表記は「東京都」記か「都内」か、秒を使うか分を使うかなど、検索や集計作業をスムーズに行うためには、すべてのデータを一貫した形式で入力する必要があります。
表記や単位が統一されていないと、データの検索や集計に支障をきたし、誤った結果を導きやすくなります。データの整合性を保ち、効率的な管理を実現するためにも、表記・単位の統一を徹底しましょう。
作り方を参考にエクセルをデータベースとして活用してみよう
エクセルをデータベースとして活用する方法を学ぶことで、効率的なデータ管理を実現できます。今回ご紹介した手順やコツを参考に、自社の業務に適したデータベースを作成してみましょう。まずは基本を押さえ、小規模なデータベース作成から徐々に慣れていくことが成功のカギです。
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