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データサイエンスを事業に活かすにはカルチャーが必須

データ活用の鍵は数字から「ストーリー」を見出せるか否か

公開日:2024/11/19
データサイエンスを事業に活かすにはカルチャーが必須

ホテル業務のデータ活用を加速させるシステム「WASIMIL」の提供を通じて、観光業界のDXを推進する株式会社AZOO。今回はデータサイエンスとはどういったアプローチなのか、また、事業にデータを活かす際に必要なスキルや考え方について教えていただきました。

お話を伺った人
  • 横田 裕子さん

    横田 裕子さん

    株式会社AZOO

    代表取締役


■この記事のポイント

・データサイエンスには数学的な知識に加え仮説構築力が必要
・データサイエンス導入にはカルチャーの醸成が欠かせない



データサイエンスはデータからインサイトを引出すアプローチ

ーーデータサイエンスとはそもそもどういったアプローチを指すものでしょうか。

学術的な定義はさておき実務ベースでいえば、データからビジネスに役立つインサイトを引き出していくアプローチだと考えています。例えば、顧客のニーズなどは、これまで担当者の過去の経験や勘などで判断していくことが多かったと思うんですが、こういったアプローチでは人によって精度もばらつくし、成果と原因についての振り返りもできません。

その点データサイエンスでは、データを中心に仮説を立て、施策を考え、KPIに基づいて評価したり、改善したりするので、より精度の高いアプローチを実現できるんです。

「部長がこう思っているから、こうやろう」ではなく、「○○というデータから、こういう仮説が立てられるからやろう」という客観的な事実をもとにしたアプローチなので、当然周りの納得感も違ってきます。

自分たちの経験や勘では辿り着けない新しいインサイトを、データによって導き出し、より効果的なビジネスを構築する。これがデータサイエンスの考え方なのではないかと思っています。

ーー最近データサイエンスやデータサイエンティストといった言葉をよく聞きますが、なぜこのような領域が生まれたのでしょうか?

データサイエンスという言葉が使われていたかどうかは別として、こういったアプローチは昔からやりたいと考えられていたんじゃないかと思います。事業を進めるなかで「アプローチの精度を検証したい」とか、「人間のバイアスとかフィルターを除外したい」とか。でもそれを実現するための環境が整っていなかったというのがあって。

そんな状況のなか、データ分析のメソッドが整備されたり、インターネットやBIツールなどが登場したり、環境やテクノロジーがニーズに追いついてきたので、データサイエンスという形で現れだしたのではないかと思います。

Webサイトのアクセス解析ツールやCDP(カスタマーデータプラットフォーム)といったさまざまなツールが登場したことで、例えばWebサイトにアクセスした顧客の属性や、「靴下を購入した」みたいな消費データを簡単に取れるようになりましたよね。顧客に関して取れるデータの幅が広がったことで、データサイエンスがビジネスの中で実用性を帯びてきたのだと考えています。

データサイエンティストはデータから物語を見出す才能も必要

ーーデータサイエンティストに求められる役割や必要なスキルを教えてください。

ベーシックなところでいうと、統計とか数学的な知識は必要ですね。データといっても定量的なデータもあれば、定性的なものもあるため、一概に数字だけを追うわけではないのですが、やはり基本は数学的な考え方が必要だと思います。

それに加えて、データから会社のニーズに合わせたインサイトを出せるかという能力も重要になると思います。単なる分析屋さんと違って、ビジネスにどう活かしていくかというアウトプットまで求められるんです。

例えば当社は観光系なのでインバウンドの旅行者の傾向を追っていますが、データをどういう分析をして、どうインサイトを導き出すかによって、実際のアクションが変わりますよね。

なので、単純にデータ分析をするだけではデータサイエンティストとはいえなくて、データが何を意味しているかを読み解いて、ビジネスの文脈でストーリーテリングできる役割を担えるかが一番肝になると考えています。

ーーその他、必要になる知識などはあるのでしょうか?

業界知識も必要になりますね。例えば製薬会社でデータサイエンスに取り組むのであれば、当然製薬業界のことを深く理解している必要があります。

あとはPythonがわかるとか、BIツールでの設計方法を理解しているみたいな知見も場合によっては求められます。データサイエンティストは求められるスキルや知識が幅広くて、正直かなり技術職や専門職に近い形なんです。

ただデータサイエンティストと聞くと、データベースの構築まで対応しているように思われがちですが、実際そこまで対応していることはあまりないと思います。やっている人もいるでしょうけど、基本的にはデータベースを繋げて、データ同士をどのようにかけ合わせていくかを考える役割を中心に担うことになるのではないでしょうか。

日本でも海外でも業界によって活用の度合いは異なる

ーー海外、特に欧米などと比べて日本企業はデータサイエンス領域で遅れているといったイメージもありますが、実際はどうなのでしょうか?

正直日本と海外というよりも、国内外問わず業界によって活用度合いが異なるというのが実態ではないかと思います。例えばマーケティングエージェントや製薬などの領域では、日本でも積極的に活用されています。

あとはデータサイエンスに特化した事業を展開するスタートアップもあったり、官公庁でもデータを活用する流れが生まれていたりしていますし。

ただ、データサイエンス領域で活用されるツールは、基本的にアメリカで生まれて日本にやってくるケースが多くなるので、そういった意味ではどうしてもタイムラグは生まれると思いますね。

ーー日本において特にデータサイエンス的なアプローチが活発になっている業界や領域は、どこになるのでしょうか?

やっぱりマーケティング領域なんじゃないかと。マーケティングエージェントは必ずデータサイエンス的なアプローチを使っていると思いますし、あと消費財などのビジネスの場合、マーケティングリサーチからの企画など、商売の文脈としてデータ活用が脈々と実施されていたと思うので。

あとはセールス領域もわかりやすいです。観光でいうと、ローシーズンとハイシーズンがあったりするので、どのタイミングで需要が高まるかをデータに基づいて予測して、それに合わせて高い値段を設定するみたいなこともしています。

製造業でも生産ラインでの品質改善とか、生産設備運用などの領域で使われているでしょうし、業界に限らず色々な領域で活用されていると思いますよ。

特に最近は高機能なCRMとかSFA、専門的な知識がなくても高度な分析ができるBIツールなどもあるので、色んな企業にデータサイエンスの考え方が入りだしているのではないでしょうか。

施策精度の向上を望む企業のニーズが注目の背景に

ーーデータサイエンスが今のビジネス環境において、注目されている背景についてはどのようにお考えでしょうか?

先ほどの話とも共通するのですが、恐らく昔から施策やアプローチの精度をもっと高めたいというニーズは企業のなかにあったと思うんです。でもアンケートなどでアナログに集めた情報から、人の頭を使って手探りで仮説を立ててやるしかなかったわけです。

でも今は色んなツールや手法が確立されて、データを基に精度の高い仮説構築やアプローチを検討できる環境が整ってきています。例えば観光でいうと、アメリカ人向けに何かプロモーションをしたいとなった時に、「そもそもどんな属性のアメリカ人が日本に来ているのか、どういう人をターゲットとすべきか」みたいなデータも取れるようになったので、そのデータに基づいて最適な観光プロモーションを立案できるんです。

施策結果もデータとして明確に表れるので、投資対効果を正確に把握して、より精度の高いアプローチに投資するみたいな意思決定もできますよね。こういった取り組みをしたい企業のニーズに、時代や技術が追い付いてきたからこそ、今データサイエンスという概念が注目されているんじゃないでしょうか。

ーー人手不足による業務効率化へのかじ取りも影響しているのでしょうか?

それもあると思います。データサイエンスという領域もそうですが、機械学習とか生成AIとかは、そういったニーズへの対応策として捉えられているところはあります。

人手不足という避けられない事象への一つの対策として、データサイエンスの取り組みを通じて高い精度のアプローチを実現しつつ、効率的な事業へ転換することを目指している企業もきっとあるでしょう。

ただデータサイエンスの場合は人手不足や業務効率化といったテーマよりも、ビジネスの精度を高めることに特に力点が置かれていると思います。

この記事の続き

⚫︎IT人材不足の「中小企業がデータ活用」を進めるために欠かせないもの
⚫︎「データに強い人材」を社内で育てる手段はあるのか
⚫︎データサイエンスは「科学とアート」そのワケとは

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ビズクロ編集部
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