ソフトウェア開発とシステム開発の違いとは?開発の手法や流れを紹介
IT用語として耳にすることが多い「ソフトウェア開発」と「システム開発」。これらは混同されやすい言葉ですが、それぞれ目的や役割が異なります。本記事では、ソフトウェア開発とシステム開発の違いをはじめ、開発の手法や流れについて詳しく紹介します。
目次
ソフトウェア開発とは?
ソフトウェアとは、コンピューターに対して命令を出すプログラムのことです。ソフトウェアの具体例としては、パソコンやスマホを動作させるためのOS、表計算ソフトや文章作成ソフトなどが挙げられます。
このようなソフトウェアを設計開発し、リリースする一連のプロセスをソフトウェア開発と言います。
▷ソフトウェア開発とは?種類や開発の流れ・システム開発との違いを簡単に解説
システム開発とは?
システム開発とは、業務の効率化を図るための仕組みやシステムを作り上げることです。具体的には、顧客情報管理システムや勤怠管理システムなど、人の手で行っていた作業を自動化するためのシステムが挙げられます。
このようなシステムの開発により、日常の業務をスムーズに進めることができ、生産性向上やコスト削減に寄与します。
▷システム開発とは?開発手法や工程・依頼時の注意点を簡単に解説
ソフトウェア開発とシステム開発の違い
ソフトウェア開発は、特定のアプリケーションやプログラムを作成することに特化しています。一方システム開発は、組織全体の業務フローを改善するための総合的な仕組みの設計と開発をういます。
システム開発では、特定の目的を達成するために必要なハードウェアとソフトウェアの開発を行うため、ソフトウェア開発はシステム開発の一部と捉えることもできるのです。
ソフトウェア開発の手法
ソフトウェア開発には、さまざまな開発手法があります。ここでは、代表的な4つの開発手法について説明します。
ウォーターフォール型
ウォーターフォール型は、ソフトウェア開発の各工程を順番に進める手法です。要件定義からテストまでの各工程を分割し、一つひとつの工程を完了させながら開発を行います。
メリットは、計画が立てやすく、進捗状況が把握しやすいことです。しかし、開発後半での仕様変更が難しく、柔軟性に欠ける点はデメリットと言えるでしょう。特に大規模なプロジェクトや、要件・仕様が明確になっているプロジェクトに適しています。
アジャイル型
アジャイル型は、機能単位に開発工程を分割し、実装とテストを繰り返す開発手法です。優先度の高い機能から開発を行い、最終的に一つのシステムを完成させます。
アジャイル型のメリットは、ユーザーの要望を取り入れやすく、迅速な対応が可能な点です。しかし、綿密な計画を立てないため進捗管理がしにくく、方向性がぶれやすいというデメリットがあります。
そのため、不確定な要素が多いプロジェクトや、顧客のニーズが変化しやすい場合に適した手法と言えるでしょう。
スパイラル型
スパイラル型は、工程を機能ごとに分割し、重要な機能から開発していく手法です。アジャイル型と似ている部分もありますが、機能ごとに試作品を作成するという特徴があります。
スパイラル型は仕様やスケジュールの変更に対応しやすく、手戻りを最小限にできるのがメリットです。ただし、仕様変更が多くなるとその分コストがかかるうえ、プロジェクトの遅延につながることもあります。
特に、大規模なプロジェクトや品質を重視する場合に向いています。
プロトタイプ型
プロトタイプ型は、初期段階で試作品(プロトタイプ)を作成し、それをもとにユーザーのフィードバックを得ながら開発を進める手法です。時間と費用を最小限に抑えられる「ラピッド・プロトタイピング」と、作成したプロトタイプを改良しながら完成させる「ブレッドボード・プロトタイピング」の2種類があります。
初期段階で試作品を提供するため、発注者側と開発者側の認識のズレを早期に解消できる点がメリットです。その反面、プロトタイプの作成に時間やコストがかかることがデメリットと言えます。
プロトタイプ型は、完成イメージが曖昧なケースや新規開発のプロジェクトに適した手法です。
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ソフトウェア開発に携わる職業
ソフトウェア開発には、多くの専門職が関わっています。ここでは、開発に携わる代表的な職業を紹介します。
プログラマー
プログラマーは、ソフトウェアのプログラミングを主な業務とする職業です。設計書をもとにプログラムコードを記述し、仕様通りに動作するソフトウェアを作り上げます。
また、バグを修正したり、機能を追加したりするのもプログラマーの仕事です。担当するシステムによって使用する言語が異なることもあるため、必要に応じて知識をアップデートしていく必要があります。
ソフトウェアエンジニア
ソフトウェアエンジニアは、ソフトウェアの要件定義から設計、開発、プログラミングまで幅広い業務を担当する職業です。顧客やチームと協力して、どのような機能が必要かを定義し、それをもとにソフトウェアの設計図を作成します。
設計通りに開発を進められるようチームや顧客との打ち合わせを行うため、技術的な知識だけでなくコミュニケーション能力も求められます。
検証エンジニア
検証エンジニアは、開発されたソフトウェアが仕様書通りに動作し、不具合がないかを確認するためにテストを行う役割を担います。具体的には、さまざまなテストシナリオを用いてソフトウェアを検証し、バグや問題点を特定します。
検証エンジニアの仕事は、製品の品質を確保し、ユーザーに安心して利用してもらえるようにするための重要な工程です。ソフトウェアやテスト技法の知識が必要になるのはもちろんのこと、小さなバグや問題点を見逃さないためには、集中力や忍耐力も求められます。
IT営業
IT営業の主な業務は、クライアントのニーズを正確に理解し、それを開発チームに伝えることです。また、プロジェクトの進行状況をクライアントに報告し、フィードバックを収集することで、スムーズにコミュニケーションが行えるようにします。
IT営業に求められるスキルには、コミュニケーション能力や交渉力、ITに関する基本的な知識などがあります。これにより、クライアントと開発者の間で円滑な協力関係を築くことができるでしょう。
ソフトウェア開発の流れ
ここからは、ソフトウェア開発の進め方について説明します。
依頼者へヒアリングをする
ソフトウェア開発の最初のステップは、依頼者のニーズと希望をヒアリングすることです。このプロセスでは、依頼者が求める機能や要件を詳細に聞き取り、プロジェクトの目標を明確にします。
また、予算や納期などの制約も確認し、開発計画の基礎を固めます。この段階でのコミュニケーションが不十分だと、後々の工程で問題が発生することがあるため、丁寧かつ慎重に行うことが重要です。
ソフトウェアの企画・提案をする
依頼者からのヒアリング内容をもとに、ソフトウェアの企画を立案し、提案書を作成します。提案書には、ソフトウェアの目的や機能、開発スケジュール、予算などを詳しく記載します。
提案を行う際は、技術的な選択肢や利点を示し、依頼者がプロジェクトの全体像を理解しやすくすることが重要です。また、提案書は一度作成したら終わりではなく、顧客の疑問点や問題点を解消しながら修正していく必要があります。
依頼者と契約を締結する
提案が通ったら、依頼者との契約締結を進めます。提案書の内容をもとに開発費用やスケジュールなどの詳細な見積りを提示し、依頼者の承認が得られれば契約成立となります。
依頼者によっては複数社を比較検討している場合もあるため、他社と比べてどのようなメリットがあるのかを提示することが大切です。
ソフトウェアの要件定義をする
ソフトウェアの要件定義は、依頼者の要求や必要な機能を明確に文書化する作業です。このプロセスでは、システムが何をするべきか、どのような性能を持つべきかを具体的にまとめます。
要件定義はプロジェクトの設計と開発の基盤となり、後の工程での変更を防ぐためにも非常に重要です。この段階での不備が後のトラブルを引き起こす可能性があるため、慎重に行う必要があります。
ソフトウェアの設計をする
ソフトウェアの設計は、要件定義をもとにシステムの構造を具体化するプロセスです。まず、全体的なシステムの枠組みを定める基本設計が行われ、次に詳細な機能やデータの設計を行う詳細設計に進みます。
基本設計は、主にユーザーが見える部分や操作する部分などを設計していく工程です。一方詳細設計は、基本設計をもとにソフトウェアの内部構造などを設計していきます。
ソフトウェアを開発する
設計書をもとにプログラムコードを記述し、ソフトウェア開発を進めていきます。プログラミング言語にはさまざまな種類があり、それぞれ向き不向きがあるため、開発するソフトウェアに適したものを選ぶことが大切です。
また、リリース後も安定的に運用するためには、メンテナンスしやすいよう誰が見てもわかるように記述していくことが求められます。
ソフトウェアのテストを実施する
テストでは、開発したソフトウェアが依頼者の要求を満たし、正常に動作するかを確認します。テストは「単体テスト」「結合テスト」「システムテスト」「受け入れテスト」の4つに分けて行われるのが一般的です。
まず、単体テスト個々の機能を検証し、問題がなければ複数の機能が正しく連携するかを確認する結合テストを行います。その後、全体のシステムが設計通りに動作するかを検証するシステムテストを実施し、不具合などがなければ、依頼者が実際に使用して問題ないかを確認する受け入れテストを行います。
ソフトウェアをリリースする
開発が完了し、テストで問題がないことが確認出来たら、ソフトウェアを依頼者に納品します。このときには、運用マニュアルや設計書、ソースコードも提供するのが一般的です。
また、ソフトウェアを依頼者の環境に導入するだけでなく、トレーニングやサポートの提供が必要になる場合もあるでしょう。
ソフトウェアの運用・保守をする
ソフトウェアをリリースした後も、運用・保守を継続して行う必要があります。具体的には、定期的なシステムのチェックや更新、バックアップの実施などを行います。
また、新たな要件やセキュリティリスクに対応するための改修を行う場合もあるでしょう。運用・保守を適切に行うことで、ソフトウェアを安定的に利用できるようになり、依頼者の満足度向上にもつながります。
ソフトウェア開発とシステム開発の違いを理解しよう
本記事では、ソフトウェア開発とシステム開発の違いについて説明しました。ソフトウェア開発は特定のアプリケーションを作成するためのもので、システム開発では全体の仕組みやプロセスを設計・構築します。どちらも、ビジネスの効率化や日常生活の改善に欠かせない要素です。これらの違いを理解し、適切な開発方法を選ぶことで、プロジェクトを成功へと導くことができるでしょう。
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