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車両管理規程とは?必要性や記載内容・対象となる車両について

2024/12/03 2024/12/03

車両管理システム

車両管理規定とは

車両管理規程は、企業が所有している車両の運用や管理を徹底するために定められたルールです。社用車を日常的に使用する企業にとって、従業員の安全運転促進や車両の保守点検の実施に欠かせません。本記事では、車両管理規程の基本的な内容や必要性について解説しています。

車両管理規程とは?

車両管理規程とは、従業員が業務に使用する車両について、企業が定めた規則を指します。対象となる車両には、トラックやタクシーなどの「緑ナンバー」の車両に加え、営業や送迎に使う「白ナンバー」も含まれます。

業務中に交通事故が発生すると、従業員がケガなどを負うだけではなく、企業に対して、被害者や損壊した車両、建物などへの賠償が求められる場合があります。企業の信用も失われてしまうでしょう。

車両管理規程は従業員の交通事故を防止するとともに、仮に交通事故が発生しても賠償責任の発生から企業を守る狙いがあります。

車両管理規程の根拠となる法律

車両管理規程は、民法や道路交通法を根拠にしています。各法について解説するので、ご一読ください。

民法第715条「使用者等の責任」

民法第715条は「使用者等の責任」について定めており、内容は次のとおりです。

第715条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

つまり、従業員が業務中に第三者に損害を与えてしまった場合、雇用主は損害を賠償しなければなりません。業務中の交通事故による損害も含まれます。

しかし、車両管理規程を作成し、従業員に安全運転教育を実施していれば、使用者責任が発生しない可能性があります。

もとより車両管理規程を守り、日頃から従業員に安全運転を呼び掛けていれば、交通事故が発生するリスクを下げられるでしょう。

仮に交通事故が起きても、使用者が損害賠償責任を回避するうえで車両管理規程は重要なのです。

[出典:e-GOV法令検索「民法」]

道路交通法第74条の3「安全運転管理者の選任」

道路交通法第74条は「安全運転管理者等」について定めており、内容は次のとおりです。

第74条の3 自動車の使用者(道路運送法の規定による自動車運送事業者(貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八十三号)の規定による貨物軽自動車運送事業を経営する者を除く。以下同じ。)、貨物利用運送事業法の規定による第二種貨物利用運送事業を経営する者及び道路運送法第七十九条の規定による登録を受けた者を除く。以下この条において同じ。)は、内閣府令で定める台数以上の自動車の使用の本拠ごとに、年齢、自動車の運転の管理の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、次項の業務を行う者として、安全運転管理者を選任しなければならない。

業務で5台以上の自動車を使用する場合(11人乗り以上の車両を1台以上保有の場合も同じ)、使用者は安全運転管理者を専任しなければなりません。安全運転管理者は、従業員が安全運転を行うように、交通安全教育などを行うことが求められます。

もし安全運転管理者を選任しなかった場合、使用者には罰金が課されるので、必ず選任してください。

[出典:e-Gov法令検索「道路交通法」]

車両管理とは?目的や業務内容・導入事例についてわかりやすく解説

車両管理規程の対象となる車両

車両管理規程の対象となる車両は、社用車だけではありません。以下で対象車両と管理時に注意すべき点をお伝えするので、参考にしてください。

企業保有の車両

企業が社用車として購入した車両は、車両管理規程の対象です。車両管理規程では、社用車の業務以外での使用を禁ずるとともに、車両管理台帳の作成や社用車の定期的なメンテナンスについても定めておきましょう。運転資格者も明確にしてください。万が一の事態に備え、事故時の対応についても記載する必要があります。

個人保有の車両

従業員が通勤や業務にマイカーを使用している企業においては、車両管理規程にマイカーを含めましょう。

まず、使用の許可基準を定めます。例えば、勤務地までの通勤手段がマイカー以外にない場合など具体的に決めたうえで、使用許可の届け出方法を定めてください。業務に使う時は、使用範囲や使用時間、使用条件もあらかじめ明記しておきます。ガソリン代の精算方法も決めておくとよいでしょう。

交通事故発生時のリスクを低減するためにも、任意保険の加入状況の確認や保険証券の提出についても記載することをおすすめします。会社の免責事項についても決めておきましょう。

レンタカー

カーリースやマンスリーレンタカーを利用しているのであれば、レンタカーも車両管理規程の対象です。カーリースやマンスリーレンタカーを契約している場合は、車両と運転者を明確化し、使用時の届け出方法を定めます。単発でレンタカーを使う場合は、使用の許可基準や届け出方法、費用の精算方法を決めておくとよいでしょう。

また、交通事故を起こした時の対応プロセスも忘れずに定めてください。

自転車

自転車は軽車両なので、車両管理規程でも管理方法などを定める必要があります。業務中の自転車の使用は、通勤時の使用が一般的でしょう。自転車通勤を認めるケースでは、許可基準や届け出方法、業務と私用の明確な区分を決めてください。

事故を起こさないように安全教育を行うとともに、事故の発生に備え保険の加入状況の確認もしましょう。

企業における車両管理規程の目的や必要性

車両管理規程を作成し適切に車両を管理することは、企業が事業を円滑に進めるうえで欠かせません。車両管理規程の目的や必要性について解説します。

自社の車を適切に管理・運用すること

業務で車両を使用している時にトラブルや事故が起きると、企業の信頼を失う可能性があるため、適切な管理・運用が求められます。そのためにも、車両管理規程は必要不可欠です。

自社で所有している車両が適切に点検・修理されていなければ、必要な場面で利用することができません。車両の利用を予定していたにもかかわらず使えなければ、営業活動や送迎に支障が生じるでしょう。

仮に車両を利用できたとしても、使用中に事故やトラブルが発生すれば、取引先や通行人、他の通行中の車などに多大な迷惑をかけてしまいます。損害賠償を請求されるだけではなく、イメージダウンも計り知れません。

リスク回避のためにも、車両管理規程を定めて、規程にのっとって管理・運用をしてください。

安全運転を遵守し、交通事故を防止すること

業務中にひとたび交通事故が発生すれば、企業は使用者として責任を負うため、事故防止のためにも車両管理規程は必要です。車両管理規程で、従業員に対する安全教育について定め、定期的に安全教育を行うことで、従業員の安全運転への意識が向上するでしょう。

もし交通事故が起きても、事故発生時の対応プロセスをあらかじめ決めておけば、適切に対応でき被害を最小限に抑えられるかもしれません。交通事故防止の観点からも車両管理規程は重要です。

車両管理規程の作成時に必要となる書類

車両管理規程を作成する際は、車両管理台帳と運転者台帳を作成する必要があります。各台帳の役割や記載事項について説明します。

車両管理台帳

車両管理台帳とは、社用車を管理するための台帳で、車両が特定できる情報や保険に関する情報などを記載します。車両管理台帳を作成することで、車検切れの防止や保険の手続き漏れなどを防げるでしょう。具体的には、以下の項目を掲載します。

  • 車両に関する情報:車名・車体番号・型式・定員数など
  • 購入や売却に関する情報:購入先・購入年月日など
  • 車検や定期点検に関する情報:自動車車検証の有効期間・車検費用・業者名・定期点検整備記録など
  • メンテナンス・修理に関する情報:メンテナンス状況・事故歴・修理金額など
  • 事故などに関する情報:事故区分・事故発生日時・処理状況など
  • 使用者に関する情報:使用部署・使用者・使用目的など
  • 安全運転管理者に関する情報:安全運転管理者の氏名・選任年月日など
  • 保険に関する情報:保険の種類・保険会社名・証券番号・連絡先など

事故情報など、後から情報を確認する可能性もあるので、車両管理台帳は一定期間保管することをおすすめします。

運転者台帳

運転者台帳は、社内で運転の許可を得た従業員の詳細を記載し管理するための台帳です。貨物自動車運送事業輸送安全規則では、次の10項目を記載することとされています。

  1. 作成番号、作成年月日
  2. 事業者の氏名または名称
  3. 運転者の氏名、生年月日、住所
  4. 雇入れの年月日及び運転者に選任された年月日
  5. 運転免許に関する事項(運転免許証の番号、有効期限、運転免許の種類など)
  6. 事故や違反の記録
  7. 運転者の健康状態
  8. 特定の運転者に対する指導や適正診断の受診の状況
  9. 6か月以内に撮影した写真(単独・無背景などの条件を満たすもの)
  10. 運転者が亡くなった場合(もしくは解任した場合)は、その年月日及び理由

交通事故が起きた際の事故処理にも必要な台帳なので、必ず作成してください。作成しておけば、使用者の管理責任を証明する際にも役立ちます。

車両管理規程の記載内容・掲載すべき項目

車両管理規程に記載すべき内容を解説します。これから車両管理規程の作成を考えている企業は、ぜひ参考にしてください。

管理責任者

車両管理規程には、必ず安全運転管理責任者と副安全運転管理者の氏名と選任した日付を記載しましょう。道路交通法では、安全運転管理責任者や副安全運転管理者は、車両を使用する本拠地ごとに置かなければなりません。また、安全運転管理者を選任したら、選任後15日以内に考案委員会に届け出てください。届け出なかった場合、5万円以下の罰金を科されます。

安全運転管理責任者や副安全運転管理者を選任し、車両管理規程に掲載することで、企業が道路交通法を遵守している意思を明確に示せるでしょう。

安全運転の方法

従業員が交通ルールを守り安全運転をするために、企業の指針を示しましょう。加えて、飲酒運転や速度違反など具体的な禁止事項を掲載してください。安全運転への意識向上に向けた安全教育の定期的な実施についても、内容や頻度について記載します。

車両管理規程に掲載するだけではなく、従業員に日頃から安全運転を呼び掛け注意を促すことで実効性を持たせましょう。

点検・整備の記録

社用車の点検や整備の記録も車両管理規程に載せてください。従業員の安全を守り、交通事故を防ぐために、点検や整備は欠かせません。車検や定期点検に加え、乗車前の日常点検を実施する旨を掲載します。

点検内容は、タイヤの摩耗状態や空気圧のチェックやブレーキの効き具合、冷却水の量など具体的に載せると、点検漏れを防げます。異常を見つけた場合の社内の対応窓口も用意しておくと、すぐに詳細な点検や修理を行えるでしょう。

私的使用の基準

社用車の私的利用を禁じる旨も記載します。社用車を私的利用している最中に、事故などが発生すると、業務に支障が生じる恐れがあるためです。

ただし、突発的な事態が発生し、どうしても使用せざるを得ないこともあるかもしれません。こうした事態を想定し、私的使用する際の申請窓口や承認プロセスも記しておきましょう。

マイカー利用の可否

マイカーの使用は、勤務地までの公共交通機関の有無などにより企業ごとに判断が分かれるでしょう。リスクを回避するためには、マイカー利用の禁止が望ましいものの、地域によってはマイカー以外の交通手段がないところもあります。そのため、マイカーの利用の可否も車両管理規程に載せてください。

通勤などで利用する従業員がいる場合は、申請窓口や許可基準を記載します。リスクを低減するために、運転免許証の確認や車検証のコピーの提出なども規程に含めましょう。

事故が起きた場合の措置

業務中に交通事故が発生した場合の対応方法を必ず記載してください。事故発生時は、冷静な対処が困難になるため、対応プロセスを明確に示すことで、適切に対処できるでしょう。

まず、警察への通報など事故直後にすべき項目を掲載した後、事故報告の報告先や保険会社への連絡方法などを載せます。

罰金などが生じた場合に備え、企業側と従業員側の負担割合についても決めておきましょう。交通違反や交通事故などケースごとに定めておくと、後で揉めずに済みます。また、再発防止策も掲載してください。

違反時の罰則内容

従業員が車両管理規程を守らず違反した際の罰則についても載せましょう。車両管理規程を必ず守ってもらうためです。

罰則は、厳重注意や一定期間の車両使用の禁止、降格など違反内容に合わせて決めてください。労働基準法第16条で企業が従業員に罰金を科すことは禁じられているので、罰金は避けましょう。どうしても罰金を科したい場合は、就業規則に減給について明記する必要があります。罰金が会社の秩序維持を目的としていれば、労働基準法第91条の範囲内で認められます。

車両管理規程の作成に役立つテンプレート

車両管理規程を一から作成するのは労力がかかるため、テンプレートの活用がおすすめです。作成に役立つテンプレートをご紹介するので、ご検討ください。

テンプレート・フリーBiz

「テンプレート・フリーBiz」は、2,500以上の書式やテンプレートを無料でダウンロードできるWebサイトです。社内規程で活用できる書式やテンプレートも豊富に揃っています。

車両管理規程の書式テンプレートはWord形式です。自家用車に関する書式と、社用車に関する書式が用意されています。

[出典:テンプレート・フリーBiz「社内規程」]

Excel 運転者管理台帳・車両管理台帳

Excel「運転者管理台帳」「車両管理台帳」はその名の通り、Excelで作成されています。関数を使用しているので、必要に応じて条件に当てはまる運転者を抽出するといった使い方も可能です。

「運転者管理台帳」には免許更新予定者リストも含まれているので、免許を更新せず失効させ、無免許運転となるリスクを減らせます。

[出典:香里自動車教習所 安全運転管理支援チーム「車両管理・運転者管理ツール」]

就業規則 労務管理書式Blog

各種就業規則と労務管理書式が多数アップされている就業規則 労務管理書式Blogにも、車両管理規程が用意されています。車両管理規程は、WordとPDFのどちらでもダウンロードが可能です。基本的に、通勤でマイカーを使用するケースを想定して作成されています。

ダウンロードは無料で、登録も必要ありません。

[出典:就業規則労務管理書式Blog「車両管理規程」]

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車両管理規程は企業における車の適切な管理・運用に重要

営業や送迎など車両を業務で使う場面は多くあります。ひとたび事故が起きれば、損害賠償責任を負い、取引先などからの信頼も失ってしまいます。

車両管理規程をきちんと定め、車両を適切に管理・運用し、従業員に安全教育を定期的に実施することで、リスクを回避しましょう。

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ビズクロ編集部
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