WAFとファイヤーウォールの違いとは?仕組みや対策できる攻撃について解説
多様化するサイバー攻撃からWebサイトを守るためには、セキュリティ対策が欠かせません。しかし、どのセキュリティ対策を採用すればよいか悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、WAFとファイアウォール、IPSの違いなどについて詳しく解説します。
目次
WAFとは?
WAFとは「Web Application Firewall」の略で、Webアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃からWebサイトを守るためのセキュリティ対策です。具体的には、不正アクセスや情報漏洩などを防ぐために、Webサイトへのリクエストを監視し、悪意のある通信をブロックします。WAFを導入することで、企業のWebサイトをサイバー攻撃から効果的に保護することができます。
WAFの仕組み
WAFは、アクセスパターンを記録した「シグネチャ」を使って、Webアプリケーションへのアクセスを照合し、通信を許可するかどうかを判断するものです。このシグネチャには、過去の攻撃手法や不正アクセスのパターンが記載されています。
また、シグネチャにはブラックリスト型とホワイトリスト型の2種類があります。ブラックリスト型は、既知の攻撃パターンを定義し、それと一致する通信を拒否することで不正アクセスを防ぐ方式です。一方ホワイトリスト型は、許可する通信のみを定義し、それと一致しない通信をすべて拒否することで不正アクセスを防ぎます。
▷WAFのシグネチャとは?仕組みや設定方法・課題について簡単に解説
ファイアウォールとは?
ファイアウォールとは、内部環境と外部環境の間に設置されるセキュリティ機能で、ネットワーク上の不正アクセスを防ぐ役割を果たします。具体的には、ポート番号やIPアドレス、プロトコルなどの通信ルールに基づき、通信の可否を判断します。
この仕組みにより、企業のネットワークを外部からの攻撃や不正なアクセスから守り、安全な通信を確保することが可能です。ファイアウォールは、ネットワークセキュリティの基本となる重要な対策と言えます。
WAFとファイアウォールの違い
WAFとファイアウォールは、どちらもセキュリティ対策として用いられるものですが、目的や得意とする攻撃の種類に違いがあります。ここでは、WAFとファイアウォールの違いについて説明します。
防御する対象
WAFは、Webアプリケーションを標的とした攻撃からサイトを守るためのセキュリティ対策です。Webサーバーの前段部分に設置することで、サイトへの不正アクセスやデータ漏洩を防ぎます。
一方、ファイアウォールは、企業のネットワーク全体を保護するものです。外部ネットワークと内部ネットワークの間に入り、不正な侵入を防止します。これら両方を組み合わせることで、ネットワークとアプリケーションの両方に対するより強固なセキュリティ対策が実現できます。
防御できる攻撃の種類
WAFは、クロスサイトスクリプティングやSQLインジェクション、DDoS攻撃、バッファオーバーフローなど、Webアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃を防ぐために設計されています。
一方、ファイアウォールは、ネットワーク層での防御に特化しており、ポートスキャン攻撃などの外部からの侵入を防ぐ役割を担っています。このように、対応できる攻撃の種類が異なるため、使用しているシステムや目的によっては両方設置する必要があるでしょう。
IPSとは?
IPSは「Intrusion Prevention System」の略で、不正な侵入を防止するシステムを指します。これは、OSやミドルウェアに対する攻撃や不正アクセスから、サーバーやネットワークといったシステム全体を守るためのセキュリティ対策です。
IPSはネットワーク内のトラフィックを常に監視し、疑わしい動きを検知すると同時に自動的に対策を講じることで、システムを広範囲にわたって保護します。なお、IPSは以下の3種類に分けられます。
- ネットワーク型(NIPS):ネットワーク全体を監視して潜在的な脅威を検知する。
- ホスト型(HIPS):サーバーやPC上で動作し、異常な動作を検知して潜在的な脅威を防止する。
- ワイヤレス型(WIPS):ワイヤレスネットワークの異常な動作を検知し、ネットワーク全体を保護する。
このように、それぞれ作用する場所が異なるため、目的や課題に応じて適したものを選択する必要があります。
WAFを導入するメリット
ここでは、WAFを導入するメリットを2つ紹介します。
サイバー攻撃からWebアプリケーションを守れる
WAFを導入することで、クロスサイトスクリプティングやSQLインジェクションといった、さまざまなサイバー攻撃からWebアプリケーションを守ることができます。これらは、Webサイトの脆弱性を狙った攻撃です。WAFが不正なリクエストをブロックすることで、情報漏えいやデータの改ざんなどの被害を未然に防ぐことができます。
今後もサイバー攻撃は多様化していくと考えられるため、企業のWebサイトを安全に運用し、顧客情報を守るためにも重要な役割を果たします。
セキュリティ対策の策定に役立つ
WAFは、検知した不正アクセスを記録する機能を持っています。これにより、自社がどのような攻撃やセキュリティリスクにさらされているのかを把握することができます。
この情報をもとに、今後のセキュリティ対策を効果的に策定することが可能です。具体的な脅威の分析ができるため、リスクに応じた適切な対策を講じることができ、企業全体のセキュリティ強化に貢献します。
▷WAFの導入・運用時の課題とは|スムーズに運用するためのポイントを解説
WAFとファイアウォール・IPSの違いを理解しよう
WAF・ファイアウォール・IPSは、それぞれ異なる役割を持つセキュリティ対策ですが、企業のIT環境を守るという点では共通しています。これらは、どれか一つだけを導入すればよいわけではなく、組み合わせることで高い防御力を発揮します。強力なセキュリティ体制を構築するためには、各対策の違いを理解し、適切に導入することが大切です。
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