WAFで防げる攻撃とは?導入時のポイントやセキュリティ対策について
Webアプリケーションのセキュリティ対策に特化した「WAF」。幅広いサイバー攻撃に対応できますが、具体的にどのような攻撃を防げるのか知りたい方も多いのではないでしょうか。本記事では、WAFで防げる攻撃・防げない攻撃について、導入時のポイントとあわせて解説します。
目次
WAFとは?
WAF(Web Application Firewall)は、Webアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃からWebサイトを守るためのセキュリティ対策です。具体的には、悪意あるリクエストをブロックし、データの改ざんや不正アクセスを防止します。
▷WAFを導入するメリット・デメリット|必要性や種類について
WAFで防げる攻撃
WAFは、さまざまなサイバー攻撃を効果的に防ぐためのツールです。ここでは、具体的にどのような攻撃を防げるのかについて見ていきましょう。
バッファオーバーフロー
バッファオーバーフローは、Webサーバーに対して許容量を超える大量のデータを送りつけ、その結果、誤作動を引き起こすサイバー攻撃です。この攻撃により、システムがクラッシュしたり、不正なコードが実行されたりする可能性があります。
あらかじめWAFでデータの許容量を設定しておくことで、バッファオーバーフロー攻撃を防ぐことが可能です。
クロスサイトスクリプティング
クロスサイトスクリプティング(XSS)は、Webサイトの脆弱性を利用して悪質なスクリプトを埋め込む攻撃です。SNSや掲示板など、ユーザーが入力できる仕組みになっているサイトで発生しやすいのが特徴です。
この攻撃により、ユーザーの個人情報が盗まれたり、不正な操作が行われたりする可能性があります。WAFは、このような不正スクリプトを検知し、サイトの利用者を守る役割を果たします。
SQLインジェクション
SQLインジェクションは、データベースとやり取りするSQL言語を悪用し、データの消去や改ざん、情報漏えいを狙うサイバー攻撃です。攻撃者は不正なSQLクエリを入力し、データベースの操作権限を奪おうとします。
WAFは、このような不正なSQLクエリを検出・ブロックし、企業の大切なデータを守ります。
OSコマンドインジェクション
OSコマンドインジェクションは、Webサーバーへのリクエストに不正なOSコマンドを埋め込み、サーバーに不正な命令を実行させるサイバー攻撃です。攻撃者はこの手法を用いて、システムを乗っ取ったり、機密情報を盗み出したりします。
Webアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃であるため、WAFで防ぐことができます。
DDoS攻撃
DDoS攻撃は、複数のコンピューターから大量のパケットをターゲットのWebサーバーに送りつけることで、正常なサービス提供を妨げるサイバー攻撃です。この攻撃により、Webサイトがダウンしたり、利用者がアクセスできなくなったりするリスクがあります。
WAFは通信を監視し、悪意のあるトラフィックをブロックするため、DDoS攻撃の対策としても有効です。
ブルートフォースアタック
ブルートフォースアタックは、考えられるすべてのパスワードの組み合わせを試し、正しいパスワードを見つけ出すサイバー攻撃です。この攻撃により、不正アクセスやデータの盗難が発生する可能性があります。
WAFは、このような試行回数の多い攻撃を検知し、アクセスをブロックすることで、アカウントやシステムを保護します。
ディレクトリトラバーサル
ディレクトリトラバーサルは、Webサーバー上の非公開情報が保存されているファイルに対し、通常アクセスできないはずの領域に不正な手段でアクセスするサイバー攻撃です。これにより、機密データやシステム設定ファイルが盗まれる危険性があります。
WAFは、こうした不正アクセスを未然に防ぎ、企業の重要な情報を守る役割を果たします。
LDAPインジェクション
LDAPインジェクションは、ディレクトリサービスに接続するためのプロトコルであるLDAPに対して不正な文字列を挿入し、システムに想定外の動作を引き起こすサイバー攻撃です。この攻撃で不正アクセスを受けると、顧客情報が盗まれたり、Webサイトが改ざんされたりするおそれがあります。
WAFの導入によって、不正なLDAPクエリを検出し、システムの安全性を確保することが可能です。
WAFで防げない攻撃
WAFでは防ぎきれない攻撃も存在します。ここでは、具体的にどのような攻撃が対象外となるのかを解説します。
ネットワーク層に対する攻撃
WAFは、Webアプリケーション層に特化したセキュリティ対策ですが、ネットワーク層に対する攻撃には対応できません。ネットワーク層での攻撃は、ファイアウォールで対応可能です。
DDoS攻撃の一部やIPスプーフィングといった攻撃は、WAFだけでは防ぎきれないため、ファイアウォールと併用することをおすすめします。
OS・ミドルウェアに対する攻撃
WAFはアプリケーション層に特化しているため、OSやミドルウェアに対する攻撃は防げません。これらの攻撃は、侵入防止システム(IPS)で対応します。
例えば、OSの脆弱性を突いた攻撃やミドルウェアの不正操作は、WAFでは検知できないため、企業のシステム全体を守るためには、WAFとIPSの併用が効果的です。
botによる不正アクセス
botは、あらかじめ決められた処理を繰り返し実行するプログラムのことです。botによる不正アクセスの手口としては、何らかの方法でID・パスワードを入手し、繰り返し不正ログインを試みることなどがあります。
このような不正アクセスは、Webアプリケーションの脆弱性を狙ったものではないため、WAFで防ぐことはできません。そのため、多要素認証を設定するなどの対策が求められます。
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WAF導入時のポイント
ここからは、WAFを導入する際のポイントを紹介します。
Webサイトの脆弱性対策にWAFが有効か確認する
サイバー攻撃の種類によっては、WAFでは対応できない場合があります。そのためWAFを導入する際には、まず自社のWebサイトが抱える脆弱性に対してWAFが有効であるかを確認することが重要です。
Webサイトで発生しやすい脆弱性と、それを狙ったサイバー攻撃の種類について理解した上で、自社のセキュリティニーズに合ったWAFを選定しましょう。
Webサイトの運用状況を考慮しWAFの種類を選ぶ
WAFを導入する際には、自社のWebサイトの運用形態やシステム担当部署の有無など、運用状況をしっかりと考慮することが大切です。
例えば、専任のITスタッフがいない企業では、管理が簡単なクラウド型WAFが適しているかもしれません。逆に、自社で高度なセキュリティ管理を行える場合は、オンプレミス型WAFも選択肢となるでしょう。運用状況に合ったWAFを選ぶことで、効果的なセキュリティ対策が可能となります。
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WAFの性能・処理能力を確認する
自社のWebサイトが扱うトラフィック量や負荷に対して、WAFの性能や処理能力が適切かどうかを確認することも欠かせません。トラフィックが多いサイトの場合、処理能力が低いWAFでは十分な保護が提供できない可能性があります。
一方で、必要以上に高性能なWAFを選ぶと、コストが無駄になることもあるでしょう。そのため、自社のセキュリティ要件をもとに、コストと性能のバランスを考慮して選定することが大切です。
他のセキュリティ対策と組み合わせる
WAFはアプリケーション層に特化したセキュリティ対策ですが、総合的なセキュリティを強化するためには、他のセキュリティ対策と組み合わせることが有効です。例えば、ファイアウォールやIPSと併用することで、ネットワーク層やOSレベルの攻撃にも対応できます。
また、定期的なセキュリティ診断や脆弱性管理を行うことで、より効果的な防御体制が構築できます。複数の対策を組み合わせ、全方位をカバーできるセキュリティ体制を実現しましょう。
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WAFで防げる攻撃を把握しセキュリティ強化につなげよう
WAFは、Webアプリケーションを狙ったさまざまな攻撃からサイトを守るのに有効なセキュリティ対策です。ただし、防げる攻撃には限りがあります。そのため、WAFの機能を理解し、他のセキュリティ対策と組み合わせて総合的な防御を強化することが大切です。
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