反社チェックはどこまでやるべき?対象範囲や判明した際の対処法について解説

2024/04/11 2024/04/12

反社チェック

反社チェックはどこまで

反社会的勢力を見極め排除するための「反社チェック」。政府も反社会的勢力の排除活動を促進していますが、反社チェックはどこまで行うべきなのでしょうか。本記事では、反社チェックの必要性や反社チェックの対象範囲、反社との関りが判明した際の対処法について解説します。

反社チェックはなぜ必要なのか?

それでは、反社チェックがなぜ企業にとって必要なのでしょうか。ここでは具体的な理由について解説します。

反社勢力排除活動を促進しているため

1つ目の理由は、反社勢力排除活動が推進されているためです。この活動は、社会全体で反社会的勢力との関わりを断つことを目指して行われています。その一環として、企業が自らの手で取引先や底に所属する個人の背景を調べ、反社会的勢力とのつながりがないことを確かめることが1つの大きな流れとなっているのです。

また、警察や専門機関との連携を強化し、情報共有や相談体制の充実を図ることも推進されています。こうした取り組みは企業が健全なビジネス環境を確保・維持するためだけでなく、社会全体の安全と秩序を守ることにもつながります。つまり、企業が積極的に反社チェックを行うことは、自らのリスク回避だけでなく、社会貢献の一環ともいえるのです。

企業コンプライアンスを遵守するため

企業コンプライアンスを遵守するためにも反社チェックは必要です。コンプライアンスを遵守するということは、つまり法律や社会的規範を遵守するということになります。

反社会的勢力と無関係であることを明確にすることで、企業は不正行為や法律違反にはくみしない姿勢を示すことができます。企業が社会的責任を果たし、信頼を築くためにも、このような姿勢は重要です。

企業を存続させるため

反社チェックは、企業が長期にわたって安定して成長し、存続していくためにも必要不可欠です。特に、株式を新規上場する際の審査では、反社会的勢力と関わりを持たないための社内体制を確立していることが求められます。

反社チェックをしっかりと行うことで、企業は不正な資金の流入や不当な圧力・要求から自社を守ることにつながります。また、反社に対する取り組みを行うことで社会からの信頼を得ることもできるため、企業価値の向上にもつながるでしょう。

反社チェックは単にリスク管理の一環にとどまらず、企業が社会の一員として健全に活動していくための基盤ともいえるのです。

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反社チェックはどこまでやるべき?対象範囲・タイミングについて

実際に反社チェックを行うにあたって、範囲とタイミングはどのように決めればよいのでしょうか。ここからは、具体的な対象範囲と適切なタイミングについて解説していきます。

取引先企業

反社チェックは、新規及び既存の取引先企業に対して必ず行う必要があります。

特に新規取引先については、契約を結ぶ前にその企業の背景調査を徹底することが重要です。これには、企業の登記情報、経営陣の構成、過去の取引実績などが含まれます。また、その企業の大株主や顧問弁護士などの外部関係者も調査対象です。

調査結果に問題がなかった場合も、反社会的勢力排除を明記した条項を契約書に盛り込むことで、将来的なリスクを回避することにつながります。

一方の既存の取引先に対しても定期的なチェックを怠らないようにしましょう。反社会的勢力との関連性が疑われる情報を得た場合には、直ちに詳細な調査を行うべきです。

全従業員

全従業員に対する反社チェックも必須といえます。採用の段階で候補者の背景を調査することはもちろん、在籍中の従業員についても定期的にチェックを行うべきです。

特に重要なのは、役員やキーパーソンとなるポジションの従業員です。役員や重要なポストに登用してから反社会的勢力との関わりが発覚すると、企業としての信用も失うことになりかねません。ポスト就任の前にこれまでの経歴をはじめ、家族や親族などが経営している企業などについても調べておきましょう。

株主

自社の株主も、反社チェックの対象です。特に、株主が法人である場合、代表者や役員、大株主といった関係人物の背景や過去の取引履歴などを細かく調査することが必要になります。また、取引企業と同様、顧問弁護士などの外部関係者もチェックしておくと安心です。

自社の信頼性や安全性を損なわないためには、株主として自社に関係する人物や組織が健全である必要があります。こうした理由からも、株主の反社チェックを行うようにしましょう。

【業界別】どこまで反社チェックをすべきか

ここからは、実際のところどこまで反社チェックをすべきなのか、業界別に紹介していきます。

IT業界

IT業界では、従業員だけでなく、サプライチェーン全体にわたって徹底して反社チェックを行う必要があります。IT業界の特性上、データの安全性やプライバシー保護が重要であり、技術の進歩とともに情報セキュリティの重要性が高まっているのがこの理由です。

具体的には、ソフトウェア開発やシステム構築に携わるすべての関係者、さらにはサービス提供に至るまでの全過程で、反社会的勢力との関わりを持たないことを確認しなければなりません。顧客管理システムやクラウドサービスなどを用いてのチェックが行われることもあります。

不動産業界

不動産業界は、反社会的勢力や詐欺師などの介入が多く見受けられる業界であり、反社チェックが欠かせません。

具体的には、法人登記まで取得し、商号や役員に対するチェックを重点的に行います。土地の権利書やパスポートといった書類を偽造しているケースもあるため、詳細な調査が必要です。

また、新規取引先だけでなく、既存の取引先に対しても定期的な反社チェックを怠らないようにしましょう。

BtoCのサービス業界

BtoCのサービス業界においては、仕入れ先やその他の取引先の背景調査が基本となります。店舗を構える場合には、テナントのオーナーや不動産仲介業者の反社チェックも欠かせません。

不動産登記や住所地の確認を行う一方で、インターネットでの検索や過去の新聞記事といった一般的な調査方法ではテナント側に問題がないかをはっきりと確かめることは難しいといえます。こうした場合には専門の調査会社への依頼を検討しましょう。

M&A業界

M&A(合併・買収)業界では、M&Aデューデリジェンスにおいて不正受給や取引がないかと確認する必要があります。

M&A業界は特に銀行や保険会社との取引が多いため、反社会的勢力とのつながりが強いフロント企業などと関係を持ってしまうと、金融機関から取引停止や口座開設拒否などの制裁を受ける可能性があります。

M&Aは企業にとって大きな転換点となります。このような機会を反社会的勢力の影響によって損なってしまわないように、念を入れた反社チェックを行いましょう。

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反社勢力と関わるリスク

反社会的勢力との関わりがもたらすリスクは深刻です。ここでは、具体的なリスクについて紹介します。

社会的な信用を失う

反社会的勢力との関わりが発覚した場合、企業は社会的な信用を大きく失うことになります。罰則の対象となることはもちろん、行政からの指導を受けたり、業界内での取引が停止されたりすることもあるでしょう。

特に上場企業であれば、最悪の場合、上場廃止という重大な結果を招く可能性もあります。こうした数々の影響は、企業の経営基盤を揺るがし、事業の継続性にも深刻な打撃を与えることになるのです。

犯罪に巻き込まれる可能性がある

反社会的勢力と関わりを持ってしまうと、犯罪に巻き込まれるリスクが高まります。

反社会的勢力は、恐喝や詐欺、不正な取引、マネーロンダリングといった犯罪行為に手を染めることも多く、知らず知らずのうちにそのような行為に関与してしまうと、法的な罪に問われる恐れがあります。

また、反社会的勢力からの不当な要求に応じた結果、企業の資産や従業員の安全が脅かされる自体にもなりかねません。

反社勢力と判明した際の対処法

取引先や関係者が反社会的勢力とつながっていることが判明したら、どのように対応すればよいのでしょうか。ここでは具体的な対処法について詳しく解説します。

警察・弁護士に相談する

反社会的勢力との関わりが疑われる場合、まずは警察や弁護士に相談しましょう。警察や弁護士は反社会的勢力についての専門的な知識を持っているため、状況の正確な把握と法的なアドバイスを提供してくれます。

犯罪防止の観点から警察による迅速な対応を期待できるほか、弁護士からは、企業の法的な権利を守るための具体的な手続きのサポートを受けられます。これらの専門家によるサポートは、企業が自身を守りつつ、問題を適切に解決へと導くための第一歩となるでしょう。

取引中止・契約解除する

反社会的勢力との関わりが明らかになった場合は、できるだけ速やかに取引中止や契約解除を行いましょう。企業の倫理観を保ち、法的リスクを避けるためにも迅速さが肝心です。

ただし、契約解除には法的な手続きが伴うため、弁護士と相談し、適切な方法で進める必要があります。また、まだ契約を結んでいない場合は、トラブルを避けるために理由の明言を避け、自社都合として取引の中止を申し出ましょう。

反社チェックはどこまでやるべきなのか把握しよう

反社会的勢力との関わりは、企業にとって多大なリスクをもたらします。反社チェックは取引先、従業員、株主に至るまで、幅広い範囲で行うだけでなく、業界特有のリスクも考慮することが重要です。万が一の場合は警察や弁護士に相談し、必要に応じて取引中止や契約解除といった断固たる対応を取りましょう。

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