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社員の成長に投資する人的資本経営 社内ラジオで企業文化を育み自発的な行動を促進

取材日:2023/04/07

ふるさと納税サイト「ふるなび」をはじめ、国内最大規模の広告配信ネットワーク「i-mobile」や自社アプリの運営など幅広くインターネット事業を展開する株式会社アイモバイル。社員の成長を会社の発展に結びつける人的資本経営や、社内ラジオを通じた企業文化の醸成などについてお話を伺いました。※本文内、敬称略

お話を伺った人

  • 馬見塚有里恵さん

    馬見塚有里恵さん

    株式会社アイモバイル

    広報部

この事例のポイント

  1. 昇給のチャンスと実績を提示し、社員のモチベーションアップ
  2. 社内ラジオ「モバラジ」を通じて会社のバリューを浸透
  3. 社内アンケート調査で集めた意見をしっかり現場にフィードバック

大幅な賃上げで社員のモチベーションを上げる

2022年度に対前年度比11. 2%の大幅な値上げをされたのはなぜでしょうか?

馬見塚:当社の経営の根本には「働いてくれている従業員こそ価値を生み出す源泉である」との考えがあります。そのため人材価値を最大限に引き出せるように、戦略投資の一環として賃上げを行いました。

具体的な目的を挙げるとすれば、より長く働き続けてもらうための定着率の向上や社員のモチベーション向上などがありますが、それらを含めた組織全体へのポジティブなインパクトを期待した取り組みでもあります。

賃上げは、目的でもあった社員のモチベーションにどのような影響を与えましたか?

馬見塚:そうですね。査定による賃上げなので、当然、上がり幅には個人差があります。ですが、実際に大幅な給与アップを実現した社員がいるという実績は、間違いなく社員のやる気につながり、次回のチャンスに向けた自発的な行動やマインドになってくれた印象です。

「笑顔×成長×チーム」にこめた想い

働き方に関する社内制度を作る際、大切にしていることは何でしょうか?

馬見塚:新しい制度を作る際は、当社のバリューである「笑顔(Smile)×成長(Growth)×チーム(Team)」に沿っているかどうか確認します。ミッションとして「マーケティングで価値ある体験を提供し続ける」を掲げていますので、それを実現するために必要な価値観や想いをバリューに込めています。

それぞれのバリューの意味を教えてください。

馬見塚:まず「笑顔(Smile)」については、お客様に対してはもちろん、社内においても感謝や礼節を忘れずポジティブな声掛けをすることが大切だと考えています。また「成長(Growth)」には、進化のスピードが目まぐるしいIT業界の中で、変化を楽しみながら、成長への自己投資を惜しまずに経験を積んでいってほしいという思いが込められています。

さらに「チーム(Team)」は、お客様や社内のメンバーに関心をもつことで共に進化していきたいという意味があり、これら3つのバリューはどれが欠けても成立しないものとして、三位一体の価値観として社内に浸透させています。

バリューの言葉が会議室名になっているなど、社内には日常の中でバリューに触れる機会が作られている。

社内ラジオが会社と社員のつながりを強化

バリューを浸透させるための取り組みはありますか?

馬見塚:効果のあった施策は、ラジオの社内報「モバラジ」でしょうか。コロナ禍になってリモートワークに切り替わったタイミングで、社内コミュニケーションが希薄化しないように始めた取り組みです。

ラジオなので、「ながら聞き」で会社の情報をキャッチアップしてもらえるというメリットがあります。

どのようなコンテンツで放送されているのでしょうか?

馬見塚:私がナビゲーターを務めているのですが、社員をゲストとして招いてトークをしたり、メンバーからメッセージを募集したりする巻き込み型のコンテンツが多いですね。

クローズドな「社内ラジオ」だからこそできる身内話や、バリューを実践するための各社員のマイルールを紹介したりしています。バリューをより浸透させるために一番大事なことは、できるだけバリューを口に出して発信することだと考えているので、「モバラジ」を通じて「それってチームっぽいね」とか「スマイルできているね」などと発信することで、バリューを自分の行動基準として身近に感じる機会になっているのではと思っています。

社内の反応はいかがでしょうか?

馬見塚:定期的に行う社内満足度アンケート調査で、8割以上のメンバーから情報のキャッチアップに役立ったとポジティブな意見をいただきました。リモートワークでチームメンバーどうしが顔を合わせる機会が少なくなりましたが、ラジオでは話す声のトーンや人柄が伝わりやすく、「離れていても会社とのつながりを感じられるようになった」という意見が多いです。

バリューが浸透していると感じる場面はありますか?

馬見塚:当社では、受付の前にあるソファーでお客様にお待ちいただくのですが、自分のお客様でなくても全社員がお客様の前を通る際に、笑顔で気持ちのいい挨拶をしている様子を見るとバリューの浸透もそうですし、バリューを軸にした「アイモバイルらしさ」を感じますね。

挨拶くらいで?と思われるかもしれませんが、会社からそのような指示は一切出していないですし、実際のところ、そのような会社は珍しいせいか、お客様から喜びの声をいただくことも少なくありません。

バリューの「笑顔(Smile)」を理解して実践している様子が組織として日常的に共有されているので、各社員の自社への誇りにもつながっているのではと思います。

社員の声を拾い、しっかりフィードバックする仕組み

社員の満足度を上げるための施策を教えてください。

馬見塚:毎月1回、社内のエンゲージメントを調査するアンケートを実施しています。

アンケート結果は、経営層だけで活用するのはなく、現場にもしっかりフィードバックするようにしているので、自分の意見を会社がきちんと聞いてくれていると実感してもらう機会になっているのではないでしょうか。要望が必ずしも通るとは限りませんが、そのようなケースでも、会社として検討した結果や考え方を共有するようにしています。

社内アンケート調査から生まれた改善事例はありますか?

馬見塚:コロナ禍でオンライン会議が増え、部屋数が足りないという声があり、会議室が増設されました。また「1on1ミーティングの頻度を増やしてほしい」とか「会議の進め方を効率化してほしい」というような意見も吸い上げ、対策を現場にフィードバックしています。

会社として容認できない意見についてはどのように対応されていますか?

馬見塚:「なぜできないのか?」という理由をきちんと伝えるようにしています。会社と社員の関係が一方通行にならないように、意見を吸い上げてフィードバックすることが一番大事です。そのうえで会社として決定事項があれば、その意図や目的をきちんと発信し、社員一人一人に納得してもらえるように努めています。

社内制度の見直しや修正はどのようにされているのでしょうか?

馬見塚:組織に必要な制度やルールは、、時代の流れのほか、企業規模や組織の状況などの理由から、変化が求められることもあります。そのため、時代に即した柔軟さを心がけるほか、本当にいま必要な制度なのかということは常に意識していますね。

例えば、ここ数年で企業の規模が大きくなると同時に展開する事業も増え、各事業部ごとに最適な業務の時間帯が異なることや、働きながら子育てをするメンバーも増えるなど、画一的ではない「最適な働き方」が求められるようになりました。

そのような背景から、フレックスタイム制度を導入し、勤務体制を整えるなどの見直しを実行しています。結果、業務の効率性を向上しつつ、子育てを含む個々の事情にも柔軟に対応できるようになるなど、「生産性の向上」と「ワークライフバランス」の両立に貢献できているのではないしょうか。

これからどのような組織づくりを目指していきますか?

馬見塚:当社のバリューである「笑顔(Smile)×成長(Growth)×チーム(Team)」を、更に定着させて、社員がより自発性を持ち、積極的に行動する組織づくりを進めたいと考えています。コロナ禍のように大きな環境の変化が起きてもバリューに立ち返り、全社一丸となって同じ方向に進んでいけるような組織であり続けたいですね。

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ビズクロ編集部
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