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実績を出し続ける成長企業の営業手腕 必要なのは「本質」、成果を出し続けるテレワーク

取材日:2023/02/20

AIによる音声解析を活用し、ビジネス向けのクラウドIP電話をはじめ、Zoom会議の可視化ができるツールなどを展開する株式会社RevComm。“全社員フルリモート”ながら人材育成を通して成果を出し続けるポイントや考え方についてお話しを伺いました。※本文内、敬称略

お話を伺った人

  • 佐藤誠さん

    佐藤誠さん

    株式会社RevComm

    SDRチーム/マネージャー

  • 村上弘樹さん

    村上弘樹さん

    株式会社RevComm

    SDR Sales

この事例のポイント

  1. 徹底した可視化でリモート下での効果的な育成体制を実現
  2. 物理的距離を感じさせないテキストコミュニケーションの工夫

成果に「場所」は関係なし、コロナ禍前にフルリモート

まず最初に、御社の事業内容についてご説明をお願いいたします。

佐藤:会社としては2017年に設立し、2018年に人工知能と音声解析を掛け合わせたサービス事業を開始しました。

主なものとしては、「MiiTel(ミーテル)」という、音声解析AI機能を搭載したIP電話をお客様に提供しています。電話営業や顧客応対を自動録音してAIが文字を起こし、解析・可視化するものです。もうひとつは「MiiTel for Zoom」です。こちらもAIによる文字起こしとトーク分析機能を搭載していて、Zoom会議の可視化、社内共有を可能にするものです。

営業という職種において、よく挙げられる課題の一つにスキルやナレッジがブラックボックス化しやすいというものがあります。特に電話営業は、「同席」させることが難しいので、内容が暗黙知になりやすく人材育成がしにくい業務です。そのため、営業の内容を次の担当者に引き継ぐのが難しい、営業トークスクリプトなどの振り返りがしっかりできていないという問題を多くの企業が抱えています。

そのような営業や商談の内容を可視化して、属人化を防ぐだけでなく、効率的な人材育成を実現する、そんなツールになっています。

御社では、新型コロナの感染拡大以前、設立当初からフルリモートで社員の皆さんが仕事をしていると伺いました。テレワーク導入には、どのような背景があったのでしょうか?

佐藤:そうですね。創業時からテレワークが全社的に認められています。そもそも「成果」に着目した場合、業務に必要な環境さえ整っていれば、働く場所は重要ではないはずですよね。

極端な話、地球の裏側で時差があって働きづらいなどでなければ、テレワークだからといってパフォーマンスが下がるわけではありません。それであれば、働く場所の多様性を認めた方が柔軟な働き方ができますし、場所や時間に過度にしばられず、充実したライフスタイルを送ることができます。

当社も本社は東京にありますが、日本全国に社員がいますし、アジアなどの海外を拠点にして仕事をしている人もいます。特にフルリモートによる不都合を感じることなく、仕事ができていると思います。

「リモート=人材育成できない」は、本質ではない

パフォーマンスを下げずにフルリモートで仕事をするための工夫や、仕組みなどはあるのでしょうか?

佐藤:当社では、ツールの活用により営業電話の件数、通話時間などのパフォーマンスが、常にダッシュボードで可視化されています。

もちろんアポ獲得数なども日々共有しているので、メンバーのパフォーマンスと成果をリアルタイムで把握することができるようになっているんです。そのため、成果が上がらない原因の追求がしやすい。例えば、そもそも架電件数などの活動量に問題があるのか、お客様との通話はある程度確保できているのに、成果につながっていないのか、などです。

なので、「ちゃんと話せているのに成果が上がってない」となれば、本人からSOSをもらう前に、記録されている会話を聞いてフィードバックすることもありますね。

リモートならではの人材育成の課題を感じられたことはないということでしょうか?

佐藤:「全くない」と言えると思います。営業の仕事は、個人スキルの影響が大きい職種だと言われていますが、それでも一定の「勝ちパターン」、「成功率を上げるコツ」はあります。

具体的には、記録された会話への改善点の提示のほか、成約した商談の内容、お客様に刺さったキラーフレーズなどを可視化し、共有してチーム全体のスキルの底上げをおこなっていますが、そういったノウハウの共有でリモート環境だからできないと感じたことはないです。

ただ、その前提としてリモートでもパフォーマンスを下げないための「可視化される仕組み」が整えられている点が大きいかもしれません。何をしているのかが見えないと、いくら言葉で伝えても律するのが難しい部分は、確かにあると思うので。

「話す内容」だけに注力しても結果は出ない

スキルの共有やフィードバックについて、もう少し具体的にお聞かせいただけますか?

佐藤:これは営業をしている企業であればみなさんやっているかと思うのですが、例えば電話営業の場合、トークスクリプトを作って、人によって話す内容がばらばらにならないようにしています。それから、もう一つは話し方。電話での営業は、話す内容と話し方、この2つを整えて組織に落とし込めれば、効果を出すことができるというのが私の考えです。

営業部署でよくあるのは、トークスクリプトを磨きこんで、それに沿って話しをしているのに、人によって結果にばらつきが出る、組織として成果をあげられないという問題です。 そういうケースでは、話す内容はしっかりと準備できていても、話し方がばらばらということが多いように感じます。

当社の営業部署では、話し方についても担当者に方法を落とし込み、それぞれ独自のやり方ではなく、ある程度同じやり方ができるようにしています。1週間程度の期間を区切って、アポイントが取れたトークと取れなかったトーク、それぞれの傾向を出してどう違うのかをみているんです。それから過去のデータと比較するなどして、営業活動がうまくいく理想とする話し方・理想値を出して担当者に共有します。それと比較したときに、どこが違うかをフィードバックしながら、理想とする話し方に近づけていく、そんなやり方です。

営業の成果が属人的にならないように、組織としてやり方を均一化しているんですね。

佐藤:営業という仕事は個人個人の得手不得手で語られがちですが、そうではなくて、方法論さえしっかり落とし込むことができれば、ある程度均一化した成果が全体で出せると考えています。「ハイパフォーマンスの営業」をしている人たちも、何か特別な才能を持っているわけではなく、成果を出すための方法を知っていて、それを実践した結果として成果が出てるのではないでしょうか。

だからこそ、話す内容はもちろん、話し方についてもどうすべきかという方法論を作りこんで整備することが必要です。毎日、詳細な日報で「話した内容」を共有しているのに、成果に変化が出ないという会社は、もしかすると「話し方」の方法論化ができていないのではないかと思います。

再現性を追求するための仕組みを作っておかなければ、組織として成果を出し続けるのはおそらく難しいですよね。

入社後、オンラインだからこその気遣いに感じた安心

村上さんは入社なさったばかりとお伺いしていますが、フルリモートという点で、不安などはありませんでしたか?

村上:私は4か月ほど前に、オフィス勤務の会社からRevCommに転職しました。フルリモートという点で前職とは大きく異なる環境でしたが、コミュニケーション上の不都合を感じたことはないんです。

前の職場では、隣に座っていつでも声がかけられる環境でした。コミュニケーションの必要性を意識することがなかったので、逆に意思疎通が少しおざなりになっていたのかもしれないと感じます。これは、フルリモートで仕事をしてみて、改めて気が付いた点ですね。

今は、オンラインだからこそ相手に対する気遣いを重視する文化があると実感しています。特に入社直後は、困っていることはないか連絡をくれたり、何かあったらすぐに共有してもらったり、いろいろと周りが気にしてくれているのをオンラインでも感じました。

上司とも毎朝オンラインミーティングがあり、思っていることや希望をすぐに伝えることができる環境で、近くに人がいる以上の安心感があります。

会社全体で、コミュニケーションに関して、気を付けていることや意識していることはありますか?

佐藤:テキストコミュニケーションでいうと、相手の表情や声のトーンがわからないからこそ、何かしてもらった際のお礼や感謝をしっかりと伝えるようにしています。当社では、チャットで会話するときには「ありがとうございます」をみんなよくつかいますね。

それから、社内全体で、基本的にダイレクトメッセージをしないようにしています。仕事に関するやり取りはオープンでおこない、どこでどんなやり取りがおこなわれているかわからない、情報がないという状況をつくらないようにしています。

みんなに見える場所でやりとりすることで、特に周知の手間をとらずに全員が状況を把握することができますし、あとから検索もかけられます。情報不足にならないというだけではなく、業務の効率もいいんです。

直接姿が見えないからこそ、できる限りクローズドなやり取りをなくし、透明性ある仕事の仕方を心がけています。

数年ぶりのオフライン対面、よかったこととは?

社員同士が直接顔を合わせるような機会やイベントなどはあるのでしょうか?

佐藤:つい最近、全社員が一堂に会する日がありました。会社の規模が小さいときは、半年に一回ぐらい全社ミーティングのような場があったのですが、今回は数年ぶり、本当に久しぶりで、コロナ禍以降初めて全社員が集まったんです。

村上:私は入社以来、社員のみなさんと会うこと自体が初めてでした。実際に会ってみたらイメージしているよりも背が高いとか、チャットであまり投稿しないので無口だと思っていたらとてもよく喋る人だったとか、意外な発見がたくさんありました。

入社間もないタイミングでリアルに会って話ができたことは、自分としてはとてもプラスになったと感じています。

佐藤:改めて考えると、うちの会社の場合、仕事のときは、ちょっとした雑談など、プライベートの話をしたり、パーソナリティにふれたりする機会があまりないんです。

意識しているわけでも禁止しているわけでもないのですが、事業目標達成のために振り切って働く、とういうことにやりがいを感じる人材が集まった結果なのかなと感じています。

そういう意味で、このオフラインミーティングはそれぞれの人となりを知る良い機会だったと思います。実は私自身、かなり酔っ払ってしまって、怒られたんですが(笑)。

育成も共有も「フルリモートだから」の不可能はない

仕事をする上で、御社で大事にしているバリューや、社員に求める取り組み方などはありますか?

佐藤:役割やポジションにとらわれず、主体的に仕事をするということです。上からの指示を待つのではなく、全員がオーナーシップを持って事業活動に取り組む姿勢が重要だと考えています。

大手企業でも安定企業でもない、スタートアップ企業である当社に入社してきた人は、みんな成し遂げたい何かがあるはずです。そんな中で、言われたことを淡々とやっているなんてもったいないですよね。だからこそ、役職や社歴、年齢に関係なく、発言できる風土は重要だと思います。

私もマネージャーとして、上司部下に関係なく、どんどん意見を上げるように日頃からメンバーに伝えていますし、私自身、必要だと思えば経営陣や事業長に対しても提議します。

ただし、必要なことをはっきりと伝えるには、前提として相手に対するリスペクトがあってこそだと思います。私は、目上の人だけではなく、部下や新しく入った人も含めて、全員に対して敬語を使うようにしています。一緒に働く仲間を尊重して、言葉の使い方にも気を配ることが大切だというポリシーでもあるんです。

村上:私は入社したばかりですが、年上だとか先輩だとかというのを入社してから特に意識したことはないんですね。やはり、事業の売上達成という同じ方向をみんなが向いてプロとして仕事をしているので、言うべきことは言うというのが当たり前の社風なのかもしれません。

佐藤:働く場所や立場など、目先のことがつい気になってしまうこともあるかと思うのですが、ぞれぞれのやるべきことが「事業成長への貢献」である本質は変わらないはずです。

もちろんポジションによって、貢献へのアプローチの仕方が変わってくるのはありますし、先にお伝えした営業活動の見える化といった仕組みを含めて、課題が表面化した時、あるいは、表面化する前に、キャッチアップできるような仕組みづくりは重要になるでしょう。また、社内の風通しを良くして、それぞれが自分の意見や提案を正直に、そして、敬意を持って共有できる「透明性」の確保も、継続的な成長を遂げる上では欠かせません。

でもそのマネジメントに、「フルリモートかどうか」は、本質的には関係していません。大切なのは、業務に集中でき、成長を続けられる環境が整っているかどうかです。だからこそ、フルリモートなんて怖くない、と自信を持ってお伝えしたいですね。

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