AIでできること・できないことの一覧|具体例や活用事例を紹介
さまざまな分野で能力を発揮しているAI(人工知能)ですが、万能な技術ではありません。得意とする作業や分野もあれば、現時点でAIが苦手あるいは対応できないタスクも存在します。AIを効果的に活用するために、当記事で「できること」「できないこと」を確認してください。
目次
AI(人工知能)とは?学習の仕組み
AI(人工知能)とは、人間が脳内で行う知的活動をコンピューター上で再現する技術です。主に「機械学習」と「深層学習」の2つの方法を使って学習します。
機械学習では、大量のデータからパターンを見つけ出し、予測や判断を行います。深層学習は、さらに複雑な層を重ねて学習し、人間のように高度な判断を可能にする学習方法です。AIは私たちの日常生活やビジネスに大きな変革をもたらしています。
マシンラーニング(機械学習)
マシンラーニング(機械学習)とは、コンピューターが人間からの指示に基づいてデータを分析し、その中から法則性を学ぶ仕組みです。人間が与える指示に従ってパターンを見つけ出し、次の判断や予測に活かします。従来のルールベースのプログラムでは難しかった複雑な問題の解決が可能となり、さまざまな分野で活用が広がっているのです。
ディープラーニング(深層学習)
ディープラーニング(深層学習)とは、コンピューターが自ら多層の神経ネットワークを使ってデータの特徴を学び取る仕組みです。
従来の機械学習では捉えきれなかった複雑で幅広い特徴をコンピューターが自動的に把握し、より高度な判断や予測が可能になります。ディープラーニングによって、画像認識や音声認識など、さまざまな分野で飛躍的な進化が見られています。
AI(人工知能)で「できること」一覧
AIは、さまざまな分野で私たちの生活を支えています。具体的にAIが「できること」の一覧は以下の通りです。
- 音声の認識
- 画像認識と処理
- 言語理解や生成
- 単純作業の自動化
- 異常の検知
- 推測や予測
AIの活用により、ビジネスや日常生活にどのような変化がもたらされているのかを見ていきましょう。
音声の認識
音声の認識とは、AIが音データから人間の音声を抽出し、その内容を理解する技術です。話されている言葉が何であるかをコンピューターが自動的に判別し、テキストとして表示したり、指示に応じた行動を取れます。
音声認識の技術により、音声アシスタントや自動翻訳など、さまざまな場面で私たちの生活が便利になっています。
画像認識と処理
AIは、画像を分析して物体を認識し、分類することが得意です。例えば、写真の中から人や物体を特定しそれを分類することで、顔認識や自動運転、医療診断など、さまざまな分野で活用されています。
人間の手を借りずに多くの情報を迅速かつ正確に処理することが可能となり、ビジネスや日常生活の効率が大幅に向上しているのです。
言語理解や生成
AIは言語を理解し、テキストを生成できるため、記事の執筆やチャットでの応答など、さまざまな言語に関するタスクを迅速かつ正確に行います。
例えば、カスタマーサポートでのチャットボット対応や、自動での文章生成など、AIが関わることで業務効率が向上し、ユーザーの満足度も高まっているのです。この技術は、日常業務やコミュニケーションの場でますます重要な役割を果たしていくでしょう。
単純作業の自動化
AIは、決められた指示に従って機械を制御し、単純作業を自動化することが可能です。例えば、製造業での部品組み立てや、データ入力の自動化など、反復的な作業を効率的にこなします。労働力をより創造的な業務に振り向けられ、全体の生産性が向上するでしょう。
AIの導入は、単純作業の効率化だけでなく、業務全体の改善にも大きく寄与しています。
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異常の検知
AIは、通常稼働時の状態を学習させれば、設備や機械の異常を検知できるようになります。例えば、工場内の機械がいつもと異なる動きをした場合、AIが即座にそれを察知し、異常を警告するでしょう。故障の早期発見や事故の未然防止を可能にし、設備の稼働率向上とメンテナンスコストの削減につながる重要な能力です。
AIの異常検知技術は、安全で効率的な運用に大きな役割を果たしています。
推測や予測
AIは、過去のデータを基に未来の出来事を推測・予測することが得意です。例えば、売上の予測や需要の変動、さらには機械の故障予測など、膨大なデータを分析して将来の動向を見通せます。企業はリスクを軽減し、戦略的な意思決定を行うことが可能となるのです。
AIの予測能力は、ビジネスの競争力を高めるための重要なツールとなっています。
AI(人工知能)で「できないこと」一覧
AIは非常に多くのことを実現できますが、まだ「できないこと」も存在します。AIが「できないこと」の一覧は以下の通りです。
- 感情の理解と共感
- クリエイティブな作業
- 創発的な問題解決
AIが苦手とする、または現時点で対応できない分野についてご紹介します。
感情の理解と共感
AIはデータを解析を基に感情を模倣することは可能ですが、本当の意味で感情を理解し、共感することはできません。人間の複雑な感情や微妙なニュアンスを正確に捉えるのは難しく、倫理的判断や道徳的な思考も困難です。
したがって、AIが感情に基づいた意思決定を行うことは期待できず、人間の感情を完全に理解することはまだ先の課題となっています。
クリエイティブな作業
AIはパターン認識や既存データからの新しい生成が得意ですが、完全に独創的で予測不可能なアイデアや作品を生み出すことは難しいです。AIは過去のデータに基づいて生成を行うため、従来の枠にとらわれない創造性を発揮するのは人間の領域と言えるでしょう。
このため、ゼロから1を生むアートやデザインなどのクリエイティブな作業においては、AIが人間の感性を超えることはまだ難しいとされています。
創発的な問題解決
AIは、新しい分野や明確なデータが存在しない問題に対して、効果的な解決策を見つけることが難しいです。既存のデータやパターンに頼るため、イレギュラーな質問や未知の状況への対応は苦手と言えます。
創発的な問題解決には、柔軟な思考と新しい視点が求められますが、いずれも現在のAIの能力を超えたものです。そのため、AIは人間のような創造的な問題解決が得意ではありません。
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AI(人工知能)の影響や将来性
AIは、私たちの生活やビジネスに大きな影響を与えています。ここでは、AIがもたらす影響や将来性について詳しくご紹介します。AIの進化が私たちの未来にどのように関わっていくのかを見ていきましょう。
需要は高まる傾向にある
生成AIの普及はさらに加速し、私たちの生活にますます身近な存在となることが予測されています。AIがさまざまな分野での業務を効率化し、創造的な作業にも活用される機会が増えるでしょう。
特に、文章生成やデザインの支援など、日常的な業務からクリエイティブな分野まで、生成AIの需要はますます高まる傾向にあります。
雇用に一定の影響を与える
AIの普及により、単純作業や反復的な業務は減少し、それに伴い一部の職種が淘汰される可能性があります。しかし一方で、創造性が高く人間の代替は難しい職種は維持されるでしょう。また、AIを活用した新しい職種や、AIを管理・運用するための専門的なスキルを持つ人材の需要は増えると予測されています。
今後このように労働市場の構造が変化し、求められる働き方や分野、スキルの高さを含め、AIは雇用に大きな影響を与えるでしょう。
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AI(人工知能)の技術を用いた活用事例
AIの技術は、さまざまな分野で活用されています。ここでは、実際にAIを用いた具体的な事例を紹介します。
医療業界の事例
富士フイルムは、写真フィルムで培った独自技術を進化させながらヘルスケアやエレクトロニクスなど幅広い分野で製品・サービスを提供する企業です。事業の一環としてAI技術を活用してアルツハイマー病の進行予測に取り組んでいます。患者の脳画像や認知能力スコアテストなどの医療データを解析し、病気の進行を早期に予測することで、より効果的な治療計画の立案を支援することが目的です。
AIによる精密なデータ分析が可能となり、医療現場での診断精度向上と治療の質の向上に寄与しています。富士フイルムのこの取り組みは、医療業界におけるAIの可能性を示す重要な事例です。
[参照:富士フイルム株式会社「富士フイルムと国立精神・神経医療研究センター AI技術を用いて軽度認知障害患者のアルツハイマー病への進行を最大88%の精度で予測」]
農業の事例
デンソーは、自動車の分野で先進的な技術を用いたシステム・製品を提供するグローバルな自動車部品メーカーです。AI技術を組み込んだ自動野菜収穫システムを開発し、農家の作業負荷を大幅に軽減しています。AIが野菜の成長状況を分析し、収穫のタイミングを自動で判断してロボットアーム等を用いた収穫作業を自動的に行うシステムです。こうした技術の活用により農業の効率化が進み、人手不足の解消にもつながっています。
デンソーの取り組みは、農業分野におけるAI活用の先進的な事例として注目されています。
[参照:株式会社デンソー「デンソーとセルトン、房取りミニトマトの全自動収穫ロボット「Artemy」を欧州向けに受注開始」]
金融業の事例
セブン銀行は、セブン&アイグループの各店舗のほか商業施設や公共施設などにもATMを設置し、DXを活かした金融サービスを展開する金融機関です。世界最高レベルの精度を誇る顔認証技術を搭載した次世代ATMを導入しています。このATMは、顔認証によって本人確認を行い、安全性を高めつつ、カードやパスワードを使用せずに取引が可能です。
ユーザーの利便性とセキュアなサービスを追求しているセブン銀行の取り組みは、金融業界におけるAI技術の革新的な応用事例と言えます。
[参照:株式会社セブン銀行「+Connect」]
小売業の事例
ローソンは、1975年の創業以来、全国に店舗を展開するコンビニエンスストア・チェーンです。IT戦略に力を入れており、AIを活用した次世代のコンビニエンスストアの実証実験として「オープンイノベーションセンター」を設置しています。AI技術を駆使して商品の陳列や在庫管理、さらには顧客の行動分析を行い、効率的な店舗運営を目指しているラボです。店舗の運営効率を向上させつつ、顧客体験の向上も図っています。
ローソンのこの取り組みは、小売業界におけるAI導入の重要なステップとして注目されています。
[参照:株式会社ローソン「未来のコンビニはどうなっている?ローソンの「オープンイノベーションセンター」を見てきた!」]
不動産業の事例
ヒノキヤグループは、注文住宅事業を中心に、断熱材、不動産、介護など幅広く事業を展開する企業です。AIチャットボットを活用し、社内のノウハウ共有と営業力強化に成功しています。このチャットボットは、社員からの質問に即座に回答し、業務に必要な情報を効率的に提供することで営業活動をサポートできるのが強みです。
チャットボットの導入により、社内の知識が一元化され、新人からベテランまでが均一なサービスを提供できる環境が整いました。この取り組みは、不動産業界におけるAIの活用方法の可能性を示した成功事例です。
[参照:EXA CORPORATION「AIチャットボット導入で受注拡大に向けて営業力を強化 株式会社ヒノキヤグループ様」]
AIには「できること」「できないこと」が存在する
AIは、私たちの生活やビジネスに多くの可能性をもたらす一方で、まだ「できないこと」も存在します。高度な分析や自動化が得意ですが、感情の理解や創造的な思考には限界があるのが現状です。
AIを上手に活用することで、その強みを最大限に引き出し、弱点を補うことができます。今後もAI技術が進化する中で、その活用範囲はさらに広がり続けるでしょう。
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