ライセンス管理とは?必要性や課題・効率化する方法を解説
業務で利用するソフトウェアが適切に扱われているかを把握する「ライセンス管理」。ソフトウェアの不正利用は法令違反となるため、リスクマネジメントの一環として注意を払う必要性があります。本記事では、ライセンス管理とは何か?実践の課題や効率化の方法について解説します。
目次
ライセンス管理とは?
ライセンス管理とは、企業が業務に活用するソフトウェアが、使用許諾契約書(ライセンス契約)に基づいて適切に使用されているかを把握する作業を指します。
もし、適切なライセンス管理が行われないと、意図しないソフトウェアの不正使用が企業に紛れ込み、多額の損害賠償を求められるリスクが発生します。また、不要なソフトウェアにライセンス料を払い続けることなどで、無意味なコスト増大を招くこともあるでしょう。
つまり、企業によるソフトウェアのライセンス管理は、業務の円滑化やコンプライアンスの維持に欠かせない取り組みと言えます。
使用許諾契約書(ライセンス契約書)とは?
使用許諾契約書(ライセンス契約書)とは、ソフトウェアを利用する際のルールや条件を明記した契約書であり、ライセンス管理の基本となる重要な書類です。
主な内容としては、利用できる台数や期間、使用目的、免責事項などが挙げられます。この契約を順守すれば、企業はソフトウェアの不正使用に問われるリスクが無くなり、余計な心配をせずに業務に専念できます。
ライセンス管理の必要性
ライセンス管理とは、企業内のソフトウェアに対する法的リスクの回避や、コスト削減に役立ちます。その必要性や機能について、以下に詳しく解説します。
不正利用を防止しソフトウェアを適切に運用するため
ライセンス管理は、組織におけるソフトウェアの不正利用を防ぐためには欠かせない工程です。
組織の人数が増えてくると、従業員が個人の判断でライセンスのないソフトウェアを使用したり、過去に購入したソフトウェアのライセンス切れを放置してしまう、といった事態が起こりがちです。
だからこそ、適切なライセンス管理によってトラブルを未然に防ぎ、安心して業務に集中できる環境を整えることが重要です。
ライセンスの数・利用状況を把握するため
ソフトウェアのライセンス数や利用状況を正確に把握すれば、不要なライセンスの契約を解除したり、余ったライセンスを他の部署で活用するなどの対処が可能です。
また、新しい部署やプロジェクトを立ち上げる際にも、きめ細かなライセンス管理の情報は組織運営をよりスムーズにしてくれるはずです。
ソフトウェアの安全性を維持・向上するため
ソフトウェアのバージョンを適切に管理すれば、常に最新のセキュリティ対策を適用することが可能となります。
あるいは、使用しているソフトウェアに回避できない脆弱性が発見された場合には、一時的にそのソフトウェアだけをインターネットから切り離す、といった柔軟な対処を取ることも可能になります。
つまり、適切なバージョン管理は、企業の情報資産を守るための土台となるでしょう。
ライセンス管理の課題
適切なライセンス管理を実行するには、一定の課題があると言われてます。具体的な課題について、以下に解説します。
ライセンス契約の重要性が理解されていない
一般的に、多くの従業員はライセンス契約の重要性を理解しておらず、個人の判断で不正利用のリスクを犯しがちな傾向があります。
とりわけ、近年はテレワークやタブレットの普及の影響から、業務で扱う端末の台数が急激に増えているため、ライセンスの範囲を超える台数にソフトウェアをインストールしてしまう事例が増えています。
対策としては、ライセンス契約の意義を正しく理解させる研修を行うことなどが挙げられるでしょう。
管理対象が多く契約内容も複雑で正確な管理が難しい
近年におけるライセンス管理では、対象となるソフトウェアの種類や数が多く、契約内容も製品ごとに異なるため、どうしても管理が複雑になりがちです。
契約内容のパターンが多岐にわたると、条件を正確に把握し、適切に管理することが難しくなります。この複雑さを原因とする認識漏れ、契約違反などが発生するリスクがあるため、効率的な管理を実現するには専門ツールの導入が賢明でしょう。
ライセンス管理を効率化する方法
ライセンス管理を効率化するためには、一定のポイントがあります。実践的なアプローチについて、以下に詳しく解説します。
ライセンス契約について理解を深める
ライセンス管理の精度を高めるためには、契約のパターンをしっかりと理解することが必要不可欠です。
当たり前の話ですが、ソフトウェアごとに異なる使用条件や制約を把握しなければ、適切なライセンス管理はおぼつきません。まずは、従業員への教育を通じて、ライセンス管理の重要性を組織全体で共有することが、最初の一歩として求められるでしょう。
必要性の高いライセンスから管理する
全てのライセンスを漏れなく管理することが非現実的である大規模組織では、優先度の高いソフトウェアから順に調査を行いましょう。
例えば、業務に欠かせないソフトウェアや、維持コストが大きいライセンスから順に管理を進めていくことで、リスクを抑えつつ現実的なライセンス管理を進めることが可能です。
台帳を作成し管理した内容をわかりやすくまとめる
ライセンス数や契約内容を台帳にまとめ、管理内容を誰にでもわかるように整理しましょう。
とりわけ、複数のライセンスを扱う企業では、整理された台帳がトラブルの防止に非常に役立ちます。実践的な台帳の種類について、以下に詳しく解説します。
ライセンス台帳
ライセンス台帳とは、利用しているソフトウェアを一覧で管理するための記録帳です。
主な記載内容として、ソフトウェアの名称、エディション・バージョン、使用許諾条件、ライセンス形態、購入日などが挙げられます。こうした台帳を整備しておくと、更新のタイミングや利用状況を把握しやすくなるため、より無駄のない管理の実践に役立つはずです。
ライセンス関連部材台帳
ライセンス関連部材台帳とは、ソフトウェアライセンスに付随する資料や証書、マニュアルなどを管理するための記録帳です。
主な内容として、インストールメディアやライセンス証書の保管場所、シリアル番号、プロダクトキー、契約書のコピーなどが記載されます。ライセンス台帳の付属書類として、必要な問いにだけ閲覧できる体制を整えておくと、よりライセンス管理の運用が的確になるはずです。
ソフトウェアの利用を制限しておく
認可されたソフトウェア以外のインストールに制限をかけることも、組織におけるライセンス管理として有効な手法です。専用ツールを用いれば、認可されていないソフトウェアのインストール時に警告を表示したり、管理者にその内容を通知することも可能です。
インストールの段階で制限を設けてしまえば、あらゆるコスト増や法的トラブルを未然に防ぐことができるため、合理的な措置として多くの企業で導入されています。
ライセンス管理ツールを活用する
ライセンス管理ツールとは、ライセンス情報の一元的な管理をサポートするシステムです。
このツールを使えば、各ソフトウェアの契約状況や利用状況を自動的に把握し、更新時期の通知や使用状況の分析がスムーズに実行できます。手作業での管理に比べると、圧倒的に時間や手間を削減できるでしょう。
大規模組織などでゼロからライセンス管理を始める場合などでは、できる限り情報収集を自動化できるツールを活用することが望ましいでしょう。
専門業者に依頼する
ライセンス管理を自社で行うことが難しい場合には、専門業者へのアウトソーシングも可能です。
専門業者は、複雑な契約内容や管理手続きを熟知しているうえ、最新の知識を基にしたアドバイスを提供しているケースも多いようです。内部リソースを他の業務に集中させたい場合には、ライセンス管理をまるごとアウトソーシングしてしまうのも一つの手です。
ライセンス管理を徹底しソフトウェアを適切に運用しよう
ライセンス管理を適切に行えば、ソフトウェアの費用対効果を最適化しつつ、法的リスクを回避できます。
管理ツールや専門業者へのアウトソーシング、必要性に応じたインストールの制限などを取り入れて、企業の内情に沿った対策を取ることが重要です。また、的確なライセンス管理は、企業の信頼性と生産性を向上しつつ、長期的なコスト削減にもつながります。ライセンス管理を導入して、ソフトウェアのコストパフォーマンスを最大限に高めましょう。
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