【簡単解説】PRの意味とは？重要性や種類・メリット、広告や宣伝との違いを解説

PRの意味とは？

PRとは「Public Relations」の略であり、企業や団体が公衆からの信頼を獲得し、良好な関係を築くための活動のことです。具体的には、商品やサービスの紹介だけでなく、企業そのものへの理解や信頼を得るための情報発信やコミュニケーションが該当します。

公益財団法人日本パブリックリレーションズ協会は、広報・PRについて以下のように解説しています。

つまり広報・パブリックリレーションズは、“関係性の構築・維持のマネジメント”である。企業・行政機関など、さまざまな社会的組織がステークホルダー(利害関係者)と双方向のコミュニケーションを行い、組織内に情報をフィードバックして自己修正を図りつつ、良い関係を構築し、継続していくマネジメントだといえる。
出典:公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会「パブリックリレーションズとは」

PRと広告・宣伝の違いとは？

広告は、企業がテレビCMや新聞の広告枠を購入し、自分たちが伝えたいメッセージを直接的に表現する方法です。近年はWebサイトや動画サイトに掲載するWeb広告も一般的になっています。

一方の宣伝は商品やサービスの情報を広く知らせる活動全般を指し、広告だけでなく、イベントやSNSなどを用いる手法も該当します。

ここではPRと広告・宣伝の違いを詳しく見ていきましょう。

目的の違い

PRの目的は、企業活動への理解を深めてもらい、信頼を築くことにあります。例えば、社会貢献活動や企業理念を発信することで、企業そのものの価値を伝えることが重要です。

一方の広告・宣伝の主な目的は、自社製品やサービスの販売促進です。商品・サービスの魅力や特徴を直接アピールし、購入や利用につなげることを目指します。

このように、PRは「信頼を得ること」、広告・宣伝は「売上を伸ばすこと」に焦点を当てた活動といえるのです。

情報発信の方法の違い

PRでは、企業が伝えたい情報をメディアに提供し、ニュース番組や記事として取り上げてもらう形でその情報を発信します。中立の第三者を介して情報が発信されるため、客観性が高く信頼されやすいのが特徴です。

一方の広告・宣伝は、企業が自ら広告枠やCMを購入し、直接自社のメッセージを発信する方法です。広告は商品・サービスの魅力を自由に表現できる反面、視聴者や読者には「販売促進のためにポジティブな面のみを伝えている」と受け取られやすい特徴があります。

発信できる情報の違い

PRでは、メディアが情報を取り上げる際に内容の信頼性や公共性をチェックするため、発信したい内容がすべて報道されるわけではありません。

一方、広告・宣伝では、自社が表現したいメッセージをそのまま発信できます。広告枠を購入するため、内容に制限なく、自分たちの意図に沿った情報を伝えることが可能なのです。

この自由度の違いが、PRと広告・宣伝の役割を分ける大きな要因となります。

費用の違い

PRでは、広報担当者の人件費や、自社のWebサイト・SNSの運営費が主な費用です。

一方で、広告・宣伝では、広告の制作費に加え、テレビや新聞、Web広告などに掲載するための費用が必要です。そのため、PRに比べて広告・宣伝の費用は割高な傾向があります。

予算や目的に応じて、適切な方法を選ぶことが企業戦略の重要なポイントとなるでしょう。

情報を伝える力の違い

PRは、ターゲット層に適したメディアを選び、そのメディアを通じて情報を発信することで、必要な相手に効率よく伝えることが可能です。

一方の広告・宣伝は視聴者に流し見されることも多く、意識的に注目される機会が少ないため、PRに比べて情報を深く伝える力がやや弱いといえるでしょう。

情報の信頼度の違い

PRは、第三者であるメディアが情報を発信するため、客観的で信頼度が高いと認識されやすい点が特徴です。例えば、ニュース記事や番組で取り上げられた情報は独立した視点から発信されているため、消費者からの信用を得やすいといえます。

一方、広告・宣伝は企業が直接発信する情報であるため、主観的であると見なされやすく、PRに比べると信頼度がやや低いと考えられます。

PRの重要性

企業活動においてPRが重要なのは、消費者や取引先などの利害関係者に、自社の取り組みや価値を正しく理解してもらう必要があるためです。

企業の活動はときに不透明に感じられることがあるため、PRを通じて情報を発信し、透明性を確保することで共感や信頼を得ることができるでしょう。

例えば、環境への取り組みや社会貢献活動についての情報を発信することで、企業の姿勢や価値観を知ってもらうきっかけとなり、ブランドの信頼性を高める役割を果たすのです。

PRの種類

PRにはプル型戦略とプッシュ型戦略の2種類があり、自社の目的やターゲットに応じた手法を選ぶ必要があります。ここではそれぞれの戦略について見てみましょう。

プル型戦略

プル型戦略は、消費者に自発的な行動を促すことを目的としたPRの手法です。例えば、魅力的な情報をSNSやWebサイトで発信し、興味を持った消費者が自ら情報を検索したり商品を購入したりするよう誘導します。

この戦略は、企業側が押し付けるのではなく、消費者が自発的に動くように促す点が特徴です。情報の質や共感を得られる内容が重要であり、長期的に信頼関係を築くのに適した戦略といえるでしょう。

プッシュ型戦略

プッシュ型戦略は、企業が積極的に消費者にアプローチし、商品・サービスの購入や利用を後押しする方法です。例えば、キャンペーンや限定オファーを活用して、消費者に商品やサービスを直接提案します。

この手法は、消費者の注意を引きつけることを目的としており、短期間で成果を上げたい場合に効果的です。消費者にとっての利便性やメリットをわかりやすく伝えることで、購入意欲を高める役割を果たします。

PRの方法

PRには、自社メディアを活用する方法と、テレビや新聞を活用する方法があります。それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

自社メディアを活用したPR方法

自社メディアを活用したPR方法では、XやInstagramといったSNSでの参加型キャンペーンが効果的です。例えば、特定のハッシュタグを添えて投稿することで応募と見なされる投稿企画やプレゼントキャンペーンを実施することで、消費者の関心を引きつけることができます。

また、インフルエンサーを活用し、商品の魅力やベネフィットを消費者目線で伝えてもらうのも有効です。これらの手法は、企業の情報発信をより身近に感じさせ、多くの人に広めるための強力なツールとなります。

テレビや新聞を活用したPR方法

テレビや新聞などのマスメディアを活用するPR方法では、紹介したい情報をメディアに提供し、番組や記事の中で取り上げてもらうことが主な手法です。例えば、新商品やイベント情報をニュースリリースとして発信することで、広範囲に情報を届けることができます。

実際に消費者に届く情報にはメディアという第三者の視点が加わるため、信頼性が高く、多くの人々に強い印象を与えることが可能です。

PRの主な仕事内容

PRは、企業の魅力や取り組みを伝え、信頼を築く重要な役割を担っています。ここでは、具体的な仕事内容を詳しく見ていきましょう。

プレスリリースの作成と配信

プレスリリースの作成と配信は、PRの中でも基本的かつ重要な業務です。自社の新商品・新サービス、イベントなどの情報をメディアに向けて発信し、ニュースや記事の中で取り上げてもらうことを目指します。

わかりやすい文章や魅力的な内容のプレスリリースを作成することで、メディアの興味を引き、多くの人々に情報を届けることができるでしょう。

メディアへの対応

メディアへの対応は、PR活動において欠かせない業務の一つです。取材依頼を受けた際には、記者やリポーターに適切な情報を提供し、企業の取り組みや製品について正確に伝えることが求められます。また、取材現場での対応やインタビューの調整も重要な役割です。

メディアへの対応が円滑に行われることで、消費者に正確な情報が伝わることに加え、企業のイメージや信頼性を向上させることができます。

自社メディアによる情報発信

自社メディアを活用した情報発信は、顧客との関係を維持し、信頼を深める重要な手法です。公式WebサイトやSNSを通じて自社の最新情報や商品・サービスの魅力を直接届けることができます。

さらに、ブログやニュースレターを通じて専門的な知識や顧客の役に立つ情報を発信すれば、企業への親近感や信頼感を高めることにもつながります。顧客との継続的なコミュニケーションを図るためにも、自社メディアを効果的に活用することが大切です。

PRのメリット

PRには多くのメリットがあります。どのようなメリットがあるのかを具体的に見ていきましょう。

新規開拓市場での認知度アップを図れる

PR活動を行うと、新しい市場に自社の商品・サービスの情報を積極的にアピールできるため、認知度が高まる効果があります。例えば、プレスリリースやSNSキャンペーンを通じてターゲットに直接アプローチすることで、商品やサービスの存在を効果的に知らせることが可能です。

また、メディアを活用することで、信頼性の高い形で広範囲に情報を届けられる点も魅力です。適切なPR活動は、新しい顧客層の獲得や市場でのポジション確立のために有効だといえます。

費用を抑えて商品をアピールできる

PRの大きなメリットの一つは、広告掲載費などが不要なため、比較的低コストで商品やサービスをアピールできる点です。プレスリリースを作成してメディアに情報を提供すればよく、人件費程度で広範囲に情報を届けることができます。

また、自社メディアやSNSを活用することで、同じように費用を抑えながらターゲット層に効果的に訴求できます。予算に制約がある場合でも、PRは費用対効果の高い手段として活用できるといえるでしょう。

顧客の信頼を獲得できる

PRは、メディアを通じて情報を発信することで、信頼度の高い内容として消費者に届けられる点もメリットです。ニュース記事や番組で取り上げられる情報は、第三者であるメディアの視点が加わるため、広告に比べて客観性が高く、消費者に安心感を与えます。

消費者との関係を築き信頼を得ることは長期的なブランド価値の向上に直結するため、PRは欠かせない手法といえるでしょう。

PRの意味や重要性を理解しよう

PRは、企業が信頼と共感を得るための重要な活動です。広告や宣伝とは異なり、第三者の視点を通じて情報を発信することで、信頼性を高めることができます。PRの基本を押さえ、効果的に活用することで、企業の成長とブランド価値の向上につなげていきましょう。