企業が安否確認訓練を実施する目的・重要性|手順やシナリオ作成のポイントを解説
社員や業務の安全を守るには、災害や緊急事態への対応力を高めておかなければなりません。企業としてさまざまな事態に備えるためにも、安否確認訓練の実施は不可欠です。本記事では、企業が安否確認訓練を実施する目的や、その重要性について解説しています。
目次
企業が安否確認訓練を実施する目的・重要性
安否確認訓練とは、災害時に社員の無事を素早く把握し、適切な対応を取るための防災措置です。ここでは、特に重要な目的を3つご紹介します。
BCP対策として災害に備えるため
BCP(事業継続計画)の一環として、安否確認訓練で実際の災害に備えることは重要です。
災害時に社員の安全を確保し、迅速に対応できる体制を整えることで、企業の運営をスムーズに行うことが可能となります。
▷BCP(事業継続計画)とは?初心者でもわかる策定の重要性と手順について
会社の信頼を確保・維持するため
安否確認訓練を実施することで、災害時にも社員の安全を第一に考える姿勢を社外に示すことができます。会社としての信頼を確保・維持に役立つでしょう。
こうした取り組みは、社員からの信頼も高めることに加え、取引先や顧客からの評価を高めることにもつながります。
社員の当事者意識を高めるため
安否確認訓練を行うことで、社員一人ひとりが「自分ごと」として防災について考えられるでしょう。日常業務の中では意識しにくい災害への備えも、訓練を通じて具体的な行動を学ぶことで、自然と当事者意識が高まります。
安否確認訓練は、社員全体の防災意識を引き出し、実際の災害時に冷静な対応ができるようにするためにも有効です。
▷安否確認の意味とは?企業における目的や重要性・具体的な方法を簡単に解説
企業における安否確認訓練の実施手順
企業における安否確認訓練を円滑に進めるためには、具体的な手順を理解しておくことが重要です。ここでは、実施の流れをわかりやすくご紹介します。
自身の安全を確保する
災害発生時には、まず自身の身の回りの危険を確認し、安全な場所へ避難しましょう。
例えば、地震の場合は机の下に身を隠し、揺れが収まった後に安全を確認してから避難を開始します。このように、第一に自らの安全を確保することが重要です。
周囲の状況を確認する
自身の安全を確保した後は、周囲の状況を確認します。
周囲の同僚や近くにいる人々の安否を確認し、けがをしている人がいれば応急手当を行うなど、可能な限りの対応を取りましょう。
建物の状態を確かめる
次に、建物の状態を確認します。建物のひび割れや倒壊のリスクがないかを注意深く調べましょう。
また、エレベーターや階段の使用が安全かどうかも確認し、危険な場合は避けるようにします。このようなチェックを行うことで、二次被害を防ぎ、安全な避難経路を確保できます。
責任者に連絡を行う
ここまでの確認が済んだら、状況に応じて責任者に迅速に連絡を行いましょう。周囲の安全状況や建物の状態、けが人の有無など、現場で得た情報を正確に伝えます。
報告・連絡・相談を徹底することで、責任者が適切な判断を下し、必要な対応を速やかに行うことができるのです。
企業が安否確認訓練で用いるシナリオの作成ポイント
企業が安否確認訓練を効果的に行うためには、適切なシナリオの作成が欠かせません。
ここでは、訓練シナリオを作成する際のポイントを詳しく解説します。
さまざまなパターンを想定する
安否確認訓練では、災害の種類や発生する時間帯をさまざまに想定することが大切です。
日本では地震が代表的な災害と考えられがちですが、他にも以下のような想定ができます。
- 地震
- 台風や集中豪雨
- 高波や高潮
- 交通機関の事故など
また、過去の災害は早朝から深夜までさまざまな時間に発生しています。夜間や通勤時間のパターンを用意することが望ましいでしょう。事前に幅広い状況を想定して訓練することが、実際の災害時に迅速で適切な対応につながります。
定期的にシナリオの内容を見直す
安否確認訓練のシナリオは、定期的に見直すようにしましょう。毎回同じ内容では慣れが生じ、実際の災害時に対応力が低下する恐れがあるためです。
異なる状況や条件を設定することで、社員が臨機応変に対応する力を養うことができます。定期的なシナリオの見直しを行うことで、常に最新のリスクに備えた実践的な訓練が可能になるでしょう。
企業が安否確認訓練を円滑に実施するコツ
企業が安否確認訓練を効果的に進めるためには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。ここでは、訓練を円滑に実施するためのコツを紹介します。
安全確認システムの導入を検討する
安否確認システムは、社員の安否を迅速かつ確実に確認できる便利なサービスで、災害発生時には、システムを通じて社員の無事を一斉に確認でき、手間を大幅に削減できます。
また、複数の連絡手段を自動で使い分ける機能もあり、即座に適切な手段を取ることが可能です。通信拠点サーバーを複数設置していることが多く、その点でも連絡がつきやすいといえます。
安否確認を効率化したい企業は、導入を検討してもよいでしょう。
多言語に対応した環境を整える
外国人の社員を雇用している企業や、海外との取引がある企業では、多言語対応が重要です。
災害発生時には、社員全員が迅速に情報を理解し、対応できることが求められます。非常事態にパニックになることが珍しくないため、従業員それぞれが馴染み深い言語で連絡が取れるようにすることは二次災害の防止にも効果的です。
多言語に対応した環境を整えることで、企業としての信頼性も向上し、海外との取引先からも安心感を持たれるでしょう。
企業が安否確認訓練を実施する場合の注意点
企業が安否確認訓練を実施する際には、いくつかの注意点を押さえておくことが重要です。ここでは、訓練を成功させるためのポイントを解説します。
防災訓練との違いを把握する
安否確認訓練と防災訓練は、目的が異なるため、その違いを理解することが大切です。
安否確認訓練は、災害時に社員の無事を迅速に確認するための手順を学ぶ訓練です。一方、防災訓練は、避難経路の確認や消火活動など、実際に災害が発生した際の行動を体系的に学ぶ訓練です。つまり安否確認は防災訓練の一環と考えられます。
それぞれの役割を正しく理解しましょう。
事前の準備や情報共有を徹底する
安否確認訓練を効果的に実施するためには、事前の準備と情報共有が欠かせません。訓練の内容や手順をしっかりと計画し、全員に周知することで、スムーズな進行が可能になります。連絡のつきやすい手段を、社員一人ひとりについてきちんと把握しておきましょう。
特に業務時間外に訓練を実施する場合は、あらかじめ訓練の目的や日時を共有し、社員が安心して参加できる環境を整えることが大切です。これにより、訓練の効果が高まり、実際の災害時にも迅速に対応できるようになります。
関連システムの動作を確認する
安否確認システムを導入している場合、システムを使った訓練を実施し、その動作や操作方法を確認しておくことが重要です。
システムが正しく動作するか、全員がスムーズに使いこなせるかを事前に確認することで、実際の災害時に混乱を防ぐことができます。
また、定期的に動作チェックを行うことで、システムの信頼性を維持し、社員が安心して利用できる環境を整えることができます。
企業の安否確認訓練は災害時のスムーズな対応に重要
企業における安否確認訓練は、災害時に社員の安全を守り、迅速に対応するための重要な取り組みです。システムの活用や多言語対応など、企業の状況に合わせた準備を整えることで、緊急時の混乱を防ぎます。
社員一人ひとりの安全が確保されることで、企業の信頼性も向上し、災害からの早期復旧が可能になるでしょう。
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