AI契約書レビューサービスを比較|費用やメリット・選び方、違法性について
近年はAI技術を活用したサービスに注目が集まっています。契約書レビュー業務においても導入されており、大幅な負担軽減が可能です。本記事では、複数のAI契約書レビューサービスを比較紹介しつつ、導入メリットや選び方について解説します。
目次
AI契約書レビューサービスとは?
AI契約書レビューサービスとは、AIを活用して契約書の文章をチェックするサービスです。企業活動では、取引先と多くの契約書を交わします。もしも契約書に抜け漏れやリスクのある条項があれば、企業は大きな損失を被るかもしれません。そのため、法務担当者には、専門的な知識をもとに十分な時間をかけて契約書を精査することが求められます。
しかし、契約書の数が多ければ多いほど法務担当者の負担は増え、契約書の審査にも時間がかかります。そこで注目されているのが、AI契約書レビューサービスです。
AI契約書レビューサービスはAI技術で契約書をチェックして問題点を見つけ出し、サービスによっては修正案も提示してくれます。契約書の審査にかかる時間が短縮され、法務担当者の負担軽減も期待できることから、企業での導入が進んでいます。
AI契約書レビューサービスの利用で発生する費用の目安
AI契約書レビューサービスを利用する場合、サービス内容によって費用は大きく異なることに注意が必要です。年間の契約書の審査枚数や英文契約書への対応の可否、サポート体制などで、費用の違いが生じることに留意してください。基本的には、サブスクリプション型が中心です。相場は月額4〜6万円程度なので、弁護士に依頼するよりも安価といえるでしょう。
利用時は違法になるケースもあるので注意が必要
AI契約書レビューサービスの問題点として、非弁行為に当たる可能性が挙げられます。非弁行為とは、弁護士や弁護士法人以外が、報酬を得る目的で法律事務を扱うことを指し、弁護士法72条「非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止」で禁じられています。
法務省は、AI契約書レビューサービスについて、「AI契約書レビューシステムが報酬を得る目的である」「AI契約書レビューでレビューする契約に事件性がある」「鑑定をはじめ代理や仲裁、和解などのその他の法律事務を行っている」の3点を満たすとし、72条に違反するとの見解を示しました。
しかし、この見解に基づくと、弁護士や弁護士法人がAI契約レビューサービスを使って契約書を精査した後、最終的に自分で契約書を精査・修正すれば違反しないと考えられるのです。ただし、あくまでも一般論なので、最終的な判断は裁判所が行います。
[出典:法務省「弁護士法(その他)」]
▷契約書レビューとは?やり方やチェックポイント・修正案を作成するコツ
AI契約書レビューサービスを比較
各社からリリースされているAI契約書レビューサービスの特徴をまとめました。導入を検討している企業は、ぜひ参考にしてください。
GVA assist
「GVA assist」は、リスク単語・不足単語・不足条文の3つの観点からリスクを検知するAI契約書レビューサービスです。さらに、自社の契約審査基準に基づいて契約リスクを発見する機能も搭載されています。新旧文書を比較する機能により、取引先がサイレント修正をした場合でも検知し、リスクを回避できるでしょう。
修正時は、推奨条文と複数のオプション条項が提示されるので、修正にかかる時間を短縮できます。表記ゆれや条番号ずれはワンクリックで修正できるため、業務負担の軽減も見込めます。ドラフト作成に利用できる契約書や文書ひな型は1,500種類以上用意されているうえ、英文の契約書にも対応可能です。
提供元 | GVA TECK株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
サービス内容 |
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URL | 公式サイト |
Hubble
累計利用者数が4万人以上のAI契約書レビューサービスが「Hubble」です(2024年8月時点)。取引先から渡された契約書をアップすれば一目で変更箇所が表示されるので、審査効率を高められるでしょう。
各部署からの契約書の審査依頼は自動で一覧化されるため、案件の抜け漏れも防げます。さらに、閲覧権限を付与すれば、各部署の担当者は法務部内での検討状況を確認でき、進捗を共有できます。契約終了日や更新解約通知期限が近い契約書については、自動でメールで通知がなされるので安心です。また、管理台帳が自動で作成されるので、管理の手間も減らせます。
提供元 | 株式会社Hubble |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 要問い合わせ |
サービス内容 |
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URL | 公式サイト |
MNTSQ CLM
「MNTSQ CLM」は、自動ドラフティングから案件管理、契約管理から契約データのデータベース化まで法務業務全般に対応したサービスです。さまざまなシステムに散在しがちな法務業務に関わる全データを一元管理するとともに、契約書を機械学習アルゴリズムで解析します。
顧客からの要望を反映し「MNTSQ CLM」にAI契約書レビュー支援機能「MNTSQ AI契約レビュー」が追加されました。「MNTSQ CLM」はオプションとして、電子契約連携や英文解析、ユーザー情報連携や多言語対応なども可能です。法務業務全般の効率化を図りたい企業におすすめです。
提供元 | MNTSQ株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
サービス内容 |
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URL | 公式サイト |
LAWGUE
「LAWGUE」はクラウド型のサービスです。契約書をアップすれば、抜け漏れをAIが自動で検知し、改定前後の新旧対照表もワンクリックで作成できます。表記ゆれの検知など、人的ミスの防止につながる機能も豊富に搭載しています。
社内規程の改定履歴の確認や変更前後の比較がしやすいように、社内規程をデータベース化する機能もあるので、管理も効率化できるでしょう。契約書に特化した翻訳エンジンや辞書登録機能を活用し、英文契約書のレビューにも対応しています。過去の契約書は条項単位で翻訳結果を保存できるため、過去の契約書の言い回しをAIで自動的に見つけてくれます。利便性も高いといえるでしょう。
提供元 | FRAIM株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
サービス内容 |
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URL | 公式サイト |
LeCHECK
「LeCHECK」は、ライトプラン・基本プラン・プロフェッショナルプランから自社に合ったプランを選べます。さらに無料トライアルも用意されているので、利用前に使い勝手を確認でき、抜け漏れの指摘や代替案の提示などにより、条項の見落としリスクを低減できます。さらに、専門弁護士による最新の法改正に対応した解説を用意しているため、使いながら知識を得ることも可能です。
契約締結後は、契約書をクラウド上にアップロードできるので紛失リスクを減らせるでしょう。アラーム機能により、契約期間終了前にはお知らせが通知されるので、契約更新し忘れることもなくなります。
提供元 | 株式会社リセ |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
サービス内容 |
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URL | 公式サイト |
LegalForce
「LagalForce」は、レビュー方法を自動レビューとカスタムレビューから選べるAI契約書レビューサービスです。自動レビューは一般的な基準をもとに、カスタム自動レビューは事前に登録した自社独自の確認項目や修正方針をもとにレビューを行います。また、基準となる契約書と比較し、差分を洗い出すことも可能です。レビュー後は、チェック項目が表示され、該当する箇所がハイライトされるため、確認点が即座にわかります。弁護士が監修した対応方針やサンプル条文なども表示されるので、スムーズに修正できるでしょう。
レビュー結果はダウンロードしてWordで修正できるため、修正の手間も減らせます。表記ゆれや定義語のチェックも行えるので、人的ミスも防止できます。
提供元 | 株式会社LegalOn Technologies |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
サービス内容 |
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URL | 公式サイト |
インテリジェント契約チェッカー
「インテリジェント契約チェッカー」は、柔軟性のある設定ができるサービスです。自社でチェックポリシーを設定すれば、そのチェックポリシーに沿ってレビューが行えるため、法務担当者による品質のばらつきをなくせるでしょう。またリスク判定基準は、取引先ごとに設定可能です。受注契約と発注契約の相対応する条項を比較しながらレビューできる機能も搭載しています。
サービスプランは年間契約件数をもとに決まるため、導入を検討している企業は問い合わせをしてください。個別オンライン相談会を開催しており、相談会ではデモンストレーションを見ることもできるので、あらかじめ操作性をチェックできるでしょう。
提供元 | エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
サービス内容 |
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URL | 公式サイト |
AI契約書レビューサービスの選び方
AI契約書レビューサービスに搭載されている機能は、製品によってさまざまで、扱える契約書の種類も異なります。導入後に後悔しないためにも、AI契約書レビューサービスの適切な選び方をご紹介します。
レビュー可能な契約書の種類を確認して選ぶ
必ずチェックしたいのが、レビュー可能な契約書の種類です。英文契約書を多く扱う企業であれば、英文契約書に対応しているサービスを選んでください。英語以外の言語で契約書を作成・審査したい場合は、希望する言語への対応の有無を調べましょう。
AI契約書レビューサービスの中には、秘密保持契約のみ対応しているタイプもあります。自社で扱う契約書の種類や、効率化を図りたい業務をピックアップしたうえで、サービスを選択しましょう。
業務範囲に適した機能があるものを選ぶ
AI契約書レビューサービスは、契約書の修正から管理まで対応範囲が製品ごとに異なるので、必要な機能を搭載しているサービスを選んでください。
契約書のリスクの検知や修正の提案まで対応するサービスもあれば、契約書のひな型を用意し作成支援も行うサービスもあります。サービスによっては、契約書の管理や契約更新時期の自動通知など、契約締結後の業務も対応可能です。
法務担当者が抱える課題を洗い出し導入目的を明確にしたうえで、必要な機能を搭載しているサービスを選びましょう。
サポート・セキュリティ面が優れたものを選ぶ
事前にベンダーのサポート体制やセキュリティ対策を確認し、自社の基準に合ったサービスを選ぶことも大切です。
導入時や導入後に不明点が明らかになった場合、電話・メール・チャットボットなど、どのツールで問い合わせができるのかを調べましょう。サービスによっては、別途費用が発生するケースもあります。
契約書には企業活動に関する機密情報が含まれているため、万が一情報が流出すれば大きなダメージを負います。第三者機関による脆弱性診断や二段階認証、IPアドレス制限などサービスごとにセキュリティ対策は異なるので、自社のセキュリティポリシーと照らし合わせてチェックしてください。
導入・運用の費用対効果が高いものを選ぶ
AI契約書レビューサービスはサービスによって費用が異なるので、費用対効果が得られるサービスを導入しましょう。
サービスの導入にはイニシャルコストやランニングコストだけではなく、社内に対し利用方法を周知したり契約書の審査フローを見直したりするのに、時間や人件費も発生します。コストに見合ったサービスを選んでください。
また、機能が充実しているサービスほど、コストが高額になります。いくら機能が充実したサービスを導入しても、使う機会がなければ意味がありません。機能と費用を比較しながら、自社が必要とする機能を搭載しているサービスを選びましょう。
▷【2024年最新】契約書管理システムおすすめ18選を比較|無料製品や選び方・メリット
AI契約書レビューサービスを導入するメリット
AI契約書レビューサービスの導入は、業務負担の軽減やリスクの低減などさまざまなメリットをもたらします。代表的なメリットを紹介するので、参考にしてください。
契約書確認業務の負担を軽減
AI契約書レビューサービス導入のメリットとしてまず挙げられるのが、契約書確認業務の負担軽減です。
契約書を確認する際は、最新の法改正や判例を踏まえつつ、抜け漏れやリスクのある条項を見つけ、修正を行わなければなりません。しかし、AI契約書レビューを使えば、取引先から契約書を受け取った際も新旧文書を瞬時に比較し変更箇所がわかるため、確認にかかる時間を短縮できます。番号のズレなどもワンクリックで修正可能なので、手間がかかりません。
契約書確認の負担が減れば、その分法務担当者は他の業務に集中できます。生産性を高めることもできるでしょう。
人的ミスの発生を防止
AI契約書レビューサービスを活用すれば、人的ミスを防げます。
いくら注意を払っても、人が契約書を作成すると人的ミスが発生する可能性があります。特に経験が浅い社員は、知らず知らずのうちにミスをしてしまうかもしれません。
AI契約書レビューサービスには表記ゆれのチェック機能や校正チェック機能などが搭載されています。こうした機能を活用すれば、人的ミスを減らせるでしょう。
業務の属人化を防止
契約書の審査業務は属人化しやすい傾向がありますが、AI契約書レビューサービスを利用すれば属人化を防止できます。契約書の自社ならではのチェックポイントや言い回しをAIが学習すれば、契約書の作成や審査の品質にバラつきがなくなります。
取引先ごとにリスク判定基準を設定できる機能もあり、たとえ法務担当者が異動や離職したとしても同じ基準で審査が可能です。
契約書確認精度の向上
AI契約書レビューサービスの活用によって、契約書の確認精度が高まり、取引におけるリスクを軽減できます。
契約書の審査は、法務担当者の経験や知識によって精度に差が生じる可能性がありますが、AI契約書レビューサービスを利用することで、一定のレベルで確認ができるようになります。契約書の確認精度が向上すれば、契約書の抜け漏れなどによるリスクが減り、安心して取引などが行えるでしょう。
AI契約書レビューサービスを導入する場合の注意点
多くのメリットがあるAI契約書レビューサービスですが、導入にあたっては注意すべき点もあります。最後に、導入前に知っておきたい注意点解説します。
法的な知識を有する担当者が必要
いくらAI契約書レビューサービスに豊富な機能が搭載されていても、法的な知識を持つ担当者は欠かせません。契約書の作成や修正には、法的な知識だけではなくビジネス上の判断も求められるからです。また、取引先との関係性も影響するため、最終的な判断は人が行う必要があります。必ず法的な知識を持つ担当者を雇用してください。
取引先ごとの臨機応変な対応は難しい
AI契約書レビューサービスは、基本的に画一的な審査しかできません。取引先によって信頼度は異なるため、契約書を作成・修正する時は、取引先の実績や信頼度を基に行うことが求められます。契約内容によっては、ある程度譲歩せざるを得ない場面もあるでしょう。こうした臨機応変な対応はAI契約書レビューサービスではできないため、法務担当者が担う必要があります。
▷契約書管理でよくある課題|管理方法や課題を解決する方法を詳しく解説
AI契約書レビューサービスは業務の効率化に有効
契約書確認業務は、法務担当者が少ない企業にとって大きな負担です。しかし、AI契約書レビューサービスを活用すれば、短時間でリスクを検知できるだけではなく適切な文章に修正でき、契約書確認業務を効率的に行えます。
業務効率化を図りたい企業は本記事を参考に、ぜひAI契約書レビューサービスの導入を検討してください。
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