エクセルで原価管理をする方法!メリット・デメリットや効率化する方法
原価管理システムは高価な製品が多く、導入する余裕がないケースも少なくありません。カスタマイズ性が高く手軽に利用できるエクセルなら、低コストで管理を始めることが可能です。本記事では、エクセルで原価管理を行う方法や、効率的な運用のコツについて解説します。
目次
エクセルで原価管理をする方法
原価管理とは、商品やサービスを提供する際に発生する原価を管理する手法です。エクセルを使えば、材料費や人件費などのコストを一覧にし、各項目の変動を簡単に可視化できます。
関数やグラフ機能を活用することで、コストの増減がひと目で分かり、経営判断のスピードも向上するでしょう。エクセルを活用した原価管理は、手軽でコストもかからないため、多くの企業で採用されています。
管理シートに項目を入力する
原価管理の第一歩は、エクセルの管理シートに「材料費」「労務費」「経費」といった必要な項目を入力することです。これらの項目を縦軸に配置し、横軸には日付やプロジェクト名などを設定すると、情報が整理しやすくなるでしょう。
項目ごとに金額を記入すれば、どの部分にコストがかかっているのかがひと目で分かります。項目をきちんと分けておくことで、後からの見直しや集計がスムーズに行えるようになるのでおすすめです。
必要な部分に関数を入力する
作業を効率化するためには、エクセルの関数を活用すると効果的でしょう。
たとえば、「SUM関数」を使えば材料費や労務費の合計を自動で計算でき、「IF関数」を使えば特定の条件に応じた判定も可能です。関数を入力しておけば、手動の計算が不要になるため、作業の手間やミスが大幅に減ります。
特にコストの変動が頻繁にある場合、関数を使えば自動的に最新の数値が反映され、常に正確な情報を得られるのがポイントです。
エクセルで原価管理を行うメリット
エクセルで原価管理を行うと、コストの「見える化」が進み、無駄を発見しやすくなります。手軽に始められ、業務の効率化にもつながるのも利点です。ここからは、原価管理をエクセルで行う具体的なメリットをご紹介します。
導入コストを抑えられる
エクセルは多くの企業で標準的に導入されているソフトウェアのため、新たな導入コストがかからないのが大きなメリットです。専用の原価管理システムを導入する場合、初期費用や月額費用が発生しますが、エクセルならその心配がありません。
研修の必要もないため、その分の教育コストも不要です。手軽に始められるうえ、費用面でも負担が少ないため、コスト管理の第一歩として最適な選択肢といえます。
教育の手間が少ない
専用の原価管理システムを導入する場合、操作方法の習得やトレーニングが必要になることが多いですが、エクセルなら多くの社員が日常的に使い慣れているのでその必要がありません。
すでに基本的な操作が身についていれば導入後もスムーズに業務を開始できるため、教育にかかる時間やコストを削減でき、業務の効率化にもつながります。
カスタマイズの幅が広い
エクセルはテンプレートが豊富に用意されており、自社の業務に合わせた管理シートを簡単にカスタマイズできるのが魅力です。項目の追加やレイアウトの変更はもちろん、関数やマクロを使えば、より高度な自動化も可能でしょう。
業種や業務内容に応じた柔軟な対応ができるため、「自社に合った原価管理がしたい」という企業のニーズにも応えられます。既存のテンプレートを活用することでゼロから作成する手間も省け、短期間での導入が可能です。
エクセルを用いた原価管理のデメリット
エクセルは手軽に使える一方で、業務が複雑になると管理の手間が増えたり、入力ミスが発生しやすいといった課題もあります。
管理や共有が煩雑になりやすい
エクセルを使った原価管理では、ファイルの共有や更新が煩雑になるケースが多く見られます。複数のメンバーが同時に編集すると、上書きミスやデータの不整合が発生する可能性が高くなるでしょう。
また、メールでファイルをやり取りする場合、最新版がどれか分からなくなることもあります。クラウド共有を使えば解消できる部分もありますが、設定や管理を面倒に感じる企業も多いでしょう。これらの理由から、業務の効率が低下するリスクがある点は注意が必要です。
属人化する恐れがある
エクセルで原価管理を行う際、複雑なマクロや関数を使うと、特定の担当者しか内容を理解できなくなる「属人化」のリスクが生じます。
例えば、独自の自動計算機能を作成すると、そのロジックが他のメンバーには分かりにくく、担当者の退職や異動時に業務が滞るかもしれません。引き継ぎが不十分だと、修正やメンテナンスに時間がかかり、業務効率の低下を招く恐れもあります。
チーム全員が理解できるシンプルな設計を心がけることが重要です。
ヒューマンエラーが起こりやすい
エクセルでの原価管理は、基本的に手入力で行うため、ヒューマンエラーが発生しやすいということも課題です。数字の入力ミスや、コピー&ペーストの操作ミスによるデータのずれが起こりやすく、これが原価計算の誤りにつながることもあります。
特に、数値が多い場合や定期的な修正が必要な場合は、エラーのリスクが高まるでしょう。自動化できる関数やマクロを活用することで、こうした人的ミスの発生を減らす工夫が求められます。
セキュリティリスクが生まれる
エクセルのファイルは簡単にコピーや持ち出しができるため、情報漏えいのリスクが高まります。USBメモリやメール添付を使えば社外に持ち出せてしまい、機密情報が流出する危険性があるのです。
また、パスワードを設定しても、解除されるリスクがゼロではありません。特に、取引先や外部の関係者とファイルを共有する際は、情報管理が不十分だと重大なトラブルにつながることもあるでしょう。セキュリティ対策として、アクセス権限の管理やクラウドストレージの活用が推奨されます。
エクセルの原価管理を効率化するポイント
エクセルでの原価管理を効率化するためには、作業の自動化や見やすいレイアウトの工夫が欠かせません。ここではそのポイントを解説します。
マクロや関数を取り入れる
エクセルでの原価管理を効率化するには、マクロや関数を積極的に活用するのが効果的です。関数では「SUM」や「IF」を使うことで、手動の集計や条件分岐を自動化できます。さらに、マクロを使えば、複数の作業をボタン一つで自動処理することも可能です。
例えば、毎月の定期的なデータ集計や複数のシートからのデータ統合も、マクロを活用すれば一度の操作で完了します。作業時間が短縮されるだけでなく、ヒューマンエラーの防止にもつながるでしょう。
テンプレートを活用する
エクセルの原価管理を効率化するためには、公開されている無料テンプレートを活用する方法が効果的です。テンプレートには、あらかじめ「材料費」や「労務費」などの項目が設定されているため、ゼロから作成する手間が省けるでしょう。
自社の業務に合うように項目を追加したり、デザインを調整したりするだけで、オリジナルの管理表がすぐに完成します。手軽に始められるため、初めて原価管理に取り組む企業にもおすすめの方法です。時間を節約しつつ、作業の効率化が図れます。
運用マニュアルを制定する
エクセルでの原価管理をスムーズに進めるためには、社内で運用マニュアルを制定することが重要です。入力ルールやファイルの命名規則、共有方法などを明確にすることで、メンバー間の混乱を防げます。
特に、担当者が交代した場合でも、マニュアルがあればスムーズな引き継ぎが可能です。運用ルールが統一されると、管理ミスの削減や業務の効率化にもつながります。定期的な見直しを行い、現場のニーズに応じた改善を進めることも大切です。
エクセルの代わりになる原価管理システム
エクセルでは限界を感じる場面もあります。そこで、より効率的で正確な管理が可能な「原価管理システム」を3つご紹介するので参考にしてください。
楽楽販売
「楽楽販売」は、主に販売管理に関する業務の効率化を支援するクラウド型の管理システムです。エクセルのように手動で管理する必要がなく、見積もり、受注から売上、原価管理まで一元化できます。
マウス操作だけでシステム構築ができ、ITに詳しくない社員でも使いやすいのが特徴です。さらに、リアルタイムのデータ共有が可能なため、属人化やメンバー間の情報のズレを防げます。
手作業の負担を減らし、正確なデータ管理を行いたい企業にとって、導入を検討する価値のあるシステムといえるでしょう。
提供元 | 株式会社ラクス |
初期費用 | 16万5,000円(税込) |
料金プラン | 77,000円(税込)/月 |
サービス内容 |
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URL | 公式サイト |
アラジンオフィス
「アラジンオフィス」は、企業の業務を幅広く支援する管理システムです。販売管理や在庫管理、生産管理を一元化でき、原価管理を含め各部門の業務効率が向上します。
プロジェクト管理機能が搭載されており、原価管理や収支管理がスムーズにでき、正確な原価計算が可能です。情報共有がしやすいうえ、属人化も防げるでしょう。
エクセルでは対応が難しい大規模な管理が必要な企業にとって、導入するメリットが大きいシステムです。
提供元 | 株式会社アイル |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
サービス内容 |
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URL | 公式サイト |
iFUSION
「iFUSION」は、原価管理をはじめとしたエクセルで手間のかかる作業を自動化し業務を効率化させるツールです。管理者が登録したエクセルブックを各部門や拠点に配布し、収集したデータを集計・分析するなど管理ができます。メールでのやり取りやエラーチェックをする手間がなくなり、システム上で管理と進捗確認ができるのが特徴です。
また、エクセルは既存のフォーマットを活用することも自由に設計することもできます。さらに、IT環境に応じてクラウド型とオンプレミス型が選べるため、自社に合った活用が実現するでしょう。
提供元 | 株式会社インプレス |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
サービス内容 |
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URL | 公式サイト |
原価管理を低コストで行うならエクセルがおすすめ
原価管理を手軽に始めたい企業には、エクセルの活用がおすすめです。専用のシステムを導入するよりもコストがかからず、すでに多くの企業で使われているため、教育の手間も少なくて済みます。
関数やテンプレートを活用すれば、効率的な管理も可能ですが、手動入力によるミスや共有の煩雑さといった課題もあるため、適切な運用ルールの整備が重要です。低コストで柔軟に対応できる点が、エクセルの大きな魅力といえるでしょう。
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