【2024年最新】原価管理システム10選比較|基本機能やメリット・比較ポイントを紹介
材料費など日々の製造・プロジェクトにかかる費用を管理する、「原価管理」。企業が利益を出すためには、正確かつスピーディな原価管理が必要です。本記事では、おすすめの原価管理システム10選を比較。基本機能や導入のメリット、比較ポイントもあわせて解説します。
目次
原価管理システムとは?
原価管理システムとは、原価計算をはじめ、予実比較や損益計算、原価シミュレーションといった、原価にかかわるデータの計算・管理をおこなえるシステムです。
そもそも原価とは、商品の製造・販売やサービスの提供のためにかかった費用のことをいいます。適正な販売価格を設定し、利益を出すためには、原価を適切に管理しなければなりません。また、原価はさまざまな要因で変動することから、継続的に把握する必要があります。
原価管理システムを導入すれば、原価をリアルタイムで正確に把握し、管理することが可能です。データ集計や分析などの作業を自動化できるため、原価管理の効率化にもつながります。
原価管理システムでは、原価にかかわるさまざまなデータの収集・管理をおこなうため、販売管理や在庫管理、会計などの他の業務システムと連携して利用するのが一般的です。
原価管理システムの機能
原価管理システムには、主に以下のような機能が搭載されています。原価管理システムの導入によって実現できることを理解し、自社に必要な機能を洗い出しましょう。
機能 | 詳細 |
原価計算 | 標準計算や実際原価などで原価を算出する機能 |
原価差異分析 | 標準原価と実際原価を、原材料費差異や直接労務費差異などの項目ごとに出力する機能 |
損益計算 | 製品や部門別での損益、四半期や月単位での損益を計算する機能 |
配賦計算 | 部門や製品を横断し生じた原価を、基準をもとにそれぞれの製品の原価に振り分ける機能 |
原価シミュレーション | 原価の動きを予測し、予算や製品価格の算定に活用する機能 |
Excel出力機能 | 詳細分析のための、原価計算データをExcelに出力する機能 |
バーコード入力機能 | バーコード入力で原価を自動計算する機能 |
外注費、労務費計算 | プロジェクトや卸売業向けの外注費、労務費などの計算機能 |
原価管理システムの種類
原価管理システムは、大きく以下の3つの種類に分類できます。
- 特定業界特化タイプ
- プロジェクト管理タイプ
- 多用途タイプ
それぞれのタイプについて、詳しくみていきましょう。
特定業界特化タイプ
特定業界特化タイプの原価管理システムは、製造業や建設業などさまざまな業界の業務工程に適した原価管理ができるのが特徴です。自社の業界や業態に適したシステムを選ぶことで、効率的に原価管理をおこなえるのがメリットです。
たとえば、製造業の場合、工程や品目によって原価計算の方法が異なります。製造業特化型の原価管理システムを活用すれば、どの工程で原価が変動したかを把握し、コストを下げるための戦略を立てられます。
また、建設業の場合は工期や資材価格の変動が多く、項目も細かいことから、原価計算が非常に複雑です。建設業特化型のシステムであれば、工事進捗や資材管理など建設業特有の項目を一元管理し、複雑な計算を自動化できます。また、支払い管理や回収管理の機能が搭載されているものもあります。
プロジェクト管理タイプ
プロジェクト管理タイプの原価管理システムは、プロジェクト単位で労務費や外注費などを管理できるところが特徴です。
プロジェクトにおける労務費や外注費を適切に管理すれば、プロジェクトメンバーの生産性やプロジェクトの採算性などが分析できます。また、顧客向けのプロジェクト以外に、社内プロジェクトのコスト管理や案件管理、収支管理にも利用できるでしょう。
さらに、プロジェクト管理タイプの原価管理システムには、未対応の業務や処理を知らせるアラート機能や、入力の分散や重複を避けるための機能などが搭載されています。そのため、大幅な業務効率化が図れるでしょう。
多用途タイプ
多用途タイプの原価管理システムは、あらゆる業界や業種に対応するシステムです。複雑な配賦設定が不要な場合や、業務プロセスが複雑でない場合、既存の原価管理システムで自社に適したものが見つからない場合などにおすすめです。
また、Excel業務をそのままシステム化できる製品もあり、業種・業態や業務工程にかかわらず、自社の状況に合わせた柔軟な使い方ができます。
原価管理システムの比較ポイント
原価管理システムを導入する際は、以下のポイントをもとに比較検討しましょう。
- 自社に適したシステムであるか
- 費用はどのくらいか
- 自社にあった原価の配賦方法が設定できるか
- 既存システムとの連携ができるか
それぞれ詳しくみていきましょう。
自社に適したシステムであるか
まずは、導入するシステムが自社の業界や業務内容、配賦方法に適しているかよく確認する必要があります。
自社に適していないシステムを導入すると、十分な効果を得られず、コストや労力を無駄にしてしまうでしょう。そのため、自社の抱える課題を洗い出し、解決可能なシステムを導入しなければなりません。
また、自社の課題を明確にすれば、必要な機能の洗い出しがおこなえます。標準原価計算や原価差異分析、損益分析などの機能や特徴を理解したうえで、必要なものを取捨選択し、最適なシステムを導入しましょう。
費用はどのくらいか
原価管理システムには、特定業界特化型やプロジェクト管理型などの種類があり、それぞれ費用が大きく異なります。そのため、自社に最適なタイプのシステムであるかだけでなく、自社の予算とも照らし合わせて選ばなければなりません。
原価管理システムは、搭載されている機能が豊富であるほど高価になる傾向があり、ユーザー数や導入から運用までのサポート内容によっても費用は変動します。無駄なコストをかけず最適なシステムを導入するには、自社の規模や課題を洗い出し、必要な機能を備えた製品を選択することが大切です。
自社にあった原価の配賦方法が設定できるか
原価管理システムを導入する場合、自社に適した原価の配賦方法が設定できるかも一つの選定ポイントです。
原価との差異をできる限りなくすためには、原価の配賦を実際に合わせる必要があります。そのため、どのような配賦基準やルールを設定できるか確認し、自社に適したシステムの導入が望ましいです。
また、配賦を一つずつ設定する作業は煩雑かつ大変であることから、配賦基準に即した自動配賦の機能が搭載されている管理システムを導入するのがおすすめです。
既存システムとの連携ができるか
原価を計算するためには、生産管理や会計データ、在庫情報など製造工程にかかわるさまざまな情報が必要です。そのため、原価管理システム単体で使用するのではなく、業務基幹システムやERPなどの既存システムと連携できるシステムの導入が望ましいでしょう。
また、販売管理システムや購買管理システム、見積管理システムなどと連携すると、原価管理の効率化も期待できます。
仮に他ツールとの連携ができなければ、同じ内容を複数回入力する必要があり、手間がかかるでしょう。既存システムとの連携ができれば、入力の手間やミスを減らせるため、原価管理の工数削減や精度向上につながります。
原価管理システムおすすめ10選比較
自社に最適な原価管理システムを選ぶには、各製品の機能や特徴、費用をしっかり比較することが大切です。
ここでは、おすすめの原価管理システムを10個紹介します。ぜひ比較検討の参考にしてください。
1.レッツ原価管理Go2
レッツ原価管理Go2は、建設業をはじめ、製造業やソフトウェア開発、広告・出版などさまざまな業種に対応可能な原価管理システムです。
証憑に近いイメージの画面デザインとシンプルなメニュー構成となっており、どの部門でも違和感なく使えるのが特徴です。入力したデータは自動的に複式データとして処理されるため、会計知識がなくても入力できます。
また、見積書で入力したデータを受注・発注・仕入・支払と別の伝票に複写できるリレー機能が搭載されているため、入力にかかる負担を軽減し、スムーズに次の処理へ流せるのも魅力です。
提供元 | 株式会社レッツ |
価格 |
■ ネットワーク版
※別途年間保守費用が発生 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
2.どっと原価3
どっと原価3は、建設業の原価管理を飛躍的に標準化、効率化するクラウド型の原価管理システムです。
営業部門から工事担当者、経理担当者、経営者にいたるまで幅広い層に対応しているほか、自社に適した仕様にカスタマイズできる点が魅力です。また、財務会計や給与計算システムなどさまざまな外部システムとの連携ができます。
アプリケーションのインストール台数の制限がなく、インターネット環境があればどこからでも利用できるため、多様な働き方にも対応可能です。
提供元 | 株式会社建設ドットウェブ |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | ■どっと原価3(ライト)※最大5ライセンス
■ どっと原価3(スタンダード)※最大20ライセンス
※どちらのプランも参考月額。詳細は要問い合わせ。 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
3.J-CCOREs
J-CCOREsは、鉄鋼・非鉄金属・化学・半導体など、複雑な工程を持つ業態に適した原価管理システムです。プロセス型と多用途型ともに計算可能な計算モデル「ころがし計算」を採用しています。
ころがし計算は、各製造工程の受払情報をもとに工程ごとの製造原価を算出し、製造原価を積み上げることにより、製品の製造原価を導き出す計算手法です。BOM(部品構成表)などの手間のかかる計算順序や使用量の設定が不要で、シンプルな情報をもとに計算するため、製造工程や品目構成の急な変更にも柔軟かつスピーディーに対応できます。
原価計算・損益計算にとどまらず、さまざまな視点での分析機能やシミュレーション機能を搭載しており、製造コスト・収益の可視化を実現できます。
提供元 | JFEシステムズ株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 約100社 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
4.Neo原価
Neo原価は、Excelと同じような操作感で使える、建設業に特化した原価管理システムです。シンプルな設計やユーザーインターフェースを採用しており、パソコン操作に不慣れな人でもスムーズに使いこなせるのが特徴です。
帳票の出力形式や顧客のデータ管理など、各企業のさまざまな業務フローに適した柔軟なカスタマイズに対応しているため、導入時・導入後のトラブル発生を防げます。また、アドバン社の見積作成ソフトや仕上積算ソフト、躯体積算ソフトとの連携させることで、見積作成から原価管理まで一気通貫で管理することも可能です。
提供元 | 株式会社アドバン |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 1,000社以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
5.クラウドERP ZAC
クラウドERP ZACは、システム開発などのIT業や広告業、コンサル業に対応したクラウド型のERPで、案件・契約・プロジェクト単位で進行する業種に適しています。
一つのプロジェクトの売上に対して外注費や仕入費、労務費、経費などの関連コストをすべて紐づけできるため、プロジェクト別の収支を見える化できるのが特徴です。
また、作業時間の集計データを元にした時間按分により、案件・プロジェクトごとに人件費を自動で配賦計算します。直接費だけでなく間接費についても自動配賦を行えるため、原価計算の効率化・省力化を実現できます。
提供元 | 株式会社 オロ |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 900社以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
6.アラジンオフィス
アラジンオフィスは、原価・仕掛管理や案件管理、収支管理などプロジェクト管理をおこなうための機能を搭載した販売管理・在庫管理パッケージシステムです。柔軟性が高く、小売や商社・卸、製造・加工など、あらゆる業種・業態に対応しているのが特徴です。
5,000社以上の導入実績から、過去の顧客の声をパッケージに反映しており、導入企業がカスタマイズする必要がないように、販売管理に必要な機能が多数備わっています。案件単位で原価や収支を管理できるため、それぞれの案件の状況をより明確に把握できます。
提供元 | 株式会社アイル |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 5,000社以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
7.マネーフォワード クラウド個別原価
マネーフォワード クラウド個別原価は、IT開発とプロジェクト型ビジネスの業務効率化を図るための、クラウド型個別原価管理システムです。
シンプルで操作しやすい画面で、簡単にプロジェクト・従業員別工数の割合や時間を入力できるため、従業員の負担や入力ミスが削減できます。また、自社の運用に合わせた配賦基準を設定して、間接費の配賦を自動化することも可能です。
さらに、会計ソフトや給与計算ソフトと連携し、プロジェクトにかかわるデータをスピーディーに収集できます。クラウド上でいつでも最新の原価情報を閲覧できるため、迅速な経営判断にも役立ちます。
提供元 | 株式会社マネーフォワード |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
8.楽楽販売
楽楽販売は、Excelでの管理から脱却し、販売管理の効率化を図るためのシステムです。あらゆる情報をクラウドで一元管理できるため、原価管理の属人化が解消され、事業全体の収益を見える化できるのがメリットです。
案件ごとに売上と原価を紐付け、自動で収益計算ができるため、リアルタイムな原価管理をおこなえます。また、原価率が一定水準を下回ると担当者へアラートメールが送信される仕組みになっており、原価率の悪化を素早く察知することが可能です。
高いカスタマイズ性を備えているため、必要な機能を組み合わせて、自社に最適な業務フローを構築できるのも魅力です。
提供元 | 株式会社ラクス |
初期費用 | 16万5000円(税込) |
料金プラン | 66,000円(税込)~/月 |
導入実績 | 2,500社以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
9.AMMIC/NetC
AMMIC/NetCは、製造業に適した品目別や工程別などでの原価計算や、会計システムとの連携が可能な原価管理システムです。
高度な原価シミュレーションが可能で、原料単価変動や固定費変動、製造工程や製造量などの稼働率変動など、さまざまな角度からシミュレーションを行えます。また、価格・数量・予算・操業度など詳細な原価差異の算出ができるため、コストダウンに役立てたりKPI策定につなげたりすることも可能です。
経験豊かな専門スタッフによる強力なサポートが受けられるため、システム化が初めての企業でもスムーズに導入できます。また、AMMIC/Netシリーズは日本語・中国語・英語に対応しており、海外拠点への導入を検討している企業にもおすすめです。
提供元 | 株式会社アミック |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | シリーズ累計200社以上(2020年10月現在) |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
10.ProSee
ProSeeは、原価・在庫金額・キャッシュフローの3つの見える化を実現し、工場経営の意思決定をサポートする原価管理システムです。「製造業の原価計算、管理会計のフレームワーク型パッケージ」をテーマとしており、マスタ類の設定だけで自社に最適な仕組みを短期間・安価で構築できるのが特徴です。
導入により現在使用中の生産管理システムとデータ連携し、原価計算の自動化や計算結果のデータベース化が可能です。また、製造業の原価計算と管理会計の専門会社であるソートウェア株式会社が運営しており、ソフトとあわせて原価管理のノウハウを提供してもらえるのも大きなポイントといえます。
提供元 | ソートウェア株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
原価管理システムを導入するメリット
原価管理の負担が大きい、原価をリアルタイムで把握できていないなどの課題を抱えている場合、原価管理システムを導入することで解決できる可能性があります。
ここでは、原価管理システムを導入することで得られるメリットについて解説します。
業務効率・正確性の向上が見込める
原価計算には標準原価計算や実際原価計算などさまざまな種類があり、それぞれ用途や計算方法が異なります。そのため、人の手で計算するには多くの手間や時間がかかります。
原価管理システムを導入すれば、仕入費用や人件費などの必要なデータを入力するだけで、複雑な原価計算を自動化してくれます。これにより、管理工数が削減され、スピードや正確性の向上が実現できます。
原価管理にかかっていた時間を他の業務に振り分ければ、業務効率や生産性の向上にもつながるでしょう。
損益に対しての意識向上が期待できる
原価管理システムを導入することで、一目で正確な原価を確認できるようになるため、損益に対する意識の向上が期待できます。リアルタイムかつ継続的に原価を把握することで、原価を抑えるための改善策を考える機会も増えるでしょう。
また、全体の売上をはじめ個人の利益や工数も見える化されることで、マネジメント層だけでなく、チームメンバー全員が数字を意識しやすくなります。各メンバーの貢献度合いが数字で分かるため、損益に対する意識をより高めて業務に取り組めるでしょう。
経営判断をスピーディーにおこなえる
原価管理システムではリアルタイムで原価を把握できるため、適正な価格設定やボトルネックの解消などの経営判断をスピーディーにおこなえます。
また、為替変動や原料費の高騰といったリスクを想定して、原価変動をシミュレーションできるため、最適な原価を維持するための対策を前もって立てられます。シミュレーション結果を経営戦略に活かすことで、企業の競争力強化も実現できるでしょう。
おすすめ原価管理システムを比較し最適な製品を導入しよう
原価管理システムには、原価計算や原価差異分析、配賦計算など原価管理に役立つ機能が豊富に搭載されています。原価管理の正確性や業務効率の向上などのメリットが得られるほか、リアルタイムで原価を把握できるため、スピーディーな経営判断にも役立ちます。
原価管理システムにはさまざまな種類があるため、導入を検討する際は、各製品の機能や費用をしっかりチェックすることが大切です。本記事で紹介したおすすめの原価管理システムを比較し、自社に最適な製品を導入しましょう。
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