【解説】暗黙知と形式知とは?意味の違いや変換する方法をわかりやすく解説

記事更新日:2022/10/12

ナレッジマネジメントツール

ナレッジマネジメント・暗黙知と形式知のイメージ

企業活動で得られる知識には暗黙知と形式知の2種類があります。ナレッジマネジメントで耳にする機会が増えている言葉ですが、正確に活用するためには理解が必要です。本記事では、暗黙知と形式知とはどのような意味なのか、違いや変換する方法をわかりやすく解説します。

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暗黙知と形式知について

ここではナレッジマネジメントで広く知られるようになった暗黙知と形式知について、それぞれ解説します。

暗黙知の意味

暗黙知とは、言語化できない知識を意味する言葉です。具体的には個人の経験則や直感によって成し得ており、再現性のあるかたちで他者に説明できない知識を指します。このことから、暗黙知は経験知とも呼ばれています。

形式知の意味

形式知とは、言語化できる知識を意味する言葉です。具体的には口頭、文章、図形、数式などによって明示でき、他者に共有できる知識を指します。このことから、形式知は明示知とも呼ばれています。

暗黙知と形式知の違いとは?

暗黙知と形式知の違いは、知識の捉え方です。暗黙知が個々の経験や技術をベースに培われていく主観的な知識であるのに対して、形式知は文書や図解を通じて万人に共有できる客観的な知識を指します。

暗黙知と形式知の具体例

暗黙知と形式知の具体例として、よく挙げられるのが自動車の運転です。自動車の運転方法については、教習所での座学や実技を通じて覚えることが一般的ですが、ここで学ぶ内容は形式知になります。具体的にはアクセルの踏み方やハンドルの切り方など、見聞きすることで再現できるものが該当します。

一方で、運転の感覚を言語化することは、非常に難しいです。ハンドルのさばき方やブレーキのかけ方は分かっていても、タイミングや強弱の度合いなどの判断には個人差があります。これは感じ方によっても解釈が変わり、他者に教えても再現が難しいため、暗黙知として扱われます。

他にも画家の芸術作品、発明家の革新的技術、スポーツ選手のスーパープレイなどの、記述や図示が難しいものは暗黙知に該当します。

その他の類語との違い

暗黙知や形式知の類似表現として、集合知や実践知という言葉があります。これらの類語との違いについて、詳しく解説します。

形式知と集合知の違い

形式知が言語・図形などによって個別に発信できる知識であるのに対して、集合知は複数人から集めた情報を指します。集合知の目的は、少数の知識では生み出せない価値の創造です。

点在する形式知を組み合わせることで、個々の知識では難しい高次元の問題解決に役立てられます。具体的には検索エンジンやWikipedia(オンライン百科事典)などが、集合知に該当します。

つまり、集合知にとって形式知は知識を集約し、体系化するための情報源であるといえるでしょう。

暗黙知と実践知の違い

暗黙知は多くの場合、前例として見聞きするものです。実際に起きた出来事の特異性から、ベストプラクティスやインシデント対策として扱われます。

対して実践知とは、適切な判断を下すための能力を指し、現場での経験を通じて培われていく実践的な知識です。そのため、一般的には暗黙知の共有を受けて、現場での実践を繰り返し、その中で実践知が少しずつ身についていくかたちになります。

つまり、実践知にとって暗黙知は羅針盤のような存在で、培った知識とのギャップを図る役割があるといえるでしょう。

暗黙知を形式知へ変換して得られる4つのメリット

企業の事業活動において、暗黙知を形式知に変換することには、主に4つのメリットがあります。

  1. 社員の能力向上
  2. 育成速度の加速
  3. 属人化の防止
  4. 生産性の向上

これらのメリットについて、1つずつ解説していきます。

1.社員の能力向上

1つ目は、社員の能力向上です。社員1人ひとりのナレッジを形式知に変換できると、チーム全体のパフォーマンスの底上げにつながり、商談や接客などの品質を均一化できます。

これは顧客満足度の向上だけでなく、組織力の強化にも有効です。暗黙知から形式知への変換は、成功体験を共有する機会を増やします。共有の場が活性化すると、社員同士の理解が深まり、社員間や部門間の連携を強めるきっかけになるでしょう。

2.育成速度の加速

2つ目は、育成速度の加速です。社員のナレッジがデータベースなどに集約され、集合知として機能するようになれば、短い時間で社員を育成できます。

マニュアルやFAQなどを通じて、暗黙知が形式知に変換されると、新入社員の研修や既存社員の異動の際も、短い時間で知識の共有が可能です。迅速な人材育成によって、教育コストの削減も期待できるでしょう。

また、優秀な社員のナレッジを形式知として展開できると、具体的なテクニックが可視化されます。これを活用することで、他の社員が成果を挙げやすくなるでしょう。

3.属人化の防止

3つ目は、属人化の防止です。社員のナレッジが暗黙知であり続けると、業務の全体像が担当者にしか分からず、引き継ぎが困難になります。

属人化が発生したままだと、担当者が休暇を取得した際、代替要員を配置できません。結果的に業務をストップせざるを得ず、企業活動に少なからず影響を与えます。

そのため、暗黙知を形式知に変換し、誰にでも業務が実施できる状態をつくることで、休職・退職で担当者が離れた場合でも、スムーズに業務を引き継ぐことができるでしょう。

4.生産性の向上

4つ目は、生産性の向上です。ナレッジの形式知化が進むと、誰もが短い時間で業務における最適な解決策を知ることができます。これによりケアレスミスの予防に加え、業務を効率的に処理できるようになり、生産性の向上も期待できるでしょう。

生産性が向上すると、顧客の課題解決に向き合う時間が増え、顧客満足度の好転がアップセルやクロスセルの機会を生み、利益への貢献につながります。

暗黙知を形式知へ変換するには?

暗黙知を形式知に変換する手法は、主に4つあります。

  • SECI(セキ)モデルを運用する
  • 共有するための場所を設ける
  • 知識を資産として継承する
  • ナレッジの共有を促進する

ここではそれぞれの内容について解説します。

SECI(セキ)モデルを運用する

SECI(セキ)モデルとは、知識の創造プロセスを4つに分類したナレッジマネジメントの基礎理論です。Socializaiton(共同化)、Externalization(表出化)、Combination(連結化)、Internalization(内面化)のサイクルを継続することで、ナレッジの着実な習得につなげます。

Socializaiton|共同化

Socializaiton(共同化)は、暗黙知を移転するプロセスです。OJTをはじめとする共通の体験・経験を経て、コツや判断基準などの暗黙的な知識・技能を人から人に移転します。

Externalization|表出化

Externalization(表出化)は、暗黙知を形式知に変換するプロセスです。言語や図表などで暗黙知をマニュアル化・FAQ化し、客観的・論理的な情報として他者に伝達できる状態を目指します。

Combination|連結化

Combination(連結化)は、形式知で新たな価値を創造するプロセスです。業務環境をベースにマニュアルをアレンジするなど、異なる形式知の組み合わせによって新しいアイデアを生み出すことを目的としています。

Internalization|内面化

Internalization(内面化)は、連結化した形式知を個人が暗黙知化するプロセスです。日々の業務を通じて独自のノウハウを身につけることで、自分自身の業務を効率化・高度化できる状態を目指します。

共有するための場所を設ける

SECIモデルを効果的に実践するためには、知識を共有する場(Ba)のデザインが必要です。ここではSECIモデルの各プロセスにおいて、知識を変換するための環境について解説します。

Originating Ba|共同化の場

Originating Ba(共同化の場)は、オープンな心理状態で行われるコミュニケーションの場です。昼食中や休憩中をはじめ、社内SNSでの雑談など、何気ない会話の中で知識を変換していきます。

Dialoguing Ba|表出化の場

Dialoguing Ba(表出化の場)は、共通の目的をもって開催される場です。プレゼンテーションやミーティングなど、特定の議題に関してディスカッションを行い、形式知に落とし込んでいきます。

Systemizing Ba|連結化の場

Systemizing Ba(連結化の場)は、形式知を持ち寄る場です。システムを導入し、形式知が集まりやすい環境を作ることで、スムーズな体系化を目指します。

Exercising Ba|内面化の場

Exercising Ba(内面化の場)は、連結化した形式知を実践する場です。通常業務を行う中で、社員1人ひとりが独自の暗黙知を生み出すことで、生産性向上や売上拡大などの利益創出を目指します。

知識を資産として継承する

どれほどナレッジマネジメントが進行したとしても、継続的なアップデートや、知識が受け継がれていく環境が整わなければ意味がありません。そのためには知識を資産として扱うための仕組みづくりが重要です。

暗黙知を形式知に変換するためのコミュニケーションの機会だけでなく、システムによる知識のデータベース化を行い、定期的な情報刷新を繰り返しながら、会社全体で知識を活用していく取り組みを進めていきましょう。

ナレッジの共有を促進する

知識を収集・管理し、形式知としての有効活用を習慣化する場合、環境を整備するだけでは不十分です。最終的に知識を活用するのは社員であるからこそ、知識を持続的に創造することの重要性を理解し、行動に結びつけるための文化の醸成が必要になります。

企業文化を醸成するには、まず部署単位でスモールスタートを行い、SECIモデルの活用やシステムの導入によるナレッジマネジメントの有効性の証明が重要です。

1つの部署で成功体験を得られたあとは、そこから適応範囲を拡大していき、横断的な取り組みを経て、着実に全社へと広げていきましょう。

暗黙知を形式知へ変換する際のポイント

暗黙知を形式知に変換する際の主なポイントは、次の3点です。

  • ナレッジマネジメントツールを活用する
  • 動画や音声を活用する
  • ペーパーレス化を考える

ここでは各ポイントについて詳しく解説します。

ナレッジマネジメントツールを活用する

ナレッジマネジメントツールとは、社員1人ひとりが持つ知識や経験を集約し、共有するためのサポートツールです。

ナレッジマネジメントツールを導入すると、社員が求める情報にすぐアクセスできるだけでなく、業務プロセスにおける合理的な判断の一助にもなり得ます。

ナレッジマネジメントツールは幅広い種類が存在し、目的に応じて使い分けるのが一般的です。社内Wikiのようにヘルプデスク的な機能を中心とするものや、FAQのようにオペレーションを支援してくれるものなど、自社に必要なデータベースの定義に合わせて、導入するツールを検討すると良いでしょう。

動画や音声データを活用する

時間効率を考慮した場合、情報伝達量の多さでは、テキスト文書よりも動画や音声に軍配があがります。

動画のメリットは、情報伝達における解像度の高さです。文字や音声ではイメージしにくい内容でも、動画であれば実際のイメージを絵的に表現する、あるいはシチュエーションを再現することで、限りなくリアルに近い情報伝達が可能になります。

音声のメリットは、細かな感情表現に適している点です。例えば商談や接客などの対人関係が含まれる業務のナレッジを共有する際、テキスト文書ではよくある質問の回答例を示すことはできても、それをどのような温度感で伝えるべきかを説明するのは難しいでしょう。そのような場合、音声データであれば細かな感情まで伝達することが可能です。

これらのメリットによって社員の理解が深まりやすくなるため、近年では動画や音声データを活用する企業が増えています。

ペーパーレス化を考える

ナレッジを紙で管理すると、物理的な制約によって瞬時に取り出せないことに加えて、紛失リスクが高まります。せっかく蓄積したナレッジが失われてしまっては、これまでの苦労が水の泡です。

だからこそ、システムやツールの導入を通じて、ペーパーレス化を検討することも重要です。近年ではOCR(Optical Character Reader)という技術を用いて、スキャナーで読み込んだテキスト文書を文字認識し、デジタル化することも可能になっています。

ナレッジを一元管理し、定期的なアップデートを実施するためにも、保管方法を一度見直してみると良いでしょう。

暗黙知を形式知へ変換する際の注意点

ここではナレッジマネジメントを通じて、実際に暗黙知を形式知に変換する際の注意点について解説します。

機能が多すぎるツールは避ける

近年は多機能型のナレッジマネジメントツールが市場に登場していますが、ツールは機能が豊富であれば良いというわけではありません。むしろ機能が充実しすぎていると、ツールの利用難易度が上がるだけでなく、何のために導入されたのかを社員が理解しにくくなります。

ツールは導入して終わりではなく、社員がツールを使いこなし、取り組みが定着していくことが重要です。だからこそ、ツールはナレッジ共有の優先順位に基づいて、機能を制限して導入していきましょう。

取り組む前にある程度の情報を集めておく

ナレッジマネジメントツールを活用するには、ツールに入れるためのデータが欠かせません。そのため、まずは既存のマニュアルやFAQなどの形式知を集めることが重要です。

形式知が少ない状況でナレッジマネジメントツールを導入してしまうと、成果が出るまでに時間を要してしまいます。だからこそ、事前に形式知の収集を行いながら、言語化できていない暗黙知の種類を調べるなど、自社の課題を整理しておくと良いでしょう。

協力的な社員ばかりではないことを把握しておく

知識やノウハウの共有には、少なからず時間を要します。これは多くの場合、通常業務に追加されるかたちで発生するため、社員の中には好意的な印象を抱かない方も現れるでしょう。

特に優秀な社員にとっては、自身の持つ暗黙知は価値そのものであるため、形式知に変換することは周囲とのパフォーマンス差がなくなることを指します。この部分に対する不安材料を取り除くためにも、評価制度を見直す、ノウハウ共有にインセンティブの支給を検討するなど、優秀な社員がモチベーションを下げないための工夫も必要です。

暗黙知を形式知へ見える化することは企業価値の向上につながる

本記事では、ナレッジマネジメントの主要素となる暗黙知・形式知について詳しくご紹介しました。

日本では職人芸をはじめとする匠の技術で高品質な製品を世に送り出してきた一方で、知識・ノウハウの継承に大きな課題を抱えていた背景があります。これは企業活動においても同様で、優秀な社員の成功体験が暗黙知のままだと、業務の属人化を助長してしまい、業務品質の平準化が難しくなってしまいます。

だからこそ、社員の暗黙知を形式知に変換し、再現性のある状態で共有する仕組みを整えることは、企業が持続的な価値の向上を実現していくためにも重要です。

ぜひこの機会に、ナレッジマネジメントを通じて、形式知の収集・管理を実施してみてください。

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