ノウハウ継承が進まない原因は?解決方法や重要性を解説
多くの企業が直面しているノウハウ継承の問題。働き方の多様化や時代の影響によって、ノウハウ継承が進まないと頭を抱えている人も多いのではないでしょうか。本記事では、ベテラン社員のノウハウ継承が進まない原因について、解決方法とあわせて解説します。
目次
ノウハウ継承が進まない原因
多くの企業ではノウハウ継承への取り組みがされています。しかし、さまざまな要因により思うように進められていないケースも多いのが現状です。ここでは、ノウハウ継承が進まない3つの原因について解説します。
ノウハウを継承するための時間が確保できない
優秀なベテラン社員には案件や顧客が集まりやすいため、通常業務だけで就業時間を埋め尽くしてしまう場合が多いでしょう。そのため、目の前の業務が優先となってしまい、ノウハウを継承するための時間を確保できなくなってしまうのです。
また、働き方改革などにより業務効率化が進められていくなかで、他の社員を指導するだけの時間的余裕を生み出しにくいのも原因としてあげられるでしょう。さらに、自身の仕事が奪われるのではないかという不安から、ノウハウの継承をしたくないと考えるベテラン社員もいます。
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ノウハウ継承をする体制が整っていない
ノウハウ継承のための体制が整っていないことも原因としてあげられます。
就業時間内にノウハウ共有のための時間を設けられなかったり、ノウハウの共有方法が不明確だったりするなど、ベテラン社員へのサポート体制が確立できていないとノウハウの継承は進みません。
また、ノウハウは見えない知見であることが多いため、属人化しやすいといえます。したがって、ノウハウの言語化がルール化されていないなど、属人化への対応が不足している場合も適切なノウハウ継承は行えないでしょう。
継承するノウハウが非常に専門的である
継承するノウハウが非常に専門的なものである場合、前提となる知識や経験が不足していると本質的に理解することは困難です。ノウハウが専門的であるほど、わかりやすく言語化し、丁寧に教えていかなければ身につかないケースが多いでしょう。
また、詳細なノウハウを習得しても、全体像を把握するには長い時間がかかります。短期的に継承を進めようとしても、思うように成果が上がらず、結果としてノウハウ継承が進まないといった事態を招いてしまいます。
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ノウハウ継承の重要性
ノウハウ継承に取り組む企業は多くありますが、なぜノウハウ継承は重要視されているのでしょうか。ここでは、ノウハウ継承の重要性について解説します。
ベテラン社員のリタイア対策
若手人材を確保できておらず、ベテラン社員ばかりになっている企業では、ノウハウの継承が上手く進んでいないでしょう。ノウハウ継承がされていないと、ベテラン社員のリタイアにより技能・技術が途絶えてしまい、生産性や業務品質が大幅に低下することが予想されます。
したがって、ベテラン社員がリタイアを迎える前にノウハウ継承を進めていかなければならないのです。
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ノウハウの消失・流出防止
終身雇用が当たり前ではなくなり、人材の流動性が高まっている現代においては、ベテラン社員個人に依存していたノウハウが突然失われるリスクも少なからずあります。
また、現代では海外展開している企業も多く、優秀な人材が国内だけではなく海外の企業にも流出しやすいといえます。競争力低下を防ぐためには、ノウハウが流出しないよう自社で継承していかなければなりません。
イノベーションによる活性化
現代では、日本の技術力は国際的に低迷しているといえます。よって、新たな価値を創出し、企業の競争力を強化する必要があるでしょう。
ベテラン社員の持つノウハウどうしを融合・発展させたり、新しいナレッジを組み合わせたりすることでイノベーションを起こし、企業活性化に繋げられます。
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ノウハウ継承の解決方法
ノウハウ継承の停滞を解決するためにはさまざまな方法があります。それぞれの施策を計画的・段階的に進めることが大切です。ここでは、ノウハウ継承が停滞した場合の解決方法について解説します。
ベテラン社員の理解浸透
ノウハウ継承の重要性について、ベテラン社員に理解してもらうことが重要です。また、現場OJTを導入し就業時間内にノウハウ継承の時間を設けるなど、ベテラン社員をサポートし、負担を軽減する必要もあります。
ノウハウ継承に関する評価制度を設け、積極的に取り組む社員を評価するといった仕組み作りも効果的です。ノウハウ継承はベテラン社員にとってもメリットがあると伝え、理解を浸透させるようにしましょう。
継承者へノウハウ継承の重要性の周知
ベテラン社員だけでなく、継承者にもノウハウ継承の重要性を理解してもらうことが必要です。ノウハウ継承がなぜ必要なのか、継承することでどのようなメリットがあるのかを伝えましょう。
ノウハウ継承の重要性を理解してもらうことで、継承者のモチベーションアップに繋がり、スムーズにノウハウ継承が進められるようになります。
ノウハウの分類と見える化
ノウハウは個人や企業固有のノウハウである「技能」と、それ以外の標準化・自動化が可能な「技術」に分けられます。技能:技術はおよそ2:8の割合に分類可能です。技術に分類された部分はICTなどを活用し、形式知として可視化するようにしましょう。また、技能に分類されたノウハウは一連の業務を動画や画像、図、文章などに残すことで、暗黙知のまま失われてしまうことを防げます。
技能
技能は企業の核となるノウハウのことで、他社との差別化に繋がる部分でもあります。長年の経験からベテラン社員が身に付けた独自のノウハウであり、言語化して形式知として共有することが難しいといえるでしょう。
技術
技術は技能以外のノウハウのことであり、標準化や自動化ができます。ベテラン社員の持つノウハウの8割程度は技術に分類できるため、技能と技術をしっかり選別することが大切です。
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継承が必要なノウハウの選別
ベテラン社員と継承者のスキルを比較することで、継承者に今どのノウハウが足りていないかを明確にできます。よって、伝えるべきノウハウの選別や優先順位付けができるようになり、効率的にノウハウ継承を進められるのです。
また、ベテラン社員と継承者の能力に大きな差がある場合、いきなり専門的なノウハウを伝えても継承者が理解できず、適切にノウハウ継承を進められません。継承者のレベルに応じたノウハウ継承を行うためにも、ノウハウの選別は必要です。
継承者目線のシステム構築
継承したノウハウを活用する場面は、教わったときの状況と全く同じであるとは限りません。したがって、ノウハウ継承のためのシステムは継承者目線で構築することが大切です。
継承したノウハウをいきなり応用することは難しいため、継承者が悩みや疑問を相談できる窓口を設けるといった施策が有効でしょう。また、トラブルやイレギュラーが発生した際の対策方法について、マニュアルに記載する必要もあります。
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ナレッジマネジメントの推進
ナレッジマネジメントとは、企業や従業員1人ひとりが持つ知識や経験に基づくノウハウを、会社組織全体の資産として可視化・共有し、企業力を高める経営手法のことです。
ナレッジマネジメントについて正しく理解し、推進することで、ノウハウの属人化を防ぎ、適切なノウハウ継承を進められます。
ナレッジマネジメントツールを活用するのもおすすめ
ノウハウを継承するために、ナレッジマネジメントツールを活用する方法もあります。ここでは、おすすめのナレッジマネジメントツールを紹介します。
NotePM
NotePMは、社内のナレッジ共有を円滑にする機能が備わったナレッジマネジメントツールです。画像編集機能が搭載されていたり、動画の共有もできたりするなど、さまざまな形式のマニュアルを標準化して管理できます。
アクセス権限の設定も柔軟にできるため、役職や部署に応じた権限設定が可能です。さらに、専用URLを発行すれば、特定のページを取引先などの社外メンバーにも共有できます。
提供元 | 株式会社プロジェクト・モード |
初期費用 | 無料 |
料金 | プラン8:4,800円/月(税込) プラン15:9,000円/月(税込) プラン25:15,000円/月(税込) プラン50:30,000円/月(税込) プラン100:60,000円/月(税込) ※以降、ユーザー数100人ごとに60,000円/月(税込)が加算 ※プラン3000以上は要問い合わせ |
導入実績 | 登録企業7,000社突破 |
機能・特徴 | ・マニュアル作成機能 ・動画共有機能 ・ファイルの中身まで全文検索可能 ・レポート機能 ・外部ページ共有 |
URL | 公式サイト |
Qast
Qastは個人のノウハウを蓄積し、組織全体の生産性を向上させられるナレッジマネジメントツールです。豊富なテンプレートがあるため、投稿作成のための手間を大幅に削減できます。
TeamsやSlackといったコミュニケーションツールとの連携もでき、重要なやりとりをナレッジとして蓄積できるのも特徴です。さらに、ダッシュボード機能を活用すれば、誰のどの投稿が活用されているかを可視化できます。PDCAサイクルを回しながら効果的なノウハウ継承を進めたい方におすすめです。
提供元 | any株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | スタンダードプラン:要問い合わせ エンタープライズプラン:要問い合わせ |
導入実績 | 導入企業4,000社以上 |
機能・特徴 | ・豊富なテンプレート ・添付ファイル内検索 ・Teams・Slack連携 ・スマートフォンアプリ対応 ・ダッシュボード機能 |
URL | 公式サイト |
kintone
kintoneは組織内のコミュニケーションを円滑にする機能と、社内のノウハウ・データを集約する機能が備わったナレッジマネジメントツールです。必要な機能はそれぞれアプリとして作成し、追加して利用します。100以上のサンプルアプリが用意されているため、特別なスキルがなくても簡単に使えます。
また、電子契約サービスやファイル管理サービスなど、連携できる外部サービスが充実しているのもkintoneの特徴です。マルチデバイス対応のため、出張先や外出先でもモバイル端末から利用できます。
提供元 | サイボウズ株式会社 |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | ・スタンダードコース 月額:1,650円(税込/1ユーザーあたり) 年額:19,404円(税込/1ユーザーあたり) ・ライトコース 月額:858円(税込/1ユーザーあたり) 年額:10,087円(税込/1ユーザーあたり) ※5ユーザーから契約可能 |
導入実績 | 導入企業20,000社以上(※2021年4月末時点) |
機能・特徴 | ・必要な機能を備えたアプリを作成し、利用するシステム ・100以上のサンプルアプリを用意 ・レポート機能 ・アクセス権の管理 ・外部サービス連携 |
URL | 公式サイト |
ノウハウ継承が進まない原因を把握し積極的に取り組もう
ベテラン社員のノウハウ継承は、企業の競争力を強化するために必要な取り組みです。ノウハウ継承が円滑に進められていない場合は、原因を明らかにし、課題を解決していきましょう。
ノウハウ継承を効果的に進めるためには、ベテラン社員と継承者に重要性を理解してもらわなければなりません。そのうえで、ノウハウ継承を支援する体制づくりやナレッジマネジメントを推進していくことが大切です。
本記事で紹介したツールなども活用しながら、ベテラン社員のノウハウ継承を積極的に進めていきましょう。
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