バーチャルオフィスとは?メリット・デメリットやサービス内容をわかりやすく解説
実際にオフィスを借りずに済む「バーチャルオフィス」。仮想のオフィスを利用するため家賃や管理費がかからないなど、初期費用を抑えてビジネスを始めたい人におすすめです。本記事では、バーチャルオフィスについて、基本のサービス内容やメリット・デメリットを解説します。
目次
バーチャルオフィスとは?
バーチャルオフィスとは、仮想の事務所として住所や電話番号のみを借りられるサービスです。
バーチャルオフィスであれば、実際の自宅住所を公開せずに法人登記や郵便物の受取が可能になります。ただし、レンタルオフィスやコワーキングスペースとは異なり、物理的なスペースがあるわけではないため、作業用の場所は別途確保しなければなりません。
バーチャルオフィスとレンタルオフィスの違いとは?
バーチャルオフィスとレンタルオフィスの違いは、物理的なオフィススペースの有無です。
バーチャルオフィスは、物理的なオフィススペースは提供されず、住所や電話番号のみが貸し出されるサービスです。一方、レンタルオフィスは住所や電話番号とともに、備品・通信環境などが整った物理的なオフィススペースが提供されます。
なお、レンタルオフィスは物理スペースを伴う分、バーチャルオフィスに比べて賃料が高額になる傾向があります。
バーチャルオフィスの主なサービス内容
バーチャルオフィスの主なサービス内容について、「基本料金に含まれるサービス」と「有料オプションに含まれるサービス」の2つに分けて紹介します。
基本料金に含まれるサービス
バーチャルオフィスにおいて、基本料金に含まれることが多いサービスは以下の5つです。
- 法人登記用の住所の提供
- 郵便物の受取・転送
- 電話番号・FAX番号の提供
- 電話の転送・代行
- 会議室・打ち合わせスペース利用
ただし、レンタルオフィス業者によっては、一部有料オプションとして扱われるサービスもあるため、事前によく確認する必要があります。
有料オプションに含まれるサービス
バーチャルオフィスにおいて、基本料金に含まれず有料オプションとなることが多いサービスは以下の3つです。
- 法人登記の作業代行
- 経理・会計・労務などの業務サポート・代行
- 融資・補助金・助成金などの申請サポート・代行
バーチャルオフィスでは物理スペースこそ提供されませんが、会社経営に欠かせない業務のサポートや代行を行っている場合があります。
なお、提供しているサービスはレンタルオフィス業者によって異なるため、利用したいサービスがある場合は提供されているかどうかを事前に確認しましょう。
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バーチャルオフィスを利用するメリット
バーチャルオフィスを利用する4つのメリットを解説します。
費用を抑えて事業用の住所を確保できる
バーチャルオフィスの活用によるメリットの一つは、費用を抑えて事業用の住所を確保できることです。
数千円から数万円程度の費用で事業用住所を使用できるため、特に資金に余裕がないスタートアップや個人事業主には最適です。バーチャルオフィスなら、都心の一等地の住所でも低コストで利用できます。
実際のオフィスよりも短期間で利用を開始できる
バーチャルオフィスは、実際のオフィスよりも短期間で利用を開始できる点もメリットです。
通常のオフィスを借りる場合、内見、不動産の引き渡しを含む各種手続きだけでも数週間はかかるのが一般的です。一方、バーチャルオフィスであれば、最短で契約当日に利用開始できます。
急ぎで事業を開始したい場合や、すぐに住所や電話番号が必要な場合などにも柔軟に対応できるでしょう。
取引先・公的機関からの信頼を得られる
通常であれば資金力や信用力が必要となる都心の一等地の住所もバーチャルオフィスなら選べるため、取引先・公的機関からの信用を得られる可能性が高まります。
名刺やホームページでの記載において、一般的な住宅街の住所よりも顧客や金融機関、公的機関からの信用を得やすいでしょう。
特に事業を始めたばかりで信用が低い場合などは、新規取引の審査で有利になる可能性もあります。
自宅の住所を公開する必要がなくプライバシーを保護できる
法人登記や業務で住所の提示が必要な場合もあるでしょう。その際、自宅を仕事場にしていたとしても、バーチャルオフィスを利用すれば自宅の住所を公開する必要がなく、プライバシーを保護できるのもメリットです。バーチャルオフィスの住所は「特定商取引法に基づく表記」にも使用できます。
例えば、オンラインショップを運営する個人事業主にとって、自宅住所を公開せずに済むのは大きな利点になるでしょう。さらに、架空のオフィス住所と電話番号を利用することで、個人情報の流出や自宅への営業訪問などのトラブルを防ぐことにもつながります。
バーチャルオフィスを利用するデメリット
バーチャルオフィスを利用する際には注意すべきデメリットも存在します。ここからは、デメリットを5つ解説します。
他の会社と住所が重複する
バーチャルオフィスは同一住所を複数の事業者が利用するため、他の会社と住所が重複する可能性がある点がデメリットです。
検索エンジンで住所を検索した場合、他社が表示されるケースもあり得ます。住所の重複が知られた場合、取引先や関係者の信用・信頼性によくない影響を与えるかもしれません。
他社との住所の重複を避けるには、独自の賃貸オフィスを構えるほかありません。
作業をするスペースは別で確保する必要がある
作業スペースを別で確保する必要がある点もデメリットです。バーチャルオフィスはあくまでも架空の事務所であるため、物理的な作業スペースは提供されません。
業務遂行や来客対応のために別途スペースを用意するためには、バーチャルオフィスの他に追加コストがかかります。また、バーチャルオフィスに荷物が届いた際は、実際に確認するまでに時間がかかることも想定されるでしょう。
さらに、オンラインショップを運営する場合は、商品在庫を保管する倉庫スペースの確保が必要です。
開業の条件を満たせないことがある
バーチャルオフィスを利用することで、開業の条件を満たせない場合もあります。
例えば、有料職業紹介事業・人材派遣業、宅地建物取引業や建設業のほか、弁護士・税理士・行政書士などは専用の業務スペースが必要とされており、実体のないバーチャルオフィスのみでは開業が認められていません。また、融資の申請時にもバーチャルオフィスの住所が不利になることがあります。
このように業種によっては、開業するために物理的なオフィススペースが必要になる場合があるため注意しましょう。
取引先に不信感を抱かれる可能性がある
住所を検索されると、バーチャルオフィスであることが知られたり、ほかの企業と住所が重複したりする場合があるため、取引先や顧客に不信感を抱かれる可能性があります。
また、架空の事務所は犯罪を連想する人もいるため、バーチャルオフィスであることがビジネス上で不利に働くケースがあることもデメリットと言えるでしょう。
バーチャルオフィスサービスそのものが廃業する可能性がある
バーチャルオフィスサービスそのものが廃業する可能性もあります。
仮に借りていたバーチャルオフィスの業者が廃業した場合、新たに別のオフィスを探し、登記している住所の変更するなどの対応を行わなければなりません。登記申請には登録免許税30,000円がかかり、専門家に依頼する場合は合計で40,000〜60,000円の費用がかかります。
やむを得ないケースもありますが、契約前にWebサイトやパンフレットなどをよく確認し、運営状況などを確認しておくことが重要です。
バーチャルオフィスの利用に適した業種
バーチャルオフィスのメリットとデメリットをふまえたうえで、バーチャルオフィスの利用に適している業種を3つ紹介します。
Web関連
Web関連の業種は、バーチャルオフィスの利用に適していると言えます。場所に依存せず、パソコンとインターネット環境があればどこでも仕事が可能なためです。
具体的には、Webデザイナー・システムエンジニア・Webマーケティング・Webライターなどが挙げられます。特にフリーランスの場合は、オフィスを構えず自宅やカフェなどさまざまな場所で働くことが多く、法人登記用の住所が必要な際にバーチャルオフィスが役に立つでしょう。
ネット販売
ネット販売は実店舗を持たない業種であり、バーチャルオフィスの利用に適していると言えます。
具体的には、自社のECサイトや大手ECサイトでのオンラインショップの経営などが挙げられます。顧客や取引先などから信頼を得たい場合にバーチャルオフィスの存在が有効です。
ただし、商品を保管する物理的なスペースは別途用意する必要があることには注意しましょう。
フリーランス
フリーランスや個人事業主もバーチャルオフィスと相性がよいと言えます。開業資金やオフィスにかかるコストの節約、プライバシー保護、ブランディング戦略などの面で、多くのメリットがあるためです。
また、バーチャルオフィスの利用料は経費として計上できるため、節税効果も期待できます。さらに、登記登録や補助金申請の代行サービスが利用可能であれば、事務手続きを軽減できるため、起業や事業運営がスムーズになるでしょう。
バーチャルオフィスの利用を検討してみよう
仮想のオフィスである「バーチャルオフィス」は、少ないコストで最短即日から利用でき、業種や職種、状況によってさまざまなメリットがあります。
物理的なオフィスに代わる役割を果たしてくれるケースもあるため、必要に応じてバーチャルオフィスの利用を検討してみましょう。
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