OLAP分析とは?特徴やOLTPとの違い、実装方式についてわかりやすく解説
リアルタイム分析処理を意味する「OLAP分析」。ビッグデータ活用の重要性が増す昨今、データを正確かつスピーディに分析できるOLAP分析に注目が集まっています。本記事では、OLAP分析の特徴、似た概念であるOLTPとの違い、実装方式などを解説します。
目次
OLAP分析とは?
OLAP(On Line Analytical Processing)分析とは、リアルタイムでのデータ分析処理を意味します。
例えば、日々更新される大量の売上データをリアルタイムで分析する作業などがOLAP分析に当たります。OLAP分析の目的は、大量のデータをできる限り速く分析し、ビジネス上の意思決定をより迅速に行うことにあります。
なお、OLAPにおける「オンライン」という単語の意味は、ネットワークに接続された状態ではなく、分析のリアルタイム性を表現しています。
OLAP分析の実装方式
OLAP分析には、大きく分けて3種類の実装方式があります。それぞれの特徴と利点について、以下に詳しく紹介します。
MOLAP(Multi dimensional OLAP)
MOLAP(Multi-dimensional OLAP)とは、リレーショナルデータベースに保存されたデータを、事前処理を行ったうえでキューブと呼ばれる多次元データベースに格納しておく方式です。
MOLAPではデータが事前に集約されているため、複雑なクエリにも高速で応答できるスピードが大きな特徴であり、レスポンスの早さが求められる用途に適しています。ただし、
事前処理を済ませたデータしか扱えない特性から、リアルタイムのデータ処理については一定の制限が与えられます。
ROLAP(Relational OLAP)
ROLAP(Relational OLAP)は、元データがあるリレーショナルデータベース自体をキューブ(多次元分析のデータベース)と見なしてクエリを処理する方式です。
データにリアルタイム性が生まれる反面、処理速度をリレーショナルデータベース側に大きく依存するため、その性能によってはレスポンスが遅くなる特性を持っています。
HOLAP(Hybrid OLAP)
HOLAP(Hybrid OLAP)は、MOLAPとROLAPの利点を組み合わせたハイブリッド方式です。
リレーショナルデータベースに格納されたデータから、集計データのみを独自の多次元データベース(キューブ)に置いておく方法であるため、柔軟性とパフォーマンスを両立することが可能です。
例えば、高い頻度で使用するデータはMOLAPで高速に処理し、より詳細なデータはROLAPでリアルタイムに分析する、といった柔軟な運用が求められる用途に最適と言えるでしょう。
OLAP分析の特徴
OLAP分析はビジネスにおけるデータ分析に多く採用されています。どんな特徴があるのか、以下に詳しく解説します。
大規模データの分析に特化している
OLAP分析の強みは、大規模データを多次元的な視点で分析できる点です。
例えば、売上データを時間、地域、製品といった複数の軸で同時に分析することが可能です。こうした多次元分析は、人間では発見できなかった相関性やトレンドを発見するために活用されています。
精度の高い分析をスピーディにおこなえる
OLAP分析はデータが効率的に構造化され、特定の分析操作に最適化してあるため、精度の高い分析を迅速に行うことができます。
例えば、事前に集約されたデータにあらかじめ処理を加えておけば、複雑なクエリにも即座に対応し、正確な結果を得ることが可能となるでしょう。こうしたスピードと精度は、迅速な意思決定が求められる時代において、ますますその重要度が増しています。
分析結果をわかりやすく可視化できる
OLAP分析は、分析結果をわかりやすくビジュアル化することに向いています。
分析したデータを、グラフやチャートなど視覚的に理解しやすい形式で表示すれば、複雑な情報をシンプルに理解することができるでしょう。また、表示結果をカスタマイズすることで、特定の課題に対する答えをあぶり出したり、新しい視点でデータを解釈することなどの応用も可能となります。
OLAP分析とOLTPの違いとは?
OLAP分析と似た言葉であるOLTP(On Line Transaction Processing)とは、小規模データの大量処理を意味しています。
OLAPが得意とするのは大規模データの分析、あるいは複雑なクエリへの対応であるため、日常的な業務処理に特化したOLTPは、全く別の分析手法と言えるでしょう。
OLAP分析の解析手法
OLAP分析を適切に活用するためには、解析手法を理解することが重要です。具体的な手法について、以下に詳しく解説します。
ロールアップ
「ロールアップ」はOLAPの解析手法の一つであり、データをより高いレベルに集約する操作です。
例えば、日別の売上データを月別、さらに年別にまとめることで、全体的なトレンドを把握しやすくする処理がロールアップにあたります。詳細なデータから全体の傾向をつかむことが可能となるため、長期的な経営戦略の策定などに役立つでしょう。
スライシング
「スライシング」はOLAPにおける解析手法の一つであり、キューブ(立方体)状のデータから多次元データをスライスして、2次元の表に整理する処理を指します。
例えば、売り上げ月、地域、製品、担当者名といった売上データを持つキューブに対しては、売り上げ月と製品と担当者名から「担当者ごとの月間の製品別売上表」といった表を取り出す作業がスライシングに当たります。
この手法は、分析に必要なデータだけに焦点を当てて、効率的にビジネスの課題を探るために活用されます。
ダイシング
「ダイシング」はOLAPの解析手法の一つであり、スライシングで作成した表を操作して、観点の異なる表にまとめ直す処理を指します。
例えば、売り上げ月、製品、担当者名といったデータを持つ表に対しては、売り上げ月と担当者名から「担当者ごとの月間売上表」といった表を取り出す作業がダイシングに当たります。
ドリル
「ドリル」はOLAPの解析手法であり、データを詳細に掘り下げたり、逆にキメを粗くして集約するといった操作を指します。
ドリルには「ドリルダウン」、「ドリルアップ」、「ドリルスルー」などいくつか種類があります。
例えば「自動車」というデータに対して、ガソリン車→車種Aとより詳細なデータを表示することドリルダウン、その逆がドリルアップに該当します。そして「ドリルスルー」とは「自動車の売り上げ」という項目に対して、車種A、車種Bといった内訳を表示させる処理にあたります。
ピボット
「ピボット」はOLAPの解析手法であり、データの視点や軸を変更して異なる角度から分析を行うプロセスです。
例えば、売上データを地域別に表示していたものを、製品カテゴリー別に切り替えて分析する処理などがピボットに相当します。同じデータセットをさまざまな視点から分析できるため、多角的な分析を施す際に役立ちます。
OLAP分析を行う方法
OLAP分析を効果的に行うためには、BIツール(ビジネス・インテリジェンス)の活用が不可欠です。
BIツールには、OLAP分析をはじめとしたあらゆる分析機能が備わっているうえ、専門知識が無くても簡単に操作できるため、多くの企業で意思決定を支援するためのツールとして活用されています。OLAP分析を実践する際には、BIツールを導入してデータ活用を強化しましょう。
OLAP分析でデータを有効活用しビジネスを成功させよう
OLAP分析は、データを多角的に活用し、ビジネスの意思決定をサポートするために有効な手法です。ビッグデータを迅速かつ的確に分析することで、あらゆる企業の競争力を底上げすることができるでしょう。OLAP分析やBIツールを駆使して、ビジネスを大きく成長させるために役立てて下さい。
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