受発注業務を効率化する方法|課題と改善方法・効率化するメリットを解説

2023/12/22 2023/12/22

受発注管理システム

受発注業務を効率化する方法

受発注業務は、製品・サービスを販売する企業では必ず発生する業務ですが、煩雑化しやすく業務負担も大きいため、効率化を考えている企業も多いのではないでしょうか。本記事では、受発注業務を効率化する方法を、課題や改善方法、効率化のメリットとあわせて解説します。

受発注業務とは?

受発注業務とは、自社の商品やサービスの注文を受ける「受注業務」と、仕入れ先に商品・部品・原材料などを注文する「発注業務」のことを指します。

受注業務は、顧客から注文を受けて受注内容を確認し、受注伝票の作成や在庫確認、納品日の調整などを行います。発注業務は、仕入れ先の選定、見積もり依頼や注文書の作成、出荷状況の確認や商品の受け取りと検品、入金などが一般的な業務内容です。

どちらも業務内容は多岐にわたり、受注が集中する時期は、発注業務も増えることから、さまざまなタスクを並行して、スピーディにこなす必要のある業務といえるでしょう。

受発注業務の課題

受発注業務は取引において不可欠ですが、さまざまな課題に直面しています。ここからは、受発注業務の主な課題を4つ紹介します。

ヒューマンエラーが発生しやすい

受発注業務では人的なミス、いわゆる、ヒューマンエラーが発生しやすいという問題があります。

例えば、注文内容の入力ミスや紙書類の受注によるチェックもれ、商品や数量などの誤認などがあげられます。特に、アナログな方法で受発注業務を行っているとこれらのミスは発生リスクが高まるでしょう。

ヒューマンエラーは、業務の遅延や、顧客との信頼関係の損失を招いてしまいます。受発注業務の効率化を図るためには、ヒューマンエラーを根本的に減らす方法を見つけて実施することが重要です。

関連するシステムに入力する手間が発生する

受発注業務を効率化するうえでの大きな障害の一つは、関連するシステムへの重複するデータ入力の手間です。

通常、受発注の情報は、基幹システムに記録する必要があります。しかし、生産管理や販売管理といった関連業務のシステムが連携していない場合、同じデータをそれぞれのシステムに入力しなければなりません。

細かなデータの入力は想定以上の手間が発生します。手作業が多ければ多いほど、負担が増えるのはもちろん、入力ミスなどのヒューマンエラーも生じやすいでしょう。

テレワークなどの柔軟な働き方ができない

紙ベースで受発注業務を行っている場合、物理的な制約からオフィス出社の働き方が基本となり、テレワークを導入するのは難しいでしょう。

働き方の選択肢が少なくなってしまうのは、優秀な人材を確保しづらくするといった課題にもつながります。

業務が属人化しやすい

受発注業務は業務が属人化しやすいという特徴もあります。属人化とは、特定個人が業務の全ての知識やプロセスを把握しており、その人がいないと業務が滞る状況を指します。

例えば「いつもの商品を◯つ」「前回と同じもの」といった得意先からの口頭での受注フローがある場合、詳細は、特定の担当者でなければ理解できないことも多いでしょう。属人化は、担当者の急病や休暇により業務が進まないだけでなく、組織内にノウハウが蓄積されないため、担当者が離職した場合には、管理体制の再構築が求められることもあります。

属人化を防ぐためには、情報共有のシステムを整備することが重要です。

受発注業務を効率化・改善する方法

ここからは、受発注業務を効率化・改善する方法を具体的に3つ紹介します。

業務フローを見直す

受発注業務の効率化には、現在の業務フローを見直し、改善することが重要です。業務フローの見直しとは、業務の各ステップを分析し、無駄なプロセスや重複している作業を特定して排除または簡素化することを指します。

例えば、以下のようなポイントを重点的に確認しましょう。

  • 誤記のチェック回数は適正か
  • 部署内で情報共有や連携が適切にできているか
  • ミスの発生回数やミスが起きやすい作業内容を把握しているか
  • 取引先との連絡回数は適正か

改善できる点がある場合は、業務の効率化を実現できる可能性があります。マニュアルがなければ作成し、随時更新を行っていきます。関連部署や部署内で連携が上手く取れていなければ、人員の配置の変更なども検討しましょう。それぞれのポイントを数値化して、細かく分析を行うのもおすすめです。

アウトソーシングを活用する

受発注業務の改善には、社内業務の一部を、外部に委託するアウトソーシングも有効な手段です。

例えば、受注データの入力や関連する帳票の発行などは、業務手順を標準化することで、特定の人に依存せず、誰がやっても同じ品質のアウトプットが得られる業務でもあります。

そのため、注文処理、注文書の作成、請求書の発行などの業務をアウトソーシングすることで、社内の人材をよりコアな業務に配置し、生産性の向上や戦略的な体制の強化を図ることができるでしょう。

ただし、アウトソーシングには、コストがかかる、社内にノウハウが蓄積されないといった注意点もあるため、空いたリソースをいかに活用できるかがポイントになります。

受発注システムを導入する

受発注業務の効率を大幅に向上させる方法の一つが、受発注システムの導入です。

受発注システムとは、注文の受付や発注、管理、処理を自動化するためのツールです。受発注システムの導入により、受発注の処理時間を短縮し、全体的な業務の透明性を向上できます。

例えば、注文の自動受付や在庫のリアルタイム追跡、請求書の自動生成などが可能になります。従来の手作業の負担が軽減され、複数のシステムを横断していた作業を一元化することで効率的な業務の流れが実現できるのです。

また、受発注管理システムの中には、FAX注文書の内容を自動でデータ化してくれるFAX-OCR機能を搭載したものもあるため、取引先の状況でシステム化が進まないといったケースでは、一度検討してみるとよいでしょう。

【2023年最新】受発注システムおすすめ12選比較|機能や選び方・クラウド版と無料版に分けて紹介

受発注システムを導入するメリット

受発注業務に受発注システムを導入することで、さまざまなメリットが享受できます。

ここからは、受発注システムを導入するメリットを6つ紹介します。

受発注業務を効率化できる

受発注システムの導入によって、受注・発注の幅広い作業を自動化できるため、受発注業務を効率化できます。

例えば、アナログ環境では受注内容を目視して手作業で入力する必要がありましたが、受発注システムによって自動化できると入力の手間が減り、ヒューマンエラーも軽減することが可能です。

さらに、従業員は受発注業務のルーティン的な作業に注力する必要がなくなり、コア業務に集中できるため、仕事に対するモチベーションの向上も期待できるでしょう。

属人化を防止できる

受発注システムによる受発注業務の効率化によって、業務の属人化を防止することが可能です。

受発注業務に限らず、業務のシステム化は、ある意味では、誰がやっても同じ結果が導き出せる仕組みでもあります。そのため、属人化の解消や防止といった効果も見込めます。

属人化の防止によって、万が一担当者が欠勤や人事異動で変更になったとしても、誰でも同じ処理ができる体制が整えられます。

ヒューマンエラーの防止につながる

受発注業務では、入力ミスや読み間違いなどのヒューマンエラーが発生してしまいがちです。しかし、受発注システムによって自動的に処理を行うことで、ヒューマンエラーの発生を大幅に減らせます。

ミスを防止することで、リカバリーやクレーム対応に時間や人員を割く必要もなくなり、業務の効率化と顧客満足度の向上が期待できます。

コア業務に専念できる

受発注業務を効率化することにより、従業員はコア業務に集中することが可能になります。受発注プロセスの自動化や効率化によって、従業員は繰り返しの単純作業から解放され、より生産性を高められる業務に時間を割けるようになるのです。

例えば、新規顧客への営業や新たな製品の開発、既存プロダクトの改善や業務改善など、企業成長に直接寄与する業務に時間を充てられるようになるでしょう。結果として、企業は競争力を強化し、長期的な成功を目指すことが可能です。

テレワークを実現できる

受発注システムの導入により、オンライン上で受発注業務が完結できるようになれば、テレワークをはじめとした多様な働き方の推進もしやすくなるでしょう。

働き方の選択肢が増えることで、人材確保の可能性も広がります。また、テレワークの導入は、通勤時間の削減やオフィススペースの最適化にもつながり、企業の運営コストの削減にも効果的です。

顧客満足度の向上が期待できる

受発注システムを導入することで、インターネット上で24時間いつでも注文を受け付ける体制をつくることも可能です。顧客にとっては、営業時間を気にせず、自分のタイミングで発注できるため利便性が上がるでしょう。また、緊急の注文にも対応しやすくなるため、結果的に顧客満足度の向上が期待できます。

UIに優れ、わかりやすい操作画面を備えた受発注システムを選ぶことも、顧客満足度を高めるためのポイントです。

受発注業務効率化の成功事例

最後に、受発注業務の効率化を実現して成果を上げた企業の事例を紹介します。

長谷観光株式会社

料亭を経営する長谷観光株式会社は、食材の発注業務に膨大な時間がかかっていたことが課題でした。資材課と調理場の間で何度も確認作業が生じ、受発注業務に毎月150時間も費やしていたのです。

そこで、スマートフォンやパソコンから操作できる受発注システムを導入。発注書の作成や調理場から資材課への確認もシステム上で完結させることで、毎月の受発注業務の時間が約半分にまで短縮されたといいます。

シンプルな見た目で操作しやすいシステムを選んだ点を成功の一因としてあげた同社では、業務のオンライン化をテレワークの推進など、ワークライフバランスの向上にもつなげています。

[参照元:CO-NECT「月150時間の受発注業務時間が半分に短縮!紙の使用量削減・テレワークの実現も」]

株式会社フレイムス

美容室の運営やヘアケア商品を取り扱う株式会社フレイムスは、受発注業務の属人化や備品管理の負担が課題でした。ミスも多く発生しており、メールで受発注をしていたために受注状況や在庫状況が可視化されず、欠品が生じることも多々ありました。

そこで受発注システムを導入。備品管理や納品書の作成、出荷連絡などの業務時間を大幅に削減することに成功しました。システムによって注文の対応状況が可視化されたことにより、対応漏れも防いでいます。

また、受発注システムの分析レポート機能により、仕入れ数も正確に予測しやすくなったことも導入のメリットとしてあげています。

[参照元:CO-NECT「社内の備品管理にかかる業務時間を1/3に削減!」]

株式会社美十

老舗の製菓会社である株式会社美十は、全ての受注をFAXで受けており、受注内容のシステムへの入力作業に時間を取られていました。入力の際には、ヒューマンエラーも発生しやすく、大量のFAX注文書の中から目当ての書類を探すのに手間取ってしまうことも課題でした。

そこで、ペーパーレス化が実現できる受発注システムを導入。FAXの受け取りやシステムへの転記作業が不要になり、業務時間を月間200時間も削減することに成功しました。

これまでは従業員一人ひとりの業務量が多いことも課題でしたが、受発注システムによって受発注業務の時間が削減され、従業員満足度も向上しています。さらに、受発注システムは過去の受注内容も検索しやすくなり、業務の効率化を実現しました。

[参照元:CO-NECT「業務時間を月間200時間削減!「おたべ」で有名な老舗製菓メーカーが受発注システムを導入した理由とは?」]

システムを導入し受発注業務を効率化しよう

現代のビジネス環境では、受発注業務の効率化が企業成功の鍵となっています。受発注システムの導入により、業務スピードの向上やヒューマンエラーの減少、業務の透明性の向上が期待できます。

また、テレワークの実現や属人化の防止にも貢献し、従業員がより生産的な業務に集中できる環境の構築も可能です。受発注業務はシステムの導入で効率化して、現在抱えている課題を解決しましょう。

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