受注管理をエクセルで行う方法|メリット・デメリットや役立つ関数とテンプレートを紹介

最終更新日時:2024/01/29

受発注管理システム

エクセルでの受注管理

ビジネスツールとして世界で利用されている「エクセル」。比較的簡単に操作できることから、「受注管理」にもよく使われています。本記事では、受注管理をエクセルで行う方法を詳しく解説します。受注管理をエクセルで行うメリット・デメリットや役立つ関数・テンプレートも紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。

受注管理をエクセルで行う方法

受注管理とは、受注から出荷までの過程を管理することを指します。具体的には、注文請書の作成や在庫確認、商品発送などの幅広い業務が含まれます。

受注管理では、顧客情報から商品情報まで膨大なデータを取り扱い、それらを正確に管理しなければなりません。そこで役立つのがエクセルです。エクセルを活用することで、多様なデータを効率良く管理できます。

受注管理をエクセルで行う方法は以下のとおりです。

  1. 必要な項目を決める
  2. 運用ルールを決める

それぞれの過程を詳しく解説します。

必要な項目を決める

エクセルで受注管理を行うにあたって、まずは自社に必要な管理項目を決めましょう。一般的には、以下の項目が必要とされます。

  • 会社名
  • 連絡先
  • 担当者
  • 分類・種別
  • 商品名
  • 数量
  • 注文日
  • 納期
  • 商品コード
  • JANコード
  • 色サイズ
  • 配送方法
  • 対応状況

企業や業種によって必要となる項目は異なります。正確な管理ができるよう、まずは管理項目を漏れなくピックアップしましょう。

運用ルールを決める

次に、社内におけるエクセルの運用ルールを決めましょう。特に複数名が共同で運用する場合は、あらかじめルールを設定しておかなければ入力体裁が統一されない、データの重複や不備が発生するなどのトラブルの原因になります。

運用ルールの例として、たとえば以下のものが挙げられます。

  • 誰がどのタイミングで入力するかを決める
  • 金額に単位を付ける・付けないを決める
  • エクセルファイルをメールに添付する際のルールを決める
  • セルの関数には手を加えない

正しくデータを管理できるよう、運用ルールを策定して従業員間でしっかり共有しましょう。

受注管理とは?業務内容や進め方・課題、システム導入の選び方を解説

受注管理をエクセルで行うメリット

受注管理をエクセルで行うメリットとして、以下の4点があります。

  • 費用を抑えられる
  • 導入ハードルが低く誰でも利用できる
  • カスタマイズ性に優れている
  • 他システムと連携しやすい

それぞれ詳しく解説します。

費用を抑えられる

エクセルは導入・運用コストを抑えられる点が大きな特徴です。

受注管理のための専用システムも存在しますが、導入にあたっては初期費用や月額費用が発生します。場合によっては、機能追加のためにコストが増大する場合もあるでしょう。

一方、エクセルはMicrosoft社が提供しているソフトウェアであり、Microsoft Officeのライセンスを取得していれば使用できます。Microsoft Officeは多くの企業・個人で導入されており、受注管理に限らず、エクセルを日常的に使用している企業は少なくないでしょう。

エクセルを活用することで、受注管理のために追加で予算を割く必要がなく、管理コストを大幅に抑えられます。

導入ハードルが低く誰でも利用できる

エクセルは導入のハードルが低く、誰でも利用できるソフトウェアです。基本的なビジネスツールの一つとして普及しており、学生から社会人まで、多くの人が使ったことのあるツールといえます。

基本的な操作の難易度も低く、難しいプログラミングスキルも不要です。もし初めてエクセルを使用する従業員がいたとしても、特別な専門教育をする必要はありません。すなわち、運用コストに加えて教育コストも削減できるのです。

多くの従業員が使えるツールを活用することで、業務の属人化も防げます。業務の属人化が解消されることで、業務効率や生産性の向上も期待できるでしょう。

カスタマイズ性に優れている

エクセルはカスタマイズ性に優れているため、自社オリジナルの受注管理システムを構築できます。自社に必要な管理項目をカスタマイズしながら自由にレイアウトできることに加え、関数やマクロ機能を活用することで自動化も可能です。

たとえば、関数を活用することで、数値の計算やデータの抽出を正確に行えます。また、データ処理や書類作成、メールの一斉送信などは、マクロ機能によって自動化できます。

頻繁に行う作業を自動化することで、業務効率を高めることが可能です。また、作業を自動化しておくことで、作業する人に関係なく業務クオリティを担保できる点もメリットです。

このように、エクセルを活用することで、外部の専門家に頼ることなく利便性の高い受注管理システムを構築できます。

他システムと連携しやすい

エクセルは世界中の使用で活用されており、ビジネスシーンにおいて欠かせないツールです。そのため、あらかじめエクセルとの連携が配慮された外部システムも多数存在します。

連携できる外部システムは、顧客管理システムや在庫管理システム、売上管理システムなどさまざまです。外部システムと連携することで、エクセルで入力した数値がシステム上で自動集計・分析できます。

作業効率を向上できるのはもちろん、データの分析によって受注状況を把握し、効果的な戦略策定ができるなど、利益向上のためにも効果的です。

受注管理をエクセルで行うデメリット

エクセルでの受注管理には、以下のデメリットもあります。

  • 入力ミスが起こりやすい
  • リアルタイムの情報共有が難しい
  • 入力の手間がかかる
  • 処理速度が遅くなる
  • 互換性が低い

詳しく見ていきましょう。

入力ミスが起こりやすい

エクセルは人の手によって数値を入力するため、入力ミスが起こりやすいというデメリットがあります。

発生しやすいミスとして、「入力する文字や数値を間違えてしまった」「入力するセルやシートを間違えてしまった」などがあります。もし顧客の名前を間違って登録したままにすると、後のやり取りで信頼を喪失する恐れがあるため注意が必要です。

また、数値を入力する際に「0」の数を間違え、「商品を100個発注するつもりが1,000個発注してしまった」などのミスをしてしまうと、自社にとって甚大な損害となるでしょう。

入力ミスを起こさないためには、数値の二重チェックを怠らない、エクセル内の入力規則設定を活用するなどの対策を立てるのがおすすめです。しかし、人的ミスを完全に排除することは難しいでしょう。

リアルタイムの情報共有が難しい

エクセルは、リアルタイムでの情報共有が難しいというデメリットもあります。

基本的に、エクセルは同一ファイルを複数人で同時編集することができません。そのため、誰かが作業している際には最新の情報がわからず、業務効率が低下してしまいます。もしエクセルをリアルタイムで共有したいならば、チャットやメールなど、別のツールを併用する必要があるため、余計な手間が発生します。

しかし、オフラインで使用するエクセルではなく、クラウド版の「エクセルオンライン」を活用すれば同時編集が可能です。ただし、複数人で同時に作業を行うと、処理速度が遅くなることもあるため注意が必要です。

入力の手間がかかる

入力の手間がかかる点もデメリットの一つです。

たとえば受注管理においては、顧客の個人情報や商品名、単価、日付、など膨大なデータを一つひとつ手作業で入力しなければなりません。

管理しなければならない情報が膨大であれば、日々のエクセル入力に時間を要します。それにともない、従業員の業務負担も増大するでしょう。そのほか、従業員がコア業務に集中できない、データ入力のための人員が必要になる、などの課題が発生する恐れもあります。

処理速度が遅くなる

管理するデータの量が増えるにつれ、エクセルの処理速度は低下します。特に受注管理においては、長期的なデータの保管が必要となるため、月日が経つにつれてデータが蓄積されていきます。データが増えて処理速度が遅くなると、ファイルの開閉や入力、保存などの作業速度が遅くなってしまい、スムーズに作業を進められません。

処理速度の遅さはストレスにつながります。処理速度の低下を防ぐためには、不要なセルやシートは定期的に削除するなど、データ量を軽減する対策が必要です。

互換性が低い

エクセルは、定期的なバージョンアップが実施されます。バージョンアップを行うことで、新たな機能が追加される、既存機能が改良されるなどのメリットが得られます。一方で、バージョンアップ前のエクセルファイルが正常に機能しなくなる恐れがあるため注意が必要です。

特にマクロ機能を活用してシートを作成している場合、互換性の低さによって過去のファイルにエラーが生じ、これまでのデータを参照できなくなる可能性もあります。また、自社で新しいバージョンを問題なく活用できていたとしても、取引先が古いバージョンを使用していると、データのやり取りに支障が出ます。

混乱を招かないためには、過去データの保存方法やファイルの作成方法などについて、社内でルールを定めておくことが重要です。

受注管理をエクセルで行う際に役立つ関数

受注管理をエクセルで効率良く行うためには、関数を利用するのがおすすめです。エクセルの関数とは、エクセル内で設定できる定型の計算式であり、複雑な計算を自動化できます。

ここでは、受注管理をエクセルで行う際に役立つ関数を以下の表にまとめました。

関数詳細
IF関数数式:「=IF(条件,真の場合の値,偽の場合の値)」

指定した条件と入力値を照らし合わせ、真偽に応じて異なる値を表示する関数。たとえば、在庫が10個以上なら「〇」、10個未満なら「×」などの表示が可能。

SUMIF関数数式:「=SUMIF(検索範囲,検索条件,合計範囲)」

指定した検索範囲・条件を満たすセルの数値の合計を算出する。特定の商品の売上合計算出などが可能。

VLOOKUP関数数式:「=VLOOKUP(検索値,範囲,列番号,検索の型)」

指定した検索範囲の中から、検索したい値に一致するデータを抽出する。対象商品に対する商品コードや価格などを自動で抽出できる。

INDIRECT関数数式:「=INDIRECT(参照文字列,[参照形式])」

指定した文字列を参照して表示する。参照した文字を自動で表示できるため、入力ミスの防止に役立つ。

ROUND関数数式:「=ROUND(数値,桁数)」

数値を指定した桁数に四捨五入する。金額の端数処理などに活用できる。

IFERROR関数数式:IFERROR(数値,エラーの場合の値)

指定した数値がエラーの場合に、指定した値を表示する。たとえば、計算エラーが発生した場合、「エラー」などの文字を表示できる。

以上のように、エクセル関数を活用して計算を自動化することで、計算ミスの防止や作業時間の短縮を実現できます。関数を効果的に活用し、効率の良い受注管理を目指しましょう。

受注管理をエクセルで行う際に役立つテンプレート

受注管理をエクセルで行う際は、自分でフォーマットを作成する必要があります。しかし、「フォーマットをゼロから作るのは面倒」「どのように作れば良いのかわからない」という方もいるのではないでしょうか。

そこで、無料で公開されている受注管理用のエクセルテンプレートを3種類紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

A4縦型 受注管理表

縦型の受注管理表です。日付、取引先、品名、数量、単価、金額の6項目を備え、1ページに25件登録できます。シンプルなテンプレートであり、業種を問わず、幅広いシーンで活用できるでしょう。

ページ下部には備考欄も供えられており、注記すべきことを残すこともできます。シンプルで見やすいレイアウトのため、パソコン管理だけではなく、印刷して紙面で保管する際にもわかりやすいテンプレートです。

テンプレートはこちら

A4横型 受注管理表

横型の受注管理表です。日付、取引先、担当者、品名、数量、単価、金額、備考の8項目を備え、1ページに20件登録できます。縦型と同様にシンプルなテンプレートですが、1つの商品に対してより詳しく管理ができます。

こちらも紙面への印刷に対応しているテンプレートです。

テンプレートはこちら

受注一覧表

受注一覧表のテンプレートです。以下の項目が設定されています。

  • 受注番号
  • 受注日
  • 納期
  • 得意先
  • 納品日
  • 品番
  • 品名
  • 数量
  • 単価
  • 金額
  • 出荷日

パソコン上での管理を想定したテンプレートで、管理品目が細かく設定されている点が特徴です。必要に応じて項目名の変更や不要な項目の削除を行うことで、自社に使いやすい受注管理表にできるでしょう。

テンプレートはこちら

エクセルで受注管理をするメリット・デメリットを理解しよう

本記事では、エクセルで受注管理をするメリット・デメリットや、管理に役立つテンプレートなどを紹介しました。

エクセルは誰でも手軽に運用でき、関数などを活用することで、作業効率を高められます。一方で、リアルタイムでの共有が難しい、処理速度が遅いなどのデメリットもあるため注意が必要です。

自社の規模や商品数に応じて適切なツールを活用し、正確な受注管理を目指しましょう。

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