リファラル採用とは?目的やメリット・デメリット、進め方についてわかりやすく解説
リファラル採用は、多くの企業が取り入れている採用手法のひとつです。企業にマッチした新しい人材を採用するために、導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。本記事では、リファラル採用とは何か、検討に役立つ目的や特徴を紹介します。
目次
リファラル採用とは?
リファラル採用とは、企業が自社の従業員や取引先など、信頼できる人物から候補者を紹介してもらう採用手法です。英語の「リファラル=人脈」に由来します。
この方法は、既存のネットワークを活用するため、紹介される人材の適性や信頼性が高く、採用のミスマッチを防ぐ効果が期待されます。また、従業員が紹介することで、職場の文化や求められるスキルが事前に共有されるため、入社後の定着率が高いことが特徴です。
リファラル採用が導入されている背景や目的
リファラル採用が注目を集めている背景には、少子高齢化による人手不足が大きく影響しています。就職・転職の市場は年々激しさを増しており、より低コストで安定した雇用を得ることが重視されているのです。
特に、有名企業が積極的に導入していることもあり、その有効性が広く認識されています。
縁故採用との違い
縁故採用とは、主に自社社員やその関係者の伝手を活かして人材を採用する手法です。中小企業でよくみられる伝統的な採用方法で、推薦された人材の多くはそのまま採用されます。
一方で、リファラル採用は従業員の推薦を通じて、企業に適した人材を効率的に見つけることに焦点を当てています。そのため紹介があっても、一定以上の審査や面談などがあるのが通例です。
▷リファラル採用と縁故採用の違いとは?メリット・デメリットや導入時の注意点
アルムナイ採用との違い
アルムナイ採用とは、自社を一度退職した元従業員を再雇用する手法です。リファラル採用と異なり、アルムナイ採用はすでに会社の業務や文化を理解している人材を迎えることで、再度の教育コストを抑えつつ、即戦力として活躍してもらうことができます。
似たような制度に「ジョブ・リターン」や「カムバック制度」がありますが、これらは妊娠・出産やその他の事情で退職した人を対象とするのが特徴です。アルムナイ採用では、別の企業で活躍している転職者を主な対象とします。
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リファラル採用を企業が取り入れるメリット
ここでは、リファラル採用を取り入れることによって得られるメリットをご紹介します。導入を検討する場合は、自社の課題と照らし合わせてみるといいでしょう。
即戦力となる人材の採用
リファラル採用は、企業が即戦力となる高い専門性を持つ人材を獲得しやすい手法です。推薦者が職場の環境や求められるスキルを理解しているため、企業の価値観や文化にマッチした人材を紹介しやすくなります。
これにより、業務の習熟期間を短縮し、すぐに戦力として活躍できる人材を確保できることが大きなメリットです。
両者のミスマッチ防止
リファラル採用では、企業をよく知る社員がリクルーターとして関わるため、候補者が事前に仕事内容や職場環境を具体的に把握できます。
これにより、入社後に感じるギャップが少なくなり、企業と候補者のミスマッチを防げることは大きなメリットです。実際に働く環境を知る社員からの情報提供により、企業と求職者の相互理解を深めることができます。
採用コストの削減
リファラル採用は、外部の人材紹介会社や求人広告にかかるコストが発生しないため、採用コストを大幅に抑えることができます。従業員がリクルーターとして候補者を紹介するため、余計な外部費用をかけずに質の高い人材を採用できる点が大きなメリットです。
特に、中小企業にとってはコスト削減が重要な要素となり、効率的な採用手法として注目されています。
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転職潜在層へのアプローチ
リファラル採用は、転職市場に出ていない「転職潜在層」に直接アプローチできる強みがあります。これらの候補者は、現職に満足している場合が多いため、通常の求人広告では接触できません。
しかし、信頼できる従業員からの紹介を通じて、キャリアの新しい可能性を考えるきっかけを与え、優秀な人材を引き寄せることが可能です。
リファラル採用の導入によるデメリット
リファラル採用には多くのメリットがありますが、導入にはデメリットも存在します。予想外のトラブルを避けるためにも考慮が必要です。
大量採用に向いていない
リファラル採用は、候補者が従業員の知り合いやネットワークに限られるため、大量採用には適していません。特に、大規模な新規プロジェクトや急速な成長を目指す企業にとって、必要な人数を迅速に確保することは難しいでしょう。
また、候補者の選択肢が狭まることで、特定のスキルや経験を持つ人材を十分に集められない可能性もあるため、適切な採用手法を併用することが重要です。
人材の傾向が偏りやすい
リファラル採用では、自社の社員と価値観や志向が近い人材が集まりやすいことが特徴です。そのため、同じタイプの人材が増え、多様性を確保することが難しくなる場合があります。
特に、異なる視点や新しいアイデアを求める場面では、この傾向が企業の成長やイノベーションにとってマイナスとなる可能性もあるでしょう。幅広い人材を確保したい場合は、他の採用手法と併用することが求められます。
社員への負担が増加する
リファラル採用では、採用活動の一部を従業員に任せることになるため、本来の業務に加えて負担が増える点には注意が必要です。
特に、業務が多忙な社員にとって、推薦者としての役割を果たすことが負担となり、日常業務の効率低下やストレスの原因になることもあります。そのため、従業員の負担を軽減するための体制やサポート、適切な報酬体系などが不可欠です。
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リファラル採用のトラブルを回避するポイント
リファラル採用を円滑に進めるためには、トラブルを未然に防ぐためのポイントを押さえておくことが重要です。適切な対策を講じることで、成功率が高まります。
明確な人物像を社内で共有する
リファラル採用では、採用基準が曖昧なままだと、ミスマッチが起こる可能性が高まります。紹介者の個人的な感覚のみを頼りにすると、求める人物像から離れていってしまうかもしれません。
これを防ぐためには、社内で求める人材の明確な人物像を共有しておくことが重要です。具体的なスキルや価値観、職務への適応力などを事前に全員で認識しておくことで、候補者とのギャップを減らし、円滑な採用活動を進めることができます。
不採用時のフォロー体制を整える
リファラル採用では、不採用となった場合に紹介者と被紹介者の関係に不和が生じるリスクがあります。
これを防ぐためには、採用プロセスにおける理由や結果を丁寧に説明し、双方の納得感を得ることが重要です。さらに、フォローアップ体制を整えることで、紹介者と被紹介者の関係を良好に保ちながら、将来の機会にもつながる円滑な関係を維持することができます。
適切な報酬制度を定める
リファラル採用では、紹介者に対する報酬制度を導入する場合、法律に抵触しないよう適切に定めることが重要です。報酬制度が不公平であったり、過度なインセンティブが働くと、トラブルの原因となる可能性があります。
法的に適正な範囲で、公平かつ透明性のある報酬ルールを設け、従業員が安心してリファラル採用に参加できる環境を整えることが必要です。
リファラル採用が向いている企業の特徴
リファラル採用は、特定の企業にとって効果的な手法です。ここでは、リファラル採用が特に向いている企業の特徴について詳しく説明します。
採用コストを抑えたい会社
リファラル採用は、求人広告や人材紹介会社を利用しないため、他の採用方法に比べて採用コストが非常に低く抑えられます。
従業員のネットワークを活用することで、コストをかけずに質の高い人材を見つけやすいため、特に安価で採用活動を進めたい企業に向いている手法です。中小企業や予算が限られたスタートアップ企業などにとって、大きなメリットと言えるでしょう。
社員との信頼関係が築けている会社
リファラル採用は、社員のエンゲージメントが高く、企業との信頼関係がしっかりと築けている会社に向いています。
社員が自社を信頼し、職場環境や働き方に満足している場合、積極的に知人や友人を推薦しやすくなるため、リファラル採用の成功率が高まるためです。社員のモチベーションが高い会社ほど、この手法を最大限に活用できるでしょう。
リファラル採用を成功に導くための進め方
リファラル採用を効果的に活用するためには、計画的な進め方が重要です。ここでは、リファラル採用を成功に導くための具体的なステップをご紹介します。
採用制度を整備する
リファラル採用を成功させるためには、まず採用制度を整備することが必要です。
企業エンゲージメントが高い社員を集め、リファラル採用プロジェクトを発足させることで、制度の運用が効果的になります。社員の意見を反映させた仕組みを構築し、プロセスや報酬制度を明確に定めることを意識しましょう。特に採用基準や報酬体系など、従業員に直接影響する部分には慎重な検討が必要です。
まず丁寧な制度作りを行うことにより、組織全体の一体感も高まり、成果が出やすくなります。
社員に制度を周知する
リファラル採用制度を効果的に運用するためには、社員に制度をしっかりと周知することが重要です。説明会の開催や社内広報を活用して、制度の内容や目的、具体的な手順を社員に理解してもらいましょう。
これにより、社員は自分が制度の一部としてどのように貢献できるかを把握し、積極的にリファラル採用に参加する意識を高めることができます。また、制度のメリットや報酬制度についても明確に伝えることが大切です。
広報活動として情報を発信する
リファラル採用を成功させるためには、広報活動として採用状況や成果を公開し、社員の意識や認知を高めることが大切です。
社内ニュースや報告会などを通じて、採用人数や成功事例を紹介することで、制度に対する理解を深めるとともに、社員の積極的な参加を促進します。継続的に情報を発信し、制度の有効性を社員に共有することで、リファラル採用の定着を図ることができるでしょう。
リファラル採用とは社員に知人を紹介してもらう採用手法
リファラル採用は、信頼できる社員のネットワークを活用して優秀な人材を確保する手法です。社員の負担や人材の多様性確保に配慮することで、より効果的に運用できるでしょう。丁寧な情報共有を徹底することで、企業全体の採用力を強化し、持続可能な採用活動を実現しましょう。
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