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リファラル採用で発生しやすいトラブル|防ぐ方法や成功事例を解説

2024/10/10 2024/10/16

リファラル採用

リファラル採用のトラブル

昨今注目されている「リファラル採用」。社員からの紹介を通じて採用するため、企業理念や価値観に対する理解を持った人材を獲得できる採用手法として広まっています。しかし、問題なく実施するためには起こりうるトラブルに関する理解も必要です。本記事では、リファラル採用で発生しやすいトラブルを解説します。

リファラル採用とは?

リファラル採用とは、既存の社員に自分の友人や知人を紹介してもらうことで候補者を集める採用手法です。社員自身が信頼する人材を推薦するため、会社と文化が合いやすい人材が集まりやすい特徴があります。通常の採用手法と比べてコストが低く、信頼性の高い候補者が得られるため、多くの企業が注目している方法です。

リファラルは「縁故入社(コネ入社)」と混同されがちですが、両者はプロセスが明確に異なるため注意が必要です。縁故入社では多くの場合、紹介された人材をそのまま採用しますが、リファラル採用では紹介後に選考が行われます。

リファラル採用の実施状況

株式会社プロフェッショナルバンクの調査によると、リファラル採用を導入している企業は増加傾向にあり、特に大企業やIT業界で注目されているそうです。

調査結果では対象企業の約半数がリファラル採用を実施しており、今後もその割合は増加すると予測されています。またリファラル採用を行っている企業の多くが、通常採用と比べて採用角度が高いと評価しているのもポイントです。

[出典:PR TIMES「【リファラル採用に関するアンケート調査】企業の約8割がリファラル採用を実施。今後の採用を担う有効な手法として注目高まる。」]

リファラル採用で発生しやすいトラブル

リファラル採用は効果的な手法ですが、トラブルが発生することも少なくありません。ここでは、具体的にどのような問題が生じやすいのかを詳しく見ていきます。

母集団形成に関するトラブル

リファラル採用では、社員の紹介に依存するため、多様な人材を集めにくくなることがあります。

特定の人脈に偏りがちで、結果的に同質の人材が集まりやすくなり、企業の募集要件から遠のいてしまう場合もあるでしょう。このため、通常採用と比べて、組織の多様性やスキルのバランスが欠けてしまうことが懸念されます。

採用になった場合のトラブル

採用が決まった後でも、リファラル採用が原因でトラブルに発展することがあります。次に、具体的な問題について詳しく解説します。

縁故採用(コネ採用)と誤解される可能性がある

リファラル採用と縁故採用は異なる手法ですが、区別がついていない場合、誤解が生じることがあります。紹介によって採用された社員が「コネで入社した」と見なされると、職場での人間関係に悪影響を及ぼしかねません。

この誤解を防ぐためには、リファラル採用が公平で透明なプロセスで行われていることを社内に周知し、適切な評価基準を設けることが重要です。

紹介した社員が不満を感じる可能性がある

リファラル採用では、即戦力となる高スキルの人材が紹介されることが多く、その場合は好待遇で迎え入れられることもあるでしょう。

しかし、紹介者よりも新入社員が高く評価されると、紹介者が劣等感を感じたり、企業に対する不満が生じることがあります。また、友人との関係に溝ができるリスクも存在します。

不採用になった場合のトラブル

リファラル採用で不採用になった場合にも、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。次に、起こりうる具体的なトラブルについて詳しく解説していきます。

社員が企業に対する不信感を抱く可能性がある

リファラル採用は多くの場合、一般採用と同様の選考基準で進められますが、合格率が高いと誤解されることがあります。

このような誤解があると、不採用になった場合に紹介した社員が「せっかく推薦したのに」と企業に対して不満を抱く結果になりかねません。

社員と候補者の人間関係が気まずくなる可能性がある

リファラル採用で不採用になった場合、紹介した社員と候補者とのプライベートな関係が気まずくなる可能性があります。

特に、期待をかけて紹介したにもかかわらず選考を通過できなかった場合、互いに気まずい感情を抱くことがあるでしょう。

採用の見送りをする際のポイント|不採用通知メールの書き方や例文・伝え方について

報酬(インセンティブ)に関するトラブル

リファラル採用では、報酬やインセンティブに関してもトラブルが発生することがあります。具体的な問題ついて詳しく見ていきます。

報酬ルールが曖昧な場合に信用を失う可能性がある

リファラル採用における紹介者への報酬制度は、金額や支給タイミング、条件が明確でないと社員からの信用を失う可能性があります。

特に、報酬が支払われるタイミングが不明確だったり、報酬内容が曖昧だと、社員は不満や不信感を抱きやすくなるでしょう。これにより、リファラル採用への協力意欲が低下し、信頼関係が損なわれるリスクが高まります。

有料職業紹介とみなされる可能性がある

リファラル採用の報酬が就業規則に明記されていない場合や、人材紹介会社に支払う報酬よりも高額な報酬が支給される場合、法的に有料職業紹介とみなされる可能性があります。これにより、企業が法律違反と判断されるリスクが生じるため、報酬に関するルールは明確かつ適正に設定することが重要です。

報酬制度が適切に運用されていない場合、企業の信頼性が損なわれるだけでなく、法的トラブルに発展する可能性があることに十分注意しましょう。

リファラル採用のトラブルを防ぐ方法

リファラル採用に伴うトラブルを未然に防ぐためには、リスクを適切に理解したうえでの対策が必要です。具体的な防止策について詳しく見ていきましょう。

求める人材を明確にする

リファラル採用で不採用の確率を下げるためには、企業が求める人材像を明確にし、社員にしっかりと共有することが重要です。社員が候補者を紹介する際に、どのようなスキルや経験、価値観を持った人材が適しているかを具体的に伝えることで、ミスマッチを防ぎやすくなります。

これにより、選考の効率が向上し、不採用によるトラブルも減少します。また、条件を細かくパターン分けするなど、人材の偏りを防ぐ工夫も効果的です。

優秀な人材の特徴・見分け方|採用に失敗しないポイントや定着させる秘訣

採用基準を明確にし周知する

リファラル採用の採用基準は、一般採用と同じであることを社員に周知することが重要です。リファラル採用だからといって選考基準が緩和されるわけではないため、誤解を避けるために基準を明確にしておく必要があります。

紹介者や応募者自身も、採用基準をしっかり理解しておくことで、もし不採用になった場合でも納得感を得やすくなります。人間関係のトラブルにつながることなく、既存社員との信頼関係も継続しやすいでしょう。

採用基準とは?決め方や人材を見極める上でのポイント・3つの要素を解説

選考参加の決定は求職者にしてもらう

リファラル採用では、不採用による社員と求職者の人間関係の悪化を避けるため、選考参加の決定は求職者自身に任せることが重要です。

社員の紹介だからといって選考を強制せず、事前に説明会や面談を実施して、求職者が選考に参加するかを自身で判断できるようにすることで、誤解や不満を避けやすくなります。

報酬ルールを明確にし就業規則に盛り込む

リファラル採用での報酬に関するトラブルを回避し、違法とみなされないためには、報酬ルールを明確に定めることが重要です。

報酬金額、支給タイミング、支給条件などを詳細に設定し、それを就業規則に盛り込むことで、社員と企業間での誤解や不満を防ぎましょう。特に就業規則への明記は重要で、これがないと法的に有料職業紹介とみなされる可能性が高まります。

報酬を現金で支払う場合の金額は企業によって異なりますが、およそ1~20万円程度であれば法的に問題になりにくいとされます。場合によっては、ギフト券やその他の待遇処置で還元している企業もあります。

求職者や社員はもちろんのこと、企業全体の信頼・安定のためにも、報酬ルールの徹底を心がけましょう。

リファラル採用に成功した企業事例

ここでは、リファラル採用を成功させた企業の具体的な事例を紹介します。どのような工夫や施策が効果を上げたのか、詳しく見ていきましょう。

日本航空株式会社

日本航空株式会社(JAL)は、日本を代表する航空会社で、世界中にネットワークを持つ大手企業です。

同社ではコロナ禍以降、「多様性」と「変革」という2つのキーワードを採用方針に掲げ、キャリア採用の強化に取り組んできました。そうした中で、これまで手の届かなかった転職潜在層にアプローチするためにリファラル採用を取り入れたのです。

社員のリアルな口コミによって興味を引き、また社員全体で仲間を集める文化を醸成することで、社員エンゲージメントの向上に期待しています。

[出典:株式会社TalentX「日本航空の人的資本経営時代を勝ち抜く採用変革──MyシリーズALLで転職潜在層へのアプローチを強化し、戦わない採用を実現する」]

都築電気株式会社

都築電気株式会社は、ITソリューションやシステム開発を手掛ける日本の大手企業です。

2032年に創業100周年を迎える同社では、将来を見据えた中期経営計画にて経営基盤強化を掲げ、リファラル採用を導入しました。

これまで通り新卒者の採用は続けつつ、人材の多様性を拡大することが大きな目的だといいます。また、学生を含む若手求職者が減少傾向にある現代において、コスト面でも有利な手法としてリファラル採用が期待されています。

[出典:株式会社TalentX「都築電気の中期経営計画とリファラル採用──創業100周年、そして次の100年をつくる多様な人材の採用を推進」]

株式会社小松製作所

株式会社小松製作所(コマツ)は、建設機械を中心に世界的なシェアを誇る日本の大手企業です。

同社では「多様性に富む人材基盤の充実化」を掲げ、採用手法の多様化促進のためにリファラル採用を導入しました。

特に自社の文化とマッチする人材の発掘を重視しており、その点でリファラル採用が魅力的だったといいます。既存社員の口コミや紹介を活かすことで、ミスマッチを防ぎ、他社との獲得競争でも一歩リードできると考えているそうです。

[出典:株式会社TalentX「時代に合わせてアップデートするコマツの採用戦略──人材を「新しい価値を生み出す重要な経営資源」と捉え、リファラル採用・アルムナイ採用を開始」]

トラブルを防ぎリファラル採用を成功させよう

リファラル採用は、効果的な採用手法ですが、トラブルを防ぐためには適切な準備と運用が不可欠です。求める人材像や採用基準を明確にし、社員とのコミュニケーションをしっかりと行うことが、スムーズな採用プロセスにつながります。

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ビズクロ編集部
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