採用の見送りをする際のポイント|不採用通知メールの書き方や例文・伝え方について
採用見送りとなった候補者に送る「不採用通知」は、受け取る側はもちろん、伝え方などの対応次第でトラブルに発展する恐れもあるため、送る側にも負担が伴うものです。今回は、採用を見送る際のポイントや不採用通知メールの書き方を紹介します。
・採用見送りとは、応募者に対して「採用しない」ということを伝える際に用いる表現
・採用を見送る上では、採用基準に達していない、他に良い候補者がいるなど様々な理由がある
・採用を見送る際の対応に不備があると、応募者とのトラブルにつながってしまうリスクがあるので慎重に実施する必要がある
目次
採用見送りとは?
「採用見送り」とは、企業が応募者に対して「採用しない」ことを表すときに使う言葉です。「不採用」と直接的に伝えるよりも、控えめな表現を用いることで、応募者の気持ちを少しでも穏やかにする配慮が込められています。
「今回は採用を見送らせていただきます」という表現は、応募者の力になり得る可能性を完全に否定するものではなく、あくまで今回の採用においてのみ見送ることを示しているため、今後の再チャレンジの機会を残しているともいえるでしょう。
採用見送りとなる理由の例
採用活動において、採用を見送る理由はさまざまです。以下に、その代表的な理由をいくつかご紹介します。
他に良い候補者がいる
同じポジションに複数の応募があり、総合的に他の候補者のほうが求められる能力や経験、人物像により適していると判断された場合に採用見送りとなります。
選考では、単に応募者同士を比較するだけでなく、求人要件への適性をさまざまな観点から慎重に見極めた結果、残念ながら他の候補者に軍配が上がることもあり得るのです。
求めているスキルに達していない
企業が求めている専門的なスキルや経験、資格などを、応募者が十分に持っていないと判断された場合、採用見送りとなることがあります。
募集要項にも明記されている必須条件を満たしていなければ、たとえ応募者自身の長所は認められていても、そのポジションへの採用は見送られてしまうでしょう。
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労働条件や待遇がマッチしていない
応募者の希望する待遇や就労条件が、企業側で用意できる範囲を超えていると判明した場合に採用見送りとなることもあります。
例えば、希望する給与水準や勤務地の条件が合わないなど、双方で折り合いがつかない部分があれば、残念ながら採用に至らないことになるでしょう。
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キャリアパスがマッチしていない
応募者のキャリアに対する意向や目標が、企業が求める人材像やポジションと大きくかけ離れていると感じられた場合、採用を見送られる可能性があります。
長期的な視点に立って、双方のキャリアビジョンが合致していないと判断されれば、たとえ一時的な役割を果たせそうでも、継続的な活躍が期待できないため見送られるのです。
トラブルを未然に防ぐ採用を見送る際の理由の伝え方
不採用通知は、応募者に対する礼儀であり、また、企業側のリスク軽減にもつながる大切なプロセスです。適切な連絡を怠ると、応募者の不信感を招いたり、トラブルに発展したりする恐れもあります。そこで、トラブル防止のために、以下のようにしっかりと採用見送りの理由を伝えることが重要です。
メールで速やかに連絡する
採用見送りの通知は、基本的にメールで行われます。メールであれば、結論とともに一定の理由が書面として証跡が残るため、トラブル防止にもなります。できる限り早期に連絡を入れ、応募者を長く待たせないよう配慮しましょう。
緊急時は電話も活用する
締め切りが迫っている場合などの緊急時や、通知が大幅に遅れてトラブルにつながる恐れがある場合は、電話で連絡を入れることも検討します。その際、応募者から具体的な不採用理由を問われる可能性もあるため、あらかじめ回答を用意しておくと良いでしょう。
また、電話では連絡の証跡が残りにくいため、併せてメールでも通知を行うべきです。
ポートフォリオの返却は郵送で行う
選考の過程で応募者から提出された作品やポートフォリオなど、返却が必要な物品がある場合は、メールでの連絡と併せて、確実に郵送で返却を行います。
人材紹介会社に不採用理由を伝える
人材紹介会社を介した採用活動の場合、応募者とのやり取りは基本的にその紹介会社を通して行われるため、紹介会社に不採用理由を伝えなければなりません。応募者への返答に加え、取り次ぎ役の紹介会社にも丁寧に説明を行い、トラブル防止に努めましょう。
採用見送りメール(不採用通知)の書き方と例文
採用見送りの連絡は、基本的にメールで行われます。文面作成時には、応募者の気持ちを考慮しながら、適切な表現とメッセージを心がけましょう。以下では、不採用通知メールの書き方と具体的な例文をご紹介します。
採用見送りメールの書き方
不採用通知メールは、以下の記載内容や構成が求められます。
- 端的なメール件名
- 「採用見送り」の通知
- 応募への感謝
- 丁寧な結び文句
上記のほか、必要に応じて別の機会への応募をお願いする一文を添えるのも良いでしょう。
【選考フェーズ別】採用見送りメールの例文
選考の段階によって、メールの内容や伝え方を変える必要があります。ここでは、代表的な選考フェーズごとに、採用見送りメールの具体例を紹介します。
書類選考後の採用見送りメールの例文
件名
| 【株式会社○○】選考結果のご連絡
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本文
| ◻︎◻︎様(応募者のフルネーム) 株式会社○○採用担当の△△でございます。 この度は、私ども株式会社○○のWebデザイナー職へのご応募、誠にありがとうございました。 応募書類をもとに厳正なる選考を重ねた結果、誠に残念ではございますが、今回はご希望に沿いかねる結果となりました。 ご期待に添えず大変恐縮ではございますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。 なお、お預かりした応募書類につきましては、履歴書記載のご住所へ郵送にてご返却いたします。/弊社にて責任を持って破棄いたします。 末筆になりますが、◻︎◻︎様のこれからのご活躍をお祈り申し上げます。 株式会社○○ △△
|
面接後の採用見送りメールの例文
件名
| 【株式会社○○】選考結果のご連絡
|
本文
| ◻︎◻︎様(応募者のフルネーム) 株式会社○○採用担当の△△でございます。 この度は、私ども株式会社○○のWebデザイナー職へのご応募、誠にありがとうございました。また、先日はお忙しい中、面接にお越しいただきましたこと、重ねて御礼申し上げます。 選考結果につきまして、慎重に選考を重ねました結果、誠に残念ではございますが、今回はご希望に沿いかねる結果となりました。 ご期待に添えず大変恐縮ではございますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。 なお、お預かりした応募書類につきましては、履歴書記載のご住所へ郵送にてご返却いたします。/弊社にて責任を持って破棄いたします。 末筆になりますが、◻︎◻︎様のより一層のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。 株式会社○○ △△
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不採用通知メールを作成する際の注意点
採用活動の過程で避けて通れない不採用通知。応募者への敬意を払いつつ、適切な内容と表現を心がける必要があります。メールを作成する際は、以下の点に気を付けましょう。
本文内容は簡潔にまとめる
不採用の通知は、伝えるべき核心部分だけを簡潔にまとめることが重要です。長々した説明は避け、「採用見送り」の旨を端的に伝えるようにします。同時に、感謝の言葉や別の機会を前向きに伝える言及も忘れずに添えましょう。
送付先を間違えないようにする
不採用通知メールは、応募者個人に対して送付されます。そのため、メールアドレスの入力ミスや宛先の取り違えがないよう、念入りなダブルチェックが必要です。万が一、誤送信してしまうと、個人情報の漏えいなどの重大な問題に発展する可能性もあります。確認を怠らず、細心の注意を払いましょう。
応募者の心情や都合に配慮する
不採用通知は、受け取る側の応募者にとって肯定的な内容ではありません。直接的すぎる表現は避け、できる限り穏やかで心情に配慮したニュアンスの文面を心がけるべきです。
一方で、単に定型文のテンプレートに流れてしまっては本末転倒。一人ひとりに宛てていることを意識し、あくまでしっかりと選考を行った上での結果であることが伝わる内容にする必要があります。
不採用通知を取り消す場合の対応
本来であれば、慎重な検討を経た上で決定しているはずの不採用通知を、取り消すような事態は避けるべきです。しかしながら、欠員が出た場合や、万が一の人為的ミスなどにより、取り消しを余儀なくされる場合の対応も念頭に置く必要があります。
メールと電話の両方で連絡を取る
不採用通知の取り消しを伝える際には、メールだけでなく、必ず電話でも応募者に直接連絡を入れるようにしましょう。メールでの一方的な連絡だけだと、誠意が伝わりにくい可能性があります。電話で直接話し、真摯な姿勢を示すことが重要です。
加えて、電話では、取り消しの経緯や次の選考への案内など、応募者の疑問に即座に回答できるメリットもあります。応募者の立場に立って、分かりやすく丁寧な説明を心がけましょう。
不採用の取り消しに対してお詫びする
一度不採用通知を出してしまった事実に対しては、取り消しの連絡の際に、改めてお詫びの言葉を述べるべきです。まず率直に謝罪した上で、自社にとって必要な人材であることを伝えましょう。
応募者の気持ちを痛めてしまったことを自覚し、取り消しに伴う手続き的な説明だけでなく、心からの言葉や態度が求められます。丁重な対応は応募者の信頼を回復する機会にもなるでしょう。
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採用の見送りの通知は候補者への配慮と丁寧な対応が必要
不採用通知は応募者に大きな心理的ダメージを与える可能性があるため、企業側は十分な配慮と丁重な対応を心がける必要があります。簡潔かつ分かりやすい文面で伝えるとともに、応募者の気持ちを汲んだ温かみのある表現を用いることが重要です。
適切な不採用通知は、企業の信頼と好印象の維持にもかかわります。応募者一人ひとりに対して真摯な姿勢と丁寧な対応を怠らないようにしましょう。
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