採用基準とは?決め方や人材を見極める上でのポイント・3つの要素を解説

最終更新日時:2024/03/04

採用管理システム

採用基準とは

採用活動において企業と応募者のミスマッチを避けるためには、明確な基準を設けることが重要です。本記事では、採用を担当している方向けに、基準の決定方法や人材を見極めるポイントを解説します。採用活動の質を高めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の要約

・採用基準とは、新たな従業員を採用する際に重視する要素や項目を定めたもの
・スキルや学歴、経歴などの基本的な情報はもちろん、価値観や思考などが企業とマッチングしているかという視点なども含まれる

採用基準とは?

採用基準とは、企業が新たな従業員を採用する際に重視する項目や内容を明確に定めたものです。これには、応募者のスキルや経験、学歴などはもちろん、その人の価値観が企業文化に合っているかという点も含まれます。

また、職務遂行能力やコミュニケーション能力、チームワークを促進できるかどうかといった人物特性も、採用の基準によくある項目です。企業によっては、革新的な思考を重視したり、特定の技術や知識を有する人材を求めたりすることもあります。

採用基準を設定する目的・重要性

採用基準の設定は、企業が目指す成長と発展に必要な人材を獲得するために不可欠です。ここでは、採用基準を設定する目的や重要性について解説します。

求める人材を見極めるため

採用基準を明確に設定する目的の一つは、求める人材像と実際の業務に必要とされるスキルセットにズレが生じないようにすることです。仮に採用基準が不明瞭だと、現場で求められている人材とは異なる応募者を採用してしまうことになります。

明確な採用基準を設けることで、人事部は応募者が持つ能力や経験、そしてその人物が企業文化にフィットするかどうかを正しく評価できるのです。

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早期退職を防止するため

採用基準を明確にしておくことで、入社後のミスマッチのリスクを低減できます。実際の業務で求められているよりもオーバースペックの人材を採用してしまえば、業務内容に給与が見合わないなどの理由から早期退職につながる可能性もあるでしょう。

募集したポジションに適した人材かを見極めるには、まずは企業が求める人材を明確にし、それをもとに採用基準を設定することが大切です。

公正・公平な選考を行うため

採用基準を設定する目的は、応募者を公平かつ公正に選考するためです。とくに面接を複数行う企業では、面接官が複数人いる場合もあるでしょう。その際、採用基準がなければ面接官が各々の価値観やフィーリングを頼りに偏った選考を行ってしまうことが考えられます。

なお、厚生労働省では「公正な採用選考の基本」として、以下2つの考え方を挙げています。

・応募者の基本的人権を尊重すること

・応募者の適性・能力に基づいた基準により行うこと 

[引用:厚生労働省「公正な採用選考の基本」]

採用基準を明確にすることで、個人の主観や偏見に基づいた評価ではなく、客観的な基準をもとに応募者を評価することができます。

採用基準が適切でない場合のリスク

採用基準が明確に設定されていない場合、募集したポジションに必要なスキルを持たない人材を採用してしまう可能性があります。また、実際の仕事内容が採用した人材のイメージとかけはなれていれば、ミスマッチによる早期離職にもつながるでしょう。

厚生労働省が調査した新卒者の離職状況を見てみると、早期離職した人の多くが1年目に離職していることがわかります。また、転職サイトを運営するビズリーチの独自調査では、35~49歳で転職した人のうち前職を3年未満で離職している早期離職者は39%いたことがわかりました。

従業員が早期離職してしまえば、採用や教育にかかるコストの損失になるだけでなく、早期離職が多い企業というイメージがついて求職者の応募意欲を低下させてしまうことも考えられるでしょう。

[参照:厚生労働省「学歴別就職後3年以内離職率の推移」]

[参照:株式会社ビズリーチ「早期離職はなぜ起きる? 中途社員の離職率や理由別対応策を紹介」]

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採用基準の3つの要素

採用基準を設定する際、企業は主に「知識やスキル」「志向や人物のタイプ」「社風との親和性」の3つの要素を考慮します。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

知識やスキル

業務遂行に必須の知識やスキルは、採用基準を考える際の重要な要素のひとつです。IT業界ではプログラミング能力やシステム設計の知識、マーケティング職では市場分析や戦略立案の能力が重視されます。

このように業務に必要な知識やスキルを洗い出すことで、採用したい人材のイメージもしやすくなるでしょう。

志向や人物のタイプ

求める人材の志向性や人物像は、企業や採用するポジションによっても異なるでしょう。

なかでもとくに重視したいのが、仕事に対する価値観です。応募者が持つキャリアプランやワークライフバランスに対する考え方を把握することで、採用した人物が組織内で長期的に活躍できるかを見極めることができます。

社風との親和性

採用したい人材が社風とマッチしているかも重要な基準のひとつです。候補者が自社の文化に自然に溶け込み、ストレスなく働けるかどうかを把握することで、ミスマッチによる早期離職を防げるでしょう。

社風との親和性を見極める際は、入社後のキャリアプランや募集しているポジションでどのような仕事をしたいのかについて質問することをおすすめします。

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採用基準の決め方

採用基準を決める際には、企業が目指す方向性と必要な人材像を明確にすることが重要です。ここでは、採用基準を決める際のポイントを紹介します。

採用市場のトレンドを調査する

採用基準を設定するにあたり、まず採用市場のトレンドを把握することが不可欠です。これにより、業界内外で求められるスキルや資格が何か、どのような人材が競争力を持っているかを理解できます。

トレンドを把握する方法としては、業界の報告書や調査結果、同業他社の採用動向の分析を参考にしたり、専門家やリクルーティングイベントで情報収集するのが有効です。

2つの観点から求める人材像を定める

求める人材像を定める際には、「スキルセット」と「人物タイプ」の2つの観点が重要になります。これにより、業務遂行能力だけでなく、チームや企業文化にフィットする人材を見極めることができます。

業務やポジションに必要なスキルセット

採用するポジションに必要なスキルセットや経験を特定するには、実際の業務を理解し、それに適した能力を持つ人材を見極める必要があります。これを行うには、現場のスタッフやチームリーダーからのフィードバックを受け、具体的な業務内容や必要なスキルをヒアリングすることが効果的です。

自社で活躍できる人物タイプ

自社の文化やチームと調和し、モチベーション高く働ける人物タイプを定義することも、採用基準設定の重要な要素です。候補者が企業の価値観に共感し、長期的に貢献できるポテンシャルを持っているかを見極める必要があります。

評価項目を定める

評価項目の選定で悩んでいる場合には、経済産業省が公表している「人生100年時代の社会人基礎力」を参考にするのもよいでしょう。このガイドラインでは、社会人基礎力として以下の3つが提唱されています。

1.前に踏み出す力(アクション):一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力

【構成する能力要素】

・主体性:物事に進んで取り組む力

・働きかけ力:他人に働きかけ巻き込む力

・実行力:目標を設定し確実に行動する力

2.考え抜く力(シンキング):疑問を持ち、考え抜く力

【構成する能力要素】

・課題発見力:現状を分析し目的や課題を明らかにする力

・計画力:課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力

・想像力:新しい価値を生み出す力

3.チームで働く力(チームワーク):多様な人々とともに、目標に向けて協力する力

【構成する能力要素】

・発信力:自分の意見をわかりやすく伝える力

・傾聴力:相手の意見を丁寧に聞く力

・柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力

・状況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力

・規律性:社会のルールや人との約束を守る力

・ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力

[引用:経済産業省「人生100年時代の社会人基礎力」]

評価基準を定める

設定した評価項目に基づき、各項目の評価尺度を明確にしていきましょう。これにより、採用・不採用の判断がしやすくなり、公平な選考が行えるようになります。

採用基準に沿った適切な選考を行う手順

適切な採用選考を行うには、定められた採用基準に沿った手順を確実に踏むことが重要です。ここでは、効果的に選考を行うための手順を3つに分けて紹介します。

書類選考で絞り込む

書類選考の段階から採用基準をもとに応募者を絞り込みましょう。履歴書や職務経歴書を通じて、応募者が持つスキルや経験が募集ポジションに適しているかどうかを評価します。

また、応募書類を見ることでビジネスマナーや基本的な文章作成能力を図ることも可能です。これにより、選考プロセス全体の効率を大きく向上させるでしょう。

適正検査を実施する

面接前に適性検査を実施することで、候補者の人物特性をより深く理解することが可能です。これにより、各候補者が職務にどのようにフィットするか、企業文化に適応できるかを把握できます。

適性検査と一口に言っても、さまざまな種類が存在します。まずは社内で情報収集を行いながら、自社にはどのような適性検査が向いているのかを確認しましょう。

評価基準に沿った面接を行う

面接は、採用プロセスの中で最も重要なものの一つです。設定した評価項目に沿って、候補者のスキルや経験、人物像を総合的に評価しましょう。これにより、公正な判断が可能になるだけでなく、面接をスムーズに進められるというメリットもあります。

面接の段階によって面接官が異なる場合は、作成した評価基準をすべての担当者に周知することも大切です。

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新卒・中途採用の採用基準の違い

新卒採用と中途採用では、企業が重視する採用基準に明確な違いがあります。ここでは、それぞれにどのような違いがあるのかを見ていきましょう。

新卒採用で重視すべき採用基準

新卒採用では、候補者の経験よりも潜在能力や成長の可能性を重視する傾向にあります。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 学習意欲と成長意欲
  • 基本的なコミュニケーション能力
  • チームワークに対する適応性
  • 倫理観と職業意識
  • 柔軟な思考能力

これらの基準は、新卒者が長期的に企業に貢献できるかを見極めるために設けられています。

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中途採用で重視すべき採用基準

中途採用では、即戦力としての技術や経験、専門性が求められます。重要視されるポイントは、以下の通りです。

  • 専門技術や業務経験
  • 業務に対する即応性
  • リーダーシップとチーム管理能力
  • 企業文化への適応性
  • 過去の成果や実績

これらの基準を通じて、候補者が企業の成長にどのように貢献できるかを評価しましょう。

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採用基準を定める際の注意点

採用基準を定める際には、いくつか注意すべきポイントがあります。法律に関わるものもあるため、あらかじめ確認しておきましょう。

就職差別につながる採用基準を排除する

採用基準を作成する際は、就職差別につながるような項目が含まれていないかについて注意する必要があります。差別につながる採用基準の例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 年齢や性別・本籍や出生地
  • 家庭環境
  • 身長や体重など
  • 障害や病気の有無
  • 婚姻状況や出産計画に関する問い
  • 支持政党
  • 宗教や政治的信条に関する質問

これらの基準は、候補者の能力や適性とは無関係なため、採用過程から排除する必要があります。

[参照:厚生労働省「採用選考時に配慮すべき事項」]

上層部や現場からの意見を取り入れる

採用基準を決める際には、人事部門だけでなく、上層部や現場のスタッフからの意見も取り入れることが大切です。

これにより、実際の業務に即したスキルや人物像を明確にし、入社後のミスマッチを防ぐことができます。

採用基準を定期的に見直す

求める人材像や採用トレンドは時間と共に変化します。そのため、設定した採用基準は定期的に見直し、現在のビジネス環境や組織のニーズに合わせて更新しましょう。

また、面接官によって通過率に極端な違いがある場合は、原因を特定し改善するための対策を立てることも重要です。

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入社後のミスマッチを防ぐ採用基準を設定しよう

本記事では、採用基準の目的や重要性、設定する際のポイントなどを紹介しました。適切な採用基準を設定することで、より自社に適した人材を採用でき、入社後のミスマッチを防ぐことができます。人材の定着を図るためにも、詳細な採用基準を設定しましょう。

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