WMS・WES・WCSの違いとは?役割や機能・導入効果を簡単に解説
倉庫管理をサポートする、「WMS・WES・WCS」。多くの企業が導入しているこの3つのシステムにはどのような違いがあるのでしょうか。本記事では、WMS・WES・WCSの違いについて、それぞれのシステムの役割や機能、導入による効果を簡単にわかりやすく解説します。
目次
WMS・WES・WCSの違いは「管理・制御する対象」
WMS(倉庫管理システム)、WES(倉庫実行システム)、WCS(倉庫制御システム)の3つはどれも倉庫管理をサポートするシステムですが、それぞれ管理・制御する対象が異なります。
以降では、それぞれのシステムの概要・役割・機能・得られる効果を解説します。
WMS(倉庫管理システム)とは?
WMSは「Warehouse Management System」の略称で、倉庫の入出荷や在庫管理、棚卸などの業務を効率的に管理するためのシステムです。
WMSの役割
WMSの主な役割は、倉庫業務全般を一元管理し、業務の効率化や作業精度の向上を図ることです。
具体的には、入出荷や在庫のデータをリアルタイムで把握することで誤配送の防止や納期短縮などを実現し、正確でスムーズな物流プロセスを維持します。
WMSを活用するとコストの削減や作業効率・正確性の向上につながるため、結果的にサービスクオリティが高まることによる顧客満足度の向上も期待できます。
WMSの主な機能
WMSに搭載されている主な機能を4つご紹介します。
入荷管理機能
入荷管理機能は、入荷する商品の数量や内容を正確に管理し、倉庫への受け入れ作業をスムーズにする機能です。
入荷管理機能があることで、入荷時のミスの防止や受け入れ作業の効率化を実現できます。また、検品や入庫作業をリアルタイムで追跡することで、全体の業務フローの最適化も図れるでしょう。
在庫管理機能
在庫管理機能は、倉庫内の在庫状況をリアルタイムで把握し、正確かつ効率的に管理するための機能です。
在庫管理機能を活用すれば発注判断の正確性が向上するため、過剰在庫や欠品を防止できるようになります。また、商品の保管場所や移動履歴を追跡可能なため、ピッキングや出荷準備の効率化にもつながるでしょう。
出荷管理機能
出荷管理機能は、注文データに基づいて正確かつ迅速な出荷作業を実現する機能です。
ピッキングリストの作成・配送手配・ラベル印刷など、出荷業務全体を効率化することができるため、出荷ミスの削減や納期の遵守率向上が期待できます。
棚卸管理機能
棚卸管理機能は、棚卸作業を効率化するための機能です。
システムに搭載されているスキャン機能や自動集計ツールなどによって、短時間で正確な棚卸が可能になります。また、在庫の正確性が増すことで、倉庫内の運営全体の効率化にもつながるでしょう。
WMSの導入で得られる効果
WMSを導入することで得られる主な効果は、作業の標準化・ミスの削減・業務効率の向上です。
作業が標準化されることで従業員の作業負担が軽減され、誤配送や欠品のリスクも低減します。労働生産性が向上することで、物流コストの最適化やサービス品質が向上するため、企業全体の競争力強化にもつながるでしょう。
WES(倉庫運用システム)とは?
WESは「Warehouse Execution System」の略称で、倉庫内のオペレーションを効率的に管理するためのシステムです。
WESの役割
WESの役割は、倉庫内の作業や設備の状況を包括的に管理・制御することです。
具体的には、作業者の配置やタスクの割り当て、設備の稼働状況の最適化などをリアルタイムで行います。WESを活用することで倉庫業務全体の無駄を削減し、効率的なオペレーションを実現可能です。
また、システムによって自動化できる作業もあるため、人的ミスの削減や作業スピードの向上も期待できるでしょう。
WESの主な機能
WESに搭載されている主な機能を3つご紹介します。
作業の可視化機能
作業の可視化機能は、倉庫内で進行中のタスクやリソースの状況をリアルタイムで把握できる機能です。
可視化機能を活用することで進捗の遅れや問題箇所を即座に特定できるようになるため、一つひとつの作業スピードと正確性が向上します。ダッシュボード機能によってオペレーション全体を俯瞰できるシステムもあり、作業の大幅な効率化が期待できます。
リソースの最適化機能
リソースの最適化機能は、作業者の配置や設備の稼働状況をリアルタイムで調整し、リソースの無駄を削減する機能です。
例えば、作業負荷を均等にすることでタスク処理の速度を上げ、作業者の稼働効率を最大化するよう働きかけます。また、急な需要増や人員体制の変動にも柔軟に対応できるようになるのがこの機能の強みです。
設備の制御機能
設備の制御機能は、倉庫内の設備や機器などをリアルタイムで操作・監視する機能です。
システムの制御機能によって機器の動作が自動的に最適化されるため、設備の稼働率が向上します。また、監視機能によって故障やトラブルのリスクも最小限に抑えられるため、設備の安定稼働を実現できるでしょう。
WESの導入で得られる効果
WESを導入することで、倉庫内オペレーションの最適化が図れます。
具体的には、作業スピードの向上・リソースの有効活用・設備の稼働率向上などが挙げられます。また、リアルタイムで設備や機器の管理・制御を行うことができるため、業務効率の最大化にもつながるでしょう。さらに、物流業務全体のコスト削減やサービス品質の向上も期待できます。
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WCS(倉庫制御システム)とは?
WCSは「Warehouse Control System」の略称で、倉庫内で使用されるマテハン機器やIoT機器などの設備を制御するシステムです。
WCSの役割
WCSの役割は、倉庫内で稼働している設備や機器を制御・監視することです。
設備の稼働状態をリアルタイムで把握し、より効率的な運用ができるよう制御を行うのです。WCSが設備の稼働状況を最適化することで、運用コストを削減しつつ、作業スピードの向上や稼働中のトラブル発生率低減などを実現できます。
WCSの主な機能
WCSに搭載されている主な機能を3つご紹介します。
設備の制御・監視
設備の制御・監視機能は、倉庫内の機器や設備の動作をリアルタイムで制御・管理する機能です。
この機能があることで、機器の稼働状況や動作状態を正確に把握でき、必要に応じて迅速な調整が可能になります。また、トラブルの早期発見や故障防止にもつながるため、設備の寿命を延ばすことも可能です。
自動倉庫システムの管理
自動倉庫システムの管理機能は、自動化された保管設備の動作を効率的に調整する機能です。
例えば、入出庫作業の指示や在庫位置の最適化を行い、保管とピッキングの効率化を実現します。この機能があることで、作業ミスの削減や作業速度の向上を図れるため、倉庫運営全体の最適化を実現できるでしょう。
コンベヤーシステムの統合
コンベヤーシステムの統合機能は、倉庫内の搬送機器を効率的に管理し、全体の流れをスムーズにする機能です。
コンベヤーのほかにも、ロボットや自動仕分け機など、多様な機器を統合的に制御できるため、搬送効率の向上や、稼働中の機器の停止リスクの低減が期待できます。
WCSの導入で得られる効果
WCSを導入することで、倉庫内の設備の稼働状況を可視化できるようになるため、故障や誤作動の防止につながります。
万が一トラブルが発生した場合でも迅速な対応が可能となり、業務の中断時間を最小限に抑えられるでしょう。また、設備の状態を正確に把握できることでメンテナンスの精度が向上するため、設備の寿命を延ばし、長期的な運用コストの削減効果を発揮します。
WMS・WES・WCSそれぞれの特徴や違いを理解しよう
WMS(倉庫管理システム)、WES(倉庫運用システム)、WCS(倉庫制御システム)は、倉庫内業務を効率化するためのシステムですが、役割や管理対象が異なります。それぞれの特徴や違いを正しく理解し、自社の倉庫運営に最適なシステムを選択することで業務の最適化を実現しましょう。
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