働き方改革による副業解禁の影響は?企業側の対応やメリット・注意点について

2022/7/26 2022/07/26

働き方改革

副業解禁

働き方改革の推進によって規定が緩和された「副業」に多くの人が注目しています。本記事では解禁された副業について、企業や働く人にとってのメリット・デメリット、注意点など詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

知っておくべき副業の現状

2018年1月、厚生労働省による「モデル就業規則」の改訂に伴って、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が削除されました。これにより、副業・兼業に関する規定が改められ、会社に所属しながら副業ができるようになったのです。

しかし政府が副業を認定している一方で、副業を解禁した企業の数は大きく変わらないのが現状です。ここからは、副業の解禁後に見られた企業の対応について解説していきます。

企業側の対応は8割が現状維持

日本において、副業を禁止としている企業は全体の約8割にのぼるといわれており、副業を解禁している企業はまだ少数です。

企業の視点に立って考えると、社員は自社にとって重要な経営資源です。よって企業が、社員が副業に費やす時間が増えてしまうことのデメリットを懸念して、副業の解禁に消極的になっていることも想像できます。

一方で副業を自由化した企業も

副業を禁止する企業が多いなかで、新生銀行やロート製薬、日産自動車などの一部の企業は副業を自由化しています。こうした企業が副業を解禁する理由の1つは、離職率を抑えることと考えられています。

副業が許されない場合、従業員によっては他の企業に転職してしまう可能性もあるでしょう。優秀な人材が他社に流れてしまうのを防ぐために、副業を解禁する企業も一部存在しているのです。

副業が注目されている背景

副業が注目されている背景には、政府の副業に関する取り組みが関係しています。2017年に決定した「働き方改革実行計画」に関連して、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が公開されました。

また、2018年の「モデル就業規則」の制定に伴って、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が定められており、こうした政府の後押しによって、企業は副業を解禁しやすくなったのです。

企業が給与を大きく引き上げることが難しいケースにおいて、生活費の補填ができるといった側面から、副業を容認する流れもあります。

慢性的な人手不足という問題を抱える企業は多い一方、人手の余剰を抱えている企業もあります。副業の解禁は、このような2つのパターンの企業が持つ課題を、同時に解決できることにつながるため、注目を集めています。

副業を解禁することにより受けられる企業のメリットが大きいことも理由といえるでしょう。ここからは、副業を解禁することでどのようなメリットがあるのかも含めて解説します。

働き方改革により副業を解禁するメリット・デメリット

副業を解禁することによって、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。ここからは企業と労働者のそれぞれの観点から解説していきます。

企業のメリット・デメリット

副業を解禁することで、企業にとっては以下のようなメリットが得られるようになりました。

  • 人材余剰または人材不足を解決できる
  • 人材育成につながる

人材が余剰になっている企業が副業を解禁することで、他の仕事を探す従業員が出てくるでしょう。一方、人材不足の企業が副業に就く人材を集めることで、効率的に人手不足を吸収することができるのです。

さらに、従業員が副業を行うことで、自社では身につけられないスキルを得ることもできるでしょう。そのスキルを会社に還元してもらうことで、社内の生産性向上につながることも考えられます。

一方で、企業が副業を解禁すると、以下のようなデメリットも考えられます。

  • 本業がおろそかになる
  • 情報漏洩のリスクがある

従業員が副業に集中することで、本業がおろそかになる可能性は否めません。場合によっては、ビジネスパフォーマンスが低下してしまうこともあるでしょう。

また、副業の内容によっては、企業の情報が他社に渡ってしまう心配もはらんでいます。特に、機密情報に関する取り決めがない場合は、従業員が無意識のうちに社内の情報を流してしまう懸念もあります。

副業を解禁するときは、企業にデメリットを与える可能性についても併せて考えておく必要があるでしょう。

労働者のメリット・デメリット

副業の解禁は、労働者にとって以下のようなメリットをもたらします。

  • 収入が増加する
  • キャリアアップにつながる

最も大きなメリットは、副業によって収入が増加することでしょう。働き方改革で、時間外労働や収入が減りつつある昨今、副業による収入の増加は即効性のあるメリットともいえます。また副業は、自身のキャリア形成に活かすことも可能で、結果的に本業での評価や収入アップにつながることもあるでしょう。

しかし一方で、副業は労働者に以下のようなデメリットを与えます。

  • ワークライフバランスを保つことが難しい
  • 税金関係のトラブルに陥ることがある

本業と副業によって仕事をする時間が増えてしまうと、ワークライフバランスが崩れてしまうことがあります。副業が多忙で睡眠時間が減少し、体調不良に陥る可能性もあるでしょう。

また、会社員が副業を行うと、収入によっては確定申告を行う必要があります。しかし、その必要性について認識のないまま副業を行なっていると、脱税につながる恐れがあります。また、場合によっては雇用保険などが適用されないケースもあり、注意が必要です。

企業が副業解禁する際に必要な3つの対応

企業が副業を解禁する際は、以下3つの対応が必要となります。

  • 就業規則の確認と変更
  • 副業ルールの設定
  • 明確な基準の設置

ここからは企業と労働者、それぞれの対応について解説していきましょう。

1.就業規則の確認と変更

副業を解禁するにあたり、企業は就業規則を再確認し、必要に応じて変更しましょう。一般的には就業規則として「他社の業務に従事しないこと」という趣旨の文章が記載されています。これは副業を禁止する意味にあたるので、削除しなければなりません。

2.副業ルールの設定

さらに従業員が副業をするにあたって、新たにルールを設定する必要があります。具体的には、以下のような項目を検討しましょう。

  • 副業を許可制にする
  • 機密情報の漏洩を禁止する
  • 本業に支障が出ないようにする

従業員が無断で副業を行なったり、企業が社員の副業について把握できなかったりすることを避けるために、許可制にすることもひとつの方法です。届け出を出してもらうことで、従業員がどのような副業を行っているのかが把握できるようになります。

さらに、副業を通して自社の機密情報が漏れることのないよう、情報漏洩の注意喚起を行う必要があります。また、本業に支障が出ないように取り組むことも大切です。

3.明確な基準の設置

上記のようなルールを守ってもらうためには、明確な基準を設置する必要があります。例えば、以下のような項目については基準を定めることが必要です。

  • 業務内容
  • 就業時間
  • 就業期間
  • 勤務地

例えば競合他社に関わる副業を禁止することで、情報漏洩を防ぐことができます。また、あらかじめ業務時間や就業時間を決めておくと、本業がおろそかになってしまう事態を避けられるでしょう。

このように、副業に関するルールを守るためにも、明確な基準を設けておくことが大切です。

企業が副業解禁する際の注意点

企業が副業を解禁する場合は、以下のような注意点があります。

  • 基準を厳しくしすぎない
  • 必要以上の情報を開示させない
  • 労働時間など定期的にチェックする
  • 社会保険料や労災保険の扱いを確認する

これらの注意点を把握することで、従業員が快適に副業に取り組めるようになります。また上記のポイントを守ることで、企業は副業によるトラブルを回避できます。ここからは、それぞれの注意点について解説していきます。

基準を厳しくしすぎない

企業が副業に関するルールを設ける際は、基準を厳しくしすぎないように注意しましょう。あまりにも厳しいと、従業員が副業を行うことを躊躇してしまうでしょう。時には従業員が、副業を行う意思をなくしてしまうかもしれません。

状態が悪化すると、場合によっては従業員の離職につながる可能性が高まるでしょう。大事な人材を手放さないためにも、適切な基準を設定することが大切です。

必要以上の情報を開示させようとしない

副業を行なっている従業員に対して、必要以上に情報を開示させようとするのはやめましょう。副業の情報をあれこれ開示するように求めると、従業員に不信感を与えてしまいます。

また、企業が副業先の機密情報を求めると、利益相反取引につながってしまう恐れがあります。最悪の場合、裁判などに発展してしまい、企業の信頼を失ってしまう可能性も否めません。

業務に支障をきたさないようであれば、従業員を信頼して必要以上に情報を求めないようにしましょう。

労働時間など定期的にチェックする

労働基準法38条1項の「時間計算」では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と明記されています。

つまり、本業と副業の労働時間は、通算して計算する必要があるのです。従って、副業を行なっている従業員の労働時間は、定期的に確認するようにしましょう。

そこで従業員が法定労働時間を超えると、従業員に残業代を支払う必要が生じます。本業と副業の時間を通算した場合、厚生労働省の「『副業・兼業の促進に関するガイドライン』Q&A」によると、労働時間を超えた方の企業が残業代を支払う必要性が生じます。

この内容について従業員と共有したうえで、副業に費やした時間を報告してもらうようにしましょう。

社会保険料や労災保険の扱いを確認する

副業を行う従業員の社会保険料や労災保険の扱いを確認してください。一般的に本業の企業では社会保険を支払います。また副業先でも、場合によっては社会保険を支払うケース
が生じます。

ただし、従業員が持つ健康保険証は1枚だけです。この場合、どちらの会社をメインにするか、従業員が決定する必要があります。一方、労災保険は少し扱いが異なります。先ほど触れたように、労働時間は合算して計算する必要がありますが、労災保険は合算せずに計算します。

労災について、限定的な加入の場合はその適用も一部となる可能性があるため、各職場で加入条件等を確認しておくことが重要です。また、こうした事態に陥った場合、本業先としての対応も準備しておくとよいでしょう。

副業を解禁した企業の先進事例3選

最後に副業を解禁した企業の事例を紹介していきましょう。事例を参考にすることで、効率的に副業を取り入れることができます。ここからは、それぞれの事例について解説します。

1.株式会社新生銀行

株式会社新生銀行は、東京都中央区に本店がある銀行です。新生銀行には「時間や場所に縛られず、自由な働き方ができる組織風土にする」という目標がありました。そこで従業員に対して「副業マッチングプラットフォーム」を取り入れています。

副業マッチングプラットフォームとは、副業したい人とサービスを受けたい人をマッチングさせるプラットフォームです。例えば、副業でコンサルティングを行いたい人がいれば、プラットフォーム上でコンサルティングを求めている人を見つけることができる仕組みです。

この取り組みによって、本業である銀行業務でのモチベーションの向上や、仕事に対しての士気が上がった実感を持つという意見が多数、聞かれるといいます。

2.ロート製薬株式会社

ロート製薬株式会社は大阪府大阪市に本社を構え、目薬などの商品を製造している製薬会社です。ロート製薬には「ベンチャー企業のような『興す』という気概と行動力を持った社員を育てるにはどうすればよいか」という課題がありました。

そこで入社3年目以上の社員を対象に、就業時間外と休日のみ実施することを条件として副業を解禁しました。これにより従業員は、本業では得られなかった多角的な視点を持てるようになり、自分で道を切り開いたという自信も得ることができたといいます。

3.日産自動車株式会社

日産自動車株式会社は、神奈川県横浜市に本社を構える多国籍な自動車メーカーです。同社は自動車業界で初めて、副業を許可したことで知られています。

同社の国内工場では、減産のために最大2割の賃金カットを伴う休業日を設けており、この問題の解決策として、「休日のみ・8時間以内」という条件のもと、2009年から副業を一部解禁しました。

目減りする生活費を補填することが副業を許可する目的でしたが、場合によっては従業員が副業でスキルアップし、収入を増やすことにもつながるでしょう。

働き方改革による副業解禁と長時間労働抑制の矛盾には注意

この記事では、働き方改革による副業解禁の影響について紹介してきました。副業は従業員にとって収入が増えたりスキルが身についたりするメリットがあります。ただし、副業を解禁すると、必然的に従業員の労働時間は長くなります。

とはいえ厳しく副業を抑制してしまうと、従業員のモチベーションを下げることにつながってしまいますので、適切な基準でルールを設けるように意識しましょう。

従業員が副業でスキルアップし、会社に還元してくれればウィンウィンの関係性を構築することができるのではないでしょうか。

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