転職した時の年末調整はどうすべき?転職時期や必要な書類について
所得税の精算のために行われる「年末調整」。原則として勤務先が代行してくれますが、転職によって勤務先が変わった場合には、どうすればよいのでしょうか?本記事では、転職した際の年末調整や確定申告の注意点、転職時期ごとの対応や必要となる書類について、詳しく解説します。
目次
年末調整とは?
年末調整とは、1年間に支払われた給与から天引きされた税金の控除を調整し、最終的な所得税額を確定するための手続きです。多くの場合、12月頃に企業が従業員の年末調整を行います。
年末調整を行うことで、住宅ローン控除や生命保険料控除などが反映されます。過不足があった場合には、税金の払い戻しや追加支払いが行われるため、会社員にとって重要な手続きです。
▷年末調整とは?やり方や対象者・必要書類、確定申告との違いをわかりやすく解説
転職した時の年末調整はどうすべき?転職時期ごとの対応
転職した際に求められる年末調整は、転職時期によってその内容が異なります。具体的な手続き内容について、以下に詳しく解説します。
年の途中で転職した場合
年の途中で転職した場合には、前職の源泉徴収票を転職先に提出してください。
正確な税額調整を行うためには「12月分の給与が支給された企業」である転職先にて、年末調整を行うことが義務付けられています。
もし、前職から源泉徴収票の発行が遅れると、年末調整が適切に計算できず、翌年に確定申告が必要になることもあります。年の途中で退職した際には、源泉徴収票を早めに受け取れるように前職へ依頼しておきましょう。
12月中に転職した場合
12月中に転職し、かつ前職で12月分の給与が支払われたケースでは、前職の会社が年末調整を行います。
しかし、その企業の規定や退職時の状況によっては対応してもらえないことも考えられます。万が一、前職の会社で年末調整を行ってもらえなかった場合は、翌年に自分で確定申告をする必要があります。
▷12月に退職した人の年末調整はどうすべき?対象条件や確定申告が必要なケース
1年で複数回転職した場合
1年で複数回転職した場合には、原則として「12月分の給与が支給された会社」にて年末調整を行います。
ただしその際には、これまで務めてきた各会社から受け取った源泉徴収票を揃えたうえで、すべての収入を現職に報告する必要があります。もし源泉徴収票の準備や年末調整の手続きが間に合わなければ、翌年に自分で確定申告を行ってください。
転職した時に年末調整ではなく確定申告が必要になるケースとは?
転職の状況によっては、年末調整ではなく確定申告が必要となるケースもあります。どのような場合に確定申告が求められるのか、以下に詳しく解説します。
転職後1年の内に再就職しなかった場合
前職の退職後、年内に再就職をしなかった場合には年末調整が行われないため、自身で確定申告をする必要があります。
なお、自身で確定申告する場合であっても、前職にて発行してもらった源泉徴収票が必要となります。
確定申告なしでは所得税の払い過ぎになるケースが大半であるため、忘れずに源泉徴収票の発行を依頼したうえで、確定申告を済ませましょう。
前職の源泉徴収票の発行が間に合わなかった場合
転職した後に、前職の源泉徴収票が年末調整のタイミングまでに発行されなかった場合にも、確定申告が必要となります。
一般的に、源泉徴収票は退職後1〜2か月以内に発行されますが、何らかの事情で発行が遅れることもあるでしょう。そのような場合には、源泉徴収票が交付されるのを待って、翌年に確定申告を行ってください。
また、もし前職の源泉徴収票をどうしても発行してもらえない時には、事情を税務署に相談すると、税務署から企業へ指導が行われ、源泉徴収票が交付されます。それでも発行されない場合には、再度税務署へ相談しましょう。
フリーランス・個人事業主から転職した場合
フリーランスや個人事業主から正社員として特定の会社に転職した場合には、自身で確定申告を行う必要があります。
なぜなら、フリーランスとしての収入は転職先の年末調整には反映されないため、確定申告を通じて年度全体の所得をまとめる必要があるからです。ただし、年間の所得が20万円未満であれば確定申告は不要です。
▷個人事業主・自営業でも年末調整は必要?必要になるケースややり方・時期を解説
転職した時の年末調整に必要な書類
転職した際の年末調整に必要となる書類は、以下の通りです。
- 源泉徴収票
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の配偶者特別控除申告書
ただし、無職の期間が1日でもあった場合には、国民年金・国民健康保険に加入することになるため、国民年金の控除証明書の控えが必要となります。年末調整の時期が来る前に、日本年金機構から送られてくるハガキを手元に整理しておきましょう。
転職した時の年末調整の注意点
転職時の年末調整には、いくつかの注意点があります。手続きをスムーズに進めるポイントを、以下に詳しく解説します。
年度が始まる4月に転職する場合も前職の源泉徴収票は必要
4月1日から転職先で働きはじめる場合でも、前職の源泉徴収票を年末調整まで保管しておくことが必要です。
なぜなら、年末調整はその年の1~12月における収入を把握するための手続きである以上、前職における4月までの収入の情報が求められるためです。
年度の区切りに転職したからといって油断せず、源泉徴収票はしっかりと保管しましょう。
求職中に支払った保険料の控除を受ける場合は控除証明書が必要
求職中に支払った生命保険や医療保険などの保険料についても、年末調整で控除を受けることが可能です。
ただし、その際には保険会社から発行される「控除証明書」を提出する必要があります。控除証明書がなければ控除を受けられない可能性があるため、しっかりと管理しておきましょう。
なお、離職中に受け取った雇用保険の失業給付金については、所得税の課税対象には含まれないため申請は不要です。
転職の際には年末調整・確定申告どちらが必要になるのか確認しておこう
転職をする際には、年末調整に必要な手続きや書類の準備を、理解しておくことが大切です。
転職時期や前職からの源泉徴収票の有無、または求職中の保険料支払いなどの状況によって、必要とされる手続きは大きく異なります。もし、年末調整ができなかった場合には確定申告を行う必要があるため、注意しましょう。
年末調整の目的をよく把握し、控除や還付を確実に受けるための準備を整えましょう。
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