ダイレクトリクルーティングとは?手法やメリット・デメリット、従来の採用手法との違い
企業が人材に直接アプローチする能動的な採用活動「ダイレクトリクルーティング」。採用市場の競争激化やSNSの普及などを背景に注目が集まり、取り組む企業が増えています。本記事では、ダイレクトリクルーティングとは何か、手法やメリット・デメリットなどを詳しく解説します。
目次
ダイレクトリクルーティングとは?
ダイレクトリクルーティングとは、企業が自ら人材にアプローチする採用手法です。従来の求人広告や人材紹介会社を通じた受動的な採用活動とは異なり、企業が直接候補者にコンタクトを取り、興味を持ってもらうことを目指します。
より適した人材を迅速に見つけ出すために効果的であり、特に専門的なスキルを持つ人材の採用に適している手法です。企業のニーズに合った人材を確実に探すための戦略的な手法として注目されています。
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ダイレクトリクルーティングと従来の採用手法との違いとは?
ダイレクトリクルーティングは、従来の採用手法とは大きく異なります。その違いについて具体的に説明しますので、どのような点が企業にとって重要なのかを見ていきましょう。
求人媒体を活用した採用活動との違い
求人媒体を活用した採用活動は、企業が求人情報を掲載し、求職者からの応募を待つ受動的な手法でした。比較的低コストで済む一方、対象が幅広い分、適切な人材にリーチするまでに時間や工数がかかりがちです。
一方で、ダイレクトリクルーティングは企業が能動的に人材を探し、直接アプローチするため、質の高い採用活動が見込めます。ただし、広い層にアプローチしたい際には向きません。
人材紹介を活用した採用活動との違い
人材紹介を活用した採用活動は、専門のエージェントが企業に代わって候補者を探し、紹介する手法です。企業のニーズにマッチした質の高い候補者を紹介してもらえるうえ、エージェントが選考を行うため工数を削減できます。しかし、採用に至ると理論年収の30〜40%程度の紹介手数料が発生する成功報酬型であることが多く、費用が高額になりやすいでしょう。
一方、ダイレクトリクルーティングでは企業自身が候補者を探し直接アプローチするため、費用は抑えられますが、企業内部での工数が増えることが特徴です。
スカウトによる採用活動との違い
スカウト採用は、リクルートサイトのデータベース上で企業の求人条件に適合する求職者すべてを母集団とし、その中から企業が適任と思われる人材を選び、オファーを送る採用手法です。対象が不特定多数となるため、書類審査や面接などの工数が増えるでしょう。
一方、ダイレクトリクルーティングでは候補者個人を対象にアプローチします。したがって、採用したい人数が多い場合はスカウト採用が、少ない場合はダイレクトリクルーティングが適しているといえます。
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ダイレクトリクルーティングが注目され・普及した背景
ダイレクトリクルーティングが注目され、普及した背景には、採用市場の変化が大きく関係しています。次に、その背景について詳しく見ていきましょう。
労働人口の減少に伴い採用市場の競争が激化したこと
労働人口の減少に伴い、採用市場での競争が激化しており、その結果、企業は従来の手法では求める人材を確保することが難しくなっています。特に、求職活動をしている「顕在層」だけでなく、転職を検討していない「潜在層」へのアプローチが必要不可欠となりました。
ダイレクトリクルーティングは、こうした潜在層への積極的な接触ができることから注目される採用手法となっています。
SNSなどの活用で企業と求職者の接点が生まれたこと
近年、企業は自社のSNSなどを通じて求人情報を発信し、求職者と直接つながる機会が増えました。企業が自ら積極的に求職者にアプローチできる環境が整い、ダイレクトリクルーティングの普及につながったのです。
SNSを介してのコミュニケーションは、企業と求職者の接点を簡単に生み出し、迅速かつ効率的な採用活動を実現する一因となっています。この新しい接点の広がりが、企業の採用活動に変革をもたらしているといえるでしょう。
能力重視の「ジョブ型雇用」を導入する企業が増えたこと
ジョブ型雇用とは、職務内容や求められるスキルを明確にし、その能力に合った人材を採用・配置する雇用形態です。従来のように採用後に職務を割り当てるのではなく、職務が先に決まっておりその能力や成果が重視されるため、即戦力として活躍できる人材が求められます。
ジョブ型雇用を導入した企業は、専門性の高いスキルを持つ人材を確保するため、ダイレクトリクルーティングのような積極的な採用手法を取り入れ、より効率的に必要な人材を見つけることが重要になっています。
ダイレクトリクルーティングの手法
ダイレクトリクルーティングには、さまざまな手法があります。次に、その具体的な手法について見ていきましょう。
専用のサービスや人材データベースを活用する
ダイレクトリクルーティングでは、専用のサービスや人材データベースを活用して、企業が求めるスキルや経験を持つ候補者に直接アプローチする手法がよく使われます。候補者のプロフィールや経歴を詳細に検索できるため、的確な人材を効率的に見つけやすいでしょう。
データベースを活用することで、採用活動のスピードが向上し、求める人材に対して素早くアプローチできることが大きな利点です。
自社SNSで情報を発信する
ダイレクトリクルーティングでは、自社が運用するSNSを活用して、求める人材に関する情報を積極的に発信する手法も効果的です。自社の公式SNSアカウントから採用情報や会社の魅力を発信することで、特定のスキルや経歴を持つ候補者にリーチできる可能性が広がります。
特にSNSのシェア・拡散の機能は、幅広い層にアピールしたり、候補者との直接的なコミュニケーションを促進したりするツールとしても有効です。
求職者向けのイベントやセミナーを開催する
ダイレクトリクルーティングでは、求職者向けのイベントやセミナーを開催し、直接的なアプローチを図る手法も有効です。自社だけでなく、他社の求職者が集まる場に参加することで、より広範な人材にアプローチでき、自社に興味を持つ潜在的な求職者を発掘するチャンスも広がります。
こうしたイベントでは、企業の魅力や業務内容を直接伝えられ、参加者との信頼関係を構築しやすくなり、交流を深めることで採用後のミスマッチも防げるでしょう。
リファラル採用を活用する
社員や関係者からの紹介を通じて候補者を採用する手法であるリファラル採用を活用するのも一つの手です。この方法の大きなメリットは、紹介者がすでに候補者のスキルや性格を知っているため、業務や企業文化に合った人材を紹介してもらえる点にあります。
さらに、リファラル採用は紹介者を介している分、信頼性が高く、早期退職のリスク低減も期待できるでしょう。企業側にとっては、信頼できるネットワークを活用することで、効率的かつ費用を抑えた採用活動が可能となるのが魅力です。
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ダイレクトリクルーティングの仕組み・流れ
ダイレクトリクルーティングは、企業が積極的に候補者を探し出し、直接的にアプローチを行う仕組みです。そのプロセスの流れは以下のようになります。
- 求職者が専用のデータベースに履歴書や職務経歴書などを登録する
- 企業はデータベースやSNSを活用してターゲットとなる人材をリストアップする
- 条件にマッチした候補者に個別にコンタクトを取り、コミュニケーションを図る
- 面談や選考へ進み採用を行う
ダイレクトリクルーティングのメリット
ダイレクトリクルーティングには、企業にとって多くのメリットがあります。次に、その具体的な利点について詳しく見ていきましょう。
自社が求める人材に直接アプローチできる
ダイレクトリクルーティングでは、候補者の収集や選定を企業自身が行うため、自社が求めるスキルや経験を持つ人材に直接アプローチすることが可能です。これにより、企業のニーズに合った適切な候補者を効率的に見つけられます。
また、接点のなかった潜在層にもアプローチできるため、母集団を広げ、より多様な人材から選考できる点も大きなメリットです。
自社の採用力向上につながる
ダイレクトリクルーティングを通じた採用活動は、自社の採用力向上に大きく貢献します。
企業が能動的に直接候補者にアプローチし選考を進めることで、採用工程やその中での課題をより深く理解できるようになるでしょう。この経験を積み重ねることで、採用の仕組みを最適化し、今後の採用活動の精度を高められるのです。
採用活動にかかる費用を削減できる
ダイレクトリクルーティングでは、採用活動をすべて自社で管理・実施するため、外部のエージェントや求人媒体に依存する必要がなくなります。したがって、紹介手数料や広告費といった余計な費用を削減することが可能です。
また、自社のSNSやWebサイトを活用して求人情報を発信すれば、コストを抑えつつ、求める人材へのアプローチを効率化できます。結果として、採用活動全体にかかる費用を大幅に削減できることがメリットです。
ダイレクトリクルーティングのデメリット
多くのメリットがあるダイレクトリクルーティングですが、注意すべきデメリットも存在します。次に、そのデメリットについて具体的に見ていきましょう。
採用活動の負担が増える場合がある
候補者の収集・選定やスカウト活動といった採用プロセス全般を自社で行う必要があるダイレクトリクルーティングでは、担当者にかかる負担が増える可能性があります。
特に、専門的なスキルを持つ人材を探す場合や、多くの候補者を管理する場合には、リソースの確保が課題となるでしょう。外部のエージェントに依頼する場合と比べて時間と労力がかかるため、適切な体制を整えなければ、採用活動全体に負荷がかかってしまいます。
短期間での人材獲得には向かない
ダイレクトリクルーティングは、候補者の収集・選定からアプローチや面談など、採用に至るまでの工程が多いため、短期間での人材獲得にはあまり向いていません。
特に、候補者との信頼関係を築くための時間や、複数の候補者とのコミュニケーションに時間を要することが一般的です。そのため、急ぎで人材を確保したい場合や、短期的な採用ニーズがある場合には、他の手法と併用することをおすすめします。
ダイレクトリクルーティングに関する知識と理解が必要
ダイレクトリクルーティングを成功させるには、人材の見極めやスカウトメールの作成といった採用に関する一定の知識が必要です。
従来のような受け身の姿勢ではなく、企業が積極的にアプローチするため、社内文化や意識の改革が求められ、担当者には積極的に行動することの重要性を理解してもらわなければなりません。
また、候補者に適切なアプローチを行うためには、企業の魅力を伝える技術や、信頼関係を構築するスキルも必要になります。
ダイレクトリクルーティングが向いている企業とは
ダイレクトリクルーティングはどのような企業に適しているのでしょうか。次に、ダイレクトリクルーティングが向いている企業について詳しく見ていきましょう。
専門スキルを有する人材を獲得したい企業
専門スキルを有する優秀な人材の情報は、採用市場に出回りにくく、通常の求人広告だけでは見つけにくいことが多いです。競争が激しい専門分野の人材を獲得するためには、企業側から積極的にアプローチするダイレクトリクルーティングが効果的でしょう。
他社に先駆けて優秀な人材を確保できる可能性が高まります。
自社の採用力を向上させたい企業
ダイレクトリクルーティングでは、候補者の収集、選定、スカウト活動をすべて自社で行うため、採用力を向上させたい企業に向いています。この一連のプロセスを自社で管理することで、採用の仕組みや課題を深く理解し、改善する機会が増えるでしょう。
また、採用力が向上すれば、より効率的かつ戦略的な採用活動が可能となります。採用体制を強化することで長期的に競争力を高めたい企業に向いている手法です。
ダイレクトリクルーティングを活用して優秀な人材を獲得しよう
ダイレクトリクルーティングは、企業が積極的に候補者にアプローチすることで、効率的・効果的に優秀な人材を獲得できる採用手法です。
特に、専門スキルを持つ人材や潜在層へのアプローチが可能なため、競争の激しい採用市場において有利になるでしょう。また、自社の採用力を高め、コスト削減にもつながるメリットがあります。ダイレクトリクルーティングを活用することで、よりよい人材の獲得につなげましょう。
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