電子契約は相手方の負担なしで利用可能?よくある問題と対処法も解説

最終更新日時:2022/11/16

電子契約システム

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電子契約の普及が進む中、「相手方に負担を与えずに電子契約を導入したい」と思っている企業も多いでしょう。この記事では電子契約の導入時によくある問題と対処法を解説します。記事の後半では取引先への説明サポートがある電子契約サービスも紹介しています。スムーズに電子契約を導入したい方は必見です。

電子契約は相手方の負担なしで利用可能?電子契約サービスを使えば負担は少なめ

テレワークの普及や働き方改革の推進などを受けて、電子契約サービスを導入する企業が増えています。

電子契約の導入には、業務効率化やコストカット、テレワーク対応などさまざまなメリットがあります。特に近年は利便性の高いクラウド型の電子契約サービスが多数登場しており、導入のハードルも下がっています。

一方、これまで書面で行っていた契約を電子契約に切り替える際には、取引先に対して負担が発生するのではないかと危惧している担当者もいるかもしれません。実際、相手先が電子契約を導入していない場合には、新サービスの導入や業務フローの変更にともなう負担が発生してしまうケースもあるでしょう。

下記で、相手方にかかる具体的な負担内容についてみていきましょう。

(1)電子契約サービスを利用した際に相手に与える負担

電子契約サービスを利用した際に、相手方に対して発生する負担内容は以下の通りです。

  • 電子契約サービスの操作方法を覚えてもらう
  • サービス内容を把握し合意してもらう
  • 異なる電子契約サービスから変更してもらうケースもある
  • 契約書の管理・保管方法が煩雑になる場合もある

「操作方法を覚えてもらう」「サービス内容を把握してもらう」という2点については、相手方のサービス利用状況によっても異なります。普段から電子契約システムを利用しているケースであれば、スムーズに導入してもらえる可能性が高いでしょう。

一方、相手方が自社と異なるシステムを導入していた場合には、状況によっては取引先にサービスを変更してもらうことも考えられます。その際には、相手方に対して負担を強いるケースも考えられます。

さらに両社がそれぞれ異なるサービスを継続して使いたい場合には、各システムで電子契約を交わし、PDFを2つずつ保管するなどのフローが必要になります。電子契約の利便性は享受できる反面、データの管理・保管で多少の手間がかかることになります。

以上のように、電子契約の導入で、相手方にまったく負担がかからないということにはなりませんが、電子契約サービスは簡便に利用できるものが多く、業務効率化やコスト削減にも役立つので、負担を補うメリットを得られるケースが多いでしょう。

電子契約サービス導入時によくある問題

続いて、電子契約サービス導入の際によく生じる問題を2つ紹介します。

(1)相手方が自社とは異なる電子契約サービスを導入している

取引先がすでに自社が使っているものと異なるサービスを導入しているケースもあります。その場合、電子契約サービスが2種類になってしまいますが、できれば複数の電子契約サービスを使用することは避けたいところです。

この場合、どちらを使用するか話し合い、双方で合意する必要があります。ただし後述するように、双方のサービスを利用しながら、電子契約を交わす方法もあります。解決策は相手方のサービス利用状況やITリテラシーなどによって変わってくるので、担当者間でコミュニケーションを図り調整する必要が出てきます。

(2)相手方が電子契約未導入

相手方が電子契約サービスをまだ導入していない場合には、取引先から下記のような疑問点が出てくるかもしれません。

  • 電子契約は法律上問題がないのか
  • どのように署名を有効とするのか
  • データの保管はどうすればいいのか
  • 印刷して印鑑は押すべきなのか
  • 印紙は貼らなくてよいのか

昔からの慣習により印鑑は絶対に押さなければいけないと社内ルールで規定している場合には、相手方に理解してもらわなければなりません。電子書面で契約書を利用したことがない担当者にとっては、紙でなければ法的効果がないのではと思い込んでいるケースもあります。

しかし、印鑑はそもそも契約書類に必須ではありません。そのため、お互いに契約の中で印鑑を押すと定めていなければ契約内容に影響があるわけではないのです。署名の有効性なども踏まえて、丁寧に解説し理解を得るようにしましょう。

電子契約サービスの安全性についても、電子署名の仕組みやシステムが備えているセキュリティ機能などをもとに説明する必要があります。データの保管方法は利用する電子契約サービスによって異なるため、自社が利用しているサービスの内容を確認しておきましょう。

なお、印紙については書面と扱いが異なる点にも注意が必要です。電子契約の場合、「課税文書を現物で作成したことにあたらない」という理由から、貼付が不要です。

相手方が自社とは異なる電子契約サービスを導入している場合の対処法

ここでは、自社と取引先が異なる電子契約サービスを使っているケースでの、具体的な対処方法を3つ解説します。

  • どちらか片方が導入している電子契約サービスを利用する
  • それぞれが利用しているサービスで電子署名する
  • どちらかが署名したPDFに電子署名をする

(1)どちらか片方が導入している電子契約サービスを利用する

両社が合意の上、2つのサービスから、どちらか1つを選択するのが一般的です。ただし、契約書の管理・保存については電子帳簿保存法に基づいたルールを遵守する必要があります。両社が使っているシステムの機能を比較して、最新の法制度に準拠しているかを確認しましょう。

この方法の注意点としては、既存サービスを変更するほうに負担が生じる点が挙げられます。相手先の担当者にとっては心理的なストレスとなったり、作業方法に戸惑う可能性も考えられます。スムーズにシステムを導入できるようなサポートが必要になるケースも出てくるでしょう。

(2)それぞれが利用しているサービスで電子署名する

各企業がそれぞれの電子契約サービスを使って、双方が契約書のPDFを作成した上で交換し、両社とも2種類のPDFを保管するという解決方法もあります。

この方法では既存システムを使えるので操作に関するストレスを感じることもありません。ただし、2種類のPDFを保管する必要性が出てきます。外部サービスで作成したPDFを保管できる機能を持つシステムもあるので、活用を考えてみても良いでしょう。

(3)どちらかが署名したPDFに電子署名をする

PDFを交換するよりも負担が少ない方法として、一方が作成した電子契約書にもう1社が電子署名を追加する方法があります。この方法でも、自社のサービスがそのまま使える点がメリットです。

ただし、利用している電子契約サービスが電子署名の追加や閲覧に対応している必要があるので、事前に機能一覧で確認しておきましょう。

相手方が電子契約の導入に同意してくれない場合の対処法

相手方がまだサービスを導入していない場合、電子契約の対応に応じてくれないケースもあり得るでしょう。その場合には、電子契約サービスを導入する「メリット」と「法的効力」の2点について説明することが重要です。

(1)電子契約を導入することのメリットを説明する

まずは、電子契約のメリットを相手方に説明しましょう。具体的には、以下の点です。

  • 印紙税がかからない
  • 保管や検索における労力が削減される
  • 契約締結までがスピーディー
  • 対面での対応や契約書の郵送が不要

印紙税がかからない点や検索が簡単な点は、事務費や人件費の削減に直結します。また、クラウド上やメール上での確認および合意により、締結がすぐに完了できるため業務効率向上も期待できます。

新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを導入している企業であれば、さらに高い導入効果が得られるでしょう。メリットを説明する際にはデメリットも合わせて解説し、お互いの契約状況で問題がない旨も説明すると、納得を得られやすくなります。

(2)電子契約の法的効力を説明する

電子契約サービスの利用を承諾してもらう上で重要なポイントの1つが、法的にも効力があるという点の説明です。

特に「電子データはコピーできる」といったイメージから簡単に改ざんや修正ができるのではないかと思ってしまい、紙でなければ対応しないという方も少なくありません。

相手方には、下記のようなポイントを押さえて説明しましょう。

  • 電子署名、電子証明書について
  • 契約書の有効性
  • 電子契約に対応できない契約について
  • 税務調査を受けた際に備えた運用

電子署名についての概要・仕組みやメリットなどの基本を説明するとともに、電子署名の法的根拠なども示すと良いでしょう。関連する法律には、例えば下記のようなものがあります。

第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

[出典:e-Gov 「電子署名法第3条」]

また、電子契約では対応できない契約もある旨も説明し、現在の契約はそれに該当していないことも説明できると効果的です。

これらの対応には法的な知識なども必要となるため、実際に上記を説明するのは簡単なことではないでしょう。もし、法務部がある企業なら、担当部署に協力してもらうのも有効な方法です。

(3)取引先への説明サポートも行っている電子契約サービスを利用する

相手方に電子契約サービスの導入を承諾してもらう過程で、外部企業にシステムの概要や仕組み、操作方法などの説明を代行してもらう方法もあります。

ベンダーによっては、相手方に対する説明をサポートしてくれるサービスを提供している場合もあるので、確認してみましょう。

【取引先への説明サポートあり】電子契約サービス3選

電子契約を導入する際、相手先へのサポート体制が充実しているサービスを3つ紹介します。サービスを比較検討する際の参考にしてください。

(1)freeeサイン

freeeサイン(旧NINJA SIGN by freee)はfreee株式会社の子会社であるfreeeサイン株式会社が提供している電子契約サービスです。人材業からコンサルティング、メディアやIT企業など、幅広い業界での利用実績があります。

freeeサインの契約者や導入検討中の企業は、オンライン説明会やトライアルを活用できます。導入後には、操作方法のレクチャーを開催し、マニュアル資料の送付も可能なので、複数の従業員に使用させたい場合でもスムーズに導入できます。

「契約相手」へのサポートはメールやチャットに加えて、専用担当者による電話サポートにも対応しています。

<下記のケースにおすすめ>

  • 多彩なプランから目的や企業規模に応じて選びたい
  • 取引先は少ないものの契約書の数が多く管理が大変

提供元freeeサイン株式会社
初期費用要問い合わせ
料金プラン無料プラン:0円/月(送信数1通/月まで)

スタータープラン:1,078円(税込)/月(送信数:10通/月まで)

Lightプラン:5,478円(税込)/月(送信数:50通/月まで)

Light Plusプラン:21,780円(税込)/月(送信数:無制限)

Pro プラン:55,000円(税込)/月(送信数:無制限)

Pro Plusプラン:13万2000円(税込)~/月(送信数:無制限)

機能・特徴

  • URLトークン
  • 二要素認証
  • データ暗号化
  • PDFテンプレート
  • 締結した文書の保管・管理
URL公式サイト

(2)BtoBプラットフォーム契約書

「商談」「受発注」「請求書」「契約書」「見積書」など、さまざまなサービスを提供しているBtoBプラットフォームです。プラットフォーム全体で75万社の利用実績があります。

電子契約までの手順はわずか3ステップで、相手先に利用してもらう際にも負担を最小限に抑えられるでしょう。取引先への説明については専任チームが、必要となるデータ準備も含めて対応してくれます。自社で説明するための準備時間がつくれない方でも安心です。

<下記のケースにおすすめ>

  • 複数社間での契約が必要
  • 自社保管の紙の契約書類が多数ある

提供元株式会社インフォマート
初期費用要問い合わせ
料金プランフリープラン:0円~/月

シルバープラン:11,000円(税込)~/月

ゴールドプラン:33,000円(税込)~/月

導入実績約75万社(BtoBプラットフォームシリーズ累計)
機能・特徴

  • 期限切れアラート機能
  • カスタマーサポート
  • 電子署名
  • 最大5社間契約締結
  • 電子帳簿保存法対応
URL公式サイト

(3)イースタンプ

イースタンプは大手飲料メーカーやモバイルキャリア、住宅メーカーなどさまざまな企業での導入実績がある電子契約サービスです。スピード重視の「認印タイプ」と、本人担保性の高い「実印タイプ」の2種類の電子署名を提供しています。

操作方法や運用方法などに関するサポート体制も充実しており、メール・電話・Webサイト・相談専用窓口を使って、疑問点などの問い合わせが可能です。

さらに、「プラチナサポートパック」を導入することで、取引先や自社従業員に対する説明を代行してくれます。

<下記のケースにおすすめ>

  • シーンによって電子署名を使い分けたい
  • タブレットやスマホでの手書きサインも活用したい
提供元株式会社ハイホー
初期費用要問い合わせ
料金プラン要問い合わせ
機能・特徴

  • 実印版と認印版の2種類を展開
  • クラウド保管で一元管理
  • さまざまなサポート(メール、電話、オンラインなど)
  • 画像添付機能
  • 手書きサイン機能
URL公式サイト

サポートが充実した電子契約サービスで相手方の負担を減らす

電子契約サービスを導入すれば契約書を用意する側だけではなく、相手方にとっての利便性向上も期待できます。ただし、相手側への利用方法の説明や利用同意の取り付けなど、協力してもらう場面も出てきます。

相手方への説明対応もサポートしてくれるサービスを選べば、自社の負担だけでなく相手の負担も軽減でき、お互いに運用までをスムーズに進められるのでおすすめです。

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