電子契約における原本とは?印刷の要否や保管義務について解説!

記事更新日:2022/09/24

電子契約システム

契約書を受渡するビジネスシーンのイメージ

電子契約は業務の効率化に役立ち、コストカットにもつながります。しかし、「契約書の適切な保管方法がわからない」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、電子契約に移行する際に知りたい原本の保管義務について解説します。トラブルのない契約を締結するために、ぜひご一読ください。

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電子契約における原本とは?

「契約書」とは、個人または自社と取引先との契約内容を記した書面のことです。また、契約書の原本とは、契約締結時に取り交わした、複製されたものではない書類を指します。

電子契約書における原本とは、契約書に記されている契約者の「電子署名」と契約日の「タイムスタンプ」によって、改ざんされていないことが証明されている書類のことです。

従来の紙の契約書であれば当事者同士が契約書に署名押印し、双方が原本を保管します。一方、電子契約書はデジタルデータなので容易に複製ができるといった特徴があります。そのため、電子契約においては、内容の改ざんを防止する形式で原本を保存する必要があるのです。

電子契約書と紙の契約書の違い

紙の契約書には、通常署名捺印または記名押印し、契約内容に応じた収入印紙が必要になります。自社と取引先において2通の原本が作成された場合には、それぞれの手元に原本が保管されることになります。謄本・正本・写しなどを作成する際には、それぞれを区別します。

一方、PDFなどの電子データを用いて作成する契約書において、署名は電子署名または電子サイン、割印の代用は改ざん防止の証明となるタイムスタンプで行います。また電子契約においては印紙が不要です。さらに、電子契約書は電子データとして原本のみサーバーに保存するため、原本・謄本・正本・写しの区別がありません。

当事者双方が保有するために電子契約書を複製したとしても、電子署名やタイムスタンプが同一であれば両方が原本とみなされます。

電子契約書は原本の印刷が必要?民法・税法の要件を紹介

電子契約書は導入されるようになってからまだ日が浅いため、保管方法などの取り扱いについてどうすればよいのかと疑問に思う方も少なくありません。

最も多いのが、「電子契約者は原本を印刷して別に保管しておく必要があるのか」という疑問です。契約書の紙での保管義務は民法と税法で異なります。それぞれの特徴は下記の通りです。

  • 民法:電子データが原本となるため、印刷保存は不要
  • 税法:電子帳簿保存法の条件を満たしていない場合は、印刷をして保存が必須

民法では電子契約書は印刷をして保存する必要はありませんが、税法では電子帳簿保存法の条件を満たしていないと、印刷をして保存しなければなりません。そのためには「電子帳簿保存法」とはどのような法律なのか知っておきましょう。

電子帳簿保存法で定められた原本の保管義務を解説

電子帳簿保存法は、決算などで使用する帳簿の電子化に関する内容を取り決めた法律です。正式名称は、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といいます。

電子帳簿保存法で認められている文書の保存方法には、既存の紙の文書をスキャンしてデータを読み取り保存する「スキャナ保存」と、デジタルカメラやスマートフォンの撮影画像を保存する「画像保存」、パソコンを使用して文書を作成し保存する「電子データ保存」があります。

電子保存のために必要な要件は、以下の通りです。

(1)7年間のデータ保存が必要となる
(2)タイムスタンプが付与されている
(3)マニュアルが備え付けられている
(4)契約内容が確認できる
(5)検索機能がある

それぞれについて、詳しく解説します。

[出典:e-Gov 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律]
[出典:国税庁「電子帳簿保存時の要件」]

(1)7年間のデータ保存が必要となる

契約書は税法においては7年間の保管義務となるため、電子契約書の原本も7年間保存しなければいけません。

法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類(注2)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注3)保存しなければなりません。

(注1)「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあります。

(注2)「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。

(注3)青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失欠損金額が生じた事業年度においては、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となります。

[出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」]

なお、2022年1月の電子帳簿保存法改正により、スキャナ保存の税務署への事前承認申告制度が廃止されました。

ただし、2022年以前の書類をスキャンや文書化して保存をする場合は原本を保管して、納税地の税務署に申告する必要があるので、注意しましょう。はじめから電子化データで取引している文書については、申請不要です。

[出典:国税庁「電子帳簿保存法が改正されました」]

(2)タイムスタンプが付与されている

電子契約書を保存するためには「真実性」を確保する必要があります。改ざんを防止するためには、タイムスタンプの付与が必須です。

タイムスタンプは、押された時刻に文書が存在していたこと、そしてタイムスタンプが押されている時刻以降に改ざんがされていないことを確実に証明します。

なお、2022年の法改正によって、タイムスタンプの付与期間の要件が緩和されました。あわせて、「訂正又は削除を行うことができないクラウド等」の利用によって、タイムスタンプの付与に代えることができるようになりました。

(3)マニュアルが備え付けられている

電子契約書などの電子文書を保存するためには、電子データに関するシステムについてのマニュアルを用意して、企業の役員や従業員がいつでも閲覧できるように準備しておかなくてはいけません。

マニュアルは紙ベース以外にも、電子ファイルやオンラインマニュアル形式でも構いません。マニュアルには、利用する電子契約サービスの概要や、操作方法を誰が見てもわかるような内容で記載しておきましょう。

また、帳簿に関わる電子データを保存する場所には、電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンターなどの電子機器の取り扱い説明書を備え付けておくことも大切です。

電子データはディスプレイにわかりやすく表示されていること、そして必要なときにはいつでも閲覧またはコピーできるようにしておくことが必要となります。

(4)契約内容が確認できる

契約書などの国税に関係する文書を電子化する際には、電子契約者がディスプレイに表示されたときに契約内容がはっきりとわかるよう保存しておかなければなりません。これを「見読可視性の確保」と呼び、ディスプレイは14インチ以上であることが求められます。

電子帳簿保存法では、パソコンでの文書作成の他にスキャンや画像データ保存でも電子データとして認められますが、文書の内容が確認できないほど画質の悪い電子データ画像は認められません。

また、たとえ記載されている内容が確認できる状態の請求書や注文書といった取引関連書類であっても、手書きで書かれている場合は電子帳簿保存法の対象にはならないので注意が必要です。

(5)検索機能がある

2022年1月に改正された電子帳簿保存法では、基本的な検索機能の設定が義務付けられています。重要書類や一般書類などの電子取引情報をPDF化して保存をするときに、検索機能の確保を行わなければならないと、第2条第6項第6号に記されているからです。

検索機能には取引年月日、取引金額、取引先の検索が必須になり、その他にも「日付や取引金額で検索ができること」と、「2つ以上の記録項目」を組み合わせて検索できる機能も必要になります。

なお、基準期間内の売上が1,000万円以下の小企業においては、国税局から電子データの提示要求があった際に要求を受け入れる場合、検索機能の設定は必要ありません。

[出典:e-Gov 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則 第2条第6項第6号]

電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の注意点

スキャナ保存とは、既存の紙の文書をスキャンして電子データとして保存する方法です。

2005年4月の法改正でスキャナ保存が認められるようになり、その後何度かの法改正を経て年々緩和されるようになりました。以前はスキャナ保存をする前には管轄の税務署へ申請する必要がありましたが、2022年1月の法改正で緩和されて申請義務が廃止されています。

スキャナ保存は契約書、注文書、請求書、領収書、納品書などの国税関係書類には認められていますが、売上帳、仕訳帳、現金出納帳などの国税関係帳簿には認められていない点に注意が必要です。

また、スキャナ保存を行うには不正や改ざん防止のために「真実性の確保」などに留意する必要があります。以下に、電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の3つの注意点を解説していきます。

(1)真実性の確保が難しい

スキャナ保存を行うためには「真実性」「可視性」を確保するためにさまざまな要件を満たす必要があります。中でも、「真実性の確保」についての要件は厳格で、以下の点を必ず満たさなければなりません。

  • 書類作成または領収書・受領書の受領後は7営業日以内に、重要書類の入力方式である業務処理サイクル方式であれば最長2ヵ月+7営業日以内にスキャンをして保存する
  • スキャン機能を精密にするためのスキャナ装置のスペック維持
  • 書類を訂正または削除した場合の履歴をそのまま保存しておく
  • スキャンを行い、入力した人物の情報を確認できる

特に、書類作成・受領後の速やかなスキャンは、電子データ保存に比べるとかなり厳しい要件といえるでしょう。他の業務が忙しいため後からまとめてスキャンをして保存する、といったことができなくなるケースが考えられます。

(2)税務署からの承認が必要

2022年1月1日以前に作成、受領した書類については管轄の税務署長に申請することが必要です(2022年1月1日以降の書類は不要)。

申請は、スキャナ保存の申請書を作成して、必要な添付書類と一緒に税務署まで持参または送付して行います。手数料は無料で、添付書類には以下の3点が必要です。

  1. スキャナのシステムの概要を記載した書類
  2. 保存を行う電気計算処理機に関する事務手続きの概要が記されている書類
  3. 申請書の内容を補完するための書類

申請について不明な点がある場合は、管轄の税務署に問い合わせてください。

(3)コピー扱いになる

スキャナ保存した電子データは契約上のトラブルなどで民事裁判になった場合に、証拠としての効力が弱くなる可能性があります。これは、民事訴訟に発展した場合、文書を証拠として提出するときには、原本を提出するのが原則だからです。

紙の契約書をスキャンしたものは原本ではなく「原本のコピー」とみなされます。訴訟の相手方がスキャナ保存した契約書について、「そのコピーは契約書と違う」と言及しなければ問題にはなりませんが、そうでない場合は裁判所が電子データを原本と同等の扱いをするかは定かではありません。

そうなると、契約書などの民事訴訟に提出する可能性がある書類については、破棄せず保管しておかなければならないのです。はじめから電子契約システムを使った電子契約書であれば原本として認められるため、リスクを避けるためにも電子契約システムの使用をおすすめします。

紙の契約書をスキャナ保存する際は原本の保管が必要

民法の他に、法人税法では法人税法施行規則によって契約書の保管義務があります。法人税法施行規則59条に定められており、通常で7年、欠損金が生じた年度は9年または10年の契約書の保管義務が定められているのです。

なお、法人税法でいう契約書は紙の原本であり、スキャナ保存をしている電子契約書は認められません。

ただし、電子計算書を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例があり、一定の条件を満たしていればスキャナ保存した電子契約書を紙の契約書に代えることが認められるケースもあります。スキャナ保存した後の紙の契約書を保存しておく方が安全だといえるでしょう。

[出典:e-Gov 法人税法 施行規則59条]

電子契約を導入する際は原本の保管義務の理解を

電子契約書は電子データをサーバー保存するため、原本・標本・正本写しの区別がないのが特徴です。そのため、民法では電子契約書を印刷して保存しておく保管義務はありません。ただし税法では、電子帳簿保存法の条件を満たしていない場合は印刷をして保存する必要があります。

紙の書類をスキャナ保存する場合は多くの要件があるため注意が必要です。原本の保管義務など、最新の改正法を把握し、業務効率化を進めていきましょう。

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