グループウェアの歴史|普及している理由と今後の課題

2023/09/29 2023/09/29

グループウェア

グループウェアの歴史

ビジネスにおける定番ツールになりつつあるグループウェアですが、「グループウェアの歴史」となると、ご存知の方は少ないのではないでしょうか。そこで今回は、ちょっとした豆知識として役立つ、グループウェアの歴史や普及が進んだ理由のほか、今後の課題などをご紹介します。

グループウェアとは?

グループウェアとは、主に「情報共有」、「コミュニケーション」、「業務効率化」に役立つ機能を基本機能として搭載したツールのことです。

ファイル共有、スケジュール管理、タスク管理、ワークフロー、チャットやメール、掲示板などの多岐にわたる機能により、業務効率化やコミュニケーションの円滑化などが図れることから、多くの企業において導入されています。

とくにクラウド型グループウェアは、そのアクセス性の高さが在宅勤務やノマドワークといった現代の働き方にマッチしたこともあり、近年、一気に普及が進んだクラウドサービスの一つといえるでしょう。

グループウェアのこれまでの歴史

グループウェアは1980年代に登場し、その後、通信技術の発展とともに進化を遂げてきました。

その歴史を詳しく見ていきましょう。

1960年代:原型となるシステムの誕生

1960年代は、現代のグループウェアにつながる基礎的なシステムが多く開発されました。

当時はまだ「グループウェア」という言葉こそないものの、複数の人々が共同で作業を行うためのシステムの研究は着々と進められていました。これには、初の電子メールシステムや簡易なファイル共有システム、そしてタイムシェアリングシステムなどが含まれています。

また、この時代に登場したマルチユーザー連携システム「NLS:oN-Line System」が、世界で一番最初に開発されたグループウェアであると言われています。

1990年代:グループウェアの普及

1990年代に入ると、インターネットの普及が進んで、グループウェアは一気に広く用いられるようになりました。

この時代には、Lotus NotesやMicrosoft Exchangeなど、企業向けのグループウェアが登場し、Eメールやスケジュール管理、プロジェクト管理などの機能を一元化する企業が増えていきます。

ビジネスのグローバル化に伴い、より円滑なコミュニケーション環境が求められた背景もグループウェアの重要性を高めた理由の一つでしょう。グループウェアが単なるソフトウェアから、ビジネスインフラストラクチャーとして確固たる地位を築いた時代でもあります。

2000年代前半:グループウェアの停滞期

2000年代前半は、ITバブルの崩壊とともに、多くの企業がIT投資を抑制し、新たなツール導入に慎重な姿勢をとるようになったことで、グループウェアの開発と普及も一時的に停滞します。

グループウェアの高機能化が進んでいた一方で、多機能であるが故の使いにくさや、上昇傾向にあったコスト面での不満が出始めていたことも理由でしょう。さらに多機能さは、組織内で価値を使いきれていない「宝の持ち腐れ」といった課題にも発展してしまいます。

この課題は、後のシンプルで使いやすいグループウェアの誕生や、クラウドサービスへの移行のきっかけともなりました。新たな波を迎えるための反省と改善の時期であったと言えるでしょう。

2010年代前半:クラウド型の登場

2010年代前半に突入すると、グループウェアの領域にもクラウド型の波が押し寄せます。

従来のパッケージ型のグループウェアは、導入時のコストが高額であること、また、活用するにはIT技術者の専門的な知識が求められるなど、ハードルが高いものでした。

しかし、導入コストが抑えられ、IT技術者が社内に在籍していなくても活用できるクラウド型グループウェアが登場したことで、中小企業を中心にグループウェアの普及が再加速していきました。

2010年代後半〜現在:グループウェア技術の発展

通信環境だけでなくデジタル端末がより進化したことにより、クラウド型グループウェアは、テレワークなど、オフィス以外の場所でも効率的に仕事を行うための不可欠なツールとして、ビジネスシーンに定着しました。

そして現在、グループウェアはAIや機械学習、ブロックチェーンなどの先端技術と組み合わされ、さらなる進化を遂げています。AIの導入により情報連携などの自動化が進み、巧妙化・高度化するサイバー攻撃に備えるためのセキュリティ対策も強化されるなど、効率化だけでなく、データの安全性を確保するための機能も日々アップデートされています。

現代のグループウェアは、単なるコミュニケーションツールではなく、組織全体の生産性向上や業務品質の向上に寄与する多機能なプラットフォームへと進化しているのです。

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グループウェアが普及している理由

グループウェアが広く普及し、ビジネスシーンに浸透した理由は、主に以下の点が挙げられます。

  • 業務効率化による労働生産性の向上
  • ワークスタイルの多様化への対応
  • 適切な情報管理とセキュリティ対策

日本の労働人口は、年々減少の一途を辿っており、とりわけ中小企業において安定した人材の確保は、常に重要課題となっています。また、ビジネス市場のグローバル化により、海外企業を含めた競争の激化も相まって、より高い生産性が求められるようになりました。

また、従業員が一堂にオフィスに集合して働くのではなく、テレワークやフレックスタイム制など、個々の価値観やライフスタイルに合った働き方が増えていること、さらには、ITが生活に根付いたことで、企業活動の第4の資源とも言われる「情報」の重要性が増し、情報資産を維持管理するための適切な環境構築も必要となっています。

グループウェアは、情報の一元化や業務のデジタルシフトによる業務効率化とコミュニケーションの円滑化などによる生産性の向上、セキュアな情報管理といった機能を備えています。これらの機能が、企業が抱える課題の解消に有効であることから、急速に普及したと考えられています。

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グループウェアが抱える今後の課題

日々めざましく進化するIT領域においては、グループウェアの普及に伴い、新たな課題、つまりさらなる進化が求められるようになりました。

様々なデバイスへの対応

スマートフォン、タブレット、ノートPCといったポータブルなデバイスから、デスクトップPC、さらにはIoTデバイスまで、ビジネスシーンでは、さまざまなデバイスが活用されています。

グループウェアもまた、これらのデバイスに柔軟に対応するため、レスポンシブレイアウトの採用やセキュリティ対策、新たな機能の開発が求められるのです。

ユーザビリティの向上

多機能化はグループウェアによる業務改善や効率化の可能性を広げる一方で、操作が複雑化し、「誰でも使えるツール」ではなくなってしまうという課題が残ります。

従業員や組織によっては、高度な機能を有効に使えず、結局は基本的な機能しか利用しないというコスパの悪いツールになりかねません。

直感的なユーザーインターフェースの設計、必要な機能にすぐにアクセスできるダッシュボードの開発、そして操作手順の簡素化といったユーザビリティの向上は、今後のグループウェア開発においては避けて通れない課題といえるでしょう。

セキュリティ対策の強化

セキュリティは、企業の情報資産を一元化して管理するグループウェアにおいて最も重視すべき機能の一つです。

情報漏えいやデータの消失などは、企業に重大なリスクをもたらします。そのため、高度な暗号化技術や二要素認証、さらに最近では、ハッシュ値の改ざん耐性に優れたブロックチェーンを利用したセキュリティ対策など、巧妙化するサイバー攻撃を防ぐセキュリティ技術を常に更新し続けなければなりません。

これらのセキュリティ対策は、グループウェアの信頼性と普及に直結するものであり、今後もその重要性は増していくでしょう。

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グループウェアの歴史を押さえておこう

グループウェアの概要と歴史、普及の理由、そして今後の課題をご紹介しました。

グループウェアは、企業向けのシステムが初めて登場した1980年代から現在に至るまで、めざましい進化を遂げるとともに、コミュニケーションの手段を劇的に変えるなど、ビジネスに多くの「改革」をもたらしています。

しかし、IT領域の技術革新は、今もなお続いています。多様なデバイスへの対応、ユーザビリティの向上、セキュリティ対策の強化など、グループウェアには、今後も継続的な努力と改善が求められるでしょう。

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