メンタルヘルス不調とは?不調になる原因・サインやケア方法を紹介

最終更新日時:2023/07/12

健康管理システム

メンタルヘルス不調

悩みや不安によるメンタルヘルスの不調は、心身の健康状態に悪い影響を与えかねません。本記事では、メンタルヘルスの不調について、陥る原因から現れる兆候やケアする方法を紹介します。自身の状態と照らし合わせて、確かめてみてください。

メンタルヘルス不調とは心の健康が崩れている状態のこと

メンタルヘルス不調とは、ストレスや強い悩み、不安によって心の健康が崩れている状態です。うつ病や適応障害など、医師による診断結果の有無を問わず、ストレスや悩みにより気持ちが落ち込んでいる状態はメンタルヘルス不調に該当します。

厚生労働省の「労働安全衛生調査」の結果によると、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業または退職した労働者がいた事業所の割合は10.1%となっています。

また、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者の割合は 0.5%となっており、事業所規模が大きくなるほどその割合が高くなっているのが特徴です。

さらに、「仕事に関することで強いストレスとなっている事柄がある」と回答した労働者の割合が53.3%と半数を超えていることからも、メンタルヘルス不調は誰もが陥るリスクがあると言えるでしょう。

[出典:厚生労働省『令和3年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況』]

メンタルヘルスとは?意味や具体的な症状・改善方法をわかりやすく解説

メンタルヘルス不調に起因する精神疾患の症状

メンタルヘルス不調に対して適切なケアを行わず放置してしまうと、精神疾患を発症する危険性もあります。

ここでは、メンタルヘルス不調に起因する精神疾患とその症状について解説します。

適応障害

適応障害とは、その時々で置かれた環境に上手く適応できず、通常の社会生活に支障をきたしてしまう病気です。環境の変化にともなう強いストレスが原因で発症すると言われており、不安感や抑うつ状態などの症状がみられたり、無断遅刻・欠勤や対人トラブルなどの行動が現れたりします。

社会人の場合、就職や転職、人事異動などの環境変化をきっかけに発症するケースが多い傾向があります。症状はうつ病とよく似ていますが、原因を特定しやすく、その原因から遠ざかれば症状が落ち着くという点がうつ病と異なる点です。

パニック障害

パニック障害とは、突然なんのきっかけもなく動悸・発汗・手の震え・呼吸困難などの「パニック発作」が起こり、その状態が何度も繰り返される病気です。

パニック障害には発作そのものだけでなく、パニック発作を繰り返しているうちに、またいつ発作が起きるかわからないという不安がつきまとう「予期不安」などの症状もあります。また、以前に発作が発生した場所や、すぐに助けを求められない場所を恐れる「広場恐怖」という症状から、通勤や外出が困難になってしまうケースも少なくありません。

パニック障害の原因は明らかではありませんが、脳内神経伝達物質の動きに関連があるのではないかと言われています。また、パニック障害の直接の原因ではないものの、ストレスや疲労といったメンタルヘルスや身体の不調を抱えていると発作を起こしやすい傾向がみられます。

睡眠障害

睡眠障害とは、不眠や日中の過剰な眠気、睡眠中の異常行動など、睡眠に関する病気の総称です。寝つきが悪い、睡眠時間を十分確保できているのに寝足りない、夜中に何度も目が覚めるといった症状が1か月以上続くと睡眠障害の可能性があります。

睡眠障害のなかで最も多いのが不眠症です。不眠症とは、入眠困難や中途覚醒などによって十分な睡眠時間がとれず、そのために日中に倦怠感や意欲低下、集中力低下などの不調が現れる病気です。

睡眠障害の原因はさまざまであり、ストレスや精神疾患、身体の病気、薬や刺激物、生活習慣の乱れ、環境などの要因が挙げられます。うつ病によって出現することも多く、不眠や過眠とともに気分の落ち込みや意欲・興味の減退などの症状がみられる場合は、専門医による診察や検査を行って原因を特定することが重要です。

うつ病

うつ病とは、気分が大きく落ち込み憂うつになる、不眠、疲れやすい、体がだるいといった症状が出る病気です。

うつ病の症状は「精神症状」と「身体症状」の2つに分類されます。

  • 精神症状:不安、焦り・イライラ、気分が落ち込む、集中できないなど
  • 身体症状:動悸、頭痛、腰痛、耳鳴り、めまい、食欲不振、睡眠障害など

うつ病は過度なストレスが原因となるケースが多い一方で、生活環境・性格・服用中の薬・遺伝的資質などさまざまな要因が重なって発症すると言われています。そのため、原因の特定が困難なのもうつ病の特徴です。

日本では約15人に1人がうつ病を経験すると言われており、誰がいつかかってもおかしくない病気と言えるでしょう。

依存症

依存症とは、特定の物質や行為に対するコントロールが利かなくなり、やめたくてもやめられない状態が続く病気です。依存の対象はアルコール・タバコ・薬物などの「物質依存」のほか、買い物・ギャンブル・万引きなどの「行動嗜癖」に至るまで多岐にわたります。

依存している物を摂取したり、依存している行為をしたりすることで、一時的な快感や喜びを得られますが、やめると禁断症状が出る場合もあります。さらに、続けていても次第に感度が鈍るため行動が徐々にエスカレートし、依存が止められない悪循環に陥るのが特徴です。

本人だけで依存を断つのは非常に困難と言われており、専門機関での入院治療や同じ境遇の人たちとの共同生活で克服を目指すのが一般的です。

ストレスを起こす主な要因

メンタルヘルス不調にはストレスが大きく関わっています。ストレスが生じるには何らかの原因があり、また個人の性格によってストレスの感じ方は異なります。

ここでは、ストレスを起こす主な要因と、ストレスを感じやすい・溜め込みやすい性格について解説します。

身体的ストレスの原因

日常生活のなかで起こるさまざまな出来事がストレスの原因となりますが、身体的な要因もその一つです。具体的には、以下のような状態がストレスの原因となります。

  • 病気やケガ
  • アレルギーや感染
  • 睡眠不足
  • 疲労
  • 過度な運動
  • 空腹
  • 月経
  • 二日酔い

これらの要因により身体に大きな負荷がかかることで、さまざまなストレスが引き起こされます。

精神的ストレスの原因

私たちが日常的に「ストレス」と言っているものの多くは、精神的な要因を指しています。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 職場での人間関係
  • 仕事での重圧や失敗
  • 家族や親戚、友人関係でのトラブル
  • 家族や親しい人の病気や死
  • 借金や収入減少などの金銭問題
  • 失恋

また、ストレスの原因というとネガティブなことをイメージしがちですが、そうとは限りません。結婚や昇進といったポジティブな出来事も、日常生活が変化することにより大きなストレスとなる可能性もあります。

物理的なストレスの原因

環境や気候などの物理的な刺激が要因となり、ストレスが生じるケースも多くあります。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 工事現場の騒音、自動車や飛行機の音
  • まぶしすぎる照明
  • 気候の変化による寒冷や熱暑
  • 空調による気温の高低
  • 空気汚染や悪臭、強い香料
  • 人混み

また、パソコンやスマートフォンのディスプレイも、長時間にわたって見つめることで眼精疲労をもたらし、ストレスの原因となる可能性があります。

ストレスを感じやすい・溜め込みやすい性格とは?

ストレスの感じ方には個人差があり、性格によっても異なってきます。ストレスを感じやすい・溜め込みやすい人には、以下のような特徴がみられます。

  • 真面目で責任感や正義感が強い
  • 几帳面で、何事も徹底的にやらないと気が済まない
  • 協調性が高すぎて、自分の気持ちを押し殺してしまう
  • 考え込みやすく、気持ちが上手く切り替えられない

これらの特徴を持つ人は自分を追い込みやすく、ストレス耐性が低い傾向があります。そのため、身体的・精神的・物理的なストレス要因が加わることで心身にさまざまな影響を及ぼし、メンタルヘルス不調を引き起こす可能性があるのです。

メンタルヘルス不調のサイン

メンタルヘルス不調を深刻化させないためには、不調のサインを見逃さず、早めに適切なケアを行うことが大切です。

ここでは、メンタルヘルス不調のサインを3つの観点から解説します。

感情や思考に現れるサイン

感情や思考に現れるサインには以下のようなものがあります。

  • 気持ちが落ち込みやすい、憂うつ感が続く
  • 不安に駆られる、落ち着かない
  • 何をするにも億劫、やる気が出ない
  • 何をしていても楽しいと感じられない
  • ネガティブ思考で悪いことばかり想像してしまう
  • 以前よりイライラしやすく怒りっぽくなった
  • 消えてしまいたいと感じる
  • 誰かが自分の陰口を言っている気がする

感情や思考の変化によるサインは、自覚症状のため自分にしかわかりません。「疲れているのだろう」と軽視せずに、セルフチェックや専門機関への早めの相談が大切です。

体調に現れるサイン

メンタル不調に陥っているときは、体調にも変化が現れることがあります。たとえば、以下のような症状が挙げられます。

  • 寝つきが悪い、眠りが浅い、以前より寝過ぎてしまう
  • 食欲がない、おいしいと感じない、過食
  • 肩こり・頭痛が続く、慢性的な疲労感
  • 動悸や息苦しさを感じることがある
  • 倦怠感が続く
  • 下痢や便秘が続く
  • 体重の急激な増減

これらの症状はメンタルヘルス不調だけでなく、深刻な病気が原因となっている場合もあります。症状が続く場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

生活上の行動に現れるサイン

思うように身体が動かず、以下のような行動が増えてきたら、メンタルヘルス不調に陥っている可能性があります。

  • 遅刻・早退・欠勤が増える
  • 単純ミスや忘れ物が増える
  • 仕事のパフォーマンスが低下する
  • 生活リズムが乱れる
  • 身だしなみがだらしなくなる
  • 飲酒、喫煙量が増える

これらの変化は同僚や上司、家族など周囲の人が先に気付くこともあります。メンタルヘルス不調に陥っているときは自分の異変に気付かないことも多いため、周囲の人のアドバイスに耳を傾け、専門機関への相談や専門医の受診を検討することも大切です。

メンタルヘルス不調を予防・ケアする方法

メンタルヘルス不調に陥らないためには、自分に合った方法でストレスに対処していくことが大切です。

ここでは、メンタルヘルス不調を予防・ケアするための方法について解説します。

睡眠を十分にとる

睡眠不足は、倦怠感や仕事のパフォーマンス低下のほか、感情をコントロールする機能の低下やストレス耐性の低下といったメンタルヘルス面でも影響を及ぼします。ストレスを溜めないためには、必要な睡眠時間を確保し、十分に休息をとることが大切です。

日中眠くなることが多かったり、休日に朝遅くまで寝ていたりする場合は、日頃の睡眠時間が足りていないと言えます。なかなか寝つけない人や眠りが浅いという人は、寝具を自分に合うものに変える、夕方以降のカフェイン摂取を控えるなどの工夫をしてみましょう。

気分転換をする

趣味や娯楽に没頭して気分転換するのも、メンタルヘルス不調の予防には有効な方法です。軽い運動や入浴、リラクゼーションでリフレッシュするのもよいでしょう。

また、仕事の合間に一息入れる時間を設けることも大切です。ぼんやり外を眺めたり、軽くストレッチをしたりなど、気軽にリフレッシュできる方法を見つけてみてください。

友人や家族などに相談する

悩みや不安がある場合は、友人や家族などに相談するのも一つの方法です。

メンタルヘルス不調の多くは、ストレスや悩みを一人で抱え込むことで発症・悪化します。誰かに相談することで気持ちが落ち着いたり、自分では思いつかなかった視点のアドバイスをもらえたりするかもしれません。

仕事でストレスを抱えている場合は、信頼できる上司や同僚に相談してみましょう。仕事の割り振りの変更や体制の見直しなど、解決に向けた具体的な行動につながる可能性もあります。

相談機関へ問い合わせてみる

身近に相談できる人がいない場合は、相談機関を利用するのも一つの方法です。見ず知らずの人には相談しづらいかもしれませんが、専門家の適切なアドバイスを受けられるうえ、周囲の人に悩みを知られないというメリットもあります。

なにより、悩みを抱えたままではメンタルヘルス不調の改善は見込めません。適切なケアをせず、そのまま放置していると精神疾患に進行してしまうおそれもあります。誰かに話すことで気が晴れることもあるので、相談機関の利用も前向きに検討してみてください。

専門医の診察を受ける

メンタルヘルス不調のサインが現れている場合は、専門医を受診することを強くおすすめします。特に精神疾患を発症している場合は、治療開始が遅れると症状が悪化し回復まで時間がかかるため、早めの受診が必要です。

診察を受けるのは抵抗があるかもしれませんが、症状の原因が明確になることで気持ちが楽になったり、解決方法が見つかったりすることもあります。

ただし、精神科・心療内科は予約制になっているところが多く、初診までに1か月程度かかることも珍しくありません。早期に回復するためにも、早めに受診に向けて動き出すことが大切です。

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メンタルヘルス不調の原因やサインを把握して適切にケアしよう

メンタルヘルス不調は、日常生活のさまざまなストレスによって引き起こされるものであり、誰でも陥る可能性があります。メンタルヘルス不調を未然に防ぐには、ストレスの原因を把握し、自分に合った方法で対処することが大切です。

もし、不調のサインが現れたときは、早めに専門機関への相談や専門医の受診を検討しましょう。そのまま放置していると精神疾患を発症してしまい、症状の悪化や治療の長期化につながるおそれもあります。

仕事や日常生活でストレスを感じているという方は、本記事で紹介した内容を参考に、メンタルヘルス不調の予防や適切なケアに努めていきましょう。

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