ストレスチェック報告書の書き方|提出方法やフォーマット・記入例を紹介
労働者のメンタルヘルス対策を主な目的とする「ストレスチェック」。50人以上の労働者が在籍する事業場には、年1回の実施と報告書の提出が義務付けられています。本記事では、ストレスチェック報告書の書き方のほか、提出方法・提出期限・注意点・記入例もあわせて紹介します。
目次
ストレスチェック報告書とは?
ストレスチェックは、労働安全衛生法第六十六条の十に係る制度です。労働者が50人以上の事業場では、毎年1度実施しなければなりません。
ストレスチェックの実施後は、実施状況を労働基準監督署へ報告する必要があり、その際に提出する報告書がストレスチェック報告書です。
ストレスチェック報告書を提出しなかったり、内容に虚偽があったりすると、規約違反となります。違反すると罰金が科されるため、ストレスチェック実施後は的確に提出を行いましょう。
[出典:労働新聞社「労働安全衛生規則 第52条の9~第52条の21」]
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ストレスチェック報告書の入手方法
ストレスチェック報告書は、厚生労働省のホームページからダウンロード可能です。印刷時に使う用紙は、白色度が80%以上のものを選びましょう。
厚生労働省のホームページにある「厚生労働省の入力支援サービスによる作成」を使うと、報告書がスムーズに作成できます。事前申請や登録が不要なほか、過去に保存したデータを用いて簡単に入力可能です。作成完了後は、帳票を印刷して提出しましょう。
ストレスチェック報告書には、決まった規定があります。規定から外れないように、厚生労働省が提供する様式をベースに作成するのがおすすめです。
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ストレスチェック報告書の書き方
ストレスチェック報告書では、以下の項目を記述する必要があります。
- 労働保険番号
- 対象年
- 検査実施年月
- 事業の種類
- 事業場の名称・所在地
- 在籍労働者数
- 検査を受けた労働者数
- 検査を実施した者
- 面接指導を実施した医師
- 集団ごとの分析の実施の有無
- 産業医の記名欄
- 事業者職氏名・提出先の労働基準監督署名等の記入
それぞれの項目に記載することや手順について、みていきましょう。
労働保険番号
労働保険番号は、労働保険への加入を証明するための番号です。
都道府県や所掌などから事業所単位で14桁の番号が割り振られています。番号がわからない場合には、管轄場所に問い合わせるか、労働保険証明書に書かれている番号を確認しましょう。労働保険概算や確定保険料申告書など、確定申告で使う情報からも確認可能です。
労働保険番号がわからない場合には、厚生労働省の労働保険適用事業場システムにより調べられます。
対象年
対象年には、ストレスチェックの実施年を記載します。
実施年月を持ち越したときは、報告日にもっとも近い年を対象年欄に書いてください。
検査実施年月
検査実施年月を記入します。ストレスチェックを複数月にわたり行った場合は、検査実施の最後の月を記入しましょう。
たとえば、令和5年5月〜8月に実施した場合は「令和5年8月」と記入します。
事業の種類
事業の種類には、日本標準産業分類の中分類から該当するものを記入します。政府統計ポータルサイトe-Statの「日本標準産業分類」などから検索可能です。
自社が何に該当するか不明な場合は、所轄労働基準監督署に問い合わせましょう。
事業場の名称・所在地
事業場の名称及び所在地を明記します。各店舗や工場、営業所単位で記入しましょう。
在籍労働者数
在籍労働者数には、検査実施年月の末日時点でストレスチェック実施の対象となる人数を記入しましょう。
複数の事業場がある場合は、企業全体ではなく事業場ごとの従業員数を記入する必要があります。就業時間の短いパートタイム労働者や派遣労働者は該当しません。
検査を受けた労働者数
検査を受けた労働者数には、ストレスチェック実施対象者のうち、報告対象期間内に検査を受けた人数を記入します。
従業員2名が1年間にそれぞれ3回ストレスチェックを受けた場合、2名でカウントしましょう。
検査を実施した者
検査の実施者を記入します。実施者に選ばれるのは、主に医師や保健師です。検査に必要な知識の研修を受けた看護師や精神保健福祉士などからも選択できます。
面接指導を実施した医師
面接指導を実施した医師の欄にはいくつか選択肢があるので、該当番号を選びましょう。実施者が複数名いるときは、代表者を選んで決めておきます。面接指導を受けた従業員数が0人の場合は、空欄で問題ありません。
集団ごとの分析の実施の有無
集団ごとの分析の実施の有無には、部署や事業所ごとなど集団での分析を実施したかを記入します。
産業医の記名欄
産業医に報告書の内容確認をしてもらったあと、記名欄への記入を求めます。医師による押印は必要ありません。
産業医の記名は、事業者側で代筆も可能です。医療機関名や所在地などの記載もいるため、前もって確認しておくのがよいでしょう。
事業者職氏名・提出先の労働基準監督署名等の記入
事業者の職業、氏名を書いて押印をしましょう。氏名の記入をもって押印の代わりにすることも可能です。
ストレスチェック報告書の提出方法
ストレスチェック報告書の提出方法は、以下のとおりです。
- 労働基準監督署へ直接提出・郵送する
- 電子申請をする
方法によって事前に用意するものが異なります。それぞれ詳しくみていきましょう。
労働基準監督署へ直接提出・郵送する
ストレスチェック報告書は、労働基準監督署への直接提出および郵送が可能です。
直接出向くのなら、所轄の労働基準監督署の窓口へ提出しましょう。受付時間や休日を確認のうえ、提出可能な時間帯に出してください。
郵送の場合は管轄の労働基準監督署の住所宛に送ります。なお、監督署の受領印を押した控えが欲しい場合には、提出用と控え用のストレスチェック報告書を2通入れるほか、返信用封筒を同封しておくとよいでしょう。
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電子申請をする
ストレスチェック報告書は、デジタル庁が提供する「e-Gov(イーガブ)」を利用した電子申請ができます。
e-Gov電子申請は、申請や届出のような行政手続きをインターネットで行えるサービスです。24時間365日いつでも申請ができるほか、インターネットがあれば自宅や会社など場所を問わずに申請できます。
e-Govの利用には、アカウント取得やアプリのインストールが必要です。システムの不具合やサーバーメンテナンスなどのリスクに備え、十分なゆとりを確保して送付の用意をしましょう。
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ストレスチェック報告書の提出期限
ストレスチェック報告書には具体的な提出期限が定められていないため、基本的には各事業場で設定する必要があります。
ストレスチェックは1年に1回実施の義務があるため、前回の報告書提出日から1年以内には送付しましょう。
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ストレスチェック報告書は年1回必ず労働基準監督署へ提出しよう
ストレスチェック報告書は、年に1度必ず労働基準監督署へ提出しなければなりません。提出を怠ると法令違反となり、罰金や信用の失墜など企業に大きな損失を与える恐れがあります。
ストレスチェック報告書には具体的な提出期限がないため、あらかじめ自社で提出するスケジュールを確定しておきましょう。報告書に記入する項目などを正しく理解し、余裕のある提出を心がけてください。
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