ストレスチェックの結果は上司に見られる?開示範囲やルールを解説

2024/06/07 2024/06/07

健康管理システム

上司とストレスチェック

ストレスチェック制度は、一定の従業員を雇っている企業では義務となっています。従業員が受けたストレスチェックに、上司が目を通すことはできるのでしょうか。本記事では、上司がストレスチェックの結果を見ることはできるのか、開示範囲やルールについて解説します。

ストレスチェックの結果は上司が閲覧することはできない

個々の従業員のストレスチェックの結果は、本人の同意が得られなければ上司は見ることができません。上司だけではなく、同僚や部下も同様です。また、人事部長など人事権を持っている人も、ストレスチェックの実施事務には携われません。理由は、ストレスチェックの結果が人事に影響を及ぼし、従業員が不利益を被るのを防ぐためです。

ストレスチェックを行う際に発生する調査票の回収やデータ入力、保存などの実務を担うのは、医師や保健師などの実施者や、関連事務作業を担う実施事務従事者です。実施者や実施事務従事者には守秘義務が課されているため、もし違反すれば刑罰の対象となります。したがって、実施者や実施事務従事者を通じてストレスチェックの結果が上司に伝わる心配はありません。

ストレスチェックの目的

ストレスチェックの目的は、労働者が自身のストレス状態を知り、不調に気づくことです。ストレスチェックの結果をふまえ、ストレス軽減を目指してセルフケアを行い、不調の悪化を防ぐことで、健康的に長く働き続けられます。

事業者におけるストレスチェックの目的は、従業員のメンタル不調を未然に防止することです。しかし、個々人のストレス状態を把握して未然防止を図るのではなく、全体のストレスチェックの結果を職場や部署単位で分析することで、職場や部署の健康リスクを明らかにし、改善につなげます。つまり、個々人のストレスチェックの結果を把握することが目的ではありません。

ストレスチェックの結果で解雇・退職勧奨される?対処方法を紹介

ストレスチェックの開示の範囲・ルール

ストレスチェックによって得られた結果を開示する範囲やルールについて、ご説明します。ご一読ください。

本人の同意なくストレスチェック結果の開示はできない

ストレスチェックの結果を上司などに見られるのを不安に感じる従業員もいるかもしれませんが、本人が同意しなければ事業者は結果を入手できません。実施者が事業所にストレスチェックの結果を提供してよいのは、本人が同意した場合のみです。

高ストレスと判定され医師との面談を行った結果、メンタルヘルス不調を改善するために就業場所の変更や労働時間の短縮など、働き方の変更が求められるケースもあるでしょう。働き方を変えるには、人事労務の担当者や職場の管理監督者との連携が必要不可欠です。

そうしたケースでは、従業員のプライバシーに配慮すれば就業上の措置の目的などを共有できます。ただし、必要な範囲を超えて、従業員の上司や同僚にストレスチェックの結果を伝えてはいけません。

ストレスチェックの受検状況は個人情報に該当しない

ストレスチェックを受けたかどうかの状況自体は、個人情報に該当しません。ストレスチェックは、労働者のメンタルヘルス不調に早期に気づくためにも重要な取り組みです。

そのため、事業者は従業員の受検状況を確認したうえで、まだ受けていない従業員に受検を勧奨できます。ただし、ストレスチェックの受検有無によって、従業員に不当な扱いをしてはいけません。

面接指導を申し込んだ場合には結果が事業者へ開示される

高ストレスと判断され、医師による面接指導を事業者に申し出た場合、従業員は事業者へのストレスチェックの結果の開示に同意したとみなされます。なぜならば、事業者は従業員がストレスを抱えずに働けるように、職場環境の改善などを行わなければならないためです。

職場環境を改善するため、事業者は面接指導が行われてから概ね1か月以内に、医師から意見聴取を行うほか、報告書や意見書を受け取ります。面接指導を行う前に、従業員には事業者に情報を提供する旨を伝えておくとよいでしょう。

集団ごとの集計・分析結果は事業者へ提供できる

職場や部署などの集団ごとに集計・分析したストレスチェックの結果は、受検者の同意がなくとも事業者へ提供可能です。ただし、集計した対象が10人未満の場合、個人が特定されてしまう可能性があります。個人が特定されないような方法で集計・分析をしない限り、そして受検者全員の同意がなければ、事業者への結果提供はできません。

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ストレスチェックの実施方法と手順

ストレスチェックの実施方法と手順を解説します。従業員数が増えてストレスチェックをこれから実施する企業や、すでに実施しているものの手順に不安を感じている企業は参考にしてください。

チェックシートを記入する

ストレスチェックを行うために、従業員にチェックシートを配付しましょう。チェックシートには、「ストレスの原因」「ストレスによる心身の自覚症状」「労働者に対する周囲のサポート」に関する質問を含めてください。自社で適切なチェックシートを用意できない場合は、厚生労働省が「職業性ストレス簡易調査票」を用意しているので、利用しましょう。

チェックシートの配付は誰が行っても構いません。しかし、回収時には注意が必要です。記入内容を第三者に見られないように注意する必要があります。チェックシートを封筒に入れ封をしてから提出してもらうなど、個人情報を保護できる工夫をしたうえで回収するとよいでしょう。

[出典:厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票」]

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高ストレス者を選別する

回収したチェックシートを基に、各従業員のストレスの状態を確認し高ストレス者を選別したうえで、医師との面談が必要かを判断します。従業員のストレスの程度を評価する方法や基準は、実施者や衛生委員会の意見をふまえて事業者が決定します。

ストレスチェックにおける高ストレス者とは、「ストレスを多く抱えている」と自覚している人や、周囲からのサポートに乏しい人です。注意しなければならないのは、自覚症状の有無だけでストレス状況を判断してはいけないということ。仮に自覚症状がなかったとしてもメンタルヘルス不調のリスクがあります。潜在的なリスクを見つけ出すためにも、本人の自覚症状だけではなく、周囲のサポートなどの評価点数も確認してください。

チェック結果を本人へ通知する

ストレスチェックの結果が出たら、実施者または実施事務従事者が従業員本人に直接通知します。結果を周囲の人に見られないように、封書や電子メールなどで個別に伝えるように心がけてください。通知する際に必ず伝えなければならない事項は、次のとおりです。

  • 個人のストレスプロフィール
  • ストレスの程度
  • 面接指導の対象か否かの判定結果

高ストレス者と判断された従業員に対しては、ストレスチェックの結果を知らせる際に、面接指導の対象だと通知します。その際に面接指導を受けられるように、事業者への申し出方法も伝えましょう。

高ストレス者でなくても、従業員は一定のストレスを抱えながら働いている可能性があります。従業員がストレスを軽減できるように、セルフケアを行う際のアドバイスも一緒に伝えるとよいでしょう。

希望者に対して面接指導を実施する

高ストレスと判断され、医師との面談を希望する受検者に対しては、面接指導を行います。面接指導は、従業員から申し出があってから概ね1か月以内に実施するようにしましょう。基本的には対面で行いますが、一定の条件を満たせばICTを利用して行っても構いません。

事業者は面接指導を行った医師から、就業上の措置に関して報告書や意見書を受け取り、必要に応じて配置換えや業務負担の軽減などを行う必要があります。

結果を保存する

ストレスチェックの結果は、5年間保存しなければなりません。保存にあたっては、第三者が閲覧できないようにセキュリティを確保したうえで管理してください。例えば、事業所内のサーバーに保存する時は、システムへのログインパスワードやキャビネットの鍵の管理などを実施者や実施事務従事者が注意して行います。

外部機関への委託や、嘱託産業医による自身の診療所での保存も認められています。ストレスチェックの結果に加え、事業者への提供の同意に関する書面なども5年間保存してください。

労働基準監督署へ報告する

高ストレス者への面接指導が終わったら、事業者はストレスチェックと面接指導の実施状況を労働基準監督署に報告しなければなりません。報告書の様式は、厚生労働省のWebサイトにありますので、確認しましょう。報告書を提出する時期は、事業年度の終了後など、事業所ごとに決められます。

[出典:厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド」]

おすすめのストレスチェックサービス15選比較!選び方や料金・導入するメリット

ストレスチェック実施の注意点

ストレスチェックを行うにあたり、事業者側はさまざまな点に注意しなければなりません。特に注意すべき点をお伝えします。

従業員のプライバシーを守る

ストレスチェックの結果など、従業員のプライバシーに関わる情報が漏洩しないように注意してください。事業者は労働者の同意がなければ、ストレスチェックの結果を入手してはいけません。事業者が不正な手段を使って結果を閲覧すると、従業員は安心してストレスチェックを受検できなくなります。

高ストレス者のメンタルヘルス不調を改善するため、就業上の措置が求められる場合もあるでしょう。その場合でも、必要最低限の範囲で共有するようにしてください。

従業員へ不当な扱いをしてはいけない

ストレスチェックの受検の有無や結果によって、解雇や退職勧奨など労働者に不当な扱いを行うことは禁じられています。

仮にストレスチェックによって高ストレス者と判断されたにもかかわらず医師との面談を申し出なかった場合や、ストレスチェックの結果を事業者に提供しないと意思表明した場合でも、従業員に不利益となるような扱いをしてはいけません。

結果を事業所で保管する場合はセキュリティ体制を整える

ストレスチェックの結果を事業所内で保管する際は、個人情報が漏洩しないようにセキュリティ体制を整えてください。ログインパスワードは実施者や実施事務従事者のみ共有する、保存場所の鍵は嘱託産業医に管理を依頼するなど、本人以外の従業員が結果を閲覧できない仕組みを構築しましょう。

ストレスチェックのメリット・デメリット!失敗しないためのコツも紹介

ストレスチェックの結果を確認できる人物は一部

労働者が受けたストレスチェックの結果を閲覧できる範囲は、本人を含め、ごく一部です。また、必要に応じて事業者に情報を提供しますが、ストレスチェックの結果を基に労働者に不利益が生じるような扱いは禁じられているので、安心してストレスチェックを受けてください。

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