eラーニングシステムの費用相場とは?システム選びのポイントや導入時の注意点
教育費用を抑えられる「eラーニングシステム」。会場手配や教材準備などにかかる費用の削減につながることから普及が進んでいますが、eラーニングを導入する場合どのくらいの費用がかかるのでしょうか。本記事では、eラーニングシステムの費用相場について、システム選びのポイントや導入時の注意点を交えて詳しく解説します。
目次
eラーニング導入にかかる費用
eラーニング導入にかかる費用には、大きく分けてeラーニングシステムにかかる費用と教材費用の2つがあります。ここでは、それぞれ具体的にどのような費用がかかるのか解説します。
ただし、ここで解説する費用はあくまでも参考であり、ベンダーやプランによって変動するので注意してください。
eラーニングシステムの費用
LMSと呼ばれるeラーニングシステムの費用としてかかるのは、初期費用と運用費用の2つです。また、eラーニングシステムの運用形態はクラウド型・オンプレミス型の2種類があり、それぞれかかる費用が異なります。
クラウド型の場合、サーバーやネットワークの構築が不要なため、サービスを導入する際にかかるのは初期導入費用のみです。また、運用費用はユーザー1人あたりに料金が発生する従量課金制と、ユーザー数に関わらず料金が固定の月額固定制の2種類があります。
オンプレミス型の場合、自社でサーバーやネットワークを構築しなければなりません。したがって、パッケージ費用に加えて、サーバーや周辺機器の本体費用・サーバーやネットワークの構築費・人件費などがかかり、クラウド型よりも初期費用が膨大になるので注意しましょう。
さらに、運用費用として、パッケージのライセンス費用やバージョンアップ費用・サーバーやネットワークの利用費用・メンテナンス費用などがかかります。
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eラーニング教材の費用
eラーニング教材を用意する方法は、以下の3パターンです。それぞれの方法によってかかる費用は異なります。
- パッケージ商品を購入する
- 制作会社に自社オリジナル教材の制作を依頼する
- 自社で作成する
パッケージ商品の場合、特定の教材を単体で購入する、月額料金で教材を使い放題のサービスを利用するなどの方法があります。
制作会社にオリジナル教材の制作を依頼する場合は、撮影費用のほか、スライドやWebテストの作成費用がかかることに注意しましょう。また、自社で教材を作成する場合、人件費や機材費などが発生します。
eラーニングシステムの運用形態別の費用相場
eラーニングシステムにはさまざまな運用形態があり、それぞれ費用相場は異なります。ここからは、eラーニングシステムの運用形態ごとに、それぞれの費用相場について解説します。
ただし、ここで取り上げる費用相場はあくまでも参考であり、ベンダーやプランによって異なるので注意してください。
オンプレミス型eラーニングシステム
オンプレミス型のeラーニングシステムは、自社にサーバー・ネットワークを構築し、管理する必要があります。よって、費用が高額になりやすい点に注意が必要です。
ただし、利用人数に関わらず同じだけの初期費用がかかり、運用費用も一定の人数以上は定額になることが多いので、大人数で利用する場合に適しています。
オンプレミス型eラーニングシステム(LMS)は、以下の3種類です。
- パッケージ型LMS
- オープンソース型LMS
- フルスクラッチ型LMS
以下で、それぞれのLMSの費用相場について解説していきます。
パッケージ型LMS
パッケージ型LMSは、ライセンス費用を払ってすでにパッケージとなったLMSを購入し、自社サーバーに実装するタイプです。
初期費用として、ベンダーへの構築作業の依頼費用と、パッケージにない機能を追加する場合はカスタマイズ費用がかかります。また、運用費用として月額の保守費用が必要です。
初期費用 |
|
運用費用 | 保守費用:10万~50万円/月 |
オープンソース型LMS
オープンソース型LMSは、プログラムコードが無料で公開されているオープンソースのLMSを自社用にカスタマイズして実装するタイプです。一般的には、大学などの教育機関で利用されています。
パッケージ費用はかかりませんが、構築作業やカスタマイズ作業をベンダーに依頼するとその分だけ初期費用が必要になるでしょう。また、保守費用が運用費用としてかかります。
初期費用 |
|
運用費用 | 保守費用:1万~10万円 |
フルスクラッチ型LMS
フルスクラッチ型LMSは、自社の要件に合わせてゼロからLMSを構築して導入するタイプです。開発費用が高額になりがちなので、予算と必要な機能のバランスを取りながら慎重に開発する必要があります。
初期費用 | 開発・構築費用:200万〜1000万円 |
運用費用 | 保守費用:内容により変動 |
クラウド型eラーニングシステム
クラウド型eラーニングシステムは、ベンダーがクラウド上に構築して提供されるLMSを利用するタイプです。自社でサーバー・ネットワークの構築をする必要がなく、初期費用を抑えられます。
また、メンテナンスやバージョンアップといった管理もベンダーに任せられるので、運用の手間やコストを減らせるのもメリットです。
初期費用 | 0〜100万円 |
運用費用 | 利用費用:100~1,000円/月(ユーザー1人あたり) |
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eラーニング教材の費用相場
eラーニング教材の費用相場はどのくらいなのでしょうか。ここでは、eラーニング教材の費用相場について4パターンに分けて解説します。
eラーニングシステムに教材が含まれている場合
eラーニングシステムに教材が含まれている場合、教材の提供方法によって料金形態も変わります。具体的には、テーマごとに教材を購入する買い切りタイプと、定額で教材を受け放題にできるタイプが挙げられるでしょう。
買い切りタイプはユーザー数に限らず金額が一定なので、利用人数が多いほど割安となります。一方、受け放題タイプはユーザー1人あたりに料金が発生する従量課金制のことが多く、追加料金なしで既存教材の更新や新規教材の追加などをしてくれるのがメリットです。
買い切り | 1万~50万円(1教材あたり) |
受け放題 | 500~2,000円/月(ユーザー1人あたり) |
eラーニング教材のみ手配する場合
既存のLMSがある場合や追加で教材を導入したい場合には、eラーニング教材のみ手配する必要があります。教材を手配する方法は、買い切りかレンタルの2パターンです。
買い切り | 30万~200万円(1教材あたり) |
レンタル | 10万~50万円/年(1教材あたり) |
自社オリジナルの教材を制作会社に依頼する場合
自社オリジナルの教材を専門の制作会社に依頼する場合、撮影場所・スライドの量・Webテストの量などによって費用は変動するでしょう。また、研修動画はセミナー形式・マニュアル形式・ドラマ形式の3種類があり、それぞれ費用相場は異なります。
セミナー形式 | 5万~30万円 |
マニュアル形式 | 5万~15万円 |
ドラマ形式 | 80万~200万円 |
教材を自作する場合
eラーニング教材ツールなどを利用して教材を自作する場合、講師や動画編集にかかる人件費・編集用のパソコン・動画編集ソフト・カメラやマイクといった機材などを揃えるための初期費用が必要です。工夫して費用を抑えれば、数万円程度で教材を作成できます。
eラーニングシステムの選び方
eラーニングシステムを選ぶ際は、費用だけで選ぶとミスマッチのリスクがあるため、費用以外にも選定基準を持っておく必要があります。具体的にどのようなポイントをチェックすればよいのか、eラーニングシステムの選び方について解説します。
受講したい教材が提供されているかで選ぶ
eラーニングシステムを選ぶ際は、受講したい教材が提供されているかチェックしましょう。たとえ教材が充実していても、導入目的に合ったコンテンツがなければ導入費用が無駄になってしまいます。
内定者・新入社員・管理職向けなど、育成したい人材に合ったコンテンツが豊富に揃った教材を選ぶのがおすすめです。また、スライド・動画・ライブ配信など、同じテーマを扱っていてもさまざまな形式があるため、提供形式も併せて確認しましょう。
学習進捗・成績管理など必要な機能は搭載されているかで選ぶ
教材の内容だけではなく、機能もチェックすることが大切です。例えば、学習進捗・成績管理機能が付いたものなら、受講者がスムーズに学習を進められるでしょう。また、管理者が受講状況を把握できるのもメリットです。
ほかにも、受講生にメールでリマインドできる機能や、質問する際に使えるチャットなどのコミュニケーション機能もあるとよいでしょう。
受講者・管理者が操作しやすいシステムであるかで選ぶ
eラーニングシステム選びにおいては、操作性も重要なポイントです。ITリテラシーがなくても直感的に使用できるシステムを選べば、受講者も管理者も使いやすいでしょう。
ナビゲーションなどで次に受講すべき教材が分かりやすいものや、コンテンツを見つけやすいものなら、受講者のモチベーションアップにもつながります。製品によっては無料トライアル期間が設けられている場合もあるので、実際に操作して比較してみるのもおすすめです。
トラブル発生時など十分なサポートが得られるかで選ぶ
eラーニングシステムを選ぶ際は、サポート体制も確認しましょう。導入・運用時やトラブル発生時に十分なサポートが受けられるシステムを選ぶことが大切です。
また、メール・チャット・電話など、問い合わせの手段が多様かも併せてチェックしましょう。
導入実績の豊富さで選ぶ
eラーニングシステムを選ぶ際、導入実績が豊富かを確認することも大切です。また、自社と似たような業種・業態の企業や同じ悩みを抱えた企業の事例がないかも併せてチェックしましょう。導入実績の豊富なシステムなら、安心して利用できます。
eラーニングシステム導入時の注意点
eラーニングシステムを導入する際には、注意しなければならない点がいくつかあります。ここでは、eラーニングシステム導入時の注意点について解説します。
教材費用が料金プランに含まれているか確認する
導入を決める前に、教材費用が料金プランに含まれているか確認することが大切です。製品によっては教材がオプション設定されており、月額費用とは別に費用が発生することもあるので注意しましょう。
また、教材作成機能が標準搭載されているかも重要なポイントです。教材の作成をサポートする機能があれば、自社に合った教材を低コストで内製できます。
運用形態が自社に合っているか確認する
eラーニングシステムを選ぶ際は、運用形態が自社に合っているかも確認しましょう。オンプレミス型はカスタマイズ性に優れていますが、導入には多額の費用がかかります。
一方、クラウド型は導入時のインフラ整備が不要なため、導入コストやランニングコストを抑えられるのがメリットです。ただし、カスタマイズ性はオンプレミス型に劣ります。
システムの導入・運用にあたれる自社エンジニアの有無や利用人数・利用期間などを考慮し、自社に合った運用形態のシステムを選びましょう。
自社開発する場合は「ハーフスクラッチ開発」もおすすめ
eラーニングシステムを自社開発する場合は、ハーフスクラッチ開発もおすすめです。ハーフスクラッチ開発とは、既存パッケージを自社に合わせてカスタマイズする方法を指します。
ハーフスクラッチ開発は、開発にかかる費用や期間をフルスクラッチ開発より抑えられるのがメリットです。ただし、フルスクラッチ開発よりも開発の自由度は低く、必要な機能をすべて実装できるとは限らないので注意しましょう。
eラーニング導入にかかる費用を把握しておこう
eラーニングの導入にはさまざまなコストがかかり、製品によって運用形態は異なるので、自社に合ったシステムを選ぶことが大切です。eラーニング導入にかかる費用を正しく把握し、導入を検討しましょう。
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