eラーニングの学習は労働時間に含まれる?受講時間の目安や判例を紹介
昨今社員研修の一環としてeラーニングを提供する企業が増えていますが、受講者の中にはeラーニングは労働時間に含まれるのか疑問に感じている人も多いのではないでしょうか。本記事では、eラーニングの学習は労働時間に含まれるのか、受講時間の目安や判例とあわせて紹介します。
目次
eラーニングの学習は労働時間に含まれる?
eラーニングの学習は労働時間に含まれる場合と含まれない場合があります。どのような状況が該当するのかを見ていきましょう。
任意受講の場合は「労働時間に含まれない」
eラーニングの受講が義務付けられておらず任意で受講する場合は、労働時間には含まれません。社員が自主的に行う学習活動として認識されるためです。
義務的な研修とは異なり、業務時間外に自らの判断で行うため、一般的には企業側の管理下にないとみなされます。
受講命令が下っている場合は「労働時間に含まれる」
一方で、企業からeラーニングの受講命令が下っている場合は、労働時間に含まれます。会社がeラーニングの受講を業務の一環として指示しているため、業務時間の一部として扱わなければなりません。
業務命令としての受講は、社員の自己学習とは異なり、企業の管理下で行われるため労働とみなされるのです。
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eラーニングの労働時間に関する判例
eラーニングの労働時間に関する重要な判例の一つに、NTT西日本ほか(全社員販売等)事件があります。
こちらは、企業が推奨するeラーニングを社員が受講した時間について、労働時間に含まれるか否かで争われ、結果的には自由意思による受講とみなされ労働時間外と判断されました。
この判例は、企業側の学習命令の有無による労働時間の扱いに関する重要な基準となっています。具体的な事例を通じて、労働時間の定義がより明確になったと言えるでしょう。
[参照:産労総合研究所「労働判例」]
eラーニング学習の受講時間の目安
eラーニング学習の受講時間の目安としては、4分から15分程度が理想的です。人が一度に集中できる時間は約15分間とされていますが、学習時間をそれよりも短く収めることで、集中力を高く維持したまま受講を終えられます。
短時間のセッションは、学習内容の理解と記憶を向上させるためにも有効です。また、隙間時間も活用でき、効率的な学習が可能となります。
eラーニングを導入する際の注意点
ここではeラーニングを導入する際の注意点について紹介していきます。
eラーニングに関するルールを策定し社内に周知する
eラーニング導入時には、任意受講か否か、人事評価への影響の有無、受講できる時間や場所、労働時間に含める場合の賃金の扱いなど、明確なルールを策定し社内に周知することが重要です。社員は自分の権利や義務を理解し、安心して学習に取り組めるでしょう。
ルールの明確化は、トラブルを未然に防ぎ、効果的なeラーニングの運用に欠かせません。
労働時間に含めない場合は学習意欲が向上するようサポートする
労働時間に含めない場合、eラーニングの推進のために受講者の学習意欲を高めるサポートが重要です。
その際、推奨はするものの強制的に感じられないように工夫し、受講者が自主的に学べる環境を整えるよう心がけましょう。
労働時間に含める場合は就業時間内で受講できるよう調整する
労働時間に含める場合には、効率的な時間管理が求められます。割増賃金が発生しないようにするためには、就業時間内で受講できるよう調整することが重要です。具体的には、業務時間内にeラーニングの時間を確保し、社員が無理なく受講できるようにスケジュールを調整します。
労働時間外での受講は、社員の負担や不満にもつながりトラブルに発展する恐れもあるため注意しましょう。
受講時間が長いと不満につながる可能性があるため目安時間内に収める
eラーニング学習の受講時間が長すぎると、受講時間の確保や復習が難しくなり、不満につながる可能性があります。そのため、動画の内容を編集するなどして、視聴時間を目安時間内に収める工夫が必要です。
短時間で集中できるようにすることで、受講の負担の軽減だけでなく、要点をつかみ内容を定着させられ効果的な学習になるとともに、受講者のモチベーションも維持しやすくなります。
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eラーニング学習を労働時間に含むか否かを明確にしよう
eラーニング学習を労働時間に含むか含まないかは、企業にとって重要な課題です。受講が任意であるか、または受講命令の有無により、その扱いが変わります。
社員の理解と協力を得るためには、明確なルールを策定し周知することが欠かせません。さらに、受講時間の調整やサポートを行い、効率的で効果的な学習環境を整えることが、企業と社員の双方にとって有益です。
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