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ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)とは?手法やフェーズを紹介

2024/09/25 2024/09/27

システム開発

ソフトウェア改発ライフサイクル

ソフトウェアプロジェクトのプロセスを表す「ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)」。ソフトウェア開発の複雑化や規模拡大によって生まれた概念です。本記事では、ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)について、目的や手法、フェーズ、成功させる方法を解説します。

ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)とは?

ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)とは「Software Development Life Cycle」の略称で、ソフトウェアの開発プロジェクトを計画的に実行するために構造化されたプロセスを指します。

ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)の主な目的は、プロセスの構造化によってプロジェクトの全体像を可視化することにあります。また、適切なリソースやリスクの管理を通じてQCD(品質・コスト・納期)を向上させることも目的です。

ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)が効果的に機能することで、より短い期間で高品質かつ低コストのソフトウェアを開発できるのです。

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ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)が誕生した背景

ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)の誕生は、ソフトウェアの技術研究が活発になり始めた1960年代までさかのぼります。

当時はハードウェアのコストダウンに伴ってソフトウェアの社会的なニーズが急激に拡大しており、それに応えるように初期の高水準言語が登場するなど、技術の進歩が加速していました。

ソフトウェアに対する顧客の要求も次第に高まっていき、開発規模の肥大化やプログラミングの複雑化が続いた結果、開発コストの増大や納期の遅延を招くようになったのです。

この事態は「ソフトウェア危機」と呼ばれるほど深刻な問題として認識され、生産性を根本から見直すための戦略的なソフトウェア開発の方法論が模索されるようになりました。

その結果として誕生したのがソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)であり、以降、時代に応じてさまざまなモデルが考案されてきたのです。

ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)の手法

ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)には、プロジェクトの性質や要求に応じて幅広いモデルが存在します。その中でも主要となるモデルは、次の8つです。

  • ウォーターフォール型
  • アジャイル型
  • ハイブリッド型
  • プロトタイプ型
  • リーン型
  • 反復型
  • スパイラル型
  • V字型

各モデルの特徴やメリット・デメリットについて、具体的に解説します。

ウォーターフォール型

ウォーターフォール型は、ソフトウェア開発のプロジェクトを複数の工程に分解し、上流から下流に向かって段階的に開発を進める手法です。

大規模なソフトウェア開発によく用いられる手法であり、プロジェクト開始前に綿密な計画を立てるため予算や人員を確保しやすく、全体スケジュールを調整しやすいメリットがあります。

一方で、順序立ててプロジェクトを進めるという性質のため、急な仕様変更への対応が難しいのがウォーターフォール型のデメリットです。また、プロジェクトが長期化しやすい特徴もあります。

アジャイル型

アジャイル型は、ソフトウェア開発の工程を機能単位でさらに細分化し、短い開発サイクルを数週間ごとに繰り返す手法です。

主にゲーム開発などに取り入れられている手法で、個々の機能が独立して完成していくことから、環境の変化や発注者の要望に柔軟に対応しやすい傾向にあります。

ただし、柔軟性を重視しすぎると、かえってソフトウェアの要件が曖昧になり、開発の方向性がぶれる可能性もあるでしょう。また、機能を個別に開発するため、全体スケジュールの把握が難しいこともデメリットです。

ハイブリッド型

ハイブリッド型は、ウォーターフォール型とアジャイル型の良い部分を組み合わせた手法です。

ウォーターフォール型の持つプロジェクトの計画性を維持しつつ、実装・プログラミングの工程にアジャイル型を取り入れることで、ユーザーレビューを早期に取り入れることができます。

そのため、仕様変更にも対応しやすく、柔軟性と計画性の両立を実現できるのがハイブリッド型のメリットです。

ハイブリッド型のデメリットとしては、ウォータフォール型とアジャイル型の明確な境界線を決めにくいことにあります。また、2つの手法を組み合わせることから、管理が複雑化しやすいのも難点です。

プロトタイプ型

プロトタイプ型とは、最初に最低限の要件を満たした試作品(プロトタイプ)を開発して発注者に実際に使用してもらい、使い勝手などのフィードバックを受けてから本開発に取りかかる手法です。

本開発に入る前に発注者が求めているソフトウェアの完成イメージをより正確に把握できるため、仕様を固めやすく、満足度の高いソフトウェアを提供できるメリットがあります。

一方で、プロトタイプ型は発注者のイメージが不明瞭な場合に採用する傾向にあり、試作品(プロトタイプ)を試してもらった結果、想定以上の要望が出てくる場合もあります。このような場合にはスケジュール遅延が起こりやすいのがプロトタイプ型のデメリットでしょう。

リーン型

リーン型はトヨタ自動車株式会社の生産方式を基に生まれた手法で、工数の無駄を削減することでソフトウェア開発のスリム化を図るものです。

リーン型は具体的に、構築・計測・学習という3つの要素で構成され、このサイクルを効率的に回すための7つの原則があります。

  • ムダをなくす
  • 知識を作り出す
  • 決定を遅らせる
  • 人を尊重する
  • 素早く提供する
  • 統一性を作り込む
  • 全体を最適化する

これらの原則に則って開発を進めることで、小規模かつ短期間で必要最低限のソフトウェアを提供しつつ、バージョンアップによる持続的な価値提供ができるのがリーン型のメリットです。

一方で、リーン型ではムダの完全な排除は難しいといえます。プロジェクトに時間的制約がある状況下では、ムダの特定や削減に割ける時間が限られているためです。

また、各プロジェクトメンバーが複数の役割を担うことが多く、一人ひとりに求められるスキルレベルが高くなりやすいことや、業務量が増えやすいことがデメリットとして挙げられます。

反復型

反復型は、ソフトウェアを段階的に開発する手法です。まずはシンプルな実装からスタートし、機能向上の工程を繰り返すことでソフトウェアの完成度を高めていくという特徴があります。

この手法では最初にシステム全体の要件定義を行うため、開発の方向性を明確に定めた状態で並列開発ができるのがメリットです。ただし、並列開発を行うために機能ごとの関係性が複雑になりやすく、統合時に上手くいかないリスクがあります。

スパイラル型

スパイラル型は、機能単位で要件定義・設計・実装・テストの工程を繰り返す開発手法です。

機能ごとに開発とユーザーレビューを繰り返すため、開発後の不具合や要望との不一致といったリスクを低減できることがスパイラル型のメリットとして挙げられます。

しかし、システムの分割方法によっては運用が難しいともいえます。また、機能ごとの繰り返しの上限回数が決まっていないため、予算の超過や納期の遅延を招きやすいリスクもあるでしょう。

V字型

V字型は、ウォーターフォール型の開発工程とテスト工程をリンクさせてテスト計画を適正化する手法です。具体的には以下のように対応しています。

開発工程テスト工程
要件定義システム・受入テスト
基本設計統合テスト
詳細設計単体テスト

詳細設計の成果物に対しては単体テストを行うなど、テストのレベルや範囲が明確になることで手戻りが少なくなり、修正コストの削減につながります。

一方で、上流工程と下流工程をリンクさせる性質上、上流工程でミスが起こると手戻り工数が肥大化するリスクがあります。上流工程での不具合がプロジェクトの成否に直結することもあるため、注意が必要です。

ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)のフェーズ

ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)では、一般的にプロジェクトを以下の6つのフェーズに分割し、管理します。

  1. 計画フェーズ
  2. 設計フェーズ
  3. 開発フェーズ
  4. テストフェーズ
  5. デプロイフェーズ
  6. 運用・保守フェーズ

それぞれのフェーズの具体的な作業内容について解説します。

計画フェーズ

計画フェーズは、プロジェクト全体の成功を左右する重要なフェーズです。

このフェーズでは、発注者のビジネスニーズを正しく理解し、ソフトウェアを通じて解決すべき課題や達成すべき目標を見極める必要があります。そのうえで必要な技術・人員・予算を見積もり、プロジェクトチームを編成していくのが主な作業内容です。

設計フェーズ

設計フェーズは、プロジェクトの基盤を固めていく段階です。

発注者との打ち合わせで明確化した課題や目標を基に、ソフトウェアに求められる機能や性能をリストアップし、ソフトウェア要件仕様書(SRS)に落とし込んでいきます。

その後、アーキテクチャを設計し、モジュール単位でプログラミングの実施に必要な設計ドキュメントを作成するのが設計フェーズです。

開発フェーズ

開発フェーズは、ソフトウェアに機能を実装していく段階です。

プログラミング言語を用いてコードを記述するにあたっては、設計ドキュメントを正確に読み解く力と、発注者のニーズを満たすための創意工夫が求められます。

ソフトウェアのパフォーマンスと安定性を左右する重要なフェーズであるため、作業のスピードだけでなく、コードの品質も追求することが大切です。

テストフェーズ

テストフェーズは、開発したソフトウェアが期待通りに動作するかを確認する段階です。

コンポーネントごとや、複数のプログラムを組み合わせた際のバグや不具合をチェックしたあと、システム全体を対象とするシステムテストによって、すべての機能が正しく動作するかを検証します。

テストフェーズはソフトウェアの品質を保証する目的で行われます。ここで徹底的なチェックと修正対応を行うことが、後々のトラブルを未然に防ぐカギとなるのです。

デプロイフェーズ

デプロイフェーズは、ソフトウェアをエンドユーザーに提供する段階です。

ビルド環境で開発したソフトウェアを本番環境に移行するためにパッケージ化や環境設定などを行い、エンドユーザーが利用できるように最終調整を行います。

運用・保守フェーズ

運用・保守フェーズは、ソフトウェアを納品したあとの安定稼働を支える段階です。

定期的なメンテナンスでソフトウェアの異常や不具合の確認および修正を行うことに加え、発注者の要望に応じて機能追加なども行います。

運用・保守フェーズが適切に実行されることで、ソフトウェアは最新の状態と安全性を保ち、ユーザーに安心して利用してもらうことができるのです。

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SDLCを成功させる方法

ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)は、プロジェクトの要件や規模などに応じてどの手法を選ぶべきかが変わりますが、共通して気をつけるべきポイントもあります。

早めにセキュリティテストを実施する

ソフトウェア開発には、上流工程からセキュリティテストを組み込み、プロジェクト全体のリスクを最小化する「シフトレフト」という工程管理方法があります。

開発の最終段階でセキュリティテストに行うと手戻りが発生しやすくコストもかさみます。そのため、早い段階でセキュリティテストを実施したほうが、トータルコストの削減と品質の向上を期待できるというのがシフトレフトの考え方です。

近年は内外からの不正アクセスによる情報漏えいの発生件数が増えています。セキュリティ対策を怠ると開発会社が責任を追及され、最悪の場合は訴訟に発展するリスクもあるでしょう。

このような理由から、開発プロセスの早期からセキュリティテストを取り入れることは、コストと品質の両立だけでなく、企業としての信頼性を保つうえでも重要なのです。

チーム全体のコミュニケーションを活性化する

開発プロジェクトには、エンジニアのほかにプログラマやテスターなど、多種多様なメンバーが参画しています。

専門性を発揮する領域が異なるメンバーが集まっているため、問題の重要度などの認識にズレが生じやすいといえるでしょう。そこで、情報共有や意思疎通をスムーズに行うためにも、チーム全体のコミュニケーションの活性化が欠かせません。

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SDLCを導入しスムーズなソフトウェア開発を実現しよう

ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)は、QCD(品質・コスト・納期)のバランスや条件に応じて効果的な手法を選べるのが魅力です。一方で、手法ごとに求められる意識などが異なり、プロジェクト単位で手法を変更することが難しい側面があるため、適切な手法を模索するとよいでしょう。

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