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組み込みソフトウェアとは?言語や環境・開発する際の流れについて紹介

2024/09/25 2024/09/27

システム開発

組み込みソフトウェアとは

家電製品や産業機器などの機械を制御する「組み込みソフトウェア」。洗濯機やエアコン、信号機などに内蔵されており、デバイスの開発に欠かせない開発方法です。本記事では、組み込みソフトウェアとは何か、使用する言語や開発の環境、開発する際の流れなどについて紹介します。

組み込みソフトウェアとは?

組み込みソフトウェアとは、家電や産業機器などの機械を制御するために使われる仕組みです。機械の内部に組み込まれていることから「エンベデッド(埋め込み)システム」とも呼ばれます。

組み込みソフトウェアは、電化製品の根幹を担う重要なシステムであり、機械の性能を最大限に引き出す役割を担っています。主に家電製品の動作や自動車の制御システムなどに用いられており、これらがマニュアル通りに操作できるのは、組み込みソフトウェアのおかげなのです。

なお、組み込みソフトウェアの機能は、組み込む機器によって異なります。例えば、昨今よく使われているスマート家電などは性能が高いため、組み込みソフトウェアの設計も複雑になります。しかし、少ないスイッチ一つで操作できる昔ながらの掃除機や扇風機などであれば、組み込みソフトウェアも簡易的になります。

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組み込みソフトウェアが内蔵されている機械の例

組み込みソフトウェアは、私たちの身の回りにあるさまざまな「電気で動作する機械」に内蔵されています。テレビやエアコン、カーナビ、デジタルカメラ、洗濯機、コピー機、エレベーター、自動販売機、信号機などがその代表例です。

以下は、組み込みソフトウェアによる各機器の動作例です。

  • 洗濯機…ドラムへの注水、水量に合わせた洗剤の投入 
  • カーナビ…目的地までの距離計算、ルートの表示
  • エアコン…温度や湿度の調整、風向の調整
  • エレベーター…扉の開閉、目的階層への移動
  • 自動販売機…商品の排出、釣銭の計算

日常生活や産業において欠かせないこれらの機器は、組み込みソフトウェアによって制御され、効率的に動いているのです。

組み込みソフトウェア開発の特徴

組み込みソフトウェア開発には、ほかのソフトウェア開発とは異なる特徴があります。具体的なポイントについて、詳しく見ていきましょう。

主にC言語が使用される

組み込みソフトウェア開発では、主にC言語というプログラミング言語が使用されます。C言語は、数あるプログラミング言語の中でも歴史が古く、「仕組みが単純で処理速度が速く、何でも開発ができる」という特徴から、世界中で使用されています。

また、C言語は機械に直接指示を出すような低レベルの操作が可能であることからも、組み込みソフトウェアの開発に最適な言語とされています。これらの特性からC言語は、信頼性と効率性が求められる組み込みシステムで広く使われているプログラミング言語なのです。

開発環境と実行環境が異なる

組み込みソフトウェアの開発は通常、パソコン上で行われますが、開発したプログラムは、実際には組み込み機器上で動作します。このように、開発環境(PC)と実行環境(組み込み機器)が異なる開発手法を「クロス開発」または「クロスコンパイル」といいます。

クロス開発は組み込みシステムにおける基本的な開発手法で、ソフトウェアが実行される機器上で開発できない場合に用いられます。CPUやメモリなどのリソースが豊富なパソコンを用いることで、開発効率を高められることが利点です。

なお、パソコン向けのプログラムをパソコンで開発する場合など、開発環境と実行環境が一致している開発手法を「セルフ開発」または「ネイティブコンパイル」といいます。

コンパイルとは、プログラミング言語で書かれたソースコードをコンピュータで実行可能なオブジェクトコードに変換し、実行可能な形式のプログラムを生成することです。

セルフ開発の場合は動作するプログラムにコンパイルするだけですが、クロス開発では、開発中にシミュレーションやテストを行い、最終的に実機での動作確認を行います。

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組み込みソフトウェアの開発の流れ

組み込みソフトウェアの開発は、5つのステップで進められます。

依頼者へのヒアリング

組み込みソフトウェアの開発では、まず依頼者へのヒアリングが重要です。どのような機能を搭載するのか、どの部分を制御するのか、さらには予算やスケジュールも含め、詳細な要件を確認します。

ヒアリングを通じて依頼者のニーズを正確に把握し、プロジェクトの方向性を明確にすることが、後の開発工程をスムーズに進めるための基盤となります。

要件定義

要件定義とは、ヒアリングで得た情報を基に、組み込みソフトウェアに実装する機能や必要な性能を具体的に定める作業です。なお、要件定義は細かく以下3つに分かれています。

  • 機能要件
  • 非機能要件
  • 実行計画

要件定義は、後の設計や開発を左右する重要なステップであり、プロジェクトの成功に直結する重要な要素となります。また、開発コストにも影響を与えるため、依頼者のニーズと予算のバランスをとるためにも、十分な時間をかけて行うことが大切です。

機能要件

発注側がシステムに求める機能のことです。例えば、「ユーザーごとに権限が設定できる」「検索条件を設定したうえで商品検索ができる」など、システムに搭載する機能を定義します。

非機能要件

機能要件以外の全ての要件を指します。例えば「応答時間は3秒以内」「1,000件/秒以上のデータ処理能力」といった性能や品質に関する要件、そのほか、セキュリティやユーザビリティも含まれます。

実行計画

システム開発に必要な工数と作業日程、コストの計画です。重要度や緊急度を順にまとめるなど、開発をスムーズに実行するための計画を定義します。

システムの設計

要件定義が完了したら、組み込みソフトウェアのシステム設計に進みます。システム設計は、以下2つの段階に分かれています。

基本設計

基本設計は、要件定義の内容からシステムを具体的に練り上げる作業です。機能一覧やネットワーク構成図、データ構造の設計図などを作成します。基本設計では最終的に「基本設計書」を作成しますが、図を用いて視覚的に分かりやすく伝えることが一般的です。

詳細設計

次に、基本設計に基づいて詳細設計を行います。詳細設定では、システムの内部構造やプログラミングの具体的な開発工程などを設計します。

システムの開発

システムの開発は、詳細設計書に基づいてソースコードを記述し、プログラムを作成する工程です。この段階では、設計通りにプログラムが正しく動作することが求められます。

プログラム実装時には、コードの効率性や保守性、さらにリソース制約に注意を払う必要があります。特に組み込みシステムでは、限られたメモリや処理能力を最大限に活用する工夫が重要です。

テスト

システムが完成したら、次は4つのステップで行われるテストの工程に進みます。それぞれの重要なポイントを以下で詳しくご紹介します。

単体テスト

単体テストは、プログラム作成後に最初に行うテストで、システムの各部品やモジュールを個別に検証する工程です。このテストでは、各モジュールが詳細設計通りに動作しているかを確認します。

単体テストは、バグや誤動作を早期に発見し修正するための重要なステップであり、システム全体の安定性を確保する基盤となります。

結合テスト

結合テストは、単体テストで検証した各モジュールを組み合わせ、システム全体が正しく連携して動作するか確認する工程です。このテストでは、モジュール間のインターフェースやデータのやり取りが正確に行われているかを重点的にチェックします。

結合テストは、システム全体の整合性と信頼性を確保するために不可欠なステップです。

システムテスト

システムテストは、システム全体が設計通りに機能し、期待される性能を発揮するか確認する工程です。結合テストで検証した各モジュールが連携して動作するかを確認したあと、システム全体の動作を実際の使用環境に近い状態でテストします。

システムテストでは、機能面だけでなく、システムのパフォーマンスや信頼性も評価します。システムテストを通じて最終的な品質保証を行うことにより、製品としての完成度の確認が可能です。

受け入れテスト

受け入れテストは、開発したシステムが依頼者の要求や期待を満たしているか確認する最終段階のテストです。このテストでは、依頼者が実際にシステムを使用し、機能や性能が要件通りに動作するかを確認します。

受け入れテストをクリアすることで、初めて運用が開始されます。

組み込みソフトウェアの開発に必要なスキル・知識

組み込みソフトウェアの開発には、専門性の高いスキルや知識が求められます。最後に、組み込みソフトウェアの開発に必要なスキルや知識について詳しく解説します。

プログラミングに関するスキル

組み込みソフトウェア開発では主にC言語が使われるため、まずはC言語のスキルが必要です。

加えて、プログラミング言語の中でもC言語と並んで汎用性が高いJavaのスキルも持っていると、より広範なシステムやアプリケーションの開発に対応できるため、開発者としての幅が広がるでしょう。

電子基板に関するスキル

組み込みソフトウェア開発には、電子基板に関するスキルも求められます。電子基板とは、電子部品を取り付け、回路を構成するための電子部品です。

電子基板の設計は、電子回路設計エンジニアの領域であるため、組み込み開発におけるエンジニアのスキルとしては、必ずしも必須ではありません。

しかし、基板の設計や回路の動作原理を理解していることで、ソフトウェアとハードウェアが正確に連携するよう調整できるため、より高品質なシステムの開発が可能です。

また、デジタル化の進展や国内のIT人材不足が進む昨今では、組み込みエンジニアが電子基板の設計を行うケースも少なくありません。以上のことから、組み込みソフトウェアのエンジニアも、電子基板に関する一定の知識を備えていることが望ましいでしょう。

プログラムを組み込むハードウェアに関する知識

組み込みソフトウェアを適切に開発するためには、プログラムを組み込むハードウェアに関する知識が不可欠です。案件によってはハードウェアの回路図面のみを参考にして設計するケースがあるからです。この場合、回路図面を読み解く能力や、モジュールを理解できるレベルの知識が必要です。

これらの知識を身につけておけば、より最適なプログラムを記述し、ハードウェアの性能を最大限に引き出せます。ハードウェアに精通することで、効率的かつ信頼性の高いシステムを構築することが可能です。

AIに関する知識

組み込みソフトウェアの開発には、AIに関する知識も必要です。現在AIは第4次産業革命の主軸となる技術であり、特定の事業領域ではAIの戦略的な活用が進展しているからです。

例えば、製造業では機械学習を用いた設備管理が普及しつつあり、製造ラインの省力化とオートメーション化を推し進める企業が増加しています。

このような産業機械の設計・開発に携わる組み込みエンジニアにとって、AIに関する知識の修得は必須といえるでしょう。

専門知識を身につけ組み込みソフトウェア開発に挑戦してみよう

組み込みソフトウェア開発は、プログラミングスキルやハードウェアの知識、さらには開発環境への理解が求められる分野です。これらの専門知識を身につけることで、日常生活や産業を支える重要なシステムを作り上げることができます。

組み込みソフトウェアを開発するための具体的な勉強方法には、プログラミング学習サイトの活用や書籍の精読、プログラミングスクールへの通学などがあります。自分に合った方法で学ぶことで、効率よくスキルを身につけられるでしょう。

ぜひこの機会に、組み込みソフトウェアのスキルを習得し、開発に取り組んでみてください。

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